2017年06月22日:平成29年第290回定例会(第3号)   本文

◯議長(熊谷雄一) 休憩前に引き続き会議を開きます。

 一般質問を続行いたします。

 二十六番高橋修一議員の登壇を許可いたします。──高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 自民党の高橋修一です。

 初めに、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録の推進についてお伺いいたします。

 世界文化遺産登録を目指す国内の推薦候補が、この七月にも国の文化審議会で選定される見通しであり、平成二十九年度の対象は本県を含めて三件と伺っております。

 四道県としての世界遺産登録に向けた歩みは、平成十九年八月の北海道・北東北知事サミットにおいて共同提案について正式合意してから、ことしが平成二十九年でありますので、ちょうど十年となります。登録実現に向けた取り組みはこの十年で着実に前進し、北海道・北東北の四道県民の気運も、これまたこの十年で着実に醸成されてきた、そのように受けとめております。

 私も、先人が残した歴史的文化遺産が人類共通の財産として世界的に認められることを強く願う者の一人でございます。そして、世界文化遺産への登録が実現すれば、多くの県民が郷土に一層の誇りを持つことにつながっていくと確信するものであります。ゆえに、ことしこそとの思いは募るばかりでありまして、次の県議会、九月定例会冒頭に、三村知事から推薦決定の御報告を必ずやしていただけるものと大きな期待をしております。

 そこで、二点お伺いいたします。

 一点目として、ユネスコへの推薦に向けた取り組み状況について。

 二点目として、登録実現を願っておりますが、ユネスコへの推薦に向けた知事の意気込みについて、それぞれお伺いするものでございます。

 次に、県内の求人状況と雇用対策についてお伺いいたします。

 厚生労働省が先月三十日公表した四月の国全体の有効求人倍率は一・四八倍で、バブル経済時の最高水準であった平成二年七月の一・四六倍を超え、高度成長期直後の一・五三倍以来、四十三年ぶりの高水準となったことが報じられました。報道によりますと、企業の人手不足感が一段と強まっており、雇用情勢は売り手市場の様相を強めているとされております。

 正社員を募集する求人倍率も〇・九七倍に上昇し、平成十六年十一月に統計をとり始めて以来最高。企業は、長期の視点で人手を確保するため、正社員の求人をふやしているとのことでもあります。

 新規求人を産業別に見ますと、製造業が前年同月七・九%増で求人倍率を押し上げ、自動車やスマートフォン関連の企業が人員確保に動き、このほか、トラック運転手などが不足する運輸業、郵便業が八・三%増、オリンピック需要が膨らむ建設業が六・九%増、医療・福祉業も三・二%増。また、総務省が同日発表した四月の完全失業率も二・八%と前月同様で低く、求人があっても職種や年齢、勤務地などの条件で折り合わず起こるミスマッチ失業率は三%台前半とされることから、国全体で見れば、現在の完全失業率三%割れは、働く意思のある人なら誰でも働ける完全雇用状態にあるとされております。

 四月の求人倍率を都道府県別に見ると、全ての地域で一倍を上回り、国を挙げての経済対策等が功を奏していると言え、最高は東京の二・〇七倍、最低は北海道の一・〇九倍、青森県は一・一七倍となっております。

 一方で、青森県として懸念すべき事項として、首都圏を初めとする賃金の高い地域への人材流出に歯どめがかからないこと、これは特に高校、大学等の新卒者に言えるものと思います。また、県外の大学等へ進学した若い世代が、卒業後も賃金の高い地域へそのまま流れ、本県に戻ってこないこと、そして、求人状況が好調なのがいつまでも続くとは限らないこと、これが一番深刻な事態とも言えますが、つまりは、景気後退は地方から先に始まることが予測され、仮にこの先、景気後退した際、本県にますます人が戻らなくなるのではないかといったことが挙げられると考えます。

 県としても、平成二十九年度当初予算で、商工労働部及び教育委員会を中心に、若者向けの県内就職と県内定住対策の事業がそれぞれ計上されているところであり、その取り組みによる成果を期待するところであります。

 本年度当初予算案が審議された二月定例会から三カ月ほど経過し、本県の雇用失業情勢改善の動きは、落ちついてきているとはいえ、依然高い求人倍率を維持しており、また、来春の新卒者にとっては就職活動の真っただ中にあります。

 全国的に求人状況がよい今このときこそ、商工労働部としては、青森県の若者をいかにして県内企業が受け入れていくのか、教育委員会としては、教育現場における指導等を通じて、青森県の若者をいかにして県内企業に送り出していくのか、いわば、若者を受け入れる、送り出すといった両面から、県内就職と県内定住に向けた確たる戦略とアプローチが必要となっていると考えるところであります。

 以上の観点から、四点お伺いいたします。

 一点目として、若者の就職、定着に向けた県の取り組みの考え方について。

 二点目として、最近の県内の有効求人倍率の推移とこれに対する県の認識について。

 三点目として、高校生の県内と県外の就職の状況について。

 四点目として、高校生の県内定着に向けた取り組みについて、それぞれお伺いするものでございます。

 次に、自殺対策についてお伺いいたします。

 自殺対策基本法の施行から十年がたち、かつて年間三万人を超えていた我が国の自殺者数は、平成二十八年には二万一千八百九十七人まで減少し、平成十年以降の高どまり状態から、近年は減少傾向に転じつつあります。

