2020年03月04日:令和2年第301回定例会(第3号)   本文

◯議長(森内之保留) 一般質問を継続いたします。

 二十七番高橋修一議員の登壇を許可いたします。──高橋修一議員。

 

◯二十七番(高橋修一) おはようございます。自由民主党の高橋修一です。

 コロナウイルスによる感染症拡大は、世界の社会、経済に暗い影を落としております。青森県内においては感染者が発生していないものの、いつ感染者が出てもおかしくない状況下にあり、姿の見えないウイルスという脅威に対して、現状では誰もが終息を見通すことができず、多くの県民に不安が蔓延しております。

 本来、青森県が持つ、そして、青森県民が持っている明るさといった面とは真逆の何とも言えない暗い雰囲気が県内全域を覆っているように感じております。

 私にとって、昨年の県議会改選後、初めての一般質問の登壇でございます。平成三十年九月定例会以来、約一年半ぶりに、ありがたくもこの場に立つ機会を、このタイミングで頂戴いたしました。こういう暗い雰囲気が漂う状況だからこそ、せめてこの場だけは青森県の将来に希望の持てる質問をできるかどうか分かりませんが、してまいりたい、そう強く思っております。

 また、昨日、熊谷議員より、より深く鋭い議論が本日から展開される、プレッシャーも感じておりますが、どうか知事はじめ、御答弁いただく皆様におかれましては、私の思いを酌んでいただきまして、こういうときだからこそ、青森県の将来に希望が持てる、そういった御答弁を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。

 それでは、通告の順に質問をしてまいります。

 初めに、第二期まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略案についてであります。

 先般、今定例会開会に当たり、知事より提出議案の説明がなされました。人口減少の克服を最重要課題とし、この克服のためには抜本的対策が急務であり、選ばれる青森県をつくり上げる、青森県の未来のために果敢にチャレンジするという知事の並々ならぬ決意のほどを感じ取りました。経済を回す、世界へ打って出る、労働力不足への対応、青森県型地域共生社会実現といった重視する視点がそれぞれ示され、それらの視点に基づいた重点施策と予算案が提案されております。そして、県が令和二年度、最も力を入れるそのターゲットは、若者と女性、知事の説明を聞き、私自身はそう受け止めました。

 これは何も人口減少対策の一環としての若者と女性の県内定着、還流促進にとどまらず、部局横断的に多くの施策、予算を若者と女性に集中的に投資することで、人口減少というかつてない極めて困難な課題に対して、真正面から向き合うだけではなくて、より効果が現れるであろう層に対して、ターゲットを絞って、知事自ら、その手で力ずくでも人口減少克服に道筋をつけるという知事の覚悟の表れと感じ取りました。私もその認識を知事と共有させていただきたいと思います。

 第一期総合戦略に続き、年度内に策定される第二期まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略の最終案が公表されております。改定される県長期人口ビジョン案では、人口減少幅が五年前と比べ、さらに下方修正されるという厳しい現実。第一期総合戦略において打ち出された四つの政策分野中、基本目標及び重要行政評価指数の状況は、合計で達成済みが十八、未達成が十五、政策分野別に見れば、達成、未達成についての偏りが見られるようであります。

 これら厳しい現実、第一期総合戦略の成果と課題を踏まえつつ、より実効性ある、より抜本的な、そして、令和という新たな時代を見据えた対策が急務であります。

 第二期総合戦略においては、三つの政策分野を設定しておりますが、その一項目めに「~経済を回す~魅力あるしごとづくり」を掲げております。知事の決意と覚悟を達成するために、極めて重要な事項であります。

 そこで、人口減少の克服に向けて、多様で魅力ある仕事づくりに、今後どのように取り組んでいくのかお伺いするものであります。

 次に、県内産業の振興についてでございます。

 新型コロナウイルスによる感染拡大の懸念が日に日に高まる中、県内産業の多くが停滞傾向に向かっていると思われ、さらには中国経済が停滞し、一部の企業で部品の調達が困難になるなど、サプライチェーンの毀損による県内産業への影響も懸念されているところです。

 本格的な人口減少社会への突入という困難な時代を迎え、地域経済の縮小や労働力不足の拡大など、社会の構造的な変化が進みゆく中にあって、本県が人口減少社会を乗り越えて、発展し続けるということは、まさに壮大なチャレンジであります。

 青森県基本計画「選ばれる青森」への挑戦においても、経済を回すとの考えを打ち出しております。実現のためには、県内産業のさらなる振興は欠かせないものとなり、大胆かつ丁寧な政策導入と事業展開が求められます。

