◯三橋議長 高橋修一議員の発言を許可いたします。──高橋議員。

 

◯高橋議員 引き続きまして、私のほうから質問してまいります。

 初めに、県全域を対象とした新病院の地域医療、僻地医療の支援についてでございます。

 一点目として、県立中央病院における地域医療、僻地医療に係るこれまでの取組内容についてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 県立中央病院では、僻地等の医師不足解消のため、県内の僻地医療拠点病院等に対して、自治医科大学卒業医師を派遣しているほか、県内の自治体病院等で医師確保が困難な特定の診療科に対して医師派遣を行っています。

 また、地域医療支援の役割の明確化と一層の推進を図るため、地域医療支援部を設置し、県内の僻地医療拠点病院等に対する医師派遣についての企画、調整を行っているところです。

 こうした取組のほか、県立病院チャレンジ(挑戦)プラン二〇一九においても、地域医療支援を取組の大きな柱として掲げており、僻地等の医師不足解消に向け、関係機関と連携しながら取り組んでいるところです。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 新病院設置を契機として、県全域を対象とした地域医療、僻地医療の支援については、さらに拡充、強化していく必要があろうかと思います。今後、これについてはどのように取り組んでいかれるのか、この点についてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 知事。

 

◯三村知事 高橋議員にお答えいたします。

 私は、人口減少や医療従事者不足など地域医療を取り巻く環境が一層厳しくなりつつある中におきまして、医療提供体制の確保が厳しい地域に対する支援は大変重要であり、県立病院の重大な役割であると認識をいたしております。

 こうしたことから、県全域を対象といたしました地域医療支援を共同経営・統合新病院整備に係る基本的事項案の柱の一つとして掲げたところでありまして、新病院の医師、看護師といった医療従事者の派遣を充実・強化することなどによりまして、県民の皆様方が必要とする医療を将来にわたって安心して受けられるよう、しっかりと取り組んでまいります。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 青森県立中央病院、青森市民病院ともに、医師確保については長年にわたる大きな課題であると受け止めているところであります。そういった中において、新病院では医師確保に向けてどのように取り組んでいくのか、そのお考えをお伺いいたします。

 

◯三橋議長 病院事業管理者。

 

◯吉田病院事業管理者 新病院が地域医療や僻地医療の支援をなお一層充実させていくためには、医師のさらなる増員は必要であろうと認識しております。

 こうしたことから、さらなる医師確保に当たりましては、医師の養成機関であります大学等に引き続き協力を要請していくとともに、基幹病院を整備することによって、医療機能の充実・強化が図られ、医師の増員等につながった他県の統合事例というものもございまして、そういったことも参考にしながら、医師の増員にも資する医療機能の充実等を図ってまいりたいと考えております。

 このほか、臨床研究、あるいは先進医療に積極的に取り組むなど、キャリアアップを目指す医師にとって魅力ある取組等、様々な取組を通じて医師の確保に努めてまいりたいと考えております。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 このことについては、新病院の整備を契機としていただいて、県全域を対象とした地域医療、僻地医療の支援、さらなる地域の医療機関等との連携強化を図っていただきたいと思いますし、そのためにも、医師のことを聞きましたが、医師をはじめとする医療従事者の確保は大変大きな課題であろうかと思います。医師の増員に資する取組を行っていくという御答弁でありましたので、その成果、効果を期待したいと思います。

 続きまして、共同経営・統合新病院整備調整会議についてでございます。

 初めに、この調整会議の検討体制と構成員についてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 県と青森市では、新病院の基本構想・計画の策定を進めていくに当たり、関係部局で構成する共同経営・統合新病院整備調整会議を本年七月に設置したところです。

 調整会議の構成員につきましては、県からは、病院事業管理者が議長となっているほか、健康福祉部長、病院局長、県立中央病院長、県土整備部長、危機管理局長が構成員となっており、青森市からは、市民病院長、市民病院事務局長、保健部長、都市整備部長、危機管理等を所管している総務部長が構成員となっています。