 この間、自殺総合対策大綱の作成と見直しが行われ、同大綱に基づき、国、地方公共団体、民間団体等が連携しつつ自殺対策が行われてきており、我が国の自殺対策は大きく前進したと言われております。

 青森県の自殺対策につきましても、昨年二月定例会、一般質問でお伺いしたところ、三村知事就任当時の平成十五年当時と比べ、自殺者数は半減し、人口十万人当たりの自殺死亡率も一九ポイント減少で、全国第一位の減少幅となったとのことで、自殺対策の成果があらわれているとの御答弁をいただいております。

 その後、自殺対策基本法が改正され、昨年四月一日より施行されるなど、我が国における自殺対策はさらなる転換期を迎えていると捉えることができます。

 先般、平成二十九年度版自殺対策白書が取りまとめられましたが、近年の同白書を見ますと、若い世代の自殺は深刻な状況にあるとの指摘がされ続けております。これは、年代別の死因順位を見ると、十五歳から三十九歳の各年代の死因の第一位は自殺となっており、男女別に見ると、男性では十歳から四十四歳という、学生や社会人として社会を牽引する世代において死因順位の第一位が自殺となっており、女性でも、十五歳から二十九歳の若い世代で死因の第一位が自殺とのことであります。

 こうした状況は国際的に見ても深刻でありまして、十五歳から三十四歳の若い世代で死因の第一位が自殺となっているのは、先進国では日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高くなっており、若い世代の自殺は国全体として大きな課題と捉える必要があろうかと思われます。

 ほかにも自殺の原因、動機は多岐にわたりますが、その構成比が平成十九年以降ほぼ一定であり、最も多いのが鬱病を含む健康問題とされ、鬱病を原因、動機とする自殺の予防においては、心の問題に複雑に絡み合っている社会的要因を含めたさまざまな問題に対しての働きかけが求められていることなど、残された課題も多く、さらに、高齢化や過疎化が進む中、それに対応した自殺対策が求められることなども指摘されております。

 改正自殺対策基本法では、全国自治体に対する自殺対策計画の策定義務づけを初め、計画に基づき実施する自殺対策について、国が交付金を交付すること、加えて自殺対策は生きることの包括的支援として実施されることも明記されました。

 生きることの包括的支援とは、全ての人がかけがえのない個人として尊重されるとともに、生きがいや希望を持って暮らすことができるよう、その妨げとなる諸要因の解消に資するための支援と環境の整備充実が幅広くかつ適切に図られることを旨として実施されなければならないこと、また、保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連施策との有機的な連携が図られ、総合的に実施されなければならないこととされております。

 これら法の要請に対して、青森県の自殺対策はどうあるべきか。近年、自殺者数が減少傾向にあるとはいえ、いまだ多くの方がみずから尊い命を絶たれているという厳しい現実があることを、私どもは重く受けとめなければなりません。この現実と正面から向き合い、青森県の実態に即したさらなる自殺対策を講じていくことが求められます。

 そこで、二点お伺いいたします。

 一点目として、自殺対策のこれまでの取り組みと県の自殺の現状について。

 二点目として、自殺対策基本法の改正に伴い義務づけられた自殺対策計画の策定を含め、県は今後どのように自殺対策に取り組んでいくのか、それぞれお伺いするものでございます。

 次に、ニホンジカ対策についてお伺いいたします。

 青森県のニホンジカの目撃数が急増しているとのことであります。特に、平成二十七年からの目撃数の伸びはこれまでにない数字となっているとお聞きしております。

 二年前、平成二十七年でありましたが、環境厚生委員会調査で、岩手県庁にて、岩手県におけるニホンジカの生息状況と対策についてお伺いする機会がございました。その際、岩手県における農作物被害はニホンジカによる被害が甚大で、これは平成二十五年度時点でありますが、年間約二億九千万円と、被害額全体の約六割を占めているとのことであり、岩手県のニホンジカの捕獲頭数は、年間約一万頭。第二種特定鳥獣管理計画に基づく個体数管理を既に行っており、具体的には、ニホンジカの推定個体数、これは約四万頭ということでありましたが、これを平成三十五年までに半減を目指しているとのことでありました。

 ニホンジカが一度住みついてしまうと、あっという間に頭数がふえてしまい、被害の拡大は避けられず、その後の対策は難航を極める、そのように感じ取ったところであります。

 こうした隣接県の個体数増加などに伴って、ニホンジカは青森県へも生息域を広げているものと見られ、平成二十七年、三戸町で青森県初の鹿による農作物被害が確認されるに至りました。

 今後、ニホンジカがこのまま県内に定着して、生息域の拡大と生息数の増加が進みますと、農業被害にとどまらず、林業被害や貴重な高山植物の消滅などの植生被害が発生し、県内の自然公園や世界遺産白神山地などの貴重な自然生態系や生物多様性に影響を及ぼすとされております。

 また、ニホンジカによる交通事故も年々増加しているようでありまして、生息域の増加と分布地域の拡大が進みますと、同様の衝突事故が多発することとなるほか、外部寄生虫の増加など、人間の生活環境に影響が懸念されております。

