◯花田委員長 暑い折より、上着を脱いでもよいことにいたします。

 高橋修一委員の発言を許可いたします。──高橋委員。

 

◯高橋委員 自民党の高橋でございます。最後の質問となりましたので、しっかり務めを果たしてまいりたいと思います。この後、採決も控えておりますので、可決承認されるようにしっかりと御答弁賜りたく、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 また、いつもそうでありますが、私自身、間違った発言、あろうかと思います。その場合は御指摘いただければ、その点もお願いをいたします。

 歳出四款二項一目「生活衛生総務費」、動物愛護の取組についてでございます。

 この事項につきましては、私自身、過去何度か議会で質問したことがございます。議会の会議録を調べてみますと、私だけではなく、多くの議員からこのことに関する質問がなされ、議会においても、県民においても関心の高い事項であると受け止めているところであります。

 私自身が一番初めに質問したのが平成二十三年十月、東日本大震災の年でありましたが、一般質問で被災された方が飼っている動物、そういった部分での県の支援体制はどうなっているのかということをお聞きし、二回目が平成二十五年十月、この年に法律が抜本的に改正施行されまして、いわゆる終生飼養の原則が法に明記されたと。また、犬、猫の致死処分の現状、命の花プロジェクト、これについて質問しております。また、三回目、平成二十八年十一月でありましたが、動物愛護センター設置十周年を迎えまして、その間の歩みと成果等々、過去三度、質問をいたしました。

 前回の質問から五年が経過しておりまして、この間、動物愛護管理法も改正されました。また、県動物愛護管理推進計画も本年三月に改正されていると。そういったことも踏まえまして、この間の県の取組、あるいは成果、これを確かめたいということからお伺いしたいと思います。

 県では、犬、猫の致死処分頭数を減らすために、これまでどのような取組を行ってきたのかお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 健康福祉部長。

 

◯奈須下健康福祉部長 県では、青森県動物愛護管理推進計画に基づき、青森県動物愛護センターを拠点として、動物の適正飼養及び愛護思想の普及に努めてきたところです。

 具体的には、飼い主向けの講習会や、問題のある飼い主への個別指導、動物愛護週間における動物ふれあいフェスティバル等のイベントや、ラジオ及びテレビ等を活用した広報などにより、動物の適正飼養と愛護思想の普及に取り組んできました。

 さらに、民間企業と動物愛護に関する連携協定を締結するなど、関係団体等との連携を深めるとともに、仔猫育成ボランティアとの協働による譲渡など、犬及び猫の致死処分頭数を減らす取組を一層強化してきたところです。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 本県における犬、猫の致死処分の状況についてお伺いいたします。

 

◯花田委員長 健康福祉部長。

 

◯奈須下健康福祉部長 犬及び猫の致死処分頭数は、動物愛護センターを開設した平成十八年度は、犬一千七百五十二頭、猫一千五百九十六頭であったものが、令和二年度には犬百五十五頭、猫五百三十六頭まで減少しています。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 センター開設の平成十八年度に比べまして、犬、猫ともに大幅な減少傾向にあるということかと思います。これは、先ほども申し上げましたが、抜本的な改正法施行によって、終生飼養の原則が法律上明記されたことによる取組の成果でありますし、また、県動物愛護センターを拠点として行われてきたこの間の地道ながらも献身的な県の取組による成果であると受け止めております。

 また、ここ数年は、猫の致死処分頭数の減少に向けた取組が充実、強化されたようでありまして、その成果がしっかり私の手元にある数字上は現れております。しかしながら、犬の致死処分頭数は、平成二十八年度以降、百五十頭前後で推移し、下げ止まっている印象を持っております。したがって、犬については取組のさらなる充実、強化、あるいは新たな視点での取組が求められるものと考えております。

 続いて、県は人と動物の共生する社会の実現に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 健康福祉部長。

 

◯奈須下健康福祉部長 県では、人と動物が共生し、健やかで安心して暮らせる社会の実現を目指すため、青森県動物愛護管理推進計画に基づき各種施策に取り組んできたところです。

 また、国の動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針が改正されたことに伴い、本年三月に同計画を見直し、犬及び猫の致死処分頭数の減少、災害対策を施策の柱と位置づけて取組を進めることとしたところです。