 なお、調整会議では、両病院の職員と医療政策を所管する健康福祉部長等は全ての会議に出席し、県土整備部長や危機管理局長は整備場所等の所管事項に関する事項を検討する際に出席することとしています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 青森県と青森市の関係部局の職員によって構成されるということでありますが、これは事務的な、内部的な検討会議の場ではありますけれども、この検討内容については広く県民に公表していくことが望ましいと考えるところでもあります。このことに対する県病院局の御見解をお伺いいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 共同経営・統合新病院整備調整会議は、県と青森市の関係部局のみで構成する内部の検討組織であり、会議は非公開を原則としておりますが、外部有識者等からの御意見を伺う際など、必要と判断される場合には会議を公開するなど、適切に対応していきたいと考えています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 検討の状況、内容によっては、必要に応じて公表していくことで、県民のこのことに対する理解促進を図っていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、共同経営・統合新病院の基本的事項案についてでございます。

 新病院の経営形態について質問してまいります。既にこの新病院の経営形態については二つの案が示されているところでありますが、企業団と非公務員型地方独立行政法人の概要とその違いについてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 二つの経営形態の概要についてですが、まず、企業団は、複数の自治体が病院などの公営企業を行うため、一部事務組合や広域連合という組織を設置、運営する形態で、いずれも地方自治法上の特別地方公共団体であり、職員の身分は公務員で、事業も地方公共団体が直接運営することから、予算や契約手続等については、現在の県の病院事業とほぼ同じとなります。

 一方、地方独立行政法人は、地方独立行政法人法に基づき、地域で公共性の高い事業を効率的、効果的に行うため、自治体が独立した法人を設立するもので、今回の場合は、県と青森市が共同で設立することとなるものです。

 地方独立行政法人は、職員の身分に関し公務員型と非公務員型の二つの形態があり、事業の運営に関しては、予算、契約、職員定数、人事などについて、企業団など自治体が直接運営するものと比べ、より自律的、弾力的に行うことができるとされています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 ただいま御答弁いただきました二つの経営形態では、県及び議会はどのように関与していくことになるのか、この点についてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 二つの経営形態における議会等の関与について、企業団の場合は、構成する複数の自治体それぞれの議会議員が企業団議会の議員に就任し、企業団の予算や職員定数など議会の議決を要する案件について、企業団の議会において議決することとなるものであり、複数の地方公共団体で構成する以外は、現在の県の病院事業とほぼ同じ形となります。

 一方、地方独立行政法人の場合は、自治体の長が任命する理事長の権限の下で業務運営が行われ、法人が達成すべき業務運営に関する目標を設立する自治体──ここでは県と市になります、が定め、目標に基づく中期計画を法人が定めて運営しなければならないとされており、当該中期目標、計画については、設立団体の議会の議決を要するものとされています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 関連いたしまして、新しい経営形態への移行時期についてはどのようにお考えになっているのかお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 経営形態については、企業団または非公務員型の地方独立行政法人のいずれかを基本とすることで、現在、職員団体等と勉強会を開催し、相互に理解を深めているところであり、まずは、いずれの経営形態を選択するかについて、職員団体等の意見も踏まえて決定した上で、移行時期等についても検討していきたいと考えています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 ただいま職員団体等の意見を踏まえるという御答弁もございましたが、非公務員型地方独立行政法人では、職員の身分等はどのように変わるものなのか、この点についてもお伺いいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 非公務員型の地方独立行政法人を選択した場合は、地方独立行政法人への身分移行を希望する職員については、地方公務員ではなくなり、法人において採用の上、業務に従事することになります。

 また、引き続き公務員の身分の保持を希望する職員について、県においては、法人に派遣する方式により、公務員の身分を保持できるよう検討したいと考えています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 新病院の経営形態に関しましては、職員への周知、理解が重要と考えるところでございます。このことについて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 経営形態に関する検討に当たっては、本年二月に表明した両病院のあり方に関する基本方針に基づき、これまで職員団体等との勉強会を二回開催するなど、相互の理解を深めているところです。

