2017年03月17日:平成29年農林水産委員会 本文
◯夏堀委員長
ただいま説明のありました議案に対して質疑を行います。
質疑は、議題外にわたらないように願います。
なお、答弁者は、挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
質疑はありませんか。──高橋委員。
◯高橋委員
おはようございます。
それでは、私のほうからただいま部長から御説明いただきました付託案件につきまして質問をさせていただきます。
議案第32号「青森県国営土地改良事業負担金等徴収条例の一部を改正する条例案」についてでございます。
青森県では、昨年でありましたが、岩木川上流に津軽ダムが完成いたしまして、洪水調整のほか、水道用水の補給、また、農業用水の確保で大きな役割が期待されているところでございます。それから、県内各地に、農業用のダムや堰、水路があり、頻発する渇水や豪雨に備え、これらを適切に管理していくことが重要であると認識しております。
そして、関連して申し上げますが、土地改良事業につきましては、今から7年、8年ほど前でありましょうか、国のほうでこの予算の総額が大幅に削られまして、そのことによる青森県への影響、打撃と言ってもよいかと思いますが、そういった大きな影響を及ぼしたことを記憶しております。
それから、その当時を振り返ってみますと、農地を所有されている農業者の方と一緒に、そのときはほ場の整備でありましたが、地元の市と連携しながら、土地改良事業を計画していたと。そういった中にあって、国の大幅な予算削減を受けて、事業そのものが先延ばしされたといったことを、青森市内の農業者の方からお聞きをしたことがございます。私だけではなくて、議会においても、青森県に対する影響が余りにも大きいということで、活発に議論され、議会としての意見書等を採択したことも記憶しております。
そして、この浪岡川の流域に関しまして、私ども自民党会派に対して、あるいは党の県連に対して、ここのみならず、他の津軽圏域を中心に国営の大規模水利事業の予算確保に向けて要望も受けているところでありまして、今般、このように事業が決定されて議案が上程されているということに安堵もしております。
そこで質問でありますが、1点目として、国営浪岡川土地改良事業の整備内容につきまして御答弁をお願いいたします。
◯野中農村整備課長
平成28年10月に着工した国営浪岡川土地改良事業は、国が昭和46年度から昭和63年度にかけて整備した浪岡ダムや頭首工、用・排水路などのうち、特に老朽化が著しく、管理に支障を来している2施設の更新整備を行い、農業用水の安定供給及び維持管理費と労力の軽減を図るものです。
具体的には、浪岡川中流部に位置する銀頭首工について、水門の補修や開閉装置の更新など、十川からの補給水を確保する川倉揚水機場についてポンプ羽根車などの分解整備などをそれぞれ行うものです。
◯高橋委員
続きまして、国営浪岡川土地改良事業に係る地元の農家の負担額はどの程度になるのか、その点について御答弁をお願いいたします。
◯野中農村整備課長
国営浪岡川土地改良事業の総事業費は4億7,000万円を予定しており、このうち国の職員の人件費等を除いた3億5,500万円を国、県、関係市町、農家が負担することになっております。その負担割合は、国が66.6%、県が20.7%、関係市町が9%、農家が3.7%となります。
この負担割合に基づいて農家負担額を算定すると、総額は約1,300万円となり、10アール当たりでは約1,800円となります。
◯高橋委員
条例案の中で特別徴収金についても改定がなされていると、そのように受けとめておりますが、この特別徴収金というものはどのような場合に徴収されるのか、その点についてお伺いをいたします。
◯野中農村整備課長
特別徴収金は、土地改良事業の対象となった農地について、事業完了後8年以内に農業以外の目的に転用した場合に徴収するものです。
これは、公共事業として実施される土地改良事業には多額の税金が投入されていることから、農地の転用により事業の目的を達成できない場合に投入した税金を回収するという考え方に基づいた制度であり、土地改良法の規定に基づき条例に定めているものです。
◯高橋委員
それぞれ御答弁を頂戴いたしました。これまでの経緯を振り返りますと、この浪岡川の流域に係る本事業のみならず、県内各地の土地改良事業と申しますか、農村整備事業は極めて必要性が高い事業であると受けとめております。そのようなことから、県内各地、更新も含めて既に実施されているものと思いますので、来年度以降も引き続き県としての御尽力をお願い申し上げまして、私からの質問を閉じさせていただきます。
