2017年03月13日:平成29年度予算特別委員会(第2号)   本文

◯夏堀委員長 これより質疑を行います。質疑時間は答弁を含めて一時間以内であります。なお、質疑時間の終了十分前に予告を、終了時に終了通告を、それぞれブザーで行います。

 質疑は、款項目を明示し、議題外にわたらないように願います。なお、質問と要望事項を明確に区分してください。また、答弁者も簡潔な答弁に努めてください。

 質疑は所定の発言席において、また、答弁は所定の答弁席でお願いいたします。なお、答弁者は、挙手の上「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。

 それでは、本特別委員会に付託されました議案第一号から議案第十六号までを一括議題とし、質疑を行います。

 高橋修一委員の発言を許可いたします。──高橋委員。

 

◯高橋委員 おはようございます。自民党の高橋修一でございます。

 それでは、議案第一号「平成二十九年度青森県一般会計予算案」について、歳出二款二項四目「総合交通対策費」、λ(ラムダ)プロジェクト道南連携強化事業の取り組みについてであります。

 今定例会に平成二十九年度の一般会計当初予算案が計上されまして、総額で六千八百四十六億円、額そのものはほぼ前年並みの予算規模とのことであります。また、特筆すべきは、やはり二十七年ぶり、平成二年度以来、基金の取り崩しがゼロであると。健全と申しますか、完全な収支均衡を実現できたと。また、その上で県債発行額も三・六%減の七百二十九億円余と、これもかなり抑制されております。そういった中にあっても、人口減少を初めとしたさまざまな県政の諸課題にしっかり対応された予算案であると受けとめております。

 それで、質問でありますけれども、北海道新幹線が開業して間もなく一年を迎えようとしております。JR北海道が公表しました開業後の利用状況によりますと、新青森から新函館北斗間上下線合計で一日利用者数が平均で約七千八百人と、前年同期の在来線と比較すれば約一・八倍となっております。開業以来、利用状況はおおむね順調に推移し、北海道と本州の間の交流人口の拡大に成果を出しているものと捉えております。

 そういった中で、青森県では北海道新幹線開業前からこの開業による効果を最大化していくために、津軽海峡交流圏形成に向けて、平成二十五年からλ(ラムダ)プロジェクトに取り組んでおります。この取り組みによりまして、本県と道南地域における企業、あるいは団体間の連携、交流の動きなどが進んできたものと捉えております。

 そこで質問でございますが、λ(ラムダ)プロジェクトの取り組みと成果についてお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 企画政策部長。

 

◯原田企画政策部長 県では、北海道新幹線開業を契機に、本県と道南地域とを一つの圏域とする津軽海峡交流圏の形成に向けまして、圏域内の交流の活発化や圏域外からの交流人口の拡大、滞在時間の質的・量的拡大が重要であるとの考え方のもと、平成二十五年度からλ(ラムダ)プロジェクトに取り組んでおります。

 この取り組みの核となるのが、現場でさまざまな成功事例を生み出しております民間委員で構成する青森県津軽海峡交流圏ラムダ作戦会議でございます。この会議は、平成二十五年三月の設置以来、これまで全体会議を十一回、チーム会議を三十三回開催しておりまして、津軽海峡交流圏形成に向けた御提案をいただくとともに、例えばヒバと森林鉄道跡を活用した奥津軽トレイルの開発、そして津軽海峡マグロ女子会など、委員みずからが連携・交流に向けた具体的な活動も展開しているところです。

 委員からは、これまで九十二の斬新なアイデアをいただき、その約半分の四十四の提案が県及び民間企業・団体においてさまざまな形で事業化や具体化をされているところでございます。さらに、北海道新幹線開業を契機に、本県と道南地域の民間企業の連携による商品開発ですとか両エリアをめぐる旅行商品の造成など、連携・交流も活発化しているところでございます。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 ただいまのラムダ作戦会議ですか、その開催状況も含めて御答弁いただきましたが、ことしの二月十日、これまでの活動も振り返って報告会も行われたと。その翌日の新聞報道でありますが、四年の活動に幕、あるいは青函の一体感に一役、作戦会議が終了と、そういった見出しであります。委員の任期が平成二十九年三月で満了とのことでありますが、このことで一つの区切りを迎えたようであります。

 そこで二点目でありますが、北海道新幹線開業後のλ(ラムダ)プロジェクトの方向性についてお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 企画政策部長。

 