 また、職員に対しては、経営形態に関する情報を院内情報サイトに掲載し、周知を図るとともに、質問等についても随時受け付けするなどの理解を深めるための活動をしているところです。

 今後とも、職員に対して、経営形態を含めた共同経営・統合新病院整備に係る理解を深めてもらえるよう取り組んでいきたいと考えています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 新病院の経営形態について、五点ほどお伺いをいたしました。このことについては、それぞれ二つの案で、メリットといった部分もあれば、違いもあり、また、克服すべき課題もあろうかと思われます。他の自治体病院統合における先行的な事例や、あるいは御答弁にありました職員の皆さんとの対話と申しますか、協議、意見を踏まえながら、細部にわたって検討を重ねていただいて、適切な決定に至るように御努力をお願いしたいと思います。

 次に、整備・運営費の負担割合等についてであります。

 他県での病院統合事例における負担割合の設定状況についてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 県立病院と市立病院による統合では、それぞれの病床数を基準とした事例が多いと聞いております。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 負担割合の考え方と設定される負担割合の見通しについてもお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 基本的事項案では、整備・運営費の負担割合については、新病院が両病院の役割や機能を引き継ぐこととしていることを踏まえて適切に設定するとしています。

 役割や機能については、両病院ともに共通した診療科などがある一方、ドクターヘリの運航や総合周産期母子医療センターの運営など、県立中央病院のみが行っている機能などもあります。

 こうしたことを踏まえ、新病院の診療機能の検討と並行しながら、負担割合について、県と市で協議の上、適切に設定していきたいと考えています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 両病院における現時点での負債と債務の状況についてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

◯嶋谷病院局長 令和三年度決算における固定負債及び流動負債の合計見込額は、県立中央病院が約百七十七・六億円、青森市民病院が約七十九・四億円となっています。

 県立中央病院における負債の主な内訳としましては、企業債が約六十七・四億円、他会計からの長期借入金が三十九・九億円となっています。

 青森市民病院における主な内訳としては、企業債が約二十六・八億円、金融機関等からの一時借入金が七億円、他会計からの長期借入金が約五・七億円となっています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 ただいま御答弁いただきましたそれぞれの病院の負債、債務でありますが、新病院の設置に当たっては、それぞれの責任の下、処理していくことが必要であろうかと考えます。

 そこで、両病院における負債、債務の処理方針についてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 両病院のこれまでの企業債や他会計からの借入金などについては、議員御指摘のとおり、県と市がそれぞれの責任において適切に処理していきたいと考えています。

 また、県立中央病院における借入金などについては、現有施設の大規模改修等を必要最小限に抑えることなどにより、計画的に縮減していきたいと考えています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 整備・運営費の負担の割合と関連して、負債、債務の状況等についてお伺いをいたしました。青森県、青森市ともに、限りある財源の中で、新病院の設置のために有効的な活用を図っていかなければなりませんし、新しい病院の経営の安定化を図るためにも、このことについては、県、市、非常に難しい課題ではあろうかと思いますが、引き続き十分御協議いただきたい。その上での決定としていただきたいと思います。

 次に、新病院の病床規模についてであります。

 新病院の一般病床数について、現在の推計値として示している八百から九百床、これはどのように算出されたのかお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 基本的事項案でお示しした一般病床の推計値は、両病院の役割、機能を引き継ぐことを前提に、二〇二五年から三〇年度における年間延べ入院患者見込数から算出したものです。

 具体的には、両病院の傷病分類別、年齢別、性別、住所別の直近、これは平成二十九年から令和二年でございますが、この年間入院患者数の平均を基に、人口推計等を用いて、年間の延べ入院患者見込数を算出し、その上で、県立中央病院の実績などを基に、病床利用率を八〇から八五%と設定して算出した結果、八百から九百床の一般病床数が必要になると試算したものです。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 新病院の病床数をどのように決定されるのか、この点についてもお伺いいたします。