◯夏堀委員長
ほかに質疑はありませんか。──高橋委員。
◯高橋委員
私のほうからは、陸奥湾ホタテガイの安定生産につきまして質問をさせていただきます。
1点目として、近年の県産ホタテガイの生産状況について御答弁をお願いいたします。
◯對馬水産振興課長
近年の県産ホタテガイの生産状況は、平成22年の夏場の高水温被害以降、冬場の波浪などによるへい死や成長不良の影響もあり、低調に推移しましたが、平成27年には平年以上に回復し、特に昨年は生産数量が約12万2,000トン、生産金額が約262億円と、いずれも過去最高を記録し、好調となっています。
◯高橋委員
先日、県の海面漁業の漁獲金額が635億円を上回ったといった報道がございました。これは2004年以来、12年ぶりに600億円を突破と、大変喜ばしいことでありまして、この中においても特にホタテガイが一昨年に比べても生産量を確保して、そして金額的にも過去最高ということであろうかと思います。
しかしながら、平成22年でありましょうか、高水温によって、このときは生産量が3万2,000トン、そして漁獲高もわずか64億円と、危機的な状況を迎えたと記憶をしております。したがって、ここ2年間においては、極めて良好という状態にはありますが、必ずしもこれが続くということは決して言い切れないと、そのようにも捉えております。
そのようなことから、2点目として、陸奥湾のホタテガイ生産における課題についてお伺いをいたします。
◯對馬水産振興課長
陸奥湾のホタテガイ生産は、ここ2カ年好調となっているものの、養殖施設1メートル当たりの生産量が増加し、いわゆる過密養殖が進んでおり、成長不良やへい死の危険性が高まっています。
このため、漁業者の過密養殖解消に向けた意識を高め、適正な密度管理による安定生産体制を確立することが課題となっています。
◯高橋委員
ただいま御答弁いただいた課題を踏まえて、陸奥湾のホタテガイ生産の安定に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。
◯對馬水産振興課長
県では、将来にわたり陸奥湾ホタテガイ生産の安定を図っていくため、現在の生産構造や養殖環境を把握し、それらの実態に応じた安定生産体制の構築に取り組むこととしています。
具体的には、漁業者の年齢構成や後継者の有無などを調査し、10年後の養殖漁場の利用状況等を予測するほか、陸奥湾の水温や餌となる植物プランクトンの量などを把握します。また、過密養殖の実証試験により、その悪影響を明らかにし、これらの結果をもとに持続可能な生産に向けたシミュレーションを実施します。
さらには、関係機関で構成する検討委員会を設置し、シミュレーション結果からホタテガイ適正養殖可能数量、いわゆるタスク数量を検証するとともに、陸奥湾内の漁協支所ごとに最適な生産方法を明らかにし、各漁協や漁業者に普及していきます。
◯高橋委員
それぞれ御答弁をいただきました。
私も毎回とは言いませんが、議会の一般質問等で、大体、2回に1回ぐらい、このホタテガイ生産については質問をさせていただいております。そこで常々感じることは、陸奥湾沿岸の地域にとって、このホタテガイの生産が地域の活力そのものであると捉えております。数年前の大量のへい死、あのときはやはり地域そのものも疲弊する、そういった状況を目にしておりましたし、ここ1年、2年ホタテガイの生産が安定して、そして漁獲高も過去最高ということでありますので、そのことによって、陸奥湾沿岸の各地域で非常に活力を感じられる、そのように私自身は捉えております。
また、沿岸の各漁協のほうにもお邪魔する機会がございますが、ここ数年は後継者、比較的若い世代の方々が新たにホタテガイ漁を継いだり、また、その後継者の仲間と申しますか、そういった同世代の方がホタテガイ漁に新しくつくといったことも目にしております。
来年度の当初予算で、さまざまな予算が上程されて、先日の予算特別委員会でも審議されましたが、人口減少対策、あるいは地方創生に関するものも上程されておりますけれども、私は、この陸奥湾沿岸にとって、ホタテガイをしっかりと守り育てる、このことが一番の人口減少対策であり、また、地方創生、そしてこの地域にとっての成長の柱であると受けとめております。
したがいまして、どうか今後とも陸奥湾沿岸にとってホタテガイ産業の振興は極めて重要なものであると、その認識のもと、御尽力を賜りますよう期待して質問を閉じさせていただきます。