 こうしたことから、青森県では現在、ニホンジカの第二種特定鳥獣管理計画の策定作業を進めていると伺っております。現状をしっかりと把握して、将来にわたり、青森県内でこういったニホンジカによる懸念が現実のものとならないよう、その対策を今から講じていくことが求められております。

 そこで、三点お伺いいたします。

 一点目として、県内におけるニホンジカの現状について。

 二点目として、ニホンジカ対策について県はどのように取り組んでいくのか。

 三点目として、ニホンジカの第二種特定鳥獣管理計画の概要について、それぞれお伺いするものでございます。

 最後に、陸奥湾におけるホタテガイ産業の振興についてお伺いいたします。

 本県農林水産業は、平成二十七年の農業産出額が十九年ぶりに三千億円台に回復したほか、平成二十八年の陸奥湾ホタテガイの生産額が過去最高となるなど、攻めの農林水産業の取り組みによる成果があらわれてきております。

 平成二十八年青森県海面漁業に関する調査結果(速報値)によると、平成二十八年の漁獲数量は、対前年比九九・八%の二十四万九千七百九トンとなっておりますが、漁獲金額につきましては、対前年比一二〇%の六百三十五億五千五百九十三万円で、十二年ぶりの六百億円台と伺っております。

 漁獲数量、金額が好調であった主な魚種は、ホタテガイ、マイワシで、特にホタテガイは、漁獲数量が十二万千六百九十六トン、漁獲金額が二百六十二億三千百九十一万円となり、統計をとり始めた昭和三十五年以降、漁獲数量、金額ともに最高となっております。

 近年の陸奥湾におけるホタテガイの生産は、平成二十一年四月、ホタテガイ適正養殖可能数量制度(TASC)を導入し、生産の安定に取り組んだ矢先、平成二十二年夏でありましたが、異常高水温により七〇%がへい死という過去に例を見ない危機的被害を受け、高水温に対する養殖技術の確立等に取り組み、努力しましたが、平成二十三年から二十六年まで生産量が低迷と苦難の道が続いたものの、ようやく平成二十七年に平年以上の生産量となり、昨年、平成二十八年にはいよいよホタテ生産額が過去最高を記録したことで、見事復活を果たし、陸奥湾沿岸に久しぶりに笑顔と活気が戻った、そのように感じております。

 直近の陸奥湾ホタテに係る動向としては、今月十四日の地元紙に、ホタテ記録的高値との見出しによる記事が一面に掲載されておりました。記事によりますと、県産養殖ホタテガイの本年度半成貝の第五回入札が行われ、落札価格が一キロ当たり二百三十円から二百四十円と、記録的な高値だそうであります。

 本年度計五回の入札の平均価格は、過去十年間で最高値となる見通しであり、県漁連によれば、国内最大産地の北海道の減産によって、昨年から国内全体で加工原料向けのホタテが不足し、県内の水産加工業者の間で在庫確保の動きが広がって価格が高騰したとのことであります。

 また、半成貝(一年貝)の今期の水揚げ量は二万八千百三十六トンと、豊漁だった去年の七割にとどまっておりまして、水揚げの減少も価格上昇の一因となって、この高値は、七月から始まるより大型のホタテの入札価格にも影響するため、今後も県産ホタテの浜値は高どまりすると見られるといった記事の内容でありました。

 一方で、この記録的高値が県内加工業の経営を圧迫しているとの指摘もされております。

 北海道産ホタテの水揚げ量が回復するのは平成三十年以降の見通しとされておりますが、当然にしてこのことが今後の価格動向にも大きく影響を及ぼしてくるものと推測されるところでもあります。

 また、平成二十二年から本格的にホタテガイ適正養殖可能数量制度(TASC)を設けているところでありますが、ホタテの半成貝の過密化、これがこのまま続くと、へい死率の上昇や、成長不良に陥るリスク拡大の可能性が高まることが懸念され、半成貝の過密解消による持続可能な生産体制の確立が急務ともなっております。

 青森県では、これまで攻めの農林水産業を積極的に展開し、人口減少社会を見据えて、持続的・自立的発展を図る地域経営の仕組みづくりなどに重点的に取り組んでいるところであり、今後は産業力の強化と地域力の強化を進める施策を展開し、本県農林水産業の成長産業化を目指すこととしております。

 この方針を踏まえますと、陸奥湾ホタテガイ産業もまた、産業力の強化と地域力の強化を進めるとの視点から施策を展開しなければなりません。平成二十八年の過去最高の生産数量に安堵することなく、現状と課題を把握した上で、今こそ将来を見据えた真の意味での成長産業化に向けた取り組みを推し進めるときであると考えるところであります。

 そこで、三点お伺いいたします。

 一点目として、平成二十八年の陸奥湾ホタテガイの生産数量が過去最高となった要因について。

 二点目として、陸奥湾ホタテガイの安定生産に向けて、県はどのように取り組んでいくのか。

 三点目として、県産ホタテガイの消費宣伝について、県はどのように取り組んでいるのか、それぞれお伺いいたします。

 以上で壇上からの質問を終わります。

 

◯議長(熊谷雄一) 知事。

 