 そこで、人口減少社会の克服に向けて、県は県内産業の振興にどのように取り組んでいくのかをお伺いするものであります。

 続いて、創業、起業の促進についてです。

 県内の創業、起業をめぐる情勢は近年着実に進展し、その成果が見え始めていると受け止めております。創業、起業は将来的に地域で経済を回す、本県経済を牽引する活力の源にもなり得ます。

 特に新たな活力の源との視点から考えますと、県内外の若者や女性が創業、起業にチャレンジしてみようという環境づくりは極めて重要となり、そのようなチャレンジ精神を持つ若者や女性にとって、真にプラスとなる支援体制を構築し、そういった若者や女性にとっても、まさしく選ばれる青森とならなければなりません。

 このことから、創業、起業の一層の進展に向けて、県はどのように取り組んでいくのかお伺いするものであります。

 続いて、事業承継の促進についてです。

 先日、倒産には至らないものの、事業継続を断念し、休業、廃業した県内企業が二〇一九年には三百四十九件と、倒産件数の六・七倍に上り、二〇一〇年の三百七十三件に次いで過去二番目の多さで、経営環境の悪化に加え、代表者の高齢化で事業継続が困難となったとの報道がありました。中小企業の廃業は雇用の喪失につながるため、後継者不在、後継者不足を解消し、これを食い止める必要があります。

 そこで、県内中小企業の円滑な事業承継の促進に向けて、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 次に、陸奥湾におけるホタテガイ養殖の振興についてでございます。

 取る漁業からつくり育てる漁業、こう言われて久しいわけでありますが、人口減少社会が到来した今、ホタテガイ養殖の振興そのものが、陸奥湾沿岸地域における人口減少対策の切り札となり、地域の維持、成長の柱となり得るのではないか、そう信じる一人であります。

 先日、私の息子の中学校時代の友人、年齢は二十代前半でありますが、大きなバケツいっぱいのホタテガイを私の家に直接持ってきてくれました。

 聞くと、家業であるホタテ養殖業を継いだとのことでありました。家族とともに丹精込めて生産したホタテガイを持ってきた一人の若者の姿はどこか誇らしげで、その姿に漁業者の高齢化や後継者不足が進む中にあっても、この仕事に魅力を感じ、ホタテ養殖の将来を担っていく若者が確実にいることに希望を感じました。

 ここ数年、陸奥湾沿岸を私自身回ってみますと、ほかにも新規でホタテ養殖業に就く若者に僅かながらも出会う機会がございました。このことは、ホタテガイ養殖生産が漁獲量、漁獲高とも過去最高を記録するなど、ここ数年、好調を維持していることがその背景にあると私自身は捉えたいわけでありますし、だとするならば、まずは稼げる、そして、将来にわたって安定し、若者にとって希望が持てるホタテ養殖業を確立することができれば、たとえ人口減少が急激に進む陸奥湾沿岸の漁村地域にあっても、地域の活力は維持される、そう信じるところであり、ホタテガイ養殖業に係る安定生産と諸課題解決に向けた県の取組は極めて重要であります。

 そこで、一点目として、試験船「なつどまり」が代船建造されると聞いているが、なつどまりをどのように活用していくのか。

 二点目として、養殖ホタテガイの安定生産に向けた県の取組について。

 三点目として、ホタテガイ養殖で発生する残渣に対する県の対応について、それぞれお伺いするものであります。

 次に、西日本エリアからの国内観光客の誘客対策についてでございます。

 県は、二〇一九年三月青森県観光戦略を策定し、本県観光の向こう五年間の戦略目標と戦略プロジェクトが掲げられ、同戦略に基づき、全県的な取組が推進されてきました。今般の新型コロナウイルス感染拡大は、特に近年の本県インバウンドは大幅な伸びを示してきただけに、本県観光にどのような影響を及ぼすことになるのか。

 既に国際定期便も、青森港へのクルーズ客船寄港も、誘客が見込めるイベント等も運休、中止、自粛。ホテル、旅館への宿泊キャンセルが相次ぎ、国内での感染例が次々と判明するにつれ、県内観光業に深刻な影響が出始めております。

 事態の一刻も早い収束を望むものではありますが、今後の情勢いかんによっては、青森県観光戦略に掲げた戦略目標の下方修正や戦略プロジェクトの見直しも避けられないといった、予想し得なかった事態が待ち受けているのではないかと危惧しております。

 しかし、国の宿泊旅行統計調査によりますと、二〇一九年速報値で県内延べ宿泊者数は約四百五十万人泊、このうち外国人延べ宿泊者数は約三十一万六千人泊で、その割合は依然として国内からの観光客が大部分を占めております。インバウンドの拡大基調の早期の回復とともに、今こそ国内からの観光客の誘客にも集中的に力を注ぐ局面と思います。

