2010年10月01日:平成22年第263回定例会(第6号)   本文

◯議長(長尾忠行) 議案第一号から議案第二十八号まで、報告第一号から報告第二十三号まで及び経営状況説明書等を一括議題といたします。

 ただいま議題となりました議案等に対して、質疑を行います。

 質疑は議題外にわたらないようにお願いいたします。

 二番高橋修一議員の発言を許可いたします。――高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) おはようございます。自由民主党の高橋修一でございます。

 質疑を行います。

 初めに、議案第一号「平成二十二年度青森県一般会計補正予算(第一号)案」について、歳出四款一項二目「予防費」新型インフルエンザへの対応についてであります。

 新型インフルエンザは、昨年、国内外において猛威を振るい、現在まで国内で二百二人の方が亡くなられ、推計受診患者数は約二千七十七万人。県内においても、まことに残念ながら三人の方が亡くなり、推計受診患者数は約十三万人と大流行に至りました。世界的な大流行となった中で、国と自治体、あるいは医療現場など、それぞれの具体的役割や責任の所在、協力体制のあり方など多くの課題を浮かび上がらせましたが、一方で、本県においては、危機管理上重大な課題であるとの認識のもと、県当局、また、医療関係者等、その対策に総力を挙げて取り組まれ、献身的な御努力をなされたことは評価に値いたします。

 一時はパニックになりかけた全国的な流行も今や下火となり、現時点では鎮静化していることを受けて、厚生労働省では、本年六月、新型インフルエンザ流行の終息宣言を出しております。しかしながら、季節はこれから冬に向けてインフルエンザの流行シーズンを迎える中、再流行や、より病原性の高い新型インフルエンザが登場する懸念も去ったわけではありませんので、昨年の経験を生かした対策が求められるところであります。

 そこで、一点目として、国のインフルエンザワクチンの接種事業の昨年度との相違点についてお伺いいたします。

 次に、二点目でありますが、昨年の新型インフルエンザワクチン接種費用の軽減措置に係る予算案は専決処分でありました。昨年の場合は既にワクチン接種をしなければならない時期で、早急に予算措置を講ずる必要が生じたものの、議会を招集する時間的余裕がなかったことから、十二月議会において専決処分の報告がなされたものと記憶しております。

 この接種費用の軽減措置に係る国と地方の負担の割合は、国二分の一、都道府県四分の一、市町村四分の一でありますが、昨年、多くの地方自治体がこのことに反発し、課題を残した形となりました。昨年の場合は、既に新型インフルエンザ流行期を迎え、財源の負担問題だけで低所得者の方々に負担を押しつけるわけにもいかず、地方側はやむを得ずこの負担に応じた形となりましたが、現在も国と地方の負担のあり方の図式は変わっておりません。

 そこでお伺いいたしますが、実施主体である国が臨時的措置として実施する新型インフルエンザワクチン接種に要する経費については、本来、全額国費で負担するべきと考えるところでありますが、このことに対する県の見解をお伺いいたします。

 また、三点目として、新型インフルエンザ対策について、現在の流行状況等も踏まえ、今後どのように対応していくのかお伺いいたします。

 次に、歳出四款五項一目「環境政策総務費」空き缶等のごみ散乱防止対策についてお伺いいたします。

 環境の美化のみならず、東北新幹線全線開業を十二月四日に迎える中にあって、県外からの来訪者に対する青森県のイメージアップのためにも、本補正予算案に係る取り組みは時宜にかなったものと受けとめております。

 そこでお伺いいたしますが、一点目として、県は空き缶等のごみ散乱を防止するため、これまでどのような取り組みを行ってきたのか。

 二点目として、東北新幹線全線開業「ポイ捨てゼロキャンペーン」推進事業の目的と事業内容について。

 三点目として、市町村との連携を含め、今後、空き缶等の散乱防止についてどのように取り組んでいくのか、それぞれお伺いするものであります。

 次に、歳出五款一項三目「雇用対策費」ふるさと雇用再生特別対策事業の内容についてであります。

 地域の雇用・失業情勢が極めて厳しい中にあって、国の交付金を活用した基金事業も二年目を迎え、引き続いての雇用・就業機会の創出、提供のために、これまで以上に基金事業の有効で実り多い活用が求められます。