◯知事(三村申吾) 高橋議員にお答えします。

 縄文をとるという決意で壇上に上がらせていただきました。そこのところから答弁させていただきます。

 本県及び関係自治体では、文化庁や専門家から助言、指導を得ながら推薦書素案を作成いたしましたほか、国内外で普及啓発を行うなど、登録実現に向けた準備を着実に進めてきたところであります。

 また、四月二十六日には、東京で縄文遺跡群世界遺産登録推進本部と国会議員によります北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群世界遺産登録推進議員連盟の皆様、各道県議会の皆様と合同で、登録推進決起大会を開催いたしますとともに、菅内閣官房長官を初め関係省庁に対しまして、平成二十九年度のユネスコへの推薦候補に決定していただくよう要望いたしましたほか、去る六月八日には、県議会議長とともに文部科学省に対し、登録の早期実現に向けて重ねて要望したところでございます。

 県議会の皆様を初め、関係企業・団体の皆様の御支援により、これまでになく、登録実現に向けた気運の高まりというものを私自身感じているところでございます。

 私は、北海道・北東北の縄文遺跡群が、縄文文化の価値を伝えることができる世界遺産にふさわしい、まさに人類の宝であり、私たちの未来を切り開く確かな力になるものと確信しているところでございます。

 ことしこそユネスコへの推薦が得られるよう、関係自治体と総力を結集してしっかりと取り組んでまいりますので、県議会の皆様方にも引き続き御支援、御協力をよろしくお願い申し上げます。

 続いて、若者の就職、定着に向けた県の取り組みでございます。

 私は、本県経済を担う若者の仕事づくりと、県内就職・定着、そして県外からの還流促進が、人口減少に歯どめをかけるためにも極めて重要であると考えるところであります。

 若者の仕事づくりにつきましては、本県の強みを生かしました産業振興や戦略的な企業誘致、創業・起業支援等に積極的に取り組んでいきますほか、今年度から新たに国の採択もいただきましたが、地域活性化雇用創造プロジェクトにおいても、アグリ、ライフ、グリーンの成長三分野で、若者の安定的で良質な雇用の創出に取り組んでいきます。

 県内就職・定着と県外からの還流促進につきましては、約六割が県外に就職しております工業高校生を中心に、生徒、保護者等に対して、県内の仕事や企業の情報等を積極的に発信し、地元に対する認識や理解を一層浸透させることにより県内就職・定着につなげるほか、県外に就職、あるいは進学した若者につきましても、県内企業による積極的なインターンシップの実施等、還流促進に努めているところでございます。

 今後も、若い方々がここ青森で希望を持って働き、安心して暮らし続けることができるよう、企業や教育機関、経済団体など多くの関係者と連携しながら、総力を挙げて取り組んでまいります。

 陸奥湾ホタテガイの安定生産に向けての取り組みでございます。

 陸奥湾におけるホタテガイ養殖は、昭和五十年や平成二十二年の大量へい死などの苦難を乗り越え、昨年は生産数量、生産金額とも、過去最高を記録いたしました。一方で、漁業者の高齢化等を背景に、養殖作業における労力や経費の削減などを目的といたしました過密化が進行し、へい死や成長不良に陥るリスクが高まっておるところであります。

 私は、将来にわたり陸奥湾ホタテガイを安定的に生産し、国内外に良質なホタテガイを提供していくためには、地域の実態に応じた持続可能な生産体制を確立していくことが極めて重要と考えるところであります。

 このため、今年度から、漁業者の年齢構成や後継者の有無などを調査し、ホタテガイの生産実態から十年後の養殖漁場の利用状況等を予測するとともに、陸奥湾の水温や餌となります植物プランクトン量の把握と、過密養殖による悪影響の検証を踏まえて、安定生産に向けたシミュレーションを実施いたします。

 また、これらの結果に基づき、むつ湾漁業振興会や県産業技術センター水産総合研究所等の関係機関とも連携し、現在の適正養殖可能数量、いわゆるTASC数量の検証を行った上で、各漁協やその支所ごとの最適な生産数量とその方法を明らかにし、陸奥湾ホタテガイ養殖における安定生産体制を構築していきたいと考えております。

 

◯議長(熊谷雄一) 企画政策部長。

 

◯企画政策部長(原田啓一) 世界遺産登録の推進について、ユネスコへの推薦に向けた取り組み状況についてお答えいたします。

 本県及び関係自治体では、昨年度、文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会から示された顕著な普遍的価値や、顕著な普遍的価値と各構成資産との関係性をわかりやすく説明することなどの課題について、文化庁や専門家から指導、助言を得ながら、内容を充実させた推薦書素案を本年三月に文化庁へ提出したところです。

 このほか、縄文遺跡群の認知度や興味関心を高める取り組みとして、民間企業の協力を得て、青森県を代表する土偶しゃこちゃんをモデルにしたオリジナルパンを開発するなど、さらなる気運の醸成を図る取り組みを推進しているところです。

 また、構成資産の所在する地域で活動する民間団体と連携し、地域住民が主体となった持続的な遺跡の活用や、来訪者の受け入れ体制の構築に向けた研修会を実施したところです。

 現在、文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会の動向を注視しており、七月には選定結果が示される見込みです。

