2019年03月08日:平成31年度予算特別委員会(第2号)   本文

◯横浜委員長 これより質疑を行います。質疑時間は答弁を含めて一時間以内であります。なお、質疑時間の終了十分前に予告を、終了時に終了通告を、それぞれブザーで行います。

 質疑は、款項目を明示し、議題外にわたらないように願います。なお、質問と要望事項を明確に区分してください。また、答弁者も簡潔な答弁に努めてください。

 質疑は所定の発言席において、また、答弁は所定の答弁席でお願いいたします。なお、答弁者は、挙手の上「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。

 それでは、本特別委員会に付託されました議案第一号から議案第十七号までを一括議題とし、質疑を行います。

 高橋修一委員の発言を許可いたします。──高橋委員。

 

◯高橋委員 おはようございます。自由民主党の高橋でございます。

 議案第一号「平成三十一年度青森県一般会計予算案」についてでありますが、本定例会に来年度の予算案が上程されておりまして、総額で六千六百五十億円、四年ぶりのプラス予算、プラス額が二十億円、また、三年連続で基金の取り崩しゼロ達成、加えまして県債の発行額は二〇一八年度から四十六億円減りまして六百二十八億円といったことがポイントとして挙げられると捉えております。

 加えまして、平成三十一年度でありますが、新しい県の基本計画と新しい県の行革大綱のスタート年度でありまして、財政の健全化に御留意いただきながらも、人口減少などといった課題克服に向けた予算案であると、基本的にはそのように受けとめているところであります。

 その上で、以下、具体、個別の予算案について、通告順に質問してまいりたいと思います。

 一点目、歳出二款二項四目「総合交通対策費」、地域公共交通ネットワーク構築推進事業の取り組みについてでございます。

 まず、本事業の取り組みの内容についてお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 企画政策部長。

 

◯原田企画政策部長 県では、将来にわたって持続可能な交通ネットワークを維持、構築するため、平成二十八年に策定いたしました青森県地域公共交通網形成計画を踏まえまして、青森県地域公共交通再編指針を本年三月末までに策定することにしております。

 本事業では、この指針に基づきまして、引き続き交通事業者や市町村と連携しながら、県民が安心して移動、外出できるネットワークを構築するための広域バス路線の再編を推進いたしますとともに、交通拠点におけます広域路線バスと鉄道との乗り継ぎ状況を調査して、乗り継ぎ利便性の向上を図ることにしております。

 また、利用者が減少傾向にある地域公共交通の厳しい現状を踏まえますと、公共交通利用者の増加に向けた取り組みが重要であることから、企業向けアンケート調査や公共交通を利用した通勤を動機づける冊子の配布などによりまして、通勤における公共交通の利用を促しますとともに、市町村や交通事業者を対象としたオープンデータ化を推進する会議の開催によって、コミュニティバス、路線バスの運行情報が民間の交通検索サイトで利活用され、利用者に確実に届くよう取り組むことにしております。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 ただいま御答弁いただきましたが、地域公共交通のネットワークの維持が厳しさを増すといった中で、広域バス路線の再編、あるいは利用促進を進めることによって持続可能な交通ネットワークを維持、構築していくことは非常に大切な取り組みであると私も思います。中でも、広域バス路線の再編については、県民の日常生活に必要な移動手段を確保するために、地域の実情に合わせて市町村、また、交通事業者と密接に連携しながら進めていく必要があると考えます。

 そこで、広域バス路線の再編について、県はどのように取り組んでいくのか御答弁をお願いいたします。

 

◯横浜委員長 企画政策部長。

 

◯原田企画政策部長 県では、青森県地域公共交通再編指針に基づいて広域バス路線の再編を進めることにしておりまして、まず、早急に見直しを行うべき検討対象路線について、年度ごとの取り組み計画を定め、市町村や交通事業者とともに現状を踏まえた改善策を協議し、例えば広域バス路線とコミュニティバス路線の接続性の向上、または広域バス路線と域内バス路線の統合などの再編案を作成し、順次、再編を実施してまいります。