 本県までの距離的要因も加わり、来県される観光客のうち、北海道・東北圏、関東圏という東日本エリアからの旅行客が約八割を占めることから、従来より、西日本エリアからの誘客促進に課題があるとされております。

 そのような中、フジドリームエアラインズが、青森─神戸線を三月二十九日に新規開設することを発表いたしました。本県としては、同路線の就航は誠にありがたい限りであり、現下の情勢の収束後に、西日本エリアからの誘客促進という課題解決に向けて大きなチャンスとなり得ます。

 そこで、一点目として、西日本エリアからの誘客促進について知事の考えをお伺いするものであります。

 また、二点目として、青森─神戸線の新規就航を契機とした西日本エリアからの誘客に向けた取組についてお伺いいたします。

 次に、国土強靱化の推進と防災意識の醸成についてでございます。

 国土強靱化、防災・減災の取組は、国家のリスクマネジメントであり、強くてしなやかな国をつくることです。また、日本の産業競争力の強化であり、安全・安心な生活づくりであり、それを実現する人の力をつくることですとの考えを国では提唱しております。

 本県においても、防災公共を提唱し、これとも連動する形で、これまで国土強靱化について取り組んできたものと受け止めておりますが、国土強靱化のための三か年緊急対策は、国全体でおおむね七兆円程度の事業規模で、事業拡充や制度改正等も行いつつ着実に実施するとされております。

 そこで、一点目として、国が進めている国土強靱化について、これまでの県の取組状況及びその成果をお伺いするものであります。

 また、二点目として、自然災害に対する県民の防災意識を高める取組について、特に若い世代や女性の自然災害に対する防災意識の醸成のため、県が行っている取組についてお伺いするものであります。

 次に、県有施設の管理及び老朽化等への対応についてでありますが、まず、青森県公共施設等総合管理方針についてでございます。

 平成二十八年二月策定の同方針については、高度成長期以降、多くの公共施設等を整備してきたものの、老朽化が同時進行的に進み、近年、一気に、そして大量に老朽化対策が迫られることになり、それまで個別に策定された施設ごとの管理計画を統合することで、財政支出面での軽減や平準化を図るものと認識しております。

 この方針に基づき、県有施設については、本議場も含め県庁本庁舎の耐震・長寿命化改修工事を完了したほか、県立学校や県営住宅においても、同様の対応に取り組まれてきたものと受け止めております。

 今定例会においても、老朽化した県産業技術センター畜産研究所、警察本部庁舎、消防学校といった県有施設の改築に向けた基本設計、耐震・長寿命化改修工事がそれぞれ提案されておりますが、今後とも、同方針の目的に沿った県有施設の総合的かつ計画的な管理を求めるものであります。

 そこで、一点目として、青森県公共施設等総合管理方針の概要についてお伺いいたします。

 また、同方針を見ますと、現存する県有施設でありながら、方針内に明記されていない施設が多数見受けられ、県有施設の管理の全体像や個別施設の今後の老朽化への対応方針が県民に対して非常に分かりづらいように感じました。現在、それら施設については、所管部局において個別施設計画を策定し、取りまとめるとのことであります。

 そこで、二点目として、ただいま申し上げました個別施設計画の策定状況についてお伺いいたします。

 次に、その個別施設についてでありますが、職業能力開発校の老朽化対策についてでございます。

 過去何度か、常任委員会県内調査や議長代理による式典出席で青森校をはじめ、県内各地の職業能力開発校を訪問する機会がありました。弘前市にある高等技術専門校については、施設の築年数が少なく感じられたものの、その他三校は恐らく昭和四十年代、五十年代に建設されていることから、供用から相当年数がたっているものと推測され、必要な修繕は行われていながらも、長期的に見て、一体いつまでこの建物をこのまま使い続けるのかという思いに至っております。

 専門的な技術や技能を有する方々の労働力不足が顕在化し、その対応が求められております。そして、若者や女性の県外流出を食い止めるためにも、県内職業能力開発校の老朽化への早期対応を求めるものです。

 そこで、老朽化が進む県立職業能力開発校について、今後の施設整備にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 最後に、青森県総合運動公園陸上競技場の利活用についてでございます。

 このことについて、昨年九月定例会一般質問において、新陸上競技場が完成したことから、その機能が全て移転し、旧陸上競技場は競技施設としての役割を終えたものの、一方で、引き続き利用したいとの声に応え、まずは施設の老朽化の度合いや安全性の確認を行った上で、旧陸上競技場の今後の取扱いについて検討を行うとの県の見解が示されました。