◯原田企画政策部長 これまでλ(ラムダ)プロジェクトを推進するために、ラムダ委員みずからも行動いたしまして、本県を中心にさまざまな活動を展開してきましたことは、この津軽海峡交流圏形成のための先導役として大きな役割を果たしたものと考えております。

 一方、委員の皆様からは、さまざまな活動の中で、道南地域と連携があるものの、本県側での視点による提案、活動が主たるものであることから、今後は道南地域の人や団体、そして企業との連携をより深めていくとともに、津軽海峡交流圏という言葉も含めて、津軽海峡交流圏の認知度をなお一層向上させていく必要があるというふうな課題も出されております。

 このため、来年度からは新たにラムダ作戦会議委員に北海道側の委員を加えまして、北海道側からのアイデアの提案なども促すとともに、民間企業・団体などとの交流会などの開催を通じまして、経済交流圏形成に向けた民間の連携を促進していくことにしております。

 また、津軽海峡交流圏形成に向けましては、北海道庁との連携が不可欠でございますので、平成二十五年に立ち上げました津軽海峡交流圏北海道・青森県連絡調整会議を活用しながら、引き続き北海道との共同作業を通じまして、両圏域の機運醸成でありますとか情報発信を図りながら、津軽海峡交流圏の形成に取り組んでまいりたいと思います。

 さらに、来年度はλ(ラムダ)プロジェクトのシンボルキャラクターでございますマギュロウを活用した情報発信を札幌、大阪、名古屋、福岡など圏域外でも実施いたしまして、津軽海峡交流圏の認知度向上に努めてまいりたいと考えております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 これまでの活動をさらに拡充して次年度も継続していくといった御答弁であろうかと思います。

 今、津軽海峡交流圏と呼ばれておりますが、青函トンネルの開業時から、前は青函インターブロック交流圏として、ずうっとこれまで二十九年間取り組んできたものと受けとめておりますが、今で言う津軽海峡交流圏の形成に向けて、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、その点もお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 企画政策部長。

 

◯原田企画政策部長 北海道新幹線の開業により、本県及び道南地域を多くの観光客が周遊するなどの効果が見られるところですが、観光以外にも医療・教育分野、さらにはビジネス分野における連携の動きも新たに生まれております。

 具体的には、本県と道南地域の金融機関による業務提携、青森と函館の商工会議所によるパートナーシップ事業の実施、そしてまた弘前市の酒造会社による道南産のお米を使った日本酒の醸造や函館と青森の商業高校が北海道新幹線をテーマに商品開発した土産品のコンビニエンスストアでの限定販売など、圏域内では実際のビジネスにつながる事例も生まれてきております。

 県としては、津軽海峡交流圏の形成に向けて、まず、観光圏をしっかりと確立していくということが大切であると考えておりまして、引き続き本県の自然、縄文から連なる歴史・文化、祭り、食など、本県ならではの魅力あふれる資源を磨き上げまして、それらを道南地域の資源と組み合わせた新たなコンテンツを創出することにより、両地域を周遊する交流人口の一層の拡大を図り、そのような中で活発化する人や物の動きに合わせた新たなビジネス活動の創出を一層促進いたしまして、将来的には札幌圏、仙台圏の間に位置する新たな経済圏の形成へとつなげてまいりたいと考えております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 λ(ラムダ)プロジェクトの最大の成果の答弁もいただきましたけれども、私はマギュロウの誕生、これは大きかったなと。私、何年か前に一般質問でゆるキャラについて取り上げて質問したことがあるんですが、今、健康福祉部がマモルさんですね。そして観光がいくべぇ、スポーツがアップリート君で、農林水産部が決め手くん。ゆるキャラというのは緩いマスコットキャラクターの略なんですけれども、マギュロウだけは緩くない、むしろ、不気味とさえ思うんですが、青森県に数あるゆるキャラの中にない要素をこのλ(ラムダ)プロジェクトによって生み出していただいたと。答弁の中では、今まではどちらかといえば、青森県内だけの活動であったと。しかしながら、次年度以降は全国、主に都市圏を中心に、このゆるキャラを活用した、マギュロウを活用した事業展開も図っていかれるということでありまして、非常に楽しみでありますし、青森県発の全国区のキャラクターになる可能性も秘めていると、そのようにも捉えております。したがって、大いにその活躍を期待したいと思います。

 次に、歳出二款七項五目「消防学校費」、防災教育センターを活用した県民の防災力向上についてであります。

 一昨日、東日本大震災から六年を迎えました。改めまして、犠牲になられた方の御冥福をお祈りし、また、今なお被災されている方もたくさんいらっしゃると。心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 ここ数日、新聞、テレビ等で、東日本大震災、六年たったということで報道もされておりまして、改めてまだまだ復興の道のりは長いと申しますか、道半ばであると、震災が終わっていないと、そういった思いが募るところであります。