 また、この再編内容を類型化し、モデル的に整理し、次年度以降の広域バス路線再編の検討の参考にするとともに、市町村や交通事業者による主体的な市町村内での路線再編の取り組みを促すために活用していくことにしております。

 さらに、広域バス路線と域内交通等との接続時間や待合環境などについて、定期的に調査し、改善を促すことによりまして、広域バス路線と域内交通の連携を図ることにしております。

 これらの取り組みにつきましては、県バス交通等対策協議会地域分科会等で取り組み状況を常に情報共有しながら、着実に実行するとともに、市町村が策定する地域公共交通網形成計画や再編実施計画に取り込むなどして、広域路線と市町村内路線とが有機的に連携した将来的に持続可能なネットワークが形成されるよう取り組んでまいります。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 今後、進行していく人口減少社会への対応、また、これから取り組もうとしている青森県型地域共生社会の実現のためにも、公共交通機関をしっかりと維持していくことが大切であると受けとめておりますので、着実に実行していただきたいとお願いしておきます。

 続いて、二点目でありますが、歳出三款二項一目「児童福祉総務費」、里親養育包括支援事業の取り組みについてであります。

 これについては、昨年の一般質問で里親制度について質問させていただきました。その後の県としての新たな取り組みも来年度から始まるようでありますので、その点について質問させていただきたいと思います。

 平成二十八年に児童福祉法が改正されまして、この改正によって、家庭養育優先の原則の理念が規定されております。また、国全体の里親等委託率が平成二十九年度末で一九・七%と、諸外国に比べて低く、大きな課題になっていると。そのことを受けて、国は平成二十九年、社会的養育ビジョンを取りまとめて、その中で里親等委託率については、国として高い目標を設定していると理解しております。

 このような状況で、県では来年度末までに社会的養育推進計画を策定し、その計画に基づいて里親のさらなる普及と質の高い里親養育に取り組むとのことであります。

 そこで、事業を取り組むこととなった背景についてお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 健康福祉部長。

 

◯菊地健康福祉部長 平成二十八年の改正児童福祉法により、子供の家庭養育優先の原則が明記されました。虐待などで家庭での養育が困難と判断された子供の養育につきましては、家庭と同様の養育環境である里親、ファミリーホームへの委託を推進していくことが求められています。

 平成二十九年八月に国が取りまとめました新しい社会的養育ビジョンでは、里親等委託率について、三歳未満はおおむね五年以内に、三歳以上の就学前の子供に関してはおおむね七年以内にそれぞれ七五%以上、学童期以降に関してはおおむね十年以内を目途に五〇%以上実現するという目標が示されています。

 平成二十九年度末における本県の里親等委託率は二四・八%と、全国平均の一九・七%を上回ってはいますが、国の目標と比べますと低い状況にあります。

 県では、来年度末までに策定することとしております社会的養育推進計画において、地域の実情を踏まえて里親等委託率の数値目標を定めることとしており、今後は里親等委託をさらに推進していきます。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 今、御答弁いただきましたが、国は三歳未満の子供をおおむね五年以内に七五%以上と設定していると。現状では本県は三〇%でありまして、三歳から就学前の子供が七年以内にこれまた七五%以上。青森県は、現状では三六・一%。学童期以降の子供、おおむね十年以内に五〇%以上、国として目標を設定しておりますが、青森県は現状、二四・八%。いずれも数字上はほぼ倍という考え方でいいんですかね。例えば、今、百世帯の方が里親制度として子供を受け入れているとすれば、その倍ですね。国を基準とした場合、その実数というんですか、数字上の伸びはどの程度、必要となるのかというのは押さえていますでしょうか。

 

◯横浜委員長 健康福祉部長。

 

◯菊地健康福祉部長 来年度、計画を策定することとしておりますので、それに向けてワーキング等のチームも設置して開催していくこととしております。そういった中で、地域の事情も含めて、県でどのように目標設定していくべきかという議論もしていくこととしておりますので、そういった中で、数字の扱い、目標値の扱いということは対応していきたいと考えております。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 これは非常に難しい問題だと思います。国とすれば、法改正をして、相当高い目標を設定して、国全体で家庭的養育を徹底していこうと。ただ、一方で、青森県も含めてそれぞれの都道府県で実情が当然異なる。そういった中での計画の策定であろうかと思います。私自身は、基本的には法律が改正されて、法改正によって国としてビジョンを策定したと。その目標は高い目標ではありますが、重いものがあると受けとめておりますので、来年度一年間、地域の実情も踏まえながら、難しい設定になろうかとは思いますが、じっくりと関係者の皆さんと協議していただきたいと思います。