 

◯三橋議長 病院局長。

 

◯嶋谷病院局長 新病院の一般病床数については、両病院の役割、機能を引き継ぐことを前提に、新病院の整備時期を見据え、両病院の患者見込数や適切な病床利用率等を基に設定することを基本とし、共同経営・統合新病院整備調整会議において検討していきたいと考えています。

 一般病床以外の感染症病床や精神・身体合併症患者対応病床等についても、国の新興感染症に係る今後の方針や新病院の診療体制等を踏まえて検討していきたいと考えています。

 調整会議での検討に当たっては、必要に応じて外部有識者等の御意見などもいただきながら、病床数について決定していきたいと考えています。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 新病院の病床の規模については、整備の予定時期、あるいは患者の見込み、さらには病床の利用率等を基に、今のところ算出されているということであります。現状では、県立中央病院、また、青森市民病院の病床数に比べますと、八百から九百という数はかなり減らされていると、減っているというふうに受け止めるところでもあります。そういった中で、新病院の整備によって、入院したくても入院できないといった事態は避けなければならないと考えております。依然として、公的病院としての病床数の確保と申しますか、そういった役割は果たしていかなければならないという部分もございますので、その点も十分御留意いただきながら、今後、新病院の病床数を決定していただきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

 次に、新病院の救急医療体制についてでございます。

 両病院の統合によりまして、青森地域での救急医療機関が少なくなることになりますが、新病院は地域内の救急医療確保のためにどのように取り組んでいくのか、この点についてお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院事業管理者。

 

◯吉田病院事業管理者 基本的事項案では、救急医療体制について、二次及び三次救急の中核的な医療機関として、専門スタッフの増員を図るとともに、地域の関係機関等と連携し、救急医療体制を強化することとしております。

 新病院が重篤な救急患者に迅速かつ適切に対応していくため、救急医療に関する医師などの人材育成につきまして、大学等の御協力もいただきながら、専門スタッフの増員を図っていきたいと考えております。また、医師の負担軽減の観点から、医師以外でも対応可能な業務を救急救命士や看護師等にタスクシフトすることにし、そのための専門スタッフの育成、増員にも取り組むことにより、救急医療体制を強化してまいりたいと考えております。

 このほか、比較的軽症で緊急を要さない救急患者さんの受入れ等につきましては、地域の医療機関等との機能分担、連携を進めるなど、地域全体での救急医療体制の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 新病院においては、ただいま御答弁いただきました地域内の救急医療のみならず、引き続き県全域を対象とした救急医療に取り組んでいく必要があろうかと思います。これについて、どのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。

 

◯三橋議長 病院事業管理者。

 

◯吉田病院事業管理者 県立中央病院の救命救急センターは、三次救急の医療機関として、県全域を対象に複数の診療科にわたる重篤な救急患者さんに対して高度な医療を二十四時間三百六十五日提供しているほか、ドクターヘリを活用し、迅速な患者の受入れ、早期治療を行っております。

 新病院におきましても、三次救急の中核的な医療機関として、救急医療の充実・強化に取り組んでいくほか、ドクターヘリの搭乗医、救急救命士などの実習の受入れ、あるいは各地域の医療従事者を対象とした研修などにより、救急医療等に関する人材育成などにも取り組んでまいりたいと考えております。

 

◯三橋議長 高橋議員。

 

◯高橋議員 この点につきましても、新病院の整備を契機として、病院の数そのものは減ることとなりますが、しかしながら、集約化、集積化による救急医療体制の大幅な強化を期待したいと思います。

 以上で質問は終わりますが、当面は令和五年度を目途に、共同経営・統合新病院に係る基本構想・計画を策定するとの御答弁をいただきました。今後、県議会への状況の報告、あるいは予算提案等、適時適切に行っていただきながら、円滑な開院に向けて、引き続いての御努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 

◯三橋議長 午さんのため、暫時休憩いたします。