 今回、この質問をするに当たりまして、私、数日前でありますが、防災教育センターの視察をさせていただきました。大変、丁寧に御対応いただきまして、御説明をいただいた学校の職員の皆さんにも、この場をおかりして感謝申し上げたいと思います。

 それで、県民の防災意識の向上を図るための取り組み、これ、いま一度、しっかり行っていく必要があると考えます。一点目として、防災教育センターの概要及び利用状況についてお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 危機管理局長。

 

◯林危機管理局長 青森県防災教育センターは、県民に対する防災思想の普及・啓発を目的といたしまして、昭和五十四年九月に消防学校の中に開設したものでございます。平成二十五年度末には展示中心の従来の施設から、地震の体験を初め、水消火体験、それから煙避難体験、一一九番通報体験など、さまざまな体験ができる体験型施設に改修したところでございまして、子供から大人まで幅広い世代の県民に御利用いただき、楽しみながら防災を学んでいただいているところでございます。

 これまでの年間来館者実績を見ますと、東日本大震災前の平成二十一年度は六百六十八人でございましたが、体験型施設に改修した後の平成二十六年度は三千四百五十五人、平成二十七年度は一千六百七十六人となっております。今年度は、幼稚園や小学校等を中心に積極的にPRなどを行いまして、来館者の増に取り組んできたところでございまして、二月末時点では二千百人と、既に昨年度の実績を四百二十四人上回っている状況になっております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 センターの設置目的の達成のためにも、機能を強化するとともに、認知度をアップさせて入館者の増が求められるものと思います。これまで最高で平成二十六年のリニューアル後、三千四百五十五人と、これを多いと見るか、あるいは少ないと見るか、捉え方はさまざまでありますが、そういったことから、新年度、実践的防災教育推進事業として四千百三十九万九千円が計上されております。

 そこで、この事業の内容についてお伺いをいたします。また、あわせまして、防災教育センターを活用した県民の防災力向上に向けて、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、この点もお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 危機管理局長。

 

◯林危機管理局長 二点、お答えいたします。

 まず、実践的防災教育推進事業の内容についてでございます。

 人口減少や少子高齢化が進行する中、地域防災力を維持するためには、あすの地域防災を支える人財育成が必要でございます。

 そのためには、子供たちに幼少期から防災に関心を持ってもらうことが重要と考え、これまで防災教育センターを幼稚園や小学校等の校外学習や社会見学の場として広く活用していただくよう積極的にPRしてまいりました。

 今後、当センターをさらに利用していただくためには、防災体験施設としての魅力と認知度を向上することが重要と考え、本事業では東日本大震災や熊本地震で記録した最大震度であります震度七を体験できる地震発生装置を設置するとともに、夏の暑い時期でも快適に御利用いただくため冷房装置を導入いたしまして、施設としての魅力を高めていくこととしております。

 また、これまでのPR活動に加えまして、親子で楽しく参加できるイベント、親子防災チャレンジdayと名称を打ちまして、夏休み期間中の平日と日曜日、それぞれ一回ずつ開催することを予定しております。このイベントでは、地震・消火等の各種体験、あるいは親子で考える防災クイズ大会、非常用備蓄食料品の試食など、こういった体験ができますので、まずは当センターにおいでいただきまして、センターの楽しさを実感していただきたいと考えております。

 次に、県民の防災力向上に向けた今後の取り組みについてでございます。

 災害発生時におきましては、県民一人一人がみずから安全を確保するために行動する力、いわゆる自助の力をみずから身につけることが重要でありまして、そのための基礎的な知識や疑似体験を得ることができる防災教育センターの果たす役割は非常に大きく、県といたしましては、より多くの県民の皆様に当センターを御利用いただくことが県民の防災力向上につながっていくものと考えております。