 引き続き、関係自治体と連携し、さらなる気運の醸成を図るとともに、早期登録の実現に向けてしっかりと取り組みを進めてまいります。

 

◯議長(熊谷雄一) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) ニホンジカ対策についての御質問三点にお答えいたします。

 初めに、県内におけるニホンジカの現状についてです。

 本県では、ニホンジカは一時絶滅し、明治以降、百年以上もの間、鹿が分布しない地域となっておりましたが、十年ほど前から県南地域を中心に目撃が報告され、平成二十七年度の目撃数は八十一件で百十四頭、平成二十八年度は百十八件で百六十頭と、大幅に増加しております。

 地域別では、三八地域を中心とした県南地域での目撃数が全体の約七割を占めており、また、県が県内各地に設置した自動撮影カメラによる撮影件数や事故による死亡も含めた捕獲数も三八地域が多く、さらには、三戸町のリンゴ園地では、県内で初めて農業被害が確認されております。

 ニホンジカを計画的に管理していくためには生息状況の把握が必要不可欠であることから、県では生息状況調査を行い、生息数等の推計を試みておりますが、現在のところ相当低密度であることから、生息数等の把握は困難な状況でございます。

 しかしながら、県内のニホンジカは三八地域を中心に着実に生息数及び生息域が拡大しているものと考えられ、今後、ニホンジカが定着・増加し、生息分布が広域的に拡大することになれば、農作物等の被害や自然環境への影響は一層深刻になると危惧しているところでございます。

 次に、ニホンジカ対策について県はどのように取り組んでいくのかについてです。

 ニホンジカは繁殖力が強く、一定の生息密度になると急激に増加する傾向があると言われ、近年、全国的にニホンジカの個体数増加や生息域の拡大が急速に進み、希少な植物の食害などの自然環境への影響や農林業被害が深刻化しております。

 本県におきましても目撃数が大幅に増加しており、早期にニホンジカの計画的な管理対策を講じていくことが必要となっております。

 このため、県ではこれまで、自動撮影カメラの設置等により生息状況の把握に努めるとともに、有識者で構成するニホンジカ管理対策評価科学委員会において、科学的かつ計画的な管理方法等について検討を進めてきたところです。

 今年度は、これまでの調査や検討結果を踏まえ、ニホンジカの適正管理に向けた第二種特定鳥獣管理計画を策定し、計画的な捕獲を開始することとしております。

 また、計画を効果的、着実に推進するため、引き続き、狩猟者育成のための各種事業に取り組むとともに、新たに、本県における低密度状態での効果的な捕獲手法確立のための調査研究を行うほか、本県の主導により、岩手・秋田両県を加えた組織を立ち上げて広域的な連携を図るなど、捕獲体制の強化に努めてまいります。

 最後に、ニホンジカの第二種特定鳥獣管理計画の概要についてです。

 県では、ニホンジカの科学的かつ計画的な管理を実施するため、鳥獣保護管理法に基づき、平成二十九年度からの五カ年を計画期間とするニホンジカの第二種特定鳥獣管理計画を、本年九月を目途に策定することとしております。

 本計画では、ニホンジカの定着を防止し、自然生態系の保全及び農林業や生活環境における被害防止を目指し、生息密度や農作物被害を抑えるために必要な一定の水準を定め、目標値を設定することとしております。

 また、この目標を達成するため、狩猟期間の延長や捕獲数の上限を定めないなど、捕獲要件を緩和し、狩猟等による捕獲を促進していきたいと考えております。

 さらに、関係機関等が担う役割や管理の担い手の確保と育成、隣接県等との連携などについて方向性等を規定し、関係機関等が連携して取り組んでいくこととする予定です。

 県といたしましては、本計画について、今後、青森県ニホンジカ管理対策評価科学委員会における有識者の意見を踏まえて計画案を策定し、パブリックコメントの実施や青森県環境審議会における諮問、答申を経て決定することとしております。

 

◯議長(熊谷雄一) 健康福祉部長。

 

◯健康福祉部長(菊地公英) 自殺対策の御質問二点についてお答えいたします。

 まず、これまでの県の取り組みと自殺の現状についてでございますが、青森県における平成二十八年の自殺者数は、この六月二日に公表されました人口動態統計の概数値では、前年から四人増加し、二百七十一人となったことから、自殺死亡率が二一・〇と〇・五ポイント上昇し、全国順位もワースト十一位から五位になるなど、依然として全国より高い状況が続いております。

 県では、従前から自殺予防を重点課題として、平成二十五年三月に策定した健康あおもり21(第二次)においても、重点施策として継続的に自殺対策に取り組んでまいりました。

 具体的には、人材育成として、自殺の危険性のある人を早期に発見し、必要な支援につなげる役目を担うためのゲートキーパーを、平成二十一年度から累計で四千五百六十五名養成しました。

 また、ハイリスク者支援として、壮年期男性については、自殺の動機として経済・生活問題が多いことから、弁護士や司法書士による法律相談を初回無料とする取り組みを平成二十二年度から行っているほか、必要に応じて、こころの相談や健康支援にも対応しております。