 犬及び猫の致死処分頭数を減らすための取組としては、動物愛護センターに持ち込まれる動物の約半数を占める飼い主のいない猫を減らすため、猫への無責任な餌やりの防止の呼びかけや、地域住民と飼い主のいない猫との共生を目指す地域猫活動に対する理解の促進等により、飼い主のいない猫を減らしていきたいと考えています。

 さらに、災害対策として、被災者がペットを連れて安心して避難所に避難できる体制を市町村が整備できるよう、助言していくこととしています。

 今後も、県民一人一人が動物を愛する気持ちと動物の正しい飼い方についての理解を深め、人と動物が共生できる住みよい青森県を目指していきます。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 答弁にありましたとおり、基本的には県計画に基づいた取組を行うことで、人と動物の共生する社会の実現に向かっていくものと受け止めております。

 私自身、計画を見させていただきましたが、本計画に書き切れていない課題もあるのではないかと。具体的には、人の問題ですね、獣医師の確保の問題。また、動物愛護センターや県内の各保健所の施設面でのキャパシティーであったり、老朽化、あるいは機能面の問題等がもしかすればあるのかもしれません。施策や取組を進める上においては、本計画に基づいた取組を期待するわけでありますが、私が先ほど申し上げた部分についても、向こう十年間、適切な対応に努めていただいて、計画の推進に当たっていただくことを求めたいと思います。

 続きまして、歳出六款一項七目「農業共済団体指導費」、農業経営収入保険の加入促進についてでございます。

 農業経営収入保険の加入状況と補填金の支払い実績についてお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 農林水産部長。

 

◯赤平農林水産部長 平成三十一年一月からスタートした農業経営の新たなセーフティーネット制度である農業経営収入保険は、作目を限定せず、自然災害や価格低下など、農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償するものです。

 本県における収入保険の加入件数は、令和元年が千六百二十八件、令和二年が二千二百四十件、令和三年が八月末現在で三千四十五件と年々増加しており、令和三年の場合、加入要件である青色申告を行っている農業経営体に対して、三〇・三%の農業経営体が加入しております。

 また、補填金の支払い実績については、令和元年は加入者の二九・四%に当たる四百七十九件に対して九億一千七百万円、一件当たりでは百九十一万円が支払われ、令和二年は加入者の一五・三%に当たる三百四十三件に対して六億七千四百万円、一件当たりでは百九十七万円が支払われております。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 私が聞いておいてこれを言うのもなんですが、加入状況につきましては、恐らく同じものをデータとして持っていると思うんですけれども、これを見ますと、加入目標に占める割合が青森県は一一八%、これは実は全国一位であります。次いで、宮崎県、愛媛県と続いておりまして、一〇〇%達成している都道府県は数県に限られているという状況にあります。また、ただいま答弁いただきました加入件数につきましても、愛媛県、福井県に次いで全国第三位と。この加入状況だけを見ますと、全国的にも上位に位置しておりまして、青森県の農業者の本制度を通じたリスク対応への意識、これは全国に比して高いものがあると受け止めているところであります。このことは、青森県が取り組んでいる加入促進に向けた取組が一定の成果を上げて、また、全国でも上位という結果を生み出す一助になっていると受け止めているところでもあります。

 農業経営収入保険の加入促進に向けて、県はどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 農林水産部長。

 

◯赤平農林水産部長 県では、農業経営収入保険の加入促進に向け、その前提となる青色申告実施者を増やすための研修会の開催に加え、農業共済組合と連携して、制度の概要や補填金の支払い実績を紹介したチラシを作成し、農業者を対象とした現地講習会等の場で啓発してまいりました。

 今後は、令和三年産米の概算金の下落を受けて、各地域県民局に設置した特別相談窓口や関係機関が開催する研修会など農業者の集まる機会を活用し、農業経営収入保険が概算金の下落にも対応できる無利子のつなぎ融資の仕組みも備えていることなど、他の保険制度よりも有利なセーフティーネットであることを紹介しながら、これまで以上に加入促進を進めてまいります。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 令和三年二月十六日付で、農林水産省経営局長より各都道府県知事に対して、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した農業経営収入保険の保険料等補助についての通知が出されております。内容を要約しますと、国庫補助に加えて、各都道府県、あるいは市町村独自に保険料の上乗せに係る検討を行ってほしいといった文書であります。