 また、自助は防災の基本であり、まずは自分を守ることにより、家族や友人・隣人を助けに行くことができる、いわゆる共助のベースにもなるものでございます。県としては、当センターを御利用いただいた方々が、ここで学んだことをもとに地域ぐるみでの防災に取り組み、共助の中心になっていただくよう期待しております。そのため、今後も積極的に当センターのPRに取り組みまして、多くの県民の皆様に御利用いただきたいと考えております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 今、局長から多くの県民の方に御利用いただきたいという旨の御答弁でありましたが、実際、センターに行って、少しだけの時間ですが、やりとりした内容は、青森市の新城地区にこのセンターがあるんですが、やはり場所的な問題もあって、青森県民全員というよりは、青森市、あるいはその近郊の子供、あるいは親子連れに限定されている傾向が正直あると、そういった状況にありました。やはり防災教育の必要性は、このセンターの近隣にお住まいの方だけではないはずでありまして、より全県的な広がりを期待したいと。当然、センターだけが防災教育を担うわけではございませんので、その点は十分カバーできるのかもしれませんが、しかしながら、この魅力を高めて、そしてここを拠点にして防災教育を進めていくという以上、何らかの方策が必要になってくるのかなと、そのようにもセンターを訪れてみて、率直に感じ取ったところであります。

 それで、これ、県として、現状のままでベストであるというのであれば、何ら否定するものではございませんが、私もたった一時間の視察でありますので、その現状をしっかりと把握したわけではありませんけれども、しかしながら、青森県の消防学校の職員の方が、通常は県内の消防士、あるいは消防隊員を育成すると、その職務を担いながら、兼務としてセンターの運営の業務も担われていると。このセンターの業務だけでも、例えば資料を管理したり、あるいは収集したり、また、イベントを企画し、PRする。それから、いわゆる備品等の維持管理をする。そして、来館者の受け入れをする。非常にこの業務だけでも多いのかなと感じておりました。それで、三千数名の来館者、この程度であれば、今のままでもいいのかなと思いますけれども、今後、これ以上、もっとふやしていきたいというお考えがあるのであれば、このセンターの運営の仕方そのものも含めて検討してもいいのかなと、そのようにも感じておりました。あえてきょうは質問いたしませんけれども、一応、私の意見として申し述べさせていただきます。

 引き続きまして、歳出四款一項一目「生活習慣病対策費」、大腸がん検診モデル事業の取り組みについてであります。

 事業費として五千五百九十七万円が計上されております。がん死亡率の減少に向けた新しい取り組みと捉えております。そこで、大腸がん検診を対象とすることとした背景をお伺いいたします。また、あわせまして、このモデル事業の内容についてお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 健康福祉部長。

 

◯一戸健康福祉部長 大腸がん検診を対象とすることとした背景ですけれども、青森県における平成二十七年のがんの七十五歳未満年齢調整死亡率を十年前の平成十七年と比べますと、全体としては減少しているものの、がんの種別では、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がんが増加しております。中でも大腸がんは全国平均が〇・七ポイント減少しているのに対して、青森県では二・七ポイント増加と、全国で最悪の増加率となっております。

 国ががん死亡率の減少効果があると認め推奨する肺・胃・大腸・乳・子宮の五つのがん検診のうち、大腸がん検診に関しましては便潜血検査が行われておりますけれども、これは唯一、検診機関に出向かなくても個人で検体の採取ができるものであります。また、精密検査として行われる大腸を内視鏡で観察する大腸内視鏡検査は、がんやポリープを高い確率で診断することができます。さらに、大腸がんは早期発見・早期治療によるがん死亡率の減少効果が期待できるものであります。

 このように、青森県のがん死亡率を効果的に減少させる可能性の高い大腸がんに焦点を当てまして、検診受診率の向上を図るとともに、精密検査が必要となった人を確実に精密検査の受診、早期発見・早期治療に結びつけていくことで、がん死亡率の改善を目指すこととしております。

 この事業ですけれども、平成二十二年の市町村別平均寿命で男性が全国ワースト四位であります青森市、それから全国の二次医療圏で男性の大腸がん死亡率がワースト一位であります津軽圏域の中心都市の弘前市をモデル地域とし、がん罹患者数が増加する働き盛り世代の五十代を対象とすることとしています。

 青森、弘前両市に加えまして、弘前大学、医師会、検診機関、国立がん研究センターと連携しまして、まずは過去三年から五年のがん検診の未受診者を特定して、便潜血検査の検査キットを送付するとともに受診勧奨を行います。その次に、検体の回収に当たっては、検診機関への郵送や近隣の公民館への持参など、受診者が容易に提出できるようにいたします。また、この事業での受診者のうち、大腸内視鏡検査を希望する方には、検体提出とあわせて内視鏡検査を実施して、その結果を分析することによりまして、検診及び必要なときの精密検査が未受診であることでどれだけがんの発見がおくれてしまうかなど、未受診であることのリスクを検証するといったことを事業の取り組みとしております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 非常にこの事業の着眼点がすばらしいと申しますか、部長の発案なのか、職員の発案なのかわかりませんが、検診を受診していない人にターゲットを絞ると。非常にこれは当たり前といえば当たり前でありますけれども、これによって受診率は確実にアップされると予測もできますし、また、唯一、この検診だけは検診のキットを送付するだけで検診ができるということでありますので、その点でも、今までにない発想で事業が成立するのかなと捉えております。