 それで、今定例会に来年度の予算として提案されている事業の取り組み内容そのものについての御答弁をお願いいたします。

 

◯横浜委員長 健康福祉部長。

 

◯菊地健康福祉部長 里親養育包括支援事業については、里親が子供に最善な養育を提供するための適切な支援を受けられるよう、児童相談所と里親支援の経験が豊富な社会福祉法人などが連携しながら、里親支援の一連の業務を一体的、包括的に行うものです。

 具体的には、中央児童相談所と八戸児童相談所にそれぞれ一名ずつ配置いたします非常勤の里親委託推進員と業務を委託する社会福祉法人三カ所に配置することとしております里親リクルーター、トレーナーとが緊密に連携し、一つとして、積極的な里親募集や広報啓発による里親のリクルート及び里親制度の理解促進、二つとして、里親登録に係る登録前、登録後研修、事例検討やロールプレイ実習の実施、三つとして、子供、実親及び里親家庭のアセスメントや里親の選定、面会交流等のマッチング、四つとして、里親家庭への定期的な訪問等による相談支援、また、里親の相互交流のための里親サロンの開催などを行うこととしております。

 これらの取り組みを通じて、里親制度の普及や里親の開拓、研修、相談支援等について、これまで以上に効果的に取り組んでいきたいと考えております。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 NPO団体であったり、民間の支援団体であったり、そういった取り組みによって委託率が大幅にアップしているといった他の都道府県の事例もございますので、本事業、民間委託するということでありますが、その成果に期待したいと思います。

 そして、何よりも、まずは里親と一言で言っても、いろいろな種類がありますし、社会全体でさまざまな境遇にある子供を育てていく、養育していく、そういった県民全体の意識醸成が改めて必要になってくる、求められると捉えておりますので、まずはその部分を重点的に推し進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 引き続きまして、歳出七款一項十目「新産業創造費」、新産業海外展開推進事業の取り組みについてお伺いいたします。

 事業の背景及び目的についてお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 商工労働部長。

 

◯田中商工労働部長 台湾はリンゴを初めとする県産品の輸出やインバウンドなど、本県とかかわりの深い地域であり、これまでも多方面にわたる交流が行われてきました。

 こうした中、平成二十九年十月に開催された、あおもり産学官金連携デイに、台湾の経済団体である中華民国三三企業交流会及び台日商務交流協進会の会員企業代表者など約六十名が来県し、本県中小企業との交流が行われたのを契機としてビジネス交流を深めていく機運が高まり、昨年十二月に知事が代表を務め、県内の主要な産学官金の機関で構成するイノベーション・ネットワークあおもりと、あおもり産学官金連携デイに来県した台日商務交流協進会及びグローバルな貿易推進団体である台北市進出口商業同業公会との間で経済交流に関する覚書が締結されたところです。

 今後は、この覚書を基本としながら、本県発の美容健康素材であるプロテオグリカン、あおもりPGの台湾への展開や情報関連産業における台湾企業とのネットワーク構築などを中心に、本県と台湾のビジネス交流を推進することとしています。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 プロテオグリカンの台湾を中心とした海外展開を行っていくということでありますが、具体的に本事業においてどのようにこのことに対して取り組んでいかれるのかお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 商工労働部長。

 

◯田中商工労働部長 まず、あおもりPGの海外展開については、台湾に輸出支援者を配置し、台湾企業との商談マッチングを支援するとともに、台湾における、あおもりPGの認知度向上を図るため、知事を先頭にプロモーション活動を展開し、販路拡大による外貨獲得を目指していきます。