 二月時点で、青森県においても、このことに対する検討は行われたものと思いますが、その後、青森県においては八月に上北、下北で大雨による農業被害、約十五億円程度の被害がありましたし、また、米価の下落による影響額が、百一億円と試算されております。こういった事態を踏まえますと、情勢は一変しているのではないかと受け止めているところであります。つまりは、この農業経営収入保険を含むセーフティーネットの加入促進の重要性、令和三年二月時点に比べて格段に高まっていると考えるところでもあります。

 この上乗せについては、もちろん、財源の確保の問題であったり、また、他のナラシ対策や農業共済であったり、そういった類似制度とのバランス、あるいはそれらを含めたセーフティーネット全体の加入状況を検証した上で、また、他の都道府県も、この文書を見る限りは三県にとどまっていると。そういったことを踏まえますと、他の都道府県の動向を見ながら、また、県内でも幾つかの市町村では独自に上乗せしていると。そういった部分もにらみながらではありますが、本県農業のリスク対策に万全を期すためにも、いま一度、再検討することも必要なのではないかと考えているところであります。

 現状では、PR活動を主体としておりまして、本来は農業共済が事業主体でありますので、県がPRもやることは連携を図る上で大切なことでありますが、今の県の取組そのものは、それを補完すると。県として、上乗せするしないは別の問題でありますけれども、新しい視点でのセーフティーネットの加入促進に対する対応が今後求められてくるものと思います。したがって、この点は申し上げさせていただきます。

 続きまして、歳出六款一項十七目「食の安全・安心推進費」、稲わらの有効利用の促進及び焼却防止について。

 稲わらの有効利用及び焼却防止に向けた県のこれまでの取組と成果についてお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 農林水産部長。

 

◯赤平農林水産部長 県では、日本一健康な土づくり運動の一環で、稲わらを焼却せずに貴重な有機質資源として有効利用するため、これまで広報巡回等によりわら焼き防止を啓発してきたほか、堆肥への活用や水田へのすき込みを指導するとともに、稲わらの広域流通に向けた津軽地域の稲作農家と県南地域の畜産農家のマッチングなど、稲わらの活用促進に取り組んでまいりました。

 また、平成二十二年六月の青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例の制定を受け、稲わらの需要者と供給者の情報を県ホームページへ公開するとともに、県外への販路拡大を支援するなどにより、県内外の広域流通を促進してきたところです。

 その結果、近年は畜産飼料として毎年三千トンを超える稲わらの継続取引につながっているほか、取組を強化した県条例制定後は、これまで水稲面積の約三%で推移していた焼却割合が減少し、現在では一%台で推移しております。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 稲刈りのシーズンも終わりつつありまして、これから稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に向けた取組が求められる時期になります。着実な実施を本年もよろしくお願い申し上げます。

 県は今後、稲わらの一層の有効利用に向け、どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 農林水産部長。

 

◯赤平農林水産部長 本県の稲わらは、一部地域で依然として焼却が行われている一方で、畜産農家からは国産の粗飼料や敷料としてのニーズが高まっております。

 このため、県では高品質な稲わらロールの生産ができるよう、本年二月に稲わら収集技術体系マニュアルを作成し、現在、生産者や稲わら収集組合等を対象とした研修会などで周知するなどにより、収集事業者の育成確保や稲わらの流通拡大に取り組んでいます。

 また、市町村と連携しながら、焼却面積の多い地区を重点エリアに設定し、生産者への個別指導や広報車による巡回指導を行うほか、本年度から五所川原市が取り組んでいる稲わらの収集事業に対して、助言、協力しているところです。

 さらには、稲わらなどバイオマス資源の活用促進に向けた課題や対策について、弘前大学との共同研究を進めることとしており、今後もこうした取組を通じて稲わらの一層の有効利用を進めてまいります。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 続きまして、歳出七款一項十一目「国際交流推進費」、青森りんご輸出販売力強化促進事業の取組についてであります。

 世界的な新型コロナウイルス感染拡大が青森リンゴ輸出にどのような影響を及ぼすのか大変心配していたところであります。以下、お伺いをいたします。

 本事業の目的と取組内容についてお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 観光国際戦略局長。

 

◯堀観光国際戦略局長 本事業は、リンゴの輸出量の九割以上を占める台湾及び香港向けを維持拡大することに加え、今後の経済成長が期待される東南アジアの市場を開拓することで、青森リンゴの一層の輸出拡大を目的に実施したものです。