 そこで質問でありますが、県として事業の期待される効果とその普及についてどのように考えているのか、この点をお伺いいたします。

 

◯夏堀委員長 青山副知事。

 

◯青山副知事 県としては、この事業を通じまして、一点目として、受診者にとっては容易に検診を受診でき、必要に応じて速やかな治療につながること、二点目として、モデル地域の両市にとっては未受診者の受診が促され、がん検診受診率の向上が図られること、三点目として、県にとってはがんの早期発見・早期治療のためにがん検診や精密検査の受診が重要であることを客観的なデータで明らかにすることができることなどの成果があらわれることを期待しております。

 また、この事業の成果等については、市町村等関係機関や広報媒体等を通じて、広く県民に周知するとともに、この事業で培われる新たな受診勧奨等の手法を他の市町村にも普及させていくことにより、これまでがん検診を定期的に受診していない県民が、がん検診について正しく理解した上で、検診を定期的に受診し、精密検査が必要なときは必ず受けるという、がんの早期発見・早期治療のための具体的な行動につなげていきたいと考えています。

 なお、この事業については、その成果等が確実にあらわれるよう、三年かけて取り組むこととしております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 今、副知事からも御答弁がございましたが、来年度からモデル事業ということで、青森市と弘前市のみで行うということでありますけれども、この事業を成功することができれば、その後、システム化された場合は県内全域に広がると、そういった効果も期待できますし、また、もしかすれば全国的な広がりもこれまた期待できるということだと思います。そして、議会側からすれば、昨年の十二月にがん対策推進条例が議員提案で成立しました。条例制定を契機とした新しい取り組みであると捉えることができます。したがいまして、それだけに事業の実施によるさまざまな効果を期待しております。何としても成功に導いていただきたいと、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、歳出七款二項三目「美術館費」、県立美術館の魅力向上についてでございます。

 初めに、開館からこれまでの入館者数の状況についてお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 観光国際戦略局長。

 

◯高坂観光国際戦略局長 青森県立美術館では、開館いたしました平成十八年度に四十五万六千人の入館者数を記録し、その後も毎年、県内外から多くの方に御来館いただいておりまして、開館五周年の平成二十三年七月には累計入館者数が二百万人を超え、開館十周年を迎えました今年度までの累計入館者数は、二月末現在で約三百七十四万人となっております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 来年度、シャガール「アレコ」第三幕特別展示費が一千五百万円余、計上されております。県立美術館のコレクションといえば、やはり真っ先にシャガール「アレコ」の舞台背景画が思い浮かびます。そこで、この特別展示費の内容、どういったものが行われるのか、その点もお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 観光国際戦略局長。

 

◯高坂観光国際戦略局長 青森県立美術館では、マルク・シャガールの「アレコ」全四作品のうち、第一幕、第二幕、第四幕の三作品を所蔵しておりまして、アレコホールの広大な空間を活用した展示は、ほかでは見ることのできない県立美術館ならではの魅力として、広く来館者に好評をいただいております。

 残る第三幕「ある夏の午後の麦畑」につきましては、米国フィラデルフィア美術館が所蔵しておりまして、平成十八年の青森県立美術館開館記念展「シャガール『アレコ』とアメリカ亡命時代」展におきまして借用いたしまして、全四作品を多くの方々に御観覧いただいたところでございます。

 このたび、フィラデルフィア美術館の御厚意によりまして、借用料なしでこの第三幕を四年間の長期にわたって借用することが可能となりました。もう一度、この全四作品がそろっているところをぜひ観覧したいという多くの来館者の御要望にお応えするため、本年四月下旬から展示ができますように作品の移動及び展示に係る所要の予算を計上いたしまして本定例会で御審議いただいているものでございます。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 開館以来、全てがそろうと、その上で全四幕を特別展示するということであります。しかも四年間、長期にわたって展示できるということでありまして、これによって来館者のさらなる増加が予想されますし、大いに期待したいと思います。企画展の開催も含めて、開館から十一年目を迎えます県立美術館のさらなる魅力の向上を期待したいと思います。