 そこでお伺いするわけでありますが、ふるさと雇用再生特別支援事業における補正予算の概要について。

 二点目として、民間公募制度の採択状況と提案事業の概要についてお伺いするものであります。

 次に、歳出六款四項五目「土地改良事業費」及び歳出六款四項六目「農村整備費」農業農村整備事業における増額の内容についてお伺いいたします。

 国における平成二十二年度の農業農村整備事業予算は二千百二十九億円で、対前年度比三六・九%、新たに創設された農山漁村地域整備交付金と合わせても大幅な削減でありました。その影響から、本県においても平成二十二年度当初予算は対前年度比八六%でありましたが、本定例会補正予算案において二十一億七千万円余の予算が増額計上なされました。このことは、県執行部と議会が一体となって、今年度の予算削減による本県への影響を最小限にとどめるために、食料自給率の向上に果たしている本県の役割や環境公共への取り組みの重要性などを国へ説明し、予算の確保を訴えてきた成果であると推察しております。

 一般質問においても、平成二十三年度の国の概算要求における予算削減に係る質問もあり、また、意見書も提出されている状況でありますが、引き続いて、国に対して農業農村整備事業の予算確保のための粘り強い働きかけが必要であることは言うまでもありません。

 そこでお伺いいたしますのは、今回の補正予算の増額計上までの農業農村整備事業に係る予算確保に向けたこれまでの取り組みと補正予算の内容についてお伺いするものであります。

 最後に、歳出八款二項「道路橋梁費」、歳出八款三項「河川海岸費」、歳出八款四項「港湾費」及び歳出八款五項「都市計画費」県土整備部の一般公共事業費における減額の影響についてであります。

 農業農村整備事業に係る予算は二十一・七億円の予算増額となりました。一方で、県土整備部分の一般公共事業費につきましては、国の内示状況に伴い七十億円余という巨額の減額補正であります。このことから、現下の厳しい県内経済・雇用情勢に対処し、県内企業の受注機会の確保に配慮するため、県単事業三十億円の追加予算措置がなされたものと認識しておりますが、国費を投入する事業と県単事業では、計画または予定していた事業そのものが違うわけでありまして、このたびの七十億円余の予算削減によって工事期間の長期化あるいは事業計画そのものの抜本的な見直し、ひいては県民生活に影響が及ぶことを懸念するものであります。

 そこでお伺いいたしますが、県土整備部の一般公共事業費が減少したことによる影響と、そのことに対する県の見解につきましてお伺いいたします。

 以上でございます。

 

◯議長(長尾忠行) 名古屋環境生活部長。

 

◯環境生活部長(名古屋 淳) 空き缶等のごみ散乱防止対策について、これまでの取り組みでございます。

 県では、これまで環境の美化を図り、県民の快適な生活を確保するため、平成九年に制定した青森県空き缶等散乱防止条例に基づき、空き缶等散乱防止重点地区の指定を行ってきたほか、環境美化推進員を全県的に配置し、空き缶等の散乱状況に関する監視、巡回を行ってまいりました。また、県民の環境美化に関する意識啓発を図るため、ラジオ・テレビ広報、県内の小売店、公共交通機関などへのポスターの掲示、小学生向け意識啓発冊子の作成、配布など、空き缶等の散乱防止に向けた環境美化活動の推進に努めてきたところでございます。

 次に、「ポイ捨てゼロキャンペーン」推進事業の目的と事業内容についてです。

 東北新幹線全線開業「ポイ捨てゼロキャンペーン」推進事業は、本年十二月四日の東北新幹線全線開業を契機として多くの観光客の来県が見込まれることから、環境美化活動を通してポイ捨てのないきれいな青森県を強力にアピールするとともに、環境の面から観光客の受け入れ態勢を全県的に整備し、県民が一体となった効果的かつ持続可能な取り組みに発展させることをねらいとして実施するものでございます。

 具体的には、本年十月から十二月までを、『もうすぐ東北新幹線全線開業!「ポイ捨てゼロキャンペーン」』の中心的取り組み期間として、一つには、市町村や民間企業と連携した全県レベルでの清掃活動、二つ目として、総勢百名程度の青森県ポイ捨てゼロ推進サポーターを全市町村に配置することによる市街地や観光地における監視・清掃活動、三つ目といたしまして、県民の環境美化に関する意識の啓発、高揚を図るためのラジオ広報などを実施することとし、これに要する経費について本定例会に提案し、御審議いただいているところでございます。

 最後に、市町村との連携を深め、今後どのように取り組んでいくのかについてです。

 空き缶等の散乱防止に向けて全県的・総合的観点から環境美化を推進していくためには、県民、事業者はもちろんのこと、とりわけ一般廃棄物の処理責任を有し、地域の実情を把握している市町村との連携が必要不可欠であると考えております。

