2018年01月22日:平成30年新幹線・鉄道問題対策特別委員会 本文

◯成田委員長

 それでは、ただいまの報告事項について質疑を行います。

 質疑は所管外にわたらないよう簡明に願います。

 なお、答弁者は、挙手の上、委員長と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。

 質疑ありませんか。──高橋委員。

 

 

◯高橋委員

 ただいま副知事、また企画政策部長より、青函共用走行区間の高速化に関する国の検討結果、来年度の予算の決定の内容につきまして御報告を頂戴いたしました。御報告いただきました内容に基づきまして、北海道新幹線にかかる青函共用走行問題について、私から何点か質問をさせていただきます。

 質問の前提として、県も、そして我々県議会も、決して忘れてはならないのは、青森県民がこれまで北海道新幹線の建設にかかる803億円もの多額の地元の負担を受け入れてきたということであろうかと思います。

 北海道新幹線が開業し、開業時には青函トンネルを時速260キロで走行し、新青森と函館が大体40分程度で結ばれるというこれまでにない時間の短縮の効果を大いに期待し、そのことによって交流の人口がふえ、また経済的にも文化的にもさまざまな地域への波及効果が得られるという思いがあったからこそであります。

 しかしながら、改めて言うまでもありませんが、貨物列車との共用走行の安全性を確保する、極めて安全性の確保は大切なことではありますが、当面このことによって現在の140キロでしか走行できないことについては、安全のためであれば仕方ないと我々は断腸の思いで受け入れてきたところであります。

 そして、平成25年に国が示した当面の方針では、平成30年春、つまり、ことしの春には1日1往復の高速化を目指すと示されていたものが、一昨年秋にレールの削正作業が必要であることから3年程度延長しなければならないという国からの説明がありました。

 そういったことで、前回の特別委員会の場で、国の検討の場に県も正式にメンバーに加えるよう国に対して要請したところです。そして、これに応えて設置された青函共用走行区間等高速化検討ワーキンググループにおいて、ただいま説明がなされた、高速化に向けた検討結果が示されたところであります。

 その上でお聞きしたいわけでありますが、まずは1点目として、今回示された方針について県はどのように評価されているのかお伺いいたします。

 

 

◯青山副知事

 当面の方針で示されました平成30年に1日1往復の実施が3年程度延期されるという説明が、昨年度、国からあり、県としては不本意ではあったものの、委員からもただいまお話しがありましたとおり、安全性の確保が最も重要であるということを踏まえればやむを得ないものと判断する一方で、高速化の実現に向けた検討を進めるに当たっては、青森県、北海道も正式な検討メンバーに加えるよう国に対し要請するなど、共用走行区間の高速化の一日も早い実現に向けて取り組みを強化してきたところです。

 その結果、昨年4月7日に、国が設置いたしました青函共用走行区間等高速化検討ワーキンググループに、本県からも県のほか青森県商工会議所連合会、青森県観光連盟が検討メンバーの一員として参画し、一日でも早い新幹線の全列車の高速走行の実現と、時間帯区分案による高速走行の着実な実施を強く求めてまいりました。

 今回、国から示されました方針のうち、青函トンネル内の時速160キロでの走行については、平成30年度末には全ての新幹線について時間短縮が図られ、最速達列車にあっては北海道の強い希望である東京・新函館北斗間の3時間台の列車運行が実現することになるため、一定の評価をしているところです。

 一方で、多くの需要が見込める特定時期に複数本の新幹線が青函トンネル内の下り線を時速200キロメートルで走行するという方針については、実際に高速営業運転が行われることは大きな実績となり、この積み重ねが全列車の高速化に向けた第1歩になるものと受けとめております。

 

 

◯高橋委員

 不本意ではあるが、安全性を考えればやむを得ないが、一定の評価という御答弁でありました。

 東京と新函館北斗駅間3時間台での走行は、ある意味、北海道民が強く望んでいる事項とも言えます。と同時に、3時間台といっても、厳密には最速で3時間59分です。今では4時間20分のものが4時間17分になる、わずか数本だけが3時間59分で走行可能になるということであります。