 その際、施設の安全性を確認する調査に関し、数か月程度の期間を要するとのことでありましたが、その調査を終えられた時期と思われます。

 そこで、一点目として、スタンド部分の耐震調査の結果についてお伺いいたします。

 二点目として、調査結果を踏まえた今後の利活用に係る県の考えをお伺いいたします。

 以上で、壇上からの質問を終わります。

 

◯議長(森内之保留) 三村知事。

 

◯知事(三村申吾) おはようございます。高橋議員にお答えいたします。

 まず、私から一点目、人口減少の克服に向けて、多様で魅力ある仕事づくりに今後どのように取り組むかでございます。

 私は、本県の人口減少克服に向けて、第二期総合戦略の三つの政策分野のうちの一つとして、「~経済を回す~魅力あるしごとづくり」を設定し、世界を視野に入れながら、アグリ分野の持続的成長、国内外からの誘客の促進、地域産業の振興などを推進することといたしております。

 農業産出額が四年連続で三千億円を突破するまでに成長したアグリ分野では、「青天の霹靂」やジュノハートをはじめとする高品質な県産品づくりやブランド化を進めますとともに、飛躍的にインバウンドが増加した観光分野では、新型コロナウイルスの影響を見極め、しっかりとこれに対応しながら、航空路線の維持、拡大、立体観光の推進等による国内外からの誘客促進に取り組むなど、この二つの分野を経済を回す仕組みづくりの牽引役として、さらなる成長を目指していきます。

 また、地域産業の振興に向けまして、近年、大幅に増加しております創業、起業の促進、多様な雇用を創出する戦略的企業誘致などの取組を着実に進めながら、事業承継の推進、AIやIoTなど革新的技術の活用等による生産性の向上などにも取り組むことといたしております。

 私としては、今後も、国内外に向けて経済を回す仕組みづくりを加速し、多様で魅力ある仕事づくりに全力でチャレンジしてまいります。

 続いて、人口減少克服に向けまして、県内産業の振興についての取組でございます。

 人口減少を克服し、持続可能な青森県づくりを進めていくためには、地域に根差した産業や新たな事業の創出に取り組みますとともに、労働力不足については、生産性の向上と人財確保の両面から対応し、県内産業の競争力を強化する必要があると考えます。

 このため、5G等の新たなITイノベーションの活用により地域課題を解決するビジネスの創出や知的財産の戦略的な活用を促進いたしますほか、台湾とのビジネス交流に向けた県内企業と台湾企業のネットワーク形成や技術連携を進めるなど、県内企業による新技術の導入や海外展開等を通じた新たな産業や事業の創出を推進いたします。

 また、労働力不足につきましては、先端技術等を活用した経営革新や省力化を促進して県内企業の生産性向上を図りますほか、県内企業の人財確保と求職者の就業を一体的に支援する、仮称あおもり人財確保支援センターを設置いたしますとともに、シニア世代や女性など、潜在的な労働力の活用や県内企業の採用力の強化などを進め、県内産業の担い手となる人財を確保いたします。

 私は、本県が人口減少社会を乗り越え、さらなる成長と発展を続けていくために、引き続き、県内産業の振興に全力で取り組んでまいります。

 続いて、西日本エリアからの誘客促進についての考え方であります。

 国内誘客の推進に当たり、これまで首都圏はもとより、関西、そして中京及び九州圏を重要なマーケットと位置づけ、私自身もトップセールスにより、旅行エージェントや地元メディアを訪問するなど、積極的に情報発信や誘客促進に取り組んできたところでございます。

 特に関西圏につきましては、首都圏に次ぐ大きなマーケットであり、誘客の伸び代が期待できる地域でありますことから、興味喚起や話題性のある多様な取組として、ラップスタイルで対決しながら本県の魅力を紹介する観光PR動画などにより、本県の認知度向上、こういったことにも努めてきたところでございました。

 こうした中、議員からもお話がございましたとおり、本年三月二十九日のFDAの青森─神戸線新規就航により、西日本の主要都市との新たなネットワークが構築されますことは、関西圏はもとより、西日本エリアにおける新たな観光やビジネス需要の開拓につながる絶好の機会であると考えております。

 私といたしましては、関係団体との連携の下、あらゆる機会を捉えて就航をPRいたしますとともに、北国ならではの四季の魅力の情報発信やセールス活動により、西日本エリアからの一層の誘客拡大に取り組んでまいります。

 私からは以上です。

 

◯議長(森内之保留) 青山副知事。

 