 引き続きまして、歳出八款五項三目「公園事業費」及び歳出十款七項二目「体育振興費」、スポーツ施設整備に向けた取り組みについてでございます。

 ことしの一月九日でありました、全国高等学校サッカー選手権決勝戦でありまして、青森県代表青森山田高校、そして群馬県代表の前橋育英高校、私もこの日、実は決勝戦、埼玉スタジアムに応援に行ってまいりました。埼玉スタジアムの最前列、三村知事もいらっしゃっておりまして、三村知事が来るという情報が来たときに、知事が来ると負ける、甲子園等、また、七年前のサッカーの選手権も、私も行ったんですが、知事が来たからかどうかわかりませんが、あのときは準優勝と、そういったことで、少し応援団、ざわついたんでありますが、しかしながら、東京事務所の職員の方もいらっしゃって、一緒に並んで応援をさせていただきました。あの四万五千人を超える大観衆の中で青森県の子供たちが堂々たる戦いぶり、悲願の初優勝、非常に感動と申しますか、喜び、そういったものも、会場のみならず、県民に与えてくれたものと捉えておりますし、改めてスポーツの振興、青森県としてさらに力を入れていかなければならないと、そのようにも感じ取ったところであります。

 それで、応援に行ったんでありますが、埼玉スタジアムも、私、初めて行ったんですが、あそこは埼玉県が県として日韓のワールドカップの開催に合わせて整備したと。観客席が六万人を超えます。国内はもちろん、アジアでも最大級のサッカー専用のスタジアムでありまして、まさしく日本一を決めるにふさわしい夢の舞台だなと感じておりました。そして、埼玉スタジアムまでとは言いませんが、青森県もいよいよ大型のスポーツ施設整備が、これは本当にこれまで長い道のりでありましたが、いよいよそのゴールが見えつつあると、そのようにも感じ取っております。

 そこで質問をさせていただきますが、まず、新青森県総合運動公園の整備状況及び陸上競技場建築工事の進捗状況についてお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 県土整備部長。

 

◯鈴木県土整備部長 青森市安田地区にある青森県総合運動公園については、体育施設の老朽化などの理由により、県内全域からのアクセスがよく、十分な面積が確保できる青森市宮田地区に全面移転することとし、平成十年度から新青森県総合運動公園として整備を進めているところです。

 これまでに合宿所や二十五メートル屋内プールを備えた総合体育館、屋外テニスコート、球技場などを順次、整備・供用しており、平成二十七年度からは陸上競技場の建築工事に着手しております。

 これまで基礎工事やメインスタンド二階床までの躯体工事などを実施してきており、今年度末時点の予算ベースでの進捗率は約二七%となっております。

 平成二十九年度は、メインスタンドやバックスタンド、サイドスタンドの躯体工事及び大屋根工事などを実施することとしており、予算ベースでの進捗率は約七四%となる見込みです。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 続きまして、新青森県総合運動公園水泳場基本計画策定事業の概要と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

 

◯夏堀委員長 教育長。

 

◯中村教育長 青森県総合運動公園水泳場については、竣工から五十年以上経過し、五十メートルプールが著しく老朽化していることなどから、東北大会以上の大会の開催が難しい状況にあります。

 また、県内において国体の開催が可能な施設がほかにないことから、新青森県総合運動公園への水泳場の移転整備に向けた検討を進めることとし、平成二十九年度において施設の整備方針や建設予定地の立地・建築条件等の整理を行うための基本計画の策定等を行うこととしております。

 今後は、平成三十七年に本県で開催される国民体育大会を見据え、来年度策定予定の基本計画に基づき基本設計及び実施設計を行い、その後の建設工事に向け計画的に取り組んでまいります。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 引き続きまして、青森県スポーツ振興基盤整備計画に掲げている野球場の整備について、今後どのように進めていくのかをお伺いいたします。

 

◯夏堀委員長 教育長。

 

◯中村教育長 平成二十三年度に策定した青森県スポーツ振興基盤整備計画では、青森県総合運動公園の野球場について、竣工からおおむね五十年が経過し、老朽化が著しいことなどから、陸上競技場及び水泳場とともに国の地方財政措置や国庫補助金の採択可能性、国体の本県開催等を踏まえ、順次整備することとなっております。