 また、情報関連産業については、両地域のビジネス交流の基盤構築に向けて、台湾において県内企業と台湾企業及び関連業界団体との交流の機会を設けることなどによりネットワーク構築を図り、今後のビジネスにつなげていきます。

 さらに、円滑な海外展開に当たって重要となる商標権、特許権等の知的財産の保護、活用に関して万全を期すため、留意すべきポイントの周知等を行うセミナーや相談会を開催するほか、一般社団法人青森県発明協会に海外知財専門家を配置し、海外展開に向けたアドバイスを行っていくこととしています。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 情報関連産業、あるいは知財活用の部分、それから台湾の経済団体の受け入れ等も含めて行っていくということであります。青森県にとっては、リンゴの最大の輸出先でありまして、古くからの関係の深い地域であります。また、近年は観光客の方が急増しているということでありますので、これまで培ってきた台湾とのつながり、台湾における青森の知名度といったものを生かしながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 引き続きまして、歳出七款二項一目「観光振興費」、青森型観光マーケティング強化促進事業の取り組みについてでございます。

 本事業の取り組み内容をお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 観光国際戦略局長。

 

◯秋田観光国際戦略局長 観光客のニーズが多様化する中、本県が旅の目的地として国内外の観光客から選ばれ、人の流れを創出していくためには、次期観光戦略を推進する上でマネジメントサイクルの強化並びに地域のマーケティング機能の構築及び人財の育成に取り組み、戦略的、持続的に観光地域づくりを進めていくことが必要であると考えております。

 このため、本事業では、観光マーケティングの専門家によるマーケティング集団を核として、各種統計データを定期的に分析し、その勘どころを観光事業者と共有するとともに、日本版DMO候補法人等と定期研究会を開催ことにより、地域のマーケティングを担う人財を育成していくこととしております。

 また、県内の観光コンテンツをモデルとし、インターネットを活用したアンケート調査やグループインタビューなどにより、ニーズや潜在顧客層を把握するとともに、効果的な訴求方法や分析過程をモデル手法として取りまとめ、日本版DMO候補法人等と共有することにより、地域のマーケティング機能の強化に取り組んでいくこととしております。

 県としましては、関係者の意識醸成とスキルアップを図りながら、観光マーケティングとマネジメント機能を強化し、県内各地域での戦略的な観光地域づくりの取り組みを促進していきたいと考えております。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 マーケティング強化を促進していくということでありますが、よくマーケティング、必要であると、大切であると言われますが、観光事業者の方にとってであれば、具体的に何をどうすればいいのか、なかなか商売に結びつけるやり方というか形がわかりにくいといった声も実際に伺っているところでありまして、この取り組みによって人財の育成等を初めとして、多岐にわたって観光事業におけるマーケティングの機能を強化していくということでありますので、より観光事業者にとって受け入れやすいと申しますか、実際に商売につなげていけるような形での取り組みを期待したいと思いますので、その点についても御配慮のほど、お願いいたします。

 関連いたしまして、現在の未来へのあおもり観光戦略セカンドステージが本年度をもって終期を迎えると伺っております。地域や関係者が一体となって本県観光の振興に今後とも戦略的に取り組んでいくことが必要になると考えます。次期観光戦略の基本的な考え方について、御答弁をお願いいたします。

 

◯横浜委員長 佐々木副知事。

 

◯佐々木副知事 人口減少を克服し、国内外からの交流人口を拡大し、外貨を獲得して経済を回していくためには、本州の北の結節点に位置する地理的優位性と豊富な地域の魅力を生かした観光振興といった役割が極めて重要であると認識しております。

 このため、官民の関係団体で構成する青森県観光国際戦略推進本部では、年度内に来年度から五年間の新たな観光戦略を策定することとしており、この中で本県が魅力ある旅の目的地として世界から選ばれ、観光産業が基幹産業となり、地域を牽引する原動力となることを十年後の目指すべき姿として掲げております。

 この将来ビジョンの実現に向けましては、観光客数の増加など、県内総時間を拡大する量的な視点とともに、消費効果の拡大の視点から、本県滞在中の時間をより充実したものとする滞在の質を高める取り組みも推進していくこととしております。