 具体的な取組内容としては、台湾においては、春節以降の需要を喚起するための試食宣伝や、新たな消費者層の開拓に向けたコンビニエンスストアでのカットリンゴの販売に加え、新型コロナウイルス感染症の影響で現地への渡航が難しい中にあっても、オンラインで青森とつないだ百貨店のステージイベントを開催するとともに、テレビ番組での発信などにも取り組み、青森リンゴの積極的なPRを展開いたしました。

 また、香港においては、赤系品種の需要を喚起するための試食宣伝に加え、インフルエンサーを活用して健康面の効能などを情報発信しました。

 さらに、東南アジアにおいては、贈答文化を有し、日系量販店が進出しているカンボジアを対象に、マーケットニーズを把握するため、贈答向けの大玉高級品及び家庭消費向けの中小玉品の試食やテスト販売を行ったほか、タイではオンラインで高品質な青森リンゴを紹介する記者発表会を実施するなど、宣伝対策を強化したところです。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 引き続き、本事業の成果についてお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 青山副知事。

 

◯青山副知事 令和二年産リンゴの輸出実績は、財務省貿易統計によると、輸出量は前年比一〇八%の三万四千四百三十二トンで、平成二十七年産に次ぎ過去二番目、輸出額は前年比一〇五%の約百三十五億円で、平成二十七年産、三十年産に次ぎ過去三番目に多くなりました。

 また、輸出量の国・地域別の内訳では、台湾向けが前年比一〇六%の二万三千九百五十三トン、香港向けが前年比一二五%の八千八百九十四トンと、主力となる両地域で着実に輸出量を確保しており、これは関係者の輸出に対する着実な取組があったことに加え、本事業を実施したことで、新型コロナウイルス感染症が流行する中でも、巣籠もり需要を的確に捉えることができた成果であると考えております。

 さらに、新規輸出国の開拓については、カンボジアを対象国とした贈答向け大玉リンゴのテスト販売が成功し、令和三年産からの通常取引につながりました。

 今後も本事業の成果を踏まえ、輸出先の市場状況に合わせたきめ細やかな施策を着実に展開し、青森リンゴのさらなる輸出拡大に取り組んでまいります。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 大きな成果を上げられたということを青山副知事の答弁でよく理解をいたしました。このことは、ただいまの答弁に加えまして、長年にわたって培ってきた青森県と輸出先とのつながりの強さと申しますか、そういったものもあると。コロナ禍にあっても影響を受けることなく輸出が維持、さらには拡大されたと受け止めております。本年産のリンゴの輸出につきましても、引き続いての対応をよろしくお願い申し上げます。

 歳出七款二項一目「観光振興費」、観光戦略の推進について。

 新型コロナウイルス感染症により、本県観光にかつてないほどのマイナスの影響を及ぼしていることは誰もが容易に想像できると考えます。このほど発行の観光白書も見ましたが、全てのデータで軒並み今までにないようなダウンを示していると。県はこれをどのように捉えられているのかという点で質問したいと思います。

 一点目、コロナ禍による本県観光への影響をお伺いいたします。

 

◯花田委員長 観光国際戦略局長。

 

◯堀観光国際戦略局長 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、国内外との移動制限等や人流抑制により観光客が激減したほか、多くの祭りや観光イベントが中止を余儀なくされました。

 コロナ禍前の平成三十年度に策定した青森県観光戦略では、本県の延べ宿泊者数の数値目標を五百五十万人泊としましたが、国の宿泊旅行統計調査によると、本県の延べ宿泊者数は、コロナ禍前の令和元年は約四百六十一万人泊であったものの、令和二年は約三百三十二万人泊となり、百二十九万人泊、率にして二八%減少しました。最新の令和三年一月から七月までの延べ宿泊者数は約百七十八万人泊で、令和元年の同時期との比較で約七十二万人泊、二九%の減となっております。

 また、県の月例観光統計調査によると、令和二年の県内主要三十四観光施設の入込客数は約五百二十四万人で、令和元年との比較で約四百二十三万人、四五%減少いたしました。最新の令和三年一月から八月までの観光施設の入込客数は約三百四十五万人で、令和元年の同時期との比較で約三百十一万人、四七%の減となっております。

 観光産業は、宿泊、交通、飲食、土産品など、裾野の広い総合産業でありますが、今なお本県の観光は感染症の大きな影響を受けているものと認識しております。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 この一年半余り、先が見えない状況、長引くコロナ禍にあって、県も県内観光事業者も、ある意味、苦労の連続であったと思われますし、県とすれば局面によっては相当難しい判断もされ、取り組まれてきたと受け止めているところであります。