 また、青函トンネルの時速200キロで走行するということについては、第1歩であるという御答弁がありましたが、しかし、年末年始、お盆、ゴールデンウイークの極めて限定的な時期に200キロ化が実現され、また時間的にも6分の時間短縮にとどまるとも捉えることができます。したがって、第1歩とはいえ、まだまだ先の長い第1歩であるとも捉えております。

 今回も国から一定の方針が示されたわけでありますが、これが果たして本当に実行されるものであるのか、この点については疑問を感じております。厳しい言い方にはなりますが、これまでも国は、いつまでにこうした課題を解決して高速走行させるという言い方をしてきたものの、その時期に近づけば、そのたびに別な理由を出してきて、結果的には先送りをすることの繰り返しであると受けとめておりまして、これまでの経緯を踏まえますと、実行性に欠けていると言っていいのではないかとも捉えております。

 そういった観点から質問させていただきますけれども、時間帯区分案による時速200キロメートルでの高速走行の実施や時速160キロメートルへの走行速度の引き上げは、今後どのようなスケジュールで進められるのかについてお伺いいたします。

 

 

◯蒔苗新幹線・並行在来線調整監

 国によりますと、時間帯区分案による時速200キロメートルでの高速走行につきましては、新型高速確認車の走行試験を行いまして、来年度上期には青函トンネル内下り線において新幹線の時速200キロ高速走行試験が実施されることと聞いております。さらに、貨物列車の誤進入防止システムにつきましては、設計が完了し、来年度に実際の製作を行うこととされております。その後、旅客の利便性や貨物列車の影響を踏まえて調整を行い、遅くとも平成32年度には、時速200キロメートルによる高速走行が実現するとしております。

 また、青函トンネル内の時速160キロメートルへの走行速度の引き上げについては、平成30年度末の走行速度の引き上げの実施に向けて、青函トンネル内での新幹線と貨物列車とのすれ違い走行試験を行うとのことであり、試験の実施時期はJR北海道とJR貨物との調整により決定されるとのことです。その後、平成30年度末、平成31年3月ですけれども、時速160キロメートルへのスピードアップが実現するとされております。

 委員がおっしゃるように、これまでも延ばされてきたという状況は確かにあります。ですので、その実行性につきましては、しっかり注視していかないとだめであり、またそのタイミングタイミングにおいては、しっかり確認していきたいと考えております。

 

 

◯高橋委員

 やると言ったからには、国として責任を持って、今、示された方針については着実に進めていただきたいと思います。

 しかし、くどいようでありますが、私どもが求めているのは、今、示された当面の方針ではなくて、全ダイヤの高速走行であります。803億円の地元負担は、全ての新幹線が設計速度である時速260キロメートルで走行することを前提に受け入れてきたものでありまして、北海道新幹線が青森と函館の間を本来の260キロメートルで走る姿を当たり前の光景として見ることができるのはいつなのか、全くこれに関しては不透明な状況です。

 一方で、昨年7月でありましたが、JR東日本が時速360キロメートルで営業運転を視野に入れた新型の試験車両の開発を発表いたしました。2030年度の札幌開業時には、東京・札幌間を時速360キロメートルで営業運転することを目指すとの報道もありました。その場合、青函共用走行区間はどうなるのか。時速360キロメートルで走行できる新型新幹線が導入されたときに、この青函共用走行区間のそのときのスピードはどうなるのか。2030年度は12年後であります。12年といえば、あっという間に来ると思います。その際に北海道新幹線の姿がどうなっているのか、全く見えてきません。

 そこでお伺いしたいわけでありますが、国は、2030年の札幌開業を見据えた先の見通しや、具体的なタイムスケジュールを示すべきであると考えるところでありますが、このことに対する県の見解をお伺いいたします。