 このため、市町村に対しまして、青森県空き缶等散乱防止条例で定める空き缶等散乱防止重点地区に指定することがふさわしい地区について、指定に関する申し出を行うよう引き続き働きかけ、環境美化に係る重点地区の拡大を図ってまいりたいと考えております。

 また、県としては、今回のキャンペーンでの実施状況を踏まえまして、今後、民間企業やNPO法人、市町村などと連携して、地域一体となった環境美化の取り組みが定着し、拡大するよう努めてまいりたいと考えております。

 

◯議長(長尾忠行) 一瀬健康福祉部長。

 

◯健康福祉部長(一瀬 篤) 初めに、新型インフルエンザワクチン接種事業の昨年度との相違点についてお答えいたします。

 国は、昨年発生した新型インフルエンザの再流行の可能性が続いていることなどを踏まえ、昨年に引き続き、臨時応急的な措置として実施要綱を定め、すべての国民を対象に予防接種を実施することとしました。

 今年度の事業内容は、昨年度と比較すると、一つとして、優先接種対象者を定めないこと、二つとして、接種料金は市町村が設定すること、三つとして、ワクチンは一般の市場に流通させることが主な相違点となっています。

 なお、今回、補正予算案に計上し御審議いただいている低所得者に対する接種費用軽減措置につきましては、昨年度と同様の事業内容となっております。

 次に、インフルエンザワクチン接種に要する経費負担についてです。

 国では、市町村が行う低所得者に対する負担軽減措置を国庫補助事業として実施し、県及び市町村に一定の負担を求めているところであります。

 このような臨時的対応については、国の具体的な役割と責任を明確にするとともに、国の負担を基本とし、仮に地方負担を伴うような場合には、国の責任において確実に財源を手当てすべきである旨、平成二十二年六月に全国知事会から要望しているところです。

 最後に、今後どのように対応していくのかについてです。

 八月二十七日、政府は、国内外の流行状況から、緊急的かつ総合的に対処すべき事態は終息しつつあるものと判断し、新型インフルエンザ対策を通常の感染症対策として対応する体制に切りかえるとしました。

 ただし、国内での再流行の可能性は続いていること、世界保健機関においても警戒の継続が極めて重要であるとして、ワクチン接種、医療提供に努めるよう勧告していることから、国民への情報提供、ワクチン接種、医療提供等の対策に万全を期すとしています。

 このような状況を受けて、県では、去る九月二日に青森県新型インフルエンザ対策本部を廃止しましたが、今後のインフルエンザ発生の動向等を注視しながら、県民への情報提供、予防及び医療対策に万全を期してまいります。

 また、昨年の新型インフルエンザ発生時の経験を踏まえ、病原性の高い新型インフルエンザが発生した場合に備え、現行の行動計画及びマニュアル等の見直しを進めているところであります。

 

◯議長(長尾忠行) 櫻庭商工労働部長。

 

◯商工労働部長(櫻庭洋一) 雇用対策の御質問二点にお答えいたします。

 最初に、ふるさと雇用再生特別対策事業における補正予算の概要についてでございます。

 県では、国の交付金を活用したふるさと雇用再生特別対策事業を最大限活用し、雇用機会の創出を図ることとし、特に今年度は、民間企業等からの自由な発想力や企画力による事業提案を広く公募する制度を実施したところでございます。

 具体的には、事業を活用し、主に学卒未就職者を雇用した上で事業を実施し、事業終了後も継続雇用を目指す正規雇用化支援プランを予算枠約七千万円で募集したところでございます。

 その結果、予想を大幅に超える三十三件、事業費総額約三億八千万円もの事業提案があり、県としては、県内の雇用創出を積極的に推進する観点から、優秀な事業計画についてはできる限り採択する方針で審査を行ったところでございます。

 審査の結果、事業の公益性や継続性、雇用創出の効果など一定の基準を満たし、採択が適当と認められる十七事業、事業費約一億七千万円余りを採択し、事業費の増額に伴う所要額約一億円の補正予算案を本定例会に提案したところでございます。

 次に、民間公募制度の採択状況と提案事業の概要についてでございます。

 去る四月二十八日から五月二十六日までの受け付け期間に応募のあった提案事業は三十三件で、その事業費は約三億八千万円となっており、審査の結果、十七件、約一億七千万円を採択したところでございます。