 コロナ禍における県のこれまでの取組内容についてお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 観光国際戦略局長。

 

◯堀観光国際戦略局長 県では、昨年来、観光事業者の事業継続と新しい生活様式に対応した基盤整備に取り組むとともに、地域の活性化等につながるよう、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、観光振興の取組を機動的に進めてきました。

 具体的には、観光客が安心して本県を訪れることができるよう、観光客の移動、立ち寄り、宿泊といった一連の行程において、切れ目のない感染防止対策を強化するとともに、感染状況に応じて宿泊施設の魅力を生かした本県独自のキャンペーンを実施するなど、観光需要回復に向けた取組も一体的に展開してきました。

 また、人の移動や交流に制約がある中にあっても、新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、ICTを活用したリモート観光やSNS、ドローン映像を活用した情報発信を強化したほか、縄文と連動する青森県のブランドイメージの定着と旅行先となるきっかけにつながる情報発信を強力に進めました。

 さらに、海外に向けては、SNSでの情報発信はもとより、これまで築き上げた海外の旅行会社やキーパーソン等とのネットワークを活用した取組を展開しており、感染症の収束後には、ほかの地域に先駆けて国内外からの観光客の回復と拡大が実現するよう、準備に万全を期しているところでございます。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 青森県観光戦略策定時には想定し得なかった、することができなかった事態にあると思われます。戦略を見ますと、各数値目標が設定されておりますが、二〇二三年で延べ宿泊者数五百五十万人泊、外国人延べ宿泊者数五十万人泊、満足度一〇〇%、観光消費額二千億円ですね。二〇二三年の数値目標として設定されておりますが、今となっては、本県観光、社会経済全般にわたり、その情勢が激変しているのではないかと受け止めているところであります。

 今後の観光需要回復に向けた戦略については、見直し、もしくは立て直し、新たな視点が必要になってくると思われますが、今後の観光需要の回復に向けた戦略について、県の考えをお伺いいたします。

 

◯花田委員長 観光国際戦略局長。

 

◯堀観光国際戦略局長 コロナ禍における新しい生活様式の普及に伴い、観光客のニーズや旅のスタイルに変化が見られる中、観光需要を早期に回復させ成長軌道へ乗せるためには、その動向を的確に把握するとともに、その変化に対応し、戦略的に取り組む必要があると考えております。

 このため、県では青森県観光戦略を補完する位置づけとして、これから令和五年度までの期間において、観光需要の回復や観光産業の復興に向けて集中的に取り組む内容を年度内に取りまとめることとしております。

 具体的には、おでかけキャンペーンを契機に根づいたマイクロツーリズムの推進、縄文遺跡群の世界遺産登録を活用した全国からの誘客、DMO等と連携した付加価値の高い観光コンテンツ開発、観光デジタルマーケティングの活用などの視点を基本に施策展開をイメージしております。

 県としては、観光戦略の目指す世界から選ばれる観光地として再生し、成長していくため、全力で取り組んでまいります。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 青森県の観光戦略は維持しつつも、現下の状況を踏まえて、これを補完する形で年度内での策定を目指して、集中的な対応方針を決めていくということであろうかと思います。

 コロナワクチン接種証明書やコロナの検査結果証明の活用による観光面での行動制限緩和も現実味を帯びてまいりました。引き続き緩むことなくコロナ対策に万全を講ずることが求められるわけでありますが、新型コロナ収束後、国内外における旅行意欲は高まって、観光需要の回復が見込まれるともされております。引き続きコロナの感染状況を踏まえながらということを最優先に考えることが必要でありますが、この両立については、これまでもそうでありますが、今後とも県として局面によっては相当難しい判断が迫られると思います。ただいまの答弁で今後の方向性、また、局長の意気込みは十分伝わりましたので、コロナも含めて状況の変化に応じて対応していただきたいと思います。

 歳出十款一項五目「教育指導費」、不登校への対応について。

 本県の公立小中学校における不登校児童生徒の状況についてお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 教育長。

 

◯和嶋教育長 文部科学省が公表している過去三年間の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果によると、本県の公立小学校における不登校児童数は、平成三十年度は三百二十人、令和元年度は三百五十八人、令和二年度は三百五十七人となっております。また、公立中学校における不登校生徒数は、平成三十年度は九百八十三人、令和元年度は九百八十七人、令和二年度が千百十六人となっております。