 野球場については、国体の開催基準を満たす施設が県内でほかにあることなどから、その整備等については、今後、国からの財政支援を初め、さまざまな状況を踏まえながら検討を行う必要があるものと考えております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 この総合運動公園の整備、また、新総合運動公園の整備、これまでのさまざまな長い経緯がございます。私が記憶するだけでも、御答弁もありましたが、昭和四十年代に竣工されて、以降、国体が五十二年に開催されて、その後、国内最大級と言われるあの三内丸山遺跡の発掘、あるいはワールドカップの誘致、そのときはサッカーの専用スタジアムか、あるいは他の競技も含めた併用型のスタジアムにするのか、そういった議論もありましたし、また、建設地をどこに移せばいいのかといった問題もございました。そして、三村県政の誕生によって、いわゆる財政改革プランによって、大型の体育施設は、その着工を見合わせると、そういった大きな政策の転換がございました。また、その後は平成二十年でありますが、行革の大綱によって、非常によく考えたなと思うんですが、既存の施設の耐震、あるいは老朽化等のための改築、改修を優先的に実施すると。これを一つの足がかりとして、平成二十三年十月に県の教育委員会が青森県スポーツ振興基盤整備計画を策定と、今に至っているわけでありますが、この間も東京オリンピックの開催が決定して、そして青森国体が内定する。また、近年ではJリーグの突然の見直しでありましたが、県とすればJリーグの対応型のスタジアムを設計して建設途中の段階で、J1とJ2のスタジアムの要件には合致しないといった見直しも行われました。また、陸上競技場に関しましては二度の入札の不調と、そういった時代、時代で大分、回り道をしたようにも感じておりますが、しかしながら、その時代の難題を一つ一つ乗り越えていただいて、そして本日に至っていると。その点では、これまでの取り組みに対して、心から敬意を表したいと考えております。

 そして、私も子供のころ、今ある野球場、あるいは陸上競技場等で、例えば体育大会であったり、あるいは中体連の野球の試合であったり、いまだに三十年以上たっても、そのことがいい思い出として残っております。今、つくるこれらの大型のスポーツ施設でありますが、ここにいる我々が使うのではなくて、やはり次の世代の子供たちが使うと。その意味においては、もちろん、一日も早く建設完了していただきたいと、そのような思いもございますが、と同時に、次なる世代にしっかりとしたいい体育施設を残すと、このこともまた非常に重要な責務であろうかと思います。どうかそういった意味で、今後とも歴史に残る、五十年残る、そういった施設を今、つくろうとしているという思いを寄せて整備に当たっていただきたいと、その点はお願いをさせていただきたいと思います。

 引き続きまして、歳出十款一項九目「学事振興費」、あおもりキャンパスLIFE魅力再発見推進事業の取り組みについてであります。

 まず一点目として、本事業の概要についてお伺いいたします。また、今年度の実績についてもあわせて御答弁をお願いいたします。

 

◯夏堀委員長 総務部長。

 

◯田中総務部長 まず、本事業の概要についてでございます。

 本県人口の社会増減は、長期にわたり減少傾向にあり、高校卒業時における転出超過がその大きな要因となっている一方、県内の私立の大学、専修学校等では定員割れの状況が続いており、特に専修学校・各種学校では定員充足率が五割に満たない状況となっております。

 このような状況を踏まえまして、県内の高校生に対し、県内の大学、専修学校等を進学先の選択肢として強くアピールし、高校卒業時の転出超過の抑制、県内への進学促進を図ることを目的といたしまして、平成二十八年度と平成二十九年度の二カ年において本事業を実施するものでございます。

 具体的には、国公立を含めた全ての県内の大学、専修学校等の情報のほか、県内で過ごすキャンパスライフの魅力を高校生に対して広く伝えていくため、県内の大学、専修学校等による合同進学相談会の開催、函館市などの道南エリアにおいて開催される合同進学相談会への青森県ブースの出展、県内の大学、専修学校等の情報やキャンパスライフの魅力を紹介する冊子の作成・配布の三つの取り組みを実施するものでございます。

 続いて、今年度の実績についてでございます。

 まず、取り組みの一つ目でございます合同進学相談会については、県内大学、専修学校等から出展希望を募り、昨年十一月に青森・八戸・弘前の三地区に会場を設け、開催いたしました。各会場の出展大学等及び来場した高校生の状況でございますが、青森会場では二十七の大学等が出展し、八つの高校から百二十六名の高校生等が来場、八戸会場では二十七の大学等が出展し、十四の高校から百九十名の高校生等が来場、弘前会場では三十の大学等が出展し、十三の高校から百七十七名の高校生等が来場、三会場合計では、県内の延べ八十四の大学等が出展いたしまして、三十五の高校から四百九十三名の高校生等が来場いたしました。

 取り組みの二つ目である道南エリアでの合同進学相談会につきましては、去る二月三日、十三の県内大学等が本県ブースに出展し、八十八名の高校生が来場したところでございます。