 そして、滞在中の観光客の満足度を向上させ、それによって、また行きたい、知人等に勧めたいといった次の旅行のきっかけにつなげる旅の好循環を生み出すような取り組みを戦略的に展開していくこととしており、しっかりと取り組んでまいります。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 いただいた資料によれば、二〇一七年、現状でインバウンドの宿泊者数が二十六万人泊、先日の国の発表では、最新の数値は二十九万人泊と。五年後、二〇二三年、数値目標として二〇一七年を起点にすれば、ほぼ倍、五十万人泊を青森県で目指すと。大変意欲的な目標を掲げられていると受けとめているところであります。そして、ただいま御答弁にあった、さらに五年後、今から十年後ですね、観光戦略で将来ビジョンを打ち出しておりますので、こういった目標の実現に向けて取り組んでいただきたい、また、青森県の基幹産業、大きな柱にするということでありますので、その成果を期待したいと思います。

 続きまして、歳出六款六項十目「水産業振興費」、陸奥湾ほたてがい養殖効率化事業の取り組みについてであります。

 昨年、ホタテの養殖に関して、一般質問で質問させていただきました。その際に、県が実施した調査で十年後廃業する漁業者の生産を補えない場合、ホタテの養殖が減産していく可能性があることも示唆されるなど、将来に向けて心配な部分も感じました。陸奥湾ホタテガイ養殖は、漁業者のみならず、加工業者、流通業者も含めて地域を支える重要な産業であります。今後も生産量を安定させていく取り組みが不可欠であると受けとめております。

 そこで、この事業を実施することとなった背景についてお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 農林水産部長。

 

◯高谷農林水産部長 陸奥湾のホタテガイ養殖業は、漁業者の高齢化や後継者、労働力不足が進行していることから、養殖業者は共同作業や機器の共同利用などによる協業化の必要性を認識しているものの、養殖施設が離れていることや、生産規模の違いによる労力負担の不公平感から協業化が進んでいない状況にあります。

 また、生産面においては、夏季の高水温対策として、養殖施設を水温の低い低層に沈めていますが、ヤマセに伴う海底付近での速い潮の流れにより、養殖かごの中でホタテガイが挟み合うなどしてけがをし、へい死の原因となっています。

 こうしたことから、本事業では、ホタテガイ養殖の効率的、かつ安定的な生産に向け、省力化を図る協業化のモデルづくりと、へい死を抑制する技術の確立に取り組むものです。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 二点目として、事業の取り組み内容についてもお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 農林水産部長。

 

◯高谷農林水産部長 本事業の取り組み内容のうち、協業化のモデルづくりでは、県が協業化に取り組む意向を持つ漁協等で構成する検討会を漁協ごとに立ち上げ、国の研究機関のサポートを受けながら、協業化が可能な作業や課題を整理した上で、各漁協の協業化モデルを作成します。

 また、潮流等によるへい死の抑制技術の確立に向けては、県産業技術センター水産総合研究所と連携し、陸奥湾内の主な養殖施設において、潮流等のデータ収集やホタテガイの成育調査を行い、ヤマセに伴う潮流や、それによって引き起こされる海底の泥による濁りがホタテガイの成長、へい死などに及ぼす影響を解明、検証するものです。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 協業化のモデルづくりと潮流等対策技術の確立、この成果が陸奥湾の養殖ホタテガイの安定生産につながっていくことを期待いたします。

 引き続きまして、歳出六款六項十三目「水産基盤整備事業費」、造成漁場と魚類養殖施設の一体化モデル実証事業の取り組みについてであります。

 青森県の陸奥湾以外の外海域、スルメイカの不漁を初めとして、なかなか漁業が成り立たないと、漁業経営が厳しいといった声をよく伺います。こういった中にあって、県としても漁業経営の安定に向けた取り組み、さまざま行っておりまして、漁場の整備、あるいは水産資源の増大といった取り組みも行っておりますが、より安定的な漁業収入を得るためにも、つくり育てる漁業、養殖業にさらに取り組んで、計画的に生産していくといった視点も必要であると捉えているところであります。