 あわせて、高齢者につきましては、自殺の原因となる鬱病を早期に発見するスクリーニングを、平成二十八年度は五町村で実施しました。

 さらに、自殺未遂者対策として、平成二十七年度から救急医療機関と連携して、地域の支援体制を構築するモデル事業を県内二保健所で実施してきたところでございます。

 次に、自殺対策計画の策定を含め、県は今後どのように自殺対策に取り組んでいくのかについてです。

 平成十八年に制定された自殺対策基本法から十年目の節目を迎えるに当たり、その一部を改正する法律が平成二十八年四月に施行されたところです。その中で、各自治体の実情に応じた取り組みを進めるため、都道府県及び市町村に自殺対策計画の策定が義務づけられました。

 この計画は、関係部局や地域と連携した総合的な内容であることが求められており、県ではこれを踏まえ、本年五月に青森県自殺対策計画策定委員会を設置し、県計画の策定を進めるとともに、市町村計画の策定支援として、七月二十四日に市町村長を対象とした自殺対策トップセミナーを開催することとしております。

 なお、県計画は、自殺の原因や地域の実態等データに基づいた実践的な内容となるよう、これまで重点的に実施してきた壮年期男性、高齢者、自殺未遂者といったハイリスク者支援についても、効果検証のもと計画に盛り込み、拡充を図ることとしております。

 加えて、国が見直しをしている自殺総合対策大綱では、新たに子ども・若者対策を重点施策とするなどの検討が行われており、県においても、国が普及を進めている、子供たちがいざというときのSOSの出し方教育の手法等を習得するための研修会を、市町村教育委員会や保健師等を対象として、県教育委員会と連携して実施することとしております。

 

◯議長(熊谷雄一) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(葛西 崇) 御質問二点のうち、初めに、最近の県内の有効求人倍率の推移とこれに対する県の認識についてお答えいたします。

 県内の有効求人倍率は、東日本大震災後の平成二十三年四月及び五月の〇・三七倍から上昇基調に転じ、その後、平成二十八年一月には初めて一倍を超え、以来、直近本年四月の一・一七倍まで、十六カ月連続で一倍を上回る高い水準を維持しております。

 また、平成二十八年度の年度平均の有効求人倍率は、前年度平均を〇・一八ポイント上回る一・一三倍と、初めて一倍を超え、過去最高となっています。

 このように雇用情勢が改善している要因としては、県がこれまで実施してきた各種取り組みのほか、県内企業や経済団体等関係者の努力の成果が着実にあらわれてきた結果であると認識しております。

 県としては、今後も雇用情勢の変化を注視しながら関係機関と連携し、より安定的で質の高い雇用の創出など、必要な雇用対策に取り組んでいきます。

 次に、高校生の県内定着に向けた取り組みについてでございます。

 高校生の県内就職を促進することは、本県の将来を担う人財を確保し、地域経済の維持発展を図っていく上で、極めて重要であると考えています。

 このため県では、県内企業への理解を促進するため、高校生を対象とした企業見学会に対する支援、高校生や保護者を対象とした職業ハンドブックの作成や就労意識形成のためのセミナーを行っているほか、県内に就職し、本県でゆとりある豊かな暮らしを営むことのよさを知っていただく動画やリーフレットを作成し、積極的にPR活動を行っているところです。

 また、今年度は新たに、県内企業への関心を喚起し、より理解を深めてもらうため、企業情報をあおもりものづくり企業バンクとして整備し、ホームページやガイドブックで情報発信することとしています。

 今後とも、県内企業や関係機関と連携を図りながら、高校生が一人でも多く県内に定着できるよう取り組んでいきます。

 

◯議長(熊谷雄一) 農林水産部長。

 

◯農林水産部長(油川潤一) 陸奥湾におけるホタテガイ産業の振興について、御質問二点にお答えします。

 平成二十八年の生産数量が過去最高となった要因についてです。

 主な要因としましては、養殖技術の面では、県が県産業技術センター水産総合研究所と連携して取り組んできた夏季の高水温や冬季の波浪によるホタテガイのへい死を軽減する対策が漁業者に定着してきたことが挙げられます。

 また、海洋環境の面では、冬季において海水温が比較的高目に推移するとともに、しけによる影響も少なかったことから、ホタテガイの成長が早く、生存率も高くなるなど、成育に適していたことが挙げられます。

 さらには、下痢性貝毒の検査方法として、平成二十七年三月から機器分析が導入され、出荷を自主規制することなく継続できたことなど、これらの条件が重なったことによるものと考えております。

 次に、県産ホタテガイの消費宣伝における県の取り組みについてです。

 県では、県産ホタテガイの消費拡大を図るため、県外の大手量販店で開催する青森県フェアにおいて、漁協の職員等による試食宣伝を実施しているほか、知事のトップセールスの際に、青森県若手生産者まごころ伝え隊の一員であるホタテガイ生産者が産地の思いを消費者に直接伝えるなど、関係者と連携したPR活動に取り組んでいます。

 また、県外の高級レストランやホテルでホタテガイを使ったメニューを紹介する県産食材フェアの開催や、有名トップシェフが講習会で提供する料理を専門誌へ掲載し、その魅力を発信しているほか、東京駅等では、デジタルサイネージ、いわゆる電子看板で、活ホタテガイを映像でPRするなどの取り組みを行っています。