◯副知事(青山祐治) 養殖ホタテガイの安定生産に向けた県の取組についてお答えいたします。

 陸奥湾のホタテガイ養殖については、生産金額が五年連続で百億円を超えるなど好調を維持していますが、漁業者の減少や高齢化の進行に加え、近年は、ヤマセに伴う海底付近での速い潮の流れによるへい死が新たな課題となっています。

 このため、県では、今年度から、漁船や機器の共同利用により、養殖管理作業などの省力化、経費削減を図る協業化のモデルづくりに加え、潮流等がホタテガイに及ぼす影響を把握し、その対策技術の確立に取り組んでいるところです。

 具体的には、協業化のモデルづくりでは、これまで県内四地区で現地検討会を開催し、専門家を交えて意見交換を行っており、今後は、先進地視察や検討会などを通じてモデルの案を取りまとめ、実践地区において、その効果を検証していくこととしています。

 また、潮流等によるホタテガイのへい死抑制技術の確立に向けては、県産業技術センターと連携しながら、養殖施設を活用した潮流等のデータ収集や、その影響調査などを進めています。

 こうした取組に加え、引き続き、養殖ホタテガイの成育状況のほか、異常貝やへい死の割合などを把握しながら、適正養殖可能数量、いわゆるTASCに基づく指導を徹底し、陸奥湾における養殖ホタテガイの安定生産や担い手漁業者の育成等に努めてまいります。

 

◯議長(森内之保留) 総務部長。

 

◯総務部長(鉄永正紀) 青森県公共施設等総合管理方針の概要についてお答えいたします。

 青森県公共施設等総合管理方針は、国が平成二十五年度に策定したインフラ長寿命化基本計画に基づき、本県における公共施設等の全体を把握し、長期的視点に立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うため、平成二十八年二月に策定したものであり、計画期間は平成二十七年度から令和六年度までの十年間となっております。

 本方針におきましては、公共施設等全体について、有効活用と長寿命化の推進、維持管理、更新に係る経費の節減等を図ること、公共建築物について、保有総量縮小及び効率的利用の推進等を図ること、インフラ施設について、メンテナンスサイクルの構築等に取り組むことを基本的な考え方として示し、財政負担の軽減、平準化や次世代への価値ある施設の継承を図ることとしております。

 次に、個別施設計画の策定状況についてお答えいたします。

 個別施設計画は、青森県公共施設等総合管理方針に基づき、庁舎等、学校といった施設類型ごと、または橋梁、トンネルといった構造物ごとの分類により、点検等で得られた公共施設等の状態を踏まえ、維持管理、更新に係る具体の対応方針を定めるものであり、国から令和二年度末までの策定を要請されているものでございます。

 県では、公共施設等を二十一の施設類型に分類して進捗管理を行っており、策定状況を施設類型で申し上げますと、令和元年度末時点におきましては、十五の施設類型について計画策定が完了する見込みとなっており、残る施設類型につきましても、令和二年度中の計画策定を予定しているところでございます。

 

◯議長(森内之保留) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(田中泰宏) 御質問三点にお答えします。

 まず、創業、起業の一層の促進に向けた取組についてです。

 創業、起業は、自ら雇用を創出し、UIJターンや定住の促進、多様な仕事づくりにつながることから、これまで、県内八市への支援拠点の設置や、創業支援の専門家であるインキュベーションマネジャーによる伴走型の支援を行うなど、意欲のある創業希望者を積極的に支援してきたところです。

 これらの取組により、平成十八年度から平成三十年度までの十三年間で、六百三名の方が県内の創業支援拠点を利用して創業に至っています。

 今年度は、本年一月末現在での創業者数が昨年度と同数の百二十六名となり、平成十八年度以降最多であった平成二十九年度の百二十九名に迫る勢いとなっています。

 今後、創業、起業を一層促進するためには、女性やUIJターン者など潜在的な創業希望者の掘り起こしや支援体制の充実、強化が重要であると考えています。

 このため、県では、来年度、新たに女性の先輩起業家や創業支援の専門家の育成、活用により、女性に寄り添った支援の環境整備を進めるとともに、創業を希望する首都圏の女性と県内の先輩起業家との座談会を開催し、UIJターン創業の促進を図ることとしています。

 引き続き、意欲ある創業希望者が地域の特色ある資源やアイデアを生かした起業家として活躍できるよう、創業、起業の促進に取り組んでいきます。

 次に、県内中小企業の円滑な事業承継の促進に向けた取組についてです。

 県内中小企業の後継者不足は、廃業等による経営資源の喪失など地域経済の衰退につながることから、県では、平成二十九年度から商工団体、金融機関、士業団体等で構成する連絡会議の運営をはじめ、円滑な事業承継を促進するための取組を行ってきました。