 そこで、本事業を実施することとなった背景、県としてどのように捉えているのか、この点についてお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 農林水産部長。

 

◯高谷農林水産部長 本県の日本海、津軽海峡及び太平洋の外海域沿岸の漁業者からは、スルメイカの不漁やクロマグロの漁獲規制などにより経営が厳しさを増す中で、安定した漁業生産に向けた漁場整備のさらなる推進や魚類養殖へ期待が高まっています。

 しかしながら、新たな漁場整備や防波堤の整備により養殖用の静穏な水域をつくるためには、多くの時間と経費を要します。また、外海域での魚類養殖は、冬季の波浪等による養殖施設の破損や給餌できない状態が長期化するなどの課題があるため、現在は一部の静穏な場所のみでの実施にとどまっています。

 こうしたことから、本事業では、外海域での新たな方法による魚類養殖に向けた給餌方法等の確立とあわせて既存造成漁場の増殖機能の向上に取り組むものです。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 そこで、本事業の取り組み内容についてお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 農林水産部長。

 

◯高谷農林水産部長 本事業では、新たな魚類養殖の方法として、波浪時に生けすを沈下させて安定を保つことができる浮沈式の養殖施設を活用し、給餌の方法と造成漁場での増殖機能の向上を実証するものです。

 具体的には、来年度から通常の生けすを漁港内に設置し、給餌しない期間別や給餌量別に養殖魚の成育を比較調査いたします。その中で最適な方法について、沖合の造成漁場の上に設置した浮沈式の養殖施設で実証するものです。

 また、多くの魚介類には海中の漂流物に集まる習性があることから、既存の造成漁場の上に養殖施設を設置することで天然の魚介類がふえる効果等についても確認することとしております。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 養殖に興味があった外海域の漁業者でも波浪の課題、外海域での波の高さ等、そういった課題によってなかなか導入できなかった状況にあったと推測いたします。

 それから、今、日本海であったり、津軽海峡であったり、サーモンの養殖も行われておりますが、今後、外海域の漁業者からこういった養殖業へ移行する、参入する、そういったニーズも高まってくると想定されます。したがって、実証事業を行うということでありますので、成功させていただいて、本県全体の漁業経営の安定化にさらに努めていただきたい、そういった部分を期待して終わります。

 最後でありますが、債務負担行為、新青森県総合運動公園新水泳場等整備運営事業費についてでございます。

 債務負担行為として設定する新青森県総合運動公園新水泳場等整備運営事業費の概要についてお伺いいたします。

 

◯横浜委員長 県土整備部長。

 

◯福士県土整備部長 新青森県総合運動公園新水泳場等整備運営事業は、青森市宮田地区に整備中の新青森県総合運動公園に、日本水泳連盟公認の屋内五十メートルプールを新たに整備するとともに、その完成後は同公園の全域と青森市安田地区にある青森県総合運動公園の運動施設区域について、一体的な運営、維持管理を行うものです。

 事業手法はPFI方式を導入することとしており、事業期間が複数年度にわたるため、債務負担行為を設定するものであります。

 新水泳場の整備に係る経費としては、二〇二〇年度から二〇二三年度までの調査設計費、工事費、備品購入費等として六十五億円を見込んでおります。

 また、運営、維持管理に係る経費としては、今後整備する新水泳場や来年度に完成する新陸上競技場及び既存の運動施設について、二〇二四年度から二〇三八年度までの十五年間、一体的に運営、維持管理を行うための費用として百四億円を見込んでおり、総額百六十九億円の債務負担行為を設定するものでございます。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 PFI方式を導入することによって、どのような効果が期待されるのでしょうか、お伺いいたします。

 

◯横浜委員長 県土整備部長。

 

◯福士県土整備部長 今回、新水泳場の整備等にPFI方式を導入することにより、従来方式では個別に実施していた施設設計、工事及び運営、維持管理を一体的に行うこととなります。

