2020年03月19日:令和2年環境厚生委員会 本文

◯鳴海委員長

 ほかに質疑ありませんか。──高橋委員。

 

 

◯高橋委員

 それでは、私から、議案第19号「青森県障害者の意思疎通手段の利用の促進に関する条例案」の内容等についてお伺いいたします。

 本議案につきましては、既に本会議の質疑の場において、我が会派の山本議員を初め複数の議員から質問がなされております。質疑の場においては、条例案を策定した目的、また、意思疎通手段の利用促進に関する条例案と手話言語の普及に関する条例案を別々に策定したことについての県の考え、さらには、条例制定後、障害者の意思疎通手段に係る県民の理解を深めるため、県はどのように取り組んでいくのかといった部分での答弁をいただいているところでもあります。そのことを踏まえまして、以下、条例案の内容と条例制定後の取り組みについて何点かお伺いしたいと思います。

 1点目として、条例案第9条に規定されている、県が行う県民、事業者に対する意思疎通手段についての学習の機会の提供及び障害者とその保護者に対する学習の機会の提供とは、それぞれどのような内容となるのか。この点について答弁をお願いいたします。

 

 

◯工藤障害福祉課長

 県民、事業者に対する学習の機会の提供につきましては、障害者の意思疎通手段の種類や、簡単な実技を学ぶための講習会の開催、及び同種の講習会を開催する関係団体等への講師の派遣、当該関係団体の紹介等を行うこととしております。

 また、障害者やその保護者に対する学習の機会の提供につきましては、手話のできない聴覚障害者を対象とした手話講習会の開催、それから、中途視覚障害者に対する点字指導の実施等を行うこととしております。

 

 

◯高橋委員

 条例案第12条に規定されている、県が行う県民や事業者及び市町村に対する助言及び協力その他の支援措置とは、どのような支援を想定しているのか。この点についても答弁をお願いいたします。

 

 

◯工藤障害福祉課長

 県が行う助言及び協力その他の支援措置といたしましては、1つとして、県民及び事業者が県の障害者の意思疎通手段の利用の促進に関する啓発事業に協力する場合。2つとして、事業者が障害者の在職する事業所等において、従業員を対象とした意思疎通手段等を習得する研修を実施する場合。3つとして、市町村が障害者の意思疎通手段の利用の促進に関する施策を実施する場合等において必要な助言を行うとともに、制度や事業に係る情報提供、それから関係団体等の紹介等の支援を行うことを想定しております。

 

 

◯高橋委員

 県では、条例制定後、障害者の意思疎通手段の利用の促進にどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 

 

◯工藤障害福祉課長

 条例制定後におきましては、青森県障害者施策推進協議会における障害者団体や学識経験者等の意見を伺いながら、県民、事業者に対する学習の機会の提供や意思疎通支援者の養成、意思疎通手段を利用した県政等の情報発信等、障害者の意思疎通手段の利用の促進に関する施策について、市町村、県民等と一丸となって、計画的かつ着実に推進し、誰もが安心して暮らすことができる共生社会の実現に努めてまいります。

 

 

◯高橋委員

 条例案の内容と今後の利用促進の取り組みについて、それぞれお伺いいたしました。この委員会としての採決に当たり、内容と今後の取り組みについては十分理解いたしましたが、条例制定に係るこの間の過程と申しますか、プロセスについても考慮する必要があろうかと思います。既に今年度の本委員会において、11月には検討状況について中間報告をいただき、また、年が明けて1月には条例案の骨子も報告をいただいているところであります。

 先般、私自身、検討会のメンバーでもあったという障害者団体の代表の方とお会いする機会がございまして、複数の団体でありますが、聴覚障害者の方と視覚障害者の方とそれぞれお会いしました。この条例案は当初、手話言語の認識の普及も含めて一体的に検討されたということでありますが、障害の種別ごとにその意思疎通の手段は当然違うことから、条例の検討にあっても、なかなかその考えといったものの差異がどうしても生じてきた。そういったことで、検討会においても意見が分かれる部分もあったと。そのようなお話を聞いて、県としても意見集約と申しますか、そういった部分で大変苦労されたのではないかと推察したところであります。

 条例を2つに分けて検討することについては、既に検討会として委員総員の同意を得ているといった報告もいただいているところでありますが、そういった意見集約も含めて、条例制定に着手されてから今日に至るまで、県として苦労した点であったり、また、御留意いただいた点等があれば答弁いただきたいと思います。

 

 

◯工藤障害福祉課長

 県では、昨年7月に青森県意思疎通支援等施策検討会を設置いたしまして、7月に第1回目、9月に第2回目ということで、条例案策定に係る方向性等について検討を行ってきたところです。