 取り組みの三つ目である冊子の作成・配布につきましては、「青い森の学生LIFE」というタイトルの冊子を昨年十月に五千五百部作成いたしまして、県内の全高等学校のほか、道南地域、岩手県北及び秋田県北の高等学校四十七校へ配布したところでございます。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 引き続きまして、来年度においてどのように取り組んでいくのか、ポイントだけで結構であります、御答弁をお願いいたします。

 

◯夏堀委員長 総務部長。

 

◯田中総務部長 合同進学相談会につきましては、今年度は約五百名の来場者があったところでございますけれども、本事業の成果をより高いものとするために、一人でも多くの高校生等に会場に足を運んでいただくことが肝要であると考えているところでございます。

 そのため、各高校に対して本事業の趣旨、実施時期等をできるだけ早い時期から周知を図りまして、高校生等の来場を促すほか、出展する大学等の出展希望の状況等にもよりますけれども、合同進学相談会の開催地区を今年度の三地区からふやすことなど、高校生等の参加しやすい環境を整えるよう検討していきたいと考えております。

 あわせまして、道南エリアへの情報発信、情報冊子の作成・配布につきましても、大学、専修学校等から評価もいただいているところでございますので、引き続きより効果的な内容となるよう、検討の上、実施することとしたいと考えております。

 

◯夏堀委員長 高橋委員。

 

◯高橋委員 事前に青森県の教育委員会から高等学校等卒業者の進路状況のデータを頂戴しまして、やはりおっしゃるとおり、このデータを見ますと、一年前の卒業生でありますが、大学進学に関して言えば、県内が三八%、県外が六二%ですね。短期大学が県内七〇%、県外が三〇%、そして専修学校の専門課程の部分でありますが、県内が三五%で、県外がほぼ倍ですね、六五%といった現状にございます。

 それで今、県全体として、いわゆる人口の還流対策と申しますか、UIJターン等々、そういった取り組みも来年度以降、拡充していくといったことであろうかと思いますが、私は、人口減少社会の克服という観点から言えば、高校生を送り出す側、学校現場であり、県教育委員会のほうも、こういった視点も一つ必要になってきた、そういう時代なのかなと捉えております。時間がありませんのでこれ以上は言及しませんが、県教育委員会としても、高校生を送り出すという部分において、この問題についてはしっかりと今後整理して、必要な対策がもしあれば講じる必要があるのかもしれません。その点だけでは今、申し述べさせていただきます。

 引き続きまして、歳出十款一項五目「教育指導費」、スクールカウンセラー配置事業についてであります。

 スクールカウンセラー配置事業の概要についてお伺いをいたします。あわせまして、専門性の高いスクールカウンセラーの確保及び増員が必要と考えますが、県教育委員会の見解をお伺いいたします。

 

◯夏堀委員長 教育長。

 

◯中村教育長 初めに、事業概要でございます。

 県教育委員会では、児童生徒の問題行動やいじめ、不登校等の生徒指導上のさまざまな課題に適切に対応するため、児童生徒の臨床心理に関して、高度で専門的な知識、経験を有するスクールカウンセラーを学校に配置しております。

 各学校に配置されたスクールカウンセラーは、児童生徒及び保護者に対するカウンセリングや、カウンセリングに関する教員への助言を行ったり、校内研修の講師を務めるなど、幅広く活動しております。また、市町村教育委員会や県立学校からの要請に応じて、当該校へ緊急派遣しております。

 来年度は、スクールカウンセラーを県内公立小中高等学校百八十九校から二百七十八校に拡充し、特に中学校においては県内全公立中学校に配置することとしております。

 次に、スクールカウンセラーの確保、増員ということについての見解でございます。

 県教育委員会では、今年度、スクールカウンセラーを六十名任用しており、このうち有資格者である臨床心理士、精神科医、大学教授等の職にある者が二十二名、有資格者に準ずる者である教育カウンセラー、ガイダンスカウンセラー、精神保健福祉士等の資格を有する者が三十八名となっております。

 スクールカウンセラーについては、青森県臨床心理士会、大学、病院等に依頼して紹介していただくほか、県教育委員会のホームページで募集するなど人材確保に努めており、今年度は昨年度に比べて有資格者が二名、準ずる者が一名ふえております。

 県教育委員会としましては、今後とも各関係機関と連携し、理解や協力を得ながら、スクールカウンセラーの人材確保に努め、教育相談体制の充実を図ってまいります。