 これを児童生徒千人当たりの不登校者数に換算すると、公立小学校においては、平成三十年度は五・五人、令和元年度は六・四人、令和二年度は六・五人、公立中学校においては、平成三十年度は三十一・五人、令和元年度は三十二・八人、令和二年度は三十八・二人と、いずれも増加しております。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 県教育委員会では、本県の公立小中学校における不登校児童生徒の解消に向け、どのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 教育長。

 

◯和嶋教育長 不登校への取組としましては、県教育委員会が設置する相談電話やスクールカウンセラーの派遣により、本人や保護者への相談活動に当たるとともに、スクールソーシャルワーカーを派遣して、福祉や医療などの関係機関及び学校との連携による不登校児童生徒を取り巻く環境の改善のため、関係者等への助言や支援を行っております。

 また、県総合学校教育センターにおいて、児童生徒の自立と学校への復帰を支援する適応指導教室を設置し、面接相談や宿泊体験等の体験活動を実施するなど、個に応じた指導及び支援を行っております。

 さらに、市町村教育委員会や福祉関係機関等による不登校児童生徒支援連絡協議会を開催し、不登校児童生徒の事例についてのグループ協議を通して、児童生徒や保護者支援のためのネットワークづくりを進めております。

 このほか、新たに不登校となる児童生徒を生まない環境づくりを推進するため、居場所づくり・絆づくり調査研究事業において、県内小中学校七校を指定し、小中学校が連携した交流活動による良好な人間関係づくりや教員を対象とした魅力ある学校づくりのための研修等に取り組んでいるところです。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 初めの質問に対する答弁で、中学生の不登校の数がこの一年でかなり増えていると。千人当たりの不登校児童生徒が三十八・二人。今、一クラス三十三人でしたか、もしくは四十人だと思いますが、割り返せば、恐らく一クラスに一人以上は不登校の生徒がいるという現状にあろうかと思います。

 したがって、小学生も含めてですが、中学生向けの不登校への対応がさらに求められると考えますが、先日、私は青森県立北斗高校の定時制通信制生徒生活体験発表大会に参加させていただきました。多くの生徒が中学校時代、不登校であったが、高校入学を機に社会に、あるいは学校に復帰できたといった内容の発表をされておりました。

 また、その際に北斗高校の校長先生からお聞きしたんですが、今年度から北斗サタデースクール、北斗高校における不登校の中学生の支援を行っているとのことでありました。その内容は、不登校または不登校傾向にある中学生と北斗高校の生徒との交流、学び等の空間を設けると。あるいは、不登校または不登校傾向にある中学生の保護者の皆さんも、子供の不登校を経験した保護者の会というのがあるそうで、そういった方々が相談に応じるといった取組を今年度からされているそうであります。大変興味深く、意義のある取組であると受け止めました。

 まだ初年度の取組であり、今後の成果を踏まえながらとなりますが、本県の不登校児童生徒の解消に向け、北斗高校の取組がモデルとなって、他地域の定時制通信制高校でのサタデースクールの開催など、今後、同様の取組の波及拡大を期待したいところでありますが、県教育委員会のお考えをお伺いいたします。

 

◯花田委員長 教育長。

 

◯和嶋教育長 委員のお話の北斗サタデースクールについては、外部の方々の応援もいただきながら実施している状況でもあり、同様の取組をすぐに他校へ拡充することについては、それぞれの学校の置かれている状況が異なることから、十分な検討が必要であると考えております。

 一方、この取組では、北斗高校の生徒が自ら企画運営しており、携わった生徒にとっても、中学生の面倒を見ることが自信となり、成長につながっているとの報告を受けているところです。

 県教育委員会としましては、各学校がそれぞれの状況に応じた取組の参考とするよう、この取組を県立学校へ紹介してまいりたいと考えております。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 対応は委ねますが、こういった取組があるということでありますので、今後の展開、拡大、波及、期待したいと思います。

 最後であります。歳出十款一項五目「教育指導費」、青森県立高等学校教育改革推進計画についてでございます。

 第一期実施計画期間中において、黒石高等学校、五所川原工科高等学校、三本木農業恵拓高等学校の三校を開設しておりますが、開設に向けてどのような準備を進めてきたのか、この点をお伺いいたします。

 

◯花田委員長 教育長。

 