 今年度からは、昨年度までの連絡会議を21あおもり産業総合支援センター内に事務局を置く青森県事業承継ネットワークへと発展的に移行し、県をはじめとする県内支援機関が、オール青森で事業承継支援を行う体制を整備し、取組を強化しています。

 主な取組としては、おおむね六十歳以上の経営者に承継準備への気づきを促す事業承継診断を進めており、一月末までに千四百二十五件を実施したところです。

 来年度は、引き続き、経営者への意識喚起から個別ニーズヘの対応まで切れ目のない支援に取り組むほか、広く県民に対して、同ネットワークの活動や支援制度を周知し、地域の事業承継に対する機運の醸成を図りながら、県内中小企業の円滑な事業承継の促進につなげていきます。

 最後に、老朽化が進む県立職業能力開発校の今後の施設整備についてです。

 県では、新規学卒者や離転職者、障害者の職業能力開発及び就職支援のため、青森市、弘前市、八戸市、むつ市に県立職業能力開発校を設置しています。

 これらの施設は、国の補助金等を活用して建設したものですが、相当の年月が経過しており、経年劣化が見られることから、毎年必要な修繕を行っているところです。

 県としては、訓練生及び職員の安全を確保し、訓練を受講しやすい環境を維持するため、今後も引き続き、国の補助金等を活用しながら、施設設備の整備を進めていきます。

 

◯議長(森内之保留) 農林水産部長。

 

◯農林水産部長(高谷清孝) 陸奥湾におけるホタテガイ養殖の振興についての御質問二点にお答えします。

 初めに、代船建造される試験船「なつどまり」をどのように活用していくのかについてです。

 試験船「なつどまり」は、県産業技術センター水産総合研究所が所有し、主に、ホタテガイの親貝の成熟状況や幼生の発生、成長に係る調査に加えて、残渣となる養殖施設の付着生物や、近年問題となっている潮流によるへい死の対策技術に係る調査に活用されています。

 しかし、平成八年二月の建造後、二十四年が経過していることから、船体やエンジン部分の腐食など老朽化が進み、航行速度の低下も見られており、平成三十年度に実施した船体の老朽化診断では、安全航行への支障や調査効率のさらなる低下が懸念されたところです。

 こうした状況を踏まえ、県では、令和三年度の代船建造に向けて、来年度は建造に係る基本設計を行うこととしています。また、建造後は、燃費の向上等によるコスト削減や安全な航行が可能となることから、現在実施している調査をより効率的、計画的に進めていきます。

 次に、ホタテガイ養殖で発生する残渣に対する県の対応についてです。

 ホタテガイ養殖で発生する残渣は、養殖籠に付着する生物が原因となっており、養殖籠の重量を増大させるほか、陸上での出荷作業等において一般廃棄物として適正に処分する必要があることから、漁業者にとっては労働面と経費面で大きな負担となっています。

 このため、県では、ホタテガイ養殖での残渣の軽減に向けて、県産業技術センター水産総合研究所と連携し、残渣となる付着生物の生態を解明し、養殖籠をつり下げる水深を調節することで付着量を減らす養殖管理技術を確立し、その普及を図っているところです。

 また、国の補助事業等を活用して、船上において付着生物を除去できる籠洗浄機の導入や、残渣を堆肥化する施設の整備を促しており、平成二十五年度以降、籠洗浄機が百六台、堆肥化施設が二か所で整備されています。

 さらに、半成貝の出荷に伴い、残渣が多く発生する四月から五月には、漁業者に対して、適正処理の徹底を指導しているほか、市町村で開催する残渣対策の検討会に参画し、残渣に係る情報提供や地域の実情を踏まえた指導、助言を行うなど、養殖残渣の軽減に努めているところです。

 

◯議長(森内之保留) 県土整備部長。

 

◯県土整備部長(新井田 浩) 青森県総合運動公園陸上競技場の利活用についての御質問二点にお答えします。

 まず、スタンド部分の耐震調査の結果についてです。

 青森県総合運動公園陸上競技場については、引き続き使用したいとの声があることから、施設の安全性を確認するため、スタンド部分の耐震調査を行ってまいりました。

 スタンド部分は、昭和四十一年に竣工した中央部分と昭和五十一年に拡張した北側及び南側部分で構成されており、それぞれについてコンクリート強度等を調査し、本年二月二十日に開催された青森県建築物耐震診断・改修判定委員会に諮ったところです。

 判定委員会においては、最も古い中央部分は、大規模地震時に倒壊する危険性が高く、加えてコンクリート強度が非常に低く有効な補強方法がないことから、改築もしくは解体を検討すべき、また、拡張した北側部分は倒壊する危険性がある、南側部分については倒壊の危険性は低いと、それぞれ判定されたところです。