 

 

◯蒔苗新幹線・並行在来線調整監

 北海道新幹線の開業によりまして、本県や道南地域では、観光、経済などさまざまな分野において開業効果があらわれており、その最大限の獲得に向けて官民一体となって現在取り組んでいるところです。

 2030年度に迫った北海道新幹線の札幌開業では、交流人口はさらに増加し、より大きな経済効果を発揮するものと、北海道のみならず、本県においても大いに期待しているところです。

 しかしながら、高速走行に向けた抜本策の見通しやスケジュールが具体的になっていないことから、札幌開業時に北海道新幹線がどのような形になるか判然とせず、地元の事業者や各団体等では、将来に向けた投資の決断、経済活動の意思決定など新幹線開業の効果を最大限獲得するための準備ができない状況です。

 今回の高速化ワーキングに地元の経済界であるとか、観光業界、自治体も入ったという経緯は、こういう地元の声を国としてもしっかり聞くようにという与党PTからの配慮だと思っております。

 県としては、国はしっかりとした方針を早急に決定し、札幌開業を見据えた先の見通しや具体的なスケジュールを、県や北海道を初めとする地元関係者に明確にすべきであると考えております。

 

 

◯高橋委員

 ただいまの答弁をお聞きしますと、今回の特別委員会で説明のあった高速化検討ワーキングの検討結果というのは、あくまで目先の問題としてできることをしただけでしかない、それも平成25年の当面の方針すらいまだ達成できていない。また、上下線での走行や時速260キロメートルへの速度向上を早期に実現する時間帯区分案の段階的拡大についても引き続き検討を続けていくということでありますが、ここからまずは始めるにしても、今お聞きしたように、先の見通しが不明瞭なままであれば、納得しようにもできない、これが偽らざるところでもあります。

 仮に今回示されました方針が100%実現されたとしても、それだけでは県民がこれまでしてきた負担には見合っていないことをしっかりと国に伝えていく必要があると考えます。

 そこで、県は、さらなる高速化の拡大や先の見通し等の明確化に向けてどう取り組まれていくのか、この点についてお伺いいたします。

 

 

◯蒔苗新幹線・並行在来線調整監

 今回、国から示されました方針は、時間帯区分案により特定時期に複数本の新幹線が青函トンネル内の下り線を時速200キロメートルで走行するというものです。決してこれで終わりということではありません。

 高速走行の拡大のため上り線での実施や本来の設計速度である時速260キロメートルへの引き上げ、高速走行を行う特定時期の日数や時間帯の拡大、高速走行による毎日の営業運転や明かり区間における高速走行の実現、そして最終的には全列車・全区間の高速走行に向けた国の取り組みについて、しっかりと注視していく必要があると考えております。

 また、先の見通しや具体的なスケジュールの明確化につきましては、本年度の県・道議会、県・道との合同要望の際にも、本日の資料にも要望書をつけておりますけれども、重点項目として要望したところですが、今後も国に強く求めていく必要があると考えております。

 県といたしましては、全区間・全ダイヤ高速走行に向けて、引き続き北海道や道・県議会と連携して国に強く働きかけていきたいと考えております。

 

 

◯高橋委員

 仮に全線の高速化ができなかった場合、国はどうするのか。努力はしたものの、ここまでしかできなかったで済まされていい問題であるのか。仮にできなかった場合は、しっかりと国に責任をとらせるべきである。時速260キロメートルで高速走行することを大前提として我々は地元の負担をしたわけでありますので、高速化の実現の割合に応じて精算して、実現できなかった部分については残りとして返還を求めるというやり方もあろうかと思います。

 しっかりと注視するといった御答弁の内容もありましたが、青森県民の強い思いを注視することも必要でありますが、国にしっかりと伝える、強い姿勢を持ってこのことに対しては臨むという姿勢が改めて必要になってくると、そのように考える1人であります。そのことを申し上げまして、私からの質問を閉じさせていただきます。