 このことにより、設計から運営、維持管理までを通して民間事業者の技術やノウハウ等を総合したすぐれた提案がなされ、財務負担の軽減や質の高いサービスの提供が実現されるものと期待しているところです。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 ただいま効果の部分の御答弁いただきましたが、工事においては施工性が、あるいは機能性が確保される、また、維持管理、運営の部分では効率性、利便性、財務負担の軽減等も──まあ、財務負担の軽減は全体でしょうが、そういった効果が期待されるということであります。であれば、もっと早くPFI方式を導入されればよかったのではないかと捉えることもできますが、この点についてはいかがでしょうか。

 

◯横浜委員長 教育長。

 

◯和嶋教育長 新陸上競技場については、県教育委員会が平成二十三年十月に定めた青森県スポーツ振興基盤整備計画に基づき最優先で整備することとしており、平成二十四年三月には、同競技場の基本計画を策定し、陸上競技場設計提案の公募を経て、平成二十五年一月に設計者を選定したところです。

 PFI方式については、平成十一年七月に施行された民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律により、公共施設の整備手法の一つとして制度化されておりますが、新陸上競技場の基本計画を策定した平成二十四年三月当時は陸上競技場に関する他自治体のPFI導入による効果の検証材料が十分ではなかったことから、新陸上競技場の整備においてPFI方式の導入は検討していなかったものです。

 屋内プールに関しては、全国的にPFI方式による整備事例が増加している状況であり、本県においても平成二十八年二月に策定した青森県公共施設等総合管理方針において、大規模な施設整備に当たってはPFI方式の活用を検討することとしたところであり、平成二十九年度のPFI導入可能性調査の結果等を踏まえ、PFI方式により実施することとしたものです。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 平成十一年にはPFI法が制定されて制度化できると。それ以降はこの方式の導入というのは実現できたことは間違いないと思います。ほかでやってない、そういった事例がないという御答弁でありますが、それはちょっと理由としては乏しいんじゃないかと。当時、この導入については検討されたんでしょうか。

 

◯横浜委員長 教育長。

 

◯和嶋教育長 陸上競技場についてのPFIの活用という部分は、当時、ほとんど材料がなかったということで検討はしておりませんでした。その後もPFI方式による陸上競技場の建設については、ほとんど全国では例が少ないと承知しております。

 

◯横浜委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 当時は検討してなかったと率直な御答弁であろうかと思います。平成二十八年度から導入に対して検討を始めて、平成二十八、二十九、三十年度と検討を進めてきて、来年度の水泳場からこれを導入するという御答弁であろうかと思います。

 民間資金の導入、活力の導入、これは本当に最近、さまざまな事例がありまして、興味深い事例として大阪府吹田市に市立のサッカースタジアムがありまして、ネーミングライツでパナソニックスタジアム吹田という名称を使っていると。日本で初めて寄附金と助成金のみでつくられたスタジアムでありまして、ほとんど税金はゼロに近い形で、寄附金が主な財源として賄われたために、設計施工一体型で発注して、徹底的なコストダウンを実施されているようであります。延べ床面積が六万四千平米、地上六階建て、収容人数四万人、事業費が百四十億円。単純に事業費を収容人数で割れば、一席当たり三十五万円。

 一方、今、供用を開始されようとしている青森県の陸上競技場でありますが、吹田市のスタジアムとは、もちろん、仕様が違いますし、目的が違うということでございますが、ほぼ同時期に事業に着手された大型の体育施設でありますが、吹田市の延べ床面積六万四千平米に対して青森県は三万一千五百平米。吹田市が地上六階建てに対して、青森県は地下一階、地上四階。収容人数は吹田市が四万人に対して、青森県は二万人。事業費は吹田市が百四十億円、青森県は総額で百五十五億円。一席当たり七十七・五万円ということでありまして、私、二年ほど前、この工事を設計された大手のゼネコンの担当のマネージャーの方の講演を聞く機会がありまして、一般的に考えれば、ほぼ半額でつくっちゃっているんですね。なぜこれだけコストダウンを実施できたのか。いろいろな要素がありますが、まず、屋根に関しては3Dトラス構造。普通は二Dというか、縦と横ではりをつくって、その上に鉄板を乗せていく。3Dでありますので、斜めのはりもつけて、それで四〇%、鉄筋の量を減らした。それから、プレストレストはり、プレストレスト鉄筋コンクリート、非常に強いコンクリート柱を使ってはりであったり、柱であったり、一般的なものよりも、そういった新しい技法を使った。また、つくり方はプレキャスト。現場でコンクリートを打たないで工場でコンクリートを打って、部品のようなものを現場に持ってきてはめ込んでいくと。そういったことで、スタンドだけではなくて、基礎も骨組みも全部そういう形で、つくり方にも相当工夫を凝らしたようであります。