 なお、この結果を踏まえ、倒壊等による事故防止の観点から、二月二十一日に注意喚起の掲示を行うとともに、二月二十九日にはスタンド及びその周辺を立入禁止とする措置を講じたところです。

 次に、調査結果を踏まえた今後の利活用に係る県の考えについてです。

 今後の利活用については、耐震調査の結果、スタンド部分の安全性が確保されていないことが判明したため、現状のまま競技施設として利用することは困難であると考えていますが、青森市や関係団体等にも耐震調査の結果等を情報提供した上で意見をお聞きし、方針を定めていきたいと考えています。

 

◯議長(森内之保留) 危機管理局長。

 

◯危機管理局長(貝守 弘) 御質問二点についてお答えいたします。

 まず、国土強靱化についての県の取組状況及びその成果についてお答えいたします。

 東日本大震災の教訓を踏まえ、事前防災、減災と迅速な復旧・復興に資する施策を総合的、計画的に実施することを目的として、平成二十五年十二月に、いわゆる国土強靱化基本法が制定され、また、平成二十六年六月には国土強靱化基本計画が策定されました。

 本県においては、同基本法に基づき平成二十九年三月に青森県国土強靱化地域計画を策定し、この計画に基づいて命と暮らしを守る青森県を目指し、県民の命を守ることを最優先に、大規模自然災害が発生しても機能不全に陥らない、迅速な復旧・復興が可能な強靱な地域づくりを推進してまいりました。

 具体的には、県災害対策本部体制の見直しや災害時の受援、応援についての計画策定など大規模災害に備えた防災体制の充実、強化を図ったほか、安全な避難場所や避難経路を確保するなどの防災公共の推進や基幹的道路ネットワークの形成、緊急輸送道路等の機能強化や老朽化対策などの取組を実施してきたところです。

 県としては、引き続き、県民の命を守ることを最優先に各部局の緊密な連携の下、参考値として盛り込んだ重要業績評価指標の状況も定期的に把握しながら進捗管理を行い、計画の一層の推進を図ってまいります。

 次に、若い世代や女性の自然災害に対する防災意識の醸成のための取組についてお答えいたします。

 県では、県民に対する防災意識の普及啓発を目的に、青森県消防学校内に青森県防災教育センターを設置し、災害から身を守るための体験型施設として、子供から大人まで幅広い世代の県民に御利用いただき、楽しみながら防災知識を学んでいただいているところです。

 また、今年度からは、人口減少社会における地域防災の担い手不足等に伴う地域防災力の低下を防止するため、県教育委員会と連携して次世代を担う子供たちを対象に、学校現場等で利活用しやすい防災教育活動支援ツールの製作等を行う学校と地域が一体になった防災教育推進事業を実施し、災害から自分の命を守り、かつ、被災した他者を支えることができる児童、生徒の育成を図ることとしているところです。

 さらに、地域防災活動への女性の積極的な参画について、より一層の促進を図るため、女性防災リーダーの育成と資質向上に向けた研修会の開催などに取り組んでいます。

 県としては、今後とも、持続可能な地域防災体制の構築に向け、若い世代や女性の人財育成を図るとともに、様々な機会を活用し、県民の防災意識の醸成に取り組んでまいります。

 

◯議長(森内之保留) 観光国際戦略局長。

 

◯観光国際戦略局長(秋田佳紀) 青森─神戸線の新規就航を契機とした西日本エリアからの誘客に向けた取組についてお答えいたします。

 青森─神戸線の新規就航は、関西圏に加え、中国・四国圏も含めた西日本エリアという新たなマーケットからの観光需要を獲得する大きなチャンスと捉えております。

 このため、本県への旅行意欲の喚起を図るため、今年度は、兵庫、大阪をはじめ、近畿広域圏七百五十万世帯、千七百万人をカバーする神戸市の地元テレビ局を活用し、県内の観光施設やグルメ等の観光情報を紹介する五分番組を既に今週月曜日からスタートしておりますが、三月二日から六日までの五日間連続して放映するほか、この週末七日土曜日には、三十分の総集編を放映し、新規路線の紹介とともに、本県の魅力を積極的に情報発信することとしております。

 また、来年度は、新規就航のスタートダッシュとして、就航間もない早い時期に新規路線就航の周知と併せ、本県の認知度をさらに高めるための取組を行うこととしており、本議会において御審議いただいているところです。

 県としましては、引き続き、旅行会社へのセールス活動により、本県向け旅行商品の造成促進を図るとともに、各種メディアを活用した情報発信により、西日本エリアから多くの観光客の皆様に訪れていただけますよう積極的に取り組んでまいります。