 さらに、青森県ほたて流通振興協会が行うほたて広場のイベントや、小学校キャラバン隊による出前講座、東京都内で開催するほたて料理教室を支援するなど、県内外において県産ホタテガイの消費宣伝活動を展開しております。

 

◯議長(熊谷雄一) 教育長。

 

◯教育長(中村 充) 御質問二点にお答えします。

 初めに、高校生の県内と県外の就職状況についてです。

 青森労働局が実施した平成二十九年三月新規高等学校卒業者の就職状況に関する調査によりますと、平成二十九年四月末現在、本県の公立・私立を含めた高等学校卒業者一万二千八百四十六人のうち、二六・三%に当たる三千三百八十人が就職を希望しており、希望者の九九・五%に当たる三千三百六十三人が就職をしております。

 このうち、県外企業への就職者は四三・一%に当たる千四百四十八人でした。また、県内企業への就職者は、五六・九%に当たる千九百十五人で、過去十年間で最高の割合となっております。

 次に、高校生の県内定着に向けた取り組みについてです。

 県教育委員会では、高校生の県内定着をより促進するため、今年度新たに、高校と県内企業の連携ネットワーク強化事業及び地域を支えるモノづくり・人づくりプロジェクト事業に取り組んでおります。

 高校と県内企業の連携ネットワーク強化事業では、教員、生徒及び保護者が企業訪問をすることで、企業の業務に対する理解を深め、生徒が県内就職の選択肢をふやすとともに、企業の採用担当者が学校を訪問し、生徒や教員と情報交換をするなど、高等学校と地元企業の相互理解の場をコーディネートしてまいります。

 地域を支えるモノづくり・人づくりプロジェクト事業では、工業高等学校の生徒が複数の地域企業を見学する取り組みや、地域企業等の技術者による工業高等学校の生徒への技術指導、企業・大学等と連携した地域課題解決学習等を通して、地域のものづくり産業を支える人財を育成してまいります。

 県教育委員会としましては、今後とも、知事部局、青森労働局及び経済団体等との連携により、県内企業と学校の協力体制を強化するとともに、生徒一人一人が希望する進路を達成できるよう進路指導の充実を図り、高校生の県内定着の促進に努めてまいります。

 

◯議長(熊谷雄一) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) それぞれ御答弁をいただきました。私からも何点か要望と再質問をさせていただきます。

 まず、世界遺産登録の推進についてでありましたが、知事から答弁の冒頭、とると。力強い決意のほどを感じましたし、御答弁の中でも、これまでにない気運の高まりを知事自身が感じているといった旨の御答弁もあったと思います。

 私自身も、この縄文遺跡群の世界文化遺産登録、実は質問するのは初めてなのでありますが、何かここ数カ月で、多くの県民がこのことに関心を寄せて、そして、推薦を得られるといった期待感の高まりを、私自身も感じつつあります。

 知事から、特にこの春以降の動きですね、決起大会を開催して、また官房長官までお会いした。議長と一緒に文科省へも要望されたと。この春、この間だけでも、かなり精力的な運動をされていると。率直にこれは評価に値するのかなと感じ取っております。

 ことしこそ推薦を得られると。根拠は何だと言われれば困るのですが、そういった気がしてなりませんし、多くの県民がこれまでにない期待感を寄せている。これは確かであろうかと思います。ここは、次の定例会で、知事からよい報告が得られるように、期待を持って待ち望むしかないと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

 それから、二番目の、県内の求人状況と雇用対策についてであります。

 これも、知事から総力を挙げて全力で取り組むと、これまた力強い御答弁を頂戴することができました。その成果を期待したいと思います。

 それで、最近の有効求人倍率の状況とそれに対する県の認識は、商工労働部長から御答弁をいただきましたが、県の認識という部分については、答弁の内容がいささかあっさりし過ぎているのかなと。おっしゃることはそのとおりでありますし、間違いはないでしょうが、本会議の場で我々も聞いているわけでありますので、何かいささか寂しく感じました。

 要は、最近の県内外の景気の動向であったり、あるいは社会情勢の変化が、今の求人の拡大にどういった影響を及ぼしているのか。また、御答弁の中で、県としてこれまで各種取り組みを進めてきている、また県内の経済団体等が努力している、その結果である、そう認識しているとの答弁でありましたが、であれば、これまでどういった取り組みを県として行ってきたのか何点か例示していただきたいと思いましたし、また、県内の企業が民としてどういった取り組みをされて今の求人の拡大につながっているのかといった点も御答弁いただきたかったなと、そのように今感じ取っております。

 つまりは、雇用情勢がいいときであれ、悪いときであれ、しっかりと現状を分析して、その中から課題を見出して、その課題を解決すべく、今後の方向性であったり、取り組みを推し進めていく、それは基本的なことでありますが、非常に大切であると思います。

 先ほどの御答弁であれば、簡明でわかりやすいと言えばわかりやすいのですが、逆に、何を伝えようとしているのかといった部分ではいささか伝わってこない部分がありましたので、もし部長のほうで先ほどの御答弁に補足する事項があれば、いま一度、御答弁いただきたい。お願いいたします。

 