 吹田市も青森県も、震災の後で、また、東京オリンピックの建設需要の高まりというのもあって、非常に人員の確保に困難を極めたのでありますが、こういった工法であったり、技術を結集してやられたと思うんですが、さすが世界を相手にするパナソニックだな、ものづくりに関して非常に極めている、そのパナソニックスタジアムに関しては、ほとんど人員を充てないで、そういった部分でも相当苦労されと思いますが、コストカットを図ることができたといった部分があります。

 もう一つ、興味深いのは、吹田市のスタジアムは動線が全部真っ直ぐなんですね。曲線がまずないです。屋根もスタジアムの形状も、サッカースタジアムなのでそもそも四角いんですが、でも、曲線は全く使わないで非常に機能性重視、シンプルに。一方で、私、どちらもいい工法だと思うんですけれども、青森県の場合は非常に特徴的な大型の屋根を設置されておりまして、施工業者にお聞きしたわけでないのでわかりませんし、私も専門家でないのでわかりませんが、素人なりに考えれば、パネルを一個ずつ組み込んでいって、一千個ぐらいあると聞いたんですが、曲面が全部違うというんですね。施工そのものに相当苦労されたのではないか、そういった部分での工事そのものの難しさもあったのではないかと。

 私はどっちもいい施設だと思うんですよ。青森県は非常に著名な建築家の方が設計されて、まさしく後世に残るような大型の陸上競技場、体育施設ができた。皆であの施設を誇りに思っていかなければならない、そういった考え方もありますし、一方で堅実的にと申しますか、機能性重視でパナソニックスタジアムは客席に全部、屋根をかけたんですね、百四十億円で。そういったやり方で、実は同じ時期に大阪と青森で行っていたということで、私自身、そういった部分で二年前、担当の方からお話を直接聞く機会がございました。

 この九月から供用が開始されるわけでありますが、せっかくつくった青森県の陸上競技場でありますので、広く県民に親しんでいただいて、さまざまな場面で多くの県民の方に使っていただきたいな、切に願うところであります。

 そして、これから水泳場をPFIでやるということでありますが、今回は設計、施工を一体化して、さらに維持管理まで一体化するということであります。これ、非常に大きな変革であるのかなと捉えておりまして、吹田市の御担当の方から設計段階で施工のやりやすさを考慮して設計したといった話もありましたので、参考になるかもしれませんし、向こう十五年間、両公園を管理するといった債務負担行為でありますので、今までは五年ごとの指定管理制度で行ってきましたが、向こう十五年というのは非常に長いスパンでありまして、青森県の体育、スポーツ振興の拠点となる公園を管理する業者が、五年後、水泳場ができた段階で十五年後、それを今、これから決めようとしておりますので、その業者の選定は青森県の体育振興そのもの、向こう十年、二十年、そういった部分を担う大事な決定になると私自身は捉えております。

 四年前ですが、私、本会議で競技場の入札が二回不調になったときに、野球場、水泳場、陸上競技場、一体化して設計を見直すべきではないかと一般質問の場で御提言もさせていただきましたが、結果とすれば、設計が行われておりましたので、その場面で違約金等も発生しますので、それはいたし方ないと諦めましたが、しかし、将来にわたって我々が使う施設ではなくて、我々の子供たちや孫たちにどういう大型の体育施設を残そうとしているのか、このことが今後とも問われていくものと思います。したがって、これから設計、整備する水泳場に関しては、そういった私の考え方、あくまで個人的な考え方ではありますが、一つの参考にもなり得るかもしれませんので、どうぞ御考慮いただきまして、今後の事業に当たっていただきますよう心からお願いして終わります。