 提案事業十七件の内訳は、農林水産関連が七件、観光関連が四件、産業振興関連が二件、教育・文化関連が二件、情報通信関連が一件、子育て関連一件となってございます。

 提案事業の主な事例としましては、一つとして、農林水産分野では、本県の農産物等の販路拡大のほか、特産品を活用したスイーツや調味料の開発等を行う事業、二つ目に、観光分野では、津軽広域観光ルートや八戸地域の着地型観光ツアーの開発等を行う事業、三つ目は、教育・文化分野では、縄文ムーブメント活発化のため縄文検定を行う事業、四つ目に、子育て分野では、放課後児童保育と学習塾の中間的な位置づけとしての子育て支援モデルを実施する事業などがございます。

 

◯議長(長尾忠行) 有馬農林水産部長。

 

◯農林水産部長(有馬喜代史) 農業農村整備事業に係る予算確保への取り組みと補正予算の内容についてお答えいたします。

 県では、平成二十二年度の国の農業農村整備事業費が大幅削減されたことにより、事業実施地区の工事期間の長期化や圃場整備などの新規要望地区の採択の先送りなどが懸念されたことから、その影響を最小限にとどめるため、これまで知事並びに県議会が一体となって国へ出向き、農業農村整備事業費確保の要望活動を行ってきており、その成果もあって、今回、国から追加割り当てがあったことから、本定例会に二十三億七千万円の補正予算を計上し、御審議いただいているところです。

 その主な内容は、老朽化の進んだ農業水利施設を改修し、農業用水の安定供給機能を確保するためのかんがい排水事業費約十一億三千万円、水田における暗渠排水等を整備し、大豆などの生産拡大を図るための圃場整備事業費約一億二千万円などとなっています。

 

◯議長(長尾忠行) 竹内県土整備部長。

 

◯県土整備部長(竹内春繁) 県土整備部の一般公共事業費の減少による影響と見解についてお答えいたします。

 国土交通省関係の内示額が県予算に対しまして大きく減少したことから、本県で実施しております各事業への影響は避けられないものとなっております。道路事業、河川事業、港湾事業及び街路事業の継続事業で完成時期の先送りが懸念される箇所があるほか、橋梁補修事業などで新規着工が先送りとなった箇所がございます。県としましては、このような厳しい状況におきましても、事業効果の早期発現を見込める供用間近の箇所への優先配分や継続事業への途切れない配分を行うなど、可能な限り事業の執行について工夫しております。

 今後も公共事業費の減額が続くことは真に必要な社会資本整備をもおくらせるものであり、地方が社会資本整備を計画的に実施できるような公共事業費の確保がなされる必要があるものと考えております。

 県としましても、道路などの社会資本整備がいまだに十分でない実情を踏まえまして、公共事業費の本県への重点的な配分につきまして機会あるごとに国に訴えていきたいと考えております。

 

◯議長(長尾忠行) 高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 御答弁ありがとうございました。

 再質問はありませんが、二点ほど意見と要望を申し上げます。

 一点目は、新型インフルエンザへの対応についてのうち、国と地方のワクチン接種の負担の割合についてであります。

 私は、先ほど、県の見解を求めたのであって、全国知事会の要望内容は承知しております。そういう意味では、もう少し青森県の健康福祉部長としての見解というのを今後求めたいと思います。

 いずれにしても、臨時・緊急的なワクチン接種、感染症への対応というのは、まさに国家的危機管理の問題でありますので、本来、国が第一義的に責任を負わないといけないのに、半分を地方が交付税財源から召し上げられたというのが私の率直な感想、意見でありまして、このことは付させていただきます。

 二点目は、県土整備部の一般公共事業費の削減についてであります。

 県土整備部がこの七十億円の減額を最小限に食いとめるべく、限られた予算を有効活用するということは、その御努力はよくわかります。しかしながら、この七十億円の減額、また県単分の三十億を差し引いても、四十億円という大幅な減額であることは事実であります。

 これは、来年度、平成二十三年度予算もこのようなことが継続された場合、企業の受注機会の確保云々という話ではなくて、確実に現在予定あるいは計画されている各地域における、また地区における工事期間の長期化、また、事業計画そのものの抜本的な見直しが避けられない状況に陥ると想定されます。

 したがいまして、これから年末にかけて国の予算編成も本格化されてきますので、引き続いてきめ細かい、また粘り強い、あらゆる機会をとらえて青森県の声を国にしっかりと届けていただいて、成果の見える形で見せていただきたい。そのことを要望し、終わります。