◯和嶋教育長 第一期実施計画では、中学校卒業者数が急激に減少する中にあっても、生徒たちに必要な学科の選択肢を確保するとともに、一定の学校規模を維持し、生徒の幅広い進路選択に対応できる教科、科目の開設や、学校行事をはじめとする特別活動等の充実、多様な部活動の選択肢の確保等、充実した教育環境を確保するため、複数校の統合を進めることとしており、昨年度に二校の統合による黒石高等学校、今年度に四校の統合による五所川原工科高等学校と三校の統合による三本木農業恵拓高等学校を開設したところです。

 開設に向けた準備について、開設の二年前には、統合校の教育活動の充実に向け、統合対象校の関係者等で構成する開設準備委員会を開催し、統合校の名称、特色ある教育活動及び目指す人財像等について検討の上、検討結果を報告書として取りまとめていただきました。

 また、開設の一年前には開設準備室を設置し、開設準備委員会の検討結果を踏まえて統合校の教育課程を検討するなど、開設に向けた具体的な準備を進めてきたところです。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 第一期実施計画期間中に開設した三校の統合校について、統合によりどのような教育的効果があるのかお伺いをいたします。

 

◯花田委員長 教育長。

 

◯和嶋教育長 第一期実施計画期間中に開設した三校については、統合により学校規模が大きくなったことで、生徒が集団の中で様々な個性や価値観に触れたり、互いに切磋琢磨できる環境が整備されるとともに、これまで統合対象校で取り組んできた特色ある教育活動を引き継ぎ、生徒の活動の幅が広がっております。

 特色ある教育活動の例として、黒石商業高等学校のペーパーファッションショーや、十和田西高等学校の観光ボランティアに関する学習などに取り組んでおります。

 また、三校いずれも普通科と職業教育を主とする専門学科を併設しており、そのメリットを生かした教育活動に取り組み、その充実に努めております。

 具体的には、普通科だけでは開設が困難な工業科や農業科などの専門学科の教科、科目を取り入れた教育課程を編成し、生徒に幅広い学びを提供するとともに、普通科の併設により共通教科の教員を多く配置することで、専門学科の生徒の大学進学等に向けた指導の充実に取り組んでおります。

 

◯花田委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 現在、第二期計画の策定も大詰めを迎えておりますが、今後とも少子化が進行していく中にあって、統合、閉校は避けて通れないものであると、これは受け止めなければならないと考えております。

 ただいま答弁いただきました黒石、五所川原工科、三本木農業恵拓の三校、新設の統合校として開設したわけでありますが、今後の高等学校教育改革に対する県民の理解促進を図る上においては、この三校が単なる名称の変更にすぎなかったのではないか、今後、そういった批判を受けることがあっては決してならないと考えております。つまりは、真の意味で、名実ともに新設の統合校としての歩みをこれから進めていくこと、これが今後の高等学校教育改革への県民理解の促進に、即効性はないと思いますけれども、必ずつながっていくと考えております。このことを念頭に、これら三校の学校運営に当たられることをお願いしたいと思います。

 残り三分ありますので、もう少しお話をさせていただきます。

 九月定例会一般質問で大変興味深い議論がございました。田名部定男議員の再質問に対する教育長の答弁であります。中学生の意向、これはアンケート調査の結果を答弁されましたが、この視点は極めて大事でありまして、今後の高等学校教育改革の推進において極めて大切な答弁であったと受け止めております。

 また、午前中、渋谷委員より様々な指摘がございました、地域の実情への配慮についても、田名部議員の一般質問に対して教育長が、具体的には通学、それから地域の産業構造に合わせた高校の役割が必要であるといった考えを示されました。教育長の答弁は、やはり教育行政の範疇での地域の実情への配慮にとどまるのだと思います。しかしながら、要望されている方はそれ以上のものを、地域の活力であったり、まちづくりであったり、経済──土日に地区懇談会があると思いますが、これは教育長の所管外のことを聞かれてしまうと議論は平行線をたどるのだと思います。意味は分かりますよね。

 それで、今後の展開なんですが、これは私の意見、問題提起です。このことに対する知事部局の役割、地域の経済、まちづくり、活力、これは教育委員会の所管ではないと思うのですよ。しかし、それを求められている。私は今後、対応が必要になってくると思います。今日はここで終わりますけれども、このことについては改めて議会の場で議論させていただきたいと思います。

 以上で終わります。