2018年11月20日:平成30年農林水産委員会 本文

◯齊藤委員長

 ほかに質疑はありませんか。──高橋委員。

 

 

◯高橋委員

 それでは、陸奥湾産ホタテガイの安定生産に向けた県の取り組みにつきまして、質問をさせていただきます。

 先般の9月定例会の一般質問の際に、ホタテガイ養殖の振興に向けた取組について、今年の生産状況、また、昨年度から2カ年にわたって行われております生産構造調査の結果を踏まえて、これから県はどのように取り組んでいくのか、といったことをお伺いいたしました。部長からはそれぞれ御答弁いただいたわけで、たびたびで恐縮ではありますけれども、本会議の場で要望として申し述べた事項に関連いたしまして、今日は数点お伺いさせていただきます。

 まず1点目でございますが、適正養殖可能数量、いわゆるTASCについては、導入から一定期間、年数が経過しております。平成21年に暫定数量で導入され、平成22年に本格スタートと認識しておりますが、これが経過しております。また、先ほど申し上げました生産構造調査についても、現在行っていることから検証の必要があると考えますし、過去にそういった答弁もいただいております。そうしたことから、このTASCの検証の必要があると考えますが、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 

 

◯松坂水産振興課長

 平成22年度から実施しているTASCにつきましては、陸奥湾でのホタテガイの餌の量や養殖業者の経営実態などの調査結果をもとに、数量を9万500トンに設定していますが、現在の養殖環境が、その当時と比べて変化していることも考えられます。

 このため、県では、ホタテガイの餌となります植物プランクトンの発生量の調査などに取り組んでいるほか、養殖業者の経営状況や漁場の利用状況等を把握する生産構造調査を行ったところでございます。

 今後は、これらの調査結果から現在のTASCを検証し、適正数量を算定した上で、養殖管理を指導していくこととしております。

 

 

◯高橋委員

 ただいまの御答弁で、現在、9万500トンにTASCを設定しているということでありますが、県全体の設定の数量だと思われますけれども、各漁協に対してはどのように割当がされるのか、この点についてお伺いいたします。

 

 

◯松坂水産振興課長

 TASCの各漁協の割当数量ですが、平成20年3月末に陸奥湾漁業振興会の内部に設置されております陸奥湾漁業安定対策本部が平成14年から18年の各漁協の5カ年の平均漁獲量をもとに、陸奥湾全体の漁獲量に占める割合を産出し、9万500トンにその割合を乗じた数量を割り当てたものとなっております。

 なお、TASCによる管理が本格的に始まった平成22年度以降、各漁協には同じ数量で割り当てられております。

 

 

◯高橋委員

 関連いたしまして、近年、半成貝や成貝で一部にへい死が見られると聞きますし、先ほど冒頭、部長からもへい死の状況の御報告もいただいたわけでありますが、これらへい死の抑制に向けて、県がどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

 

 

◯松坂水産振興課長

 県では、近年の半成貝や成貝のへい死は、過密養殖に加えまして、夏の高水温で衰弱した貝が秋以降の篭替えなどで体力が回復しないまま、冬の波浪の影響等により互いにぶつかり合い、貝殻を形成する外套膜が損傷することで発生しているというふうに考えています。

 このため、県では、適正な収容枚数による管理を行うよう、漁業者への指導を徹底しているほか、今年度から、夏の高水温で衰弱した貝の体力を回復させる管理技術の確立に向けまして、秋以降の適切な作業時期を明らかにするための調査に取り組んでいるところでございます。

 

 

◯高橋委員

 それぞれ御答弁いただきました。何度も申し上げておりますし、御答弁もいただいておりますけれども、ホタテガイの過密化が現状のまま続きますと、やはりへい死率の上昇、また、成長の不良に伴うリスク拡大の可能性が高まることが懸念されます。この解消による、まさしく真の意味での持続可能な生産体制の確立ということが、やはり克服すべき課題であると言えると思います。したがいまして、生産構造調査等も踏まえた漁協ごとの適正な数量、また、養殖の方法といったものを踏まえて、10年後を見据えたシミュレーションを行った上で、これからの生産プラン策定し、先般の一般質問でも部長から御答弁いただきましたが、引き続き安定生産に向けた取組、指導を行っていただきたいと改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 陸奥湾の沿岸地域にとりまして、このホタテガイの養殖はまさに成長の柱であり、地域の活力の源であると捉えております。さまざまこれからも課題が発生する可能性もありますけれども、そのときはその段階で、また議会を通じて私も質問をさせていただきたいと思いますし、また、今後とも、より具体的な解決策を答弁として示していただきたいということもお願いいたしまして、質問を閉じさせていただきます。