 その中では、ただいま高橋委員がおっしゃいましたように、条例は一緒でよいという意見の団体、それから、条例はそれぞれ分けるべきではないかというようなさまざまな意見が出たところでございますが、昨年10月の第3回検討会におきましては、全ての障害者の意思疎通手段の普及と利用促進を図ることと、手話が日本語とは異なる独自の体系を持つ言語であることの認識の普及を図ること及び正確かつ効果的に県民に理解してもらうこと等を勘案し、委員総員により、全ての意思疎通手段の普及と利用促進に関する条例案と、言語としての手話の認識の普及に係る条例案を別々に検討することとしたところでございます。

 県ではこの決定を踏まえまして、2つの条例案を策定することとしたところでありまして、その後、12月に第4回検討会を開催いたしまして、1月にはパブリックコメントを実施し、今般、「青森県障害者の意思疎通手段の利用促進に関する条例案」を提出したところでございまして、言語としての手話の認識の普及に関する条例案につきましては、現在その策定作業を進めているところでございます。

 

 

◯高橋委員

 ただいま課長から答弁いただいた過程、プロセスを経て、県としても、検討状況に応じて意見集約等、御苦労されたのではないかと改めて感じたところでございます。

 この条例案の制定に着手したきっかけについて、それは恐らく、聴覚障害者の団体の方からの要請が主なるものであろうかと思いますが、もう一つ、これは私なりの捉え方なんですが、近年、県議会においても、複数の議員から本会議一般質問等で、手話言語の条例も含めて、障害者の意思疎通手段の利用に関する条例の制定について提案がなされてきたと受けとめているところであります。

 非常に私、記憶しているのですが、平成30年11月定例会において鳴海委員長が、前部長との再質問の際のやり取りで、かなり熱心にこの条例の必要性について議場で訴えられてきた。今年度、部長がかわられて直ちにこのことに着手していただいた。知事提案と議員提案の条例があり、知事提案の条例ではあるものの、そういった意味においては、議会側からの提案によって検討が始められた、そのようにも受けとめているところであります。

 また、今年度私どもは、7月3日には黒石市に、10月30日には宮崎県にそれぞれ出向きまして、この条例制定の先進自治体の取り組み等も県内外調査してきたところであります。その意味においては、知事部局と今年度のこの委員会が一体となって策定してきた条例である、そのようにも受けとめているところであります。

 それで、やはり条例制定に当たっては、そういったプロセスについて、議会との関係を十分重んじていただいた。その意味では大変ありがたい1年であったと捉えており、そういった部分で考慮いただいたものと思いますけれども、その部分での県としての見解と申しますか、そこを答弁いただきたいと思います。

 

 

◯工藤障害福祉課長

 青森県議会におかれましては、去る平成26年3月、県内の聴覚障害者団体からの要望を受けまして、手話が音声言語と対等な言語であることを広く国民に広めるため、手話言語法を制定することを内容とする意見書を採択し、国に対して提出したところです。

 また、条例の制定につきましては、昨年度から複数回にわたりまして、一般質問等で条例制定に係る県の考え方等について御質問もあったところでありますし、さらには、常任委員会でも、先進県であります宮崎県の視察等も行っていただいたところでございます。

 そのほか、昨年度、県ろうあ協会が開催いたしましたフォーラムや、今年度開催いたしました県の検討会におかれましても、議員の皆様にも御出席いただいたところであり、今回の条例案の提出に当たりましては、県のみならず各種団体、県議会の皆様の御協力のもと、提案に至ったものと考えております。

 条例制定後におきましては、青森県障害者施策推進協議会における関係団体、学識経験者等の意見を伺いながら、学習、施策につきまして市町村、それから県民等一丸となって計画的、着実に推進し、誰もが安心して暮らすことができる共生社会の実現に努めてまいりたいと考えております。

 

 

◯高橋委員

 質疑でも質問がなされ、答弁もいただいておりますが、今後、条例制定後、県民の理解を深めるための取り組みにおいて、チラシやパンフレットの作成であったりシンポジウムの開催等が予定されているということであります。当然、条例そのものの内容についての周知も必要でありますが、こういった障害者団体の協力、また、議会との連携を保ちつつ条例を制定したといった部分についても県民に対して周知していただくことで、条例制定後の取り組みも加速されるのではないかと考えておりますので、これは判断は委ねますが、提案させていただきたいと思います。

 最後に、来週火曜日、本会議にて議案の最終的な議決を経ることとなります。条例の制定の経過、あるいは内容、法の取り組みを踏まえますと、やはり全会一致での可決が望ましいものと思います。あと残り数日ではありますが、私どもは私どもなりに自分たちの会派の議員に声をかけたいと思いますし、全会一致での可決を得られるように、本会議開催時まで、県としても必要に応じて最後まで丁寧な説明と対応をお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。