◯議長(熊谷雄一) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(葛西 崇) 県はこれまで、産業・雇用を車の両輪ということで、県政の最重要課題と位置づけまして、両方大事なテーマとして、いろんな施策を推し進めてまいりました。例えば、ライフイノベーションですとか、新産業の創出、育成、あるいは、戦略的な企業誘致によって多種多様な企業誘致が実現し、多くの雇用が創出されました。

 最近では、創業・起業が実績を上げております。こういった産業施策とともに、雇用対策ですと、例えば県内企業への求人票の早期提出をお願いしてきておりますが、これも実績を上げてきておりまして、県内企業の努力によって早期提出が図られてきております。

 このようなさまざまな施策が一体的に実施されて、このような雇用の改善状況が生まれてきているものと考えております。

 ただ一方では、より安定的な、質の高い雇用を生み出して、そのことが若い人たちの定着につながっていくと考えておりますので、そういった観点からの施策の強化も必要と考えております。

 そういったことで、新規学卒者、高校生、大学生の県内就職促進、UIJターンの促進、女性の就職支援、こういったさまざまな施策をいろいろ戦略的に組み合わせながら、実績を上げてまいりたいと考えております。

 いずれにしても、地域経済の持続的な発展を図っていく上で、産業人財不足の克服を図っていくために、いろんな努力をしてまいりたいと考えております。

 

◯議長(熊谷雄一) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 議論が深まります。

 それで、本題に入りますが、高校生の県内定着の取り組みは、知事部局が企業バンクというのと、教育委員会が連携ネットワーク、それからモノづくり・人づくり事業に今年度から新しく取り組まれていると。これは評価に値すると思います。

 教育長にお尋ねしたいのでありますが、本定例会、高校改革を初め、さまざまな質問に対して真摯な態度で我々に答弁されている。大変すばらしい姿勢だなと感じ取っております。

 それで、私はきのう、県教育委員会のホームページを見まして、県教育長あいさつというページがありまして、そこに教育長としての思いが掲載されているんですが、読みますと、少子高齢化が進む本県にとって、人口減少の克服は、まさに最重要課題です。将来にわたって魅力と活力のある地域社会を創出・維持する地方創生の礎は人財にあるとの認識のもと、ふるさと青森の地で活躍する人財の育成を進めるとの一文をホームページで拝見いたしました。まさに、教育長としての、本県の教育行政のトップである自覚、あるいは強い覚悟のあらわれであると。そういった崇高な使命感を持って教育長職に当たられていると受けとめたところであります。

 その上で質問でありますが、そういった中村教育長の人口減少社会を見据えた思い、覚悟が、果たして学校現場の進路指導の先生方にしっかりと共有されているのかという点であります。

 きのうの一般質問で、菊池議員が進学に関して、学校現場と教育委員会のコンセンサスが得られていないのではないかといった趣旨の発言もございました。私もやりとりを聞いて、実は菊池議員に同感した部分がございました。

 進学であれ、就職であれ、各学校の進路指導の先生の経験であったり判断に任せてしまっている現状があるのではないか。もしそうであるならば、人口減少克服を見据えた進路指導のあり方を県教育委員会としてしっかりと方向性を見定めて整理する必要があるのではないかと考えるものであります。この点についての教育長としての御所見がございましたら、御答弁をお願いいたします。

 

◯議長(熊谷雄一) 教育長。

 

◯教育長(中村 充) 先ほど高橋議員からお話がございましたとおり、人財の育成が最も大事であるということで、ふるさとをよく知る、そこで小さいころからいろんな体験をする、大人の人たちとのかかわりを持つということを積み上げて、キャリア教育も含めてですけれども、発達段階に応じた体験をどんどん積み重ねていく。

 そして高校では、例えば、いろいろな地域から高校生が集まって自分たちのクラスができますので、その中で自分の生まれ育った思い出でありますとか、ふるさとを相互に相手に伝えることができる、あるいは、それをなぜそうなのかということを互いに話し合うことのできる環境をまずは整備したいと考えているところであります。

 その中で就職ということについて申し上げれば、生徒の夢や希望がどういう形でまずは生まれるのか。やはり小さいときからのいろいろな体験というものがあると思います。その中で、地元で暮らしたいでありますとか、地元にこんなに頑張っている人たちがいるとか、そういうことをたくさん経験することから、自分もこういう大人になりたいとか、この地域を支えていきたいという思いが強くなっていくのではないかと考えております。そういうことで、いろんな体験ですとか、企業の方々にもプラットフォームを用意して、学校を応援していただけるような仕組みですとか、さまざまつくっているところであります。

 生徒、そしてまた保護者の方にも、アンケートを見ますと、自分の子供には自由に選んでいいよという言い方をしているデータもありますが、実際にどういうふうにしたいですかと聞くと、例えば遠くに行っても、いずれは戻ってきてほしいんだと。じゃあ、そういうことを伝えているんですかと言うと、子供には直接話していないけれども、そう思っているということもありますので、やはり家庭の中でもいろいろその辺の話をし合えるような環境をつくる、情報を提供することも大事だと思っております。

 そして先生方は、地域でいろいろ頑張っている方々、企業の情報をしっかりと子供たちに提供していくことが大切なのではないかと考えております。