 

◯議長(森内之保留) 高橋議員。

 

◯二十七番(高橋修一) 知事、副知事、また各部局長からそれぞれ希望の持てる御答弁を──職業能力開発校の老朽化対策以外、希望の持てる御答弁を頂戴いたしました。その上で、再質問と要望をさせていただきたいと思います。

 まず、西日本エリアからの国内観光客の誘客対策についてであります。

 壇上においても、現下のコロナウイルスによる感染拡大の脅威に対して、多くの県民が、今まさに不安という感情に陥っていると申し上げましたが、昨日、このことについては知事からちゅうちょなく、またスピード感を持ってという言葉もございましたが、その対応に対する決意のほども示されたわけであります。

 その中にあって、特に観光産業に関わる、携わる県民の皆様にとっては、ようやく長い冬が終わって、いよいよこれから桜祭り、あるいはゴールデンウイーク、さらにはその先、夏祭りといった観光シーズンを迎える中にあって、今後一体どうなるのかと、先の見えない、そういった不安な状況の真っただ中にある、そのようにも捉えております。そういった意味で、このコロナウイルスの感染拡大防止を最優先としていただきながらも、観光産業への不安の払拭をできるような、そういった希望の持てる対策を講じていただきたい、そのことをお願いするわけであります。

 そういった意味において、観光産業への影響を最小限にとどめるために、県はどう対応される考えであるのか、この点について再質問させていただきたいと思います。

 

◯議長(森内之保留) 観光国際戦略局長。

 

◯観光国際戦略局長(秋田佳紀) 新型コロナウイルスの感染拡大による観光産業への影響についての県の取組についてお答えいたします。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、インバウンドはもとより、国内におきましても旅行自粛ムードが高まり、本県観光にとって、宿泊施設のキャンセルや新たな予約の減少など、県内観光事業者の経営に大きな影響をもたらすものと認識しております。

 このため、県では、観光客の減少による地域経済への影響をできるだけ低減できるよう、受入れ環境の安心の確保と発信、一緒に取組を進めてまいりました県内観光事業者の皆様の支援、この二つを柱といたしまして、早急に対策を講じていくこととしております。

 具体には、今月中旬に健康福祉部及び商工労働部と合同で、観光事業者等を対象としました衛生対策等の説明会を県内四か所で開催いたしますとともに、引き続き、県内観光事業者等の実態や声の把握に努めてまいります。

 また、新型コロナウイルス感染症の終息の兆しが見え始めた際には、いち早く本県への観光客の回復と拡大が図られるよう、交通事業者や旅行会社、県内観光事業者等と強力に連携しながら、適時適切に対応してまいります。

 

◯議長(森内之保留) 高橋議員。

 

◯二十七番(高橋修一) 何とぞよろしくお願い申し上げます。いずれにしても、この青森─神戸線の新規の開設、就航でありますが、大変な状況下で開設を迎えることになりそうであります。

 何か九年前、東日本大震災のときの、ようやく東北新幹線が新青森駅まで全線開業したときと同じような状況になりつつあると、九年前のことを思い浮かべております。前年の十二月に全線開業して、翌年の三月、東日本大震災が発生したと。開業による効果を長年にわたって期待してきたものの、しかし、あの被害によって三月十一日以降新幹線がストップしたと。そのことで観光客が当初の期待よりも大きく減少して、十分に開業効果を発揮する、獲得することができなかった、そのことを思い返しております。

 しかしながら、その後、早期の運転再開によって、観光面も含めて東北新幹線が何か震災復興のシンボル、そういった役割を請け負ったと、そのことも感じておりますし、早期の東北新幹線の再開が今日の青森県の観光、また、インバウンドの好調にもつながっていると受け止めているところでもあります。

 したがいまして、このタイミングで今新規就航される青森─神戸線でありますが、今のウイルス感染からの復活と申しますか、観光面でのそういったシンボル的な路線として、そういった部分での期待をいたしたいと思います。兵庫県神戸市においても感染者が出たという報道もございました。大変心配でありますが、いずれにしても、当面はちゅうちょなく、またスピード感を持ってという言葉のとおり、諸対策に万全を講じていただきますよう、このことをお願いいたしまして、この点については終わります。

 それから、職業能力開発校の老朽化対策であります。国の補助も見据えながら検討するという話でありましたが、壇上で申し上げましたとおり、早期の対応を求めます。

 次に、青森県総合運動公園陸上競技場の利活用については御答弁いただきましたが、トラック部分の開放についての可能性も含めて、今後、関係者と協議、検討していただきたい、そのことをお願いさせていただきます。

 以上で、私の質問を閉じます。