2016年10月05日:平成28年第287回定例会(第6号)   本文

◯議長(清水悦郎) 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第二十七号まで、報告第一号から報告第十九号まで及び公社等経営状況説明書等を一括議題とし、質疑を行います。

 質疑は議題外にわたらないように願います。

 二十六番高橋修一議員の発言を許可いたします。──高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) おはようございます。質問を行います。

 初めに、議案第一号「平成二十八年度青森県一般会計補正予算(第二号)案」について、歳出四款二項五目「廃棄物対策費」、八戸市櫛引地区産業廃棄物不適正処理事案に係る代執行についてであります。

 質問に入ります前に、その前提として、本事案の概要を振り返ってみますと、原因者は株式会社三協リサイクル処理センター、そして、廃棄物の種類は、汚泥、燃え殻、木くず等、また、汚泥と燃え殻を処理したコンクリート固形化物、また、廃棄物の総量は約十万二千立米であります。また、これまでの長年にわたる経緯でありますが、まず、県の本事案の原因者に対する対応、これは平成四年からでありますけれども、平成四年に産業廃棄物処理業を許可していると。その後、平成八年ころからこの場所での保管量が徐々に増加し、その減少の指導、あるいは平成十一年になって廃棄物処理法のいわゆる基準が強化されたということをもって、この平成十一年の時点で初めて県として不適正処理事案に当たると。そのもとに、その後も立入調査等の頻度をふやしている。また、平成十三年には改善命令、翌十四年には処理業の許可取り消し、そして、同年、また翌年もそうでありますが、撤去を命ずる措置命令、その後、平成十七年に刑事告発し、有罪が確定と。

 また、これらと並行して、平成十五年度から十九年度にわたって、いわゆる排出事業者に対して約一千五百トンの廃棄物を撤去させるということであります。加えまして、この間、これ以降もそうでありますが、本事案に関連してさまざまな調査も実施してまいりました。平成十五年度から始まっておりますけれども、地下水等の調査が平成二十三年度まで、この時点では環境基準を満たしているとしておりましたが、平成二十四年七月、直近の井戸で初めて総水銀がいわゆる環境基準を超えて検出されたと。その後、本格的な調査を、平成二十五年、二十六年の二カ年間にわたり、水質、地質、それから汚染源の調査、あるいは周辺の環境調査等々を行っております。

 そして、平成二十七年二月定例会、この本会議の場でありましたが、知事答弁によって、ここでいよいよ県として行政代執行を行うと。ここが一つの分岐点でもあったと思います。その同じ平成二十七年二月定例会において、行政代執行における具体的な対策工事の方法あるいは費用等について検討するための基本設計業務委託に五千九百四十万円余、現場測量等の調査委託に四百五十万円余、合わせて六千三百九十万円余の補正予算を計上しております。同年十一月には、この設計業務を受けて現行の工事費が補正予算として計上され、総事業費が六億一千四百万円余、この財源は公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団からの支援が三億二千七百万円余、そして、これ以外が一般財源として二億八千七百万円余、これが財源の内訳でありました。

 また、現在、現行で行っている工事の内容でありますけれども、この事業地内の廃棄物をなだらかに整形した上で、廃棄物の表面を遮水シートでキャッピングする、また、事業地内の雨水排除工などを実施すると。加えまして、廃棄物の土質試験、堆積状況の調査を実施した結果、事業地内に堆積した廃棄物はもろくて崩れやすい性状であることが判明したことから、このとき廃棄物の安定性を確保するためには、当初の想定よりも緩やかな勾配で整形しなければならないということが明らかになり、このため、廃棄物の整形作業に必要な土木工事量が増加すること。全ての廃棄物を事業地内におさめるために必要な容積を確保するために、廃棄物の端部、いわゆる端の部分ですね、外周の部分を補強土壁でかさ上げする。こういった説明もこの時点で伺っております。

 工期でありますが、平成二十八年九月末までを工事完了のめどとして、このとき、昨年の十一月でありましたが、補正予算案は既に成立しております。

 ここまでが私どもが認識している本事業の概要と経緯、あるいは現在行われている工事内容、工事費であります。

 そこで、最初の質問でございますが、今定例会に本事案に係る補正予算が計上されております。本補正予算で工事費用が大幅に増額となっているようでありますが、工事費用が増額となった経緯についてお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 今回の代執行工事は、現場内に不適正な状態で野積みされている燃え殻や汚泥等の産業廃棄物について、生活環境保全上の支障の発生を防止するために、事業地外に廃棄物の影響を及ばせない封じ込めの措置を行うものでございます。具体的には、廃棄物をなだらかに整形した上で表面を遮水シートで覆うキャッピング等の工事を行うもので、ことし二月に着手し、仮設工事や準備工事などを経て、四月以降本体工事に入りました。

 本体工事では、まず、全ての廃棄物を事業地内におさめる容積を確保するために、廃棄物の外周部分を補強土壁でかさ上げする必要がございますが、その準備作業といたしまして、補強土壁の基礎となる部分の掘削を進めたところ、当初の想定以上に広範囲にわたる軟弱地盤が確認され、現状のままでは、補強土壁を支えるために必要な強度を確保できないことが判明いたしました。

 これに伴い、軟弱地盤に対応するための追加工事が必要となり、全体の工事量が大幅に増加することとなったため、当初の九月末までの工期を十二月中旬ごろまで延長するとともに、さらなる予算措置が必要となり、本定例会における補正予算案に所要額を計上し、御審議いただいているところです。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) ただいまの答弁によりますと、当初の想定以上に軟弱地盤が確認され、この対応のためであるということでありましたが、私も、昨年、現地を環境厚生委員会の調査で見させていただきました。いわゆる今の御答弁による軟弱地盤の地盤、これをどう捉えればいいのか。あの地山のことを指すのでしょうか。また、地盤と言われる部分の物質ですね。それはどういったものになるのか御答弁をお願いします。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 補強土壁の底面と接し、補強土壁を支える面を地盤面としております。その地盤面の下の部分、すなわち補強土壁の基礎となる部分を地盤と捉えておりまして、その基礎となるべき地盤について広範囲にわたって軟弱な部分が確認されたものでございます。

 地盤に当たる部分は廃棄物と土砂の混合物でございまして、場所によってその状態は異なります。長年にわたって現場に堆積しているため、ある程度締め固まった状態にあるものの、掘削を実際に行い、新たに土質試験を行った結果、補強土壁を支えるのに十分な強度が得られなかったものでございます。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 地盤というのは、いわゆる不正に投棄されている廃棄物と土砂の混合物であるということですね。

 関連して、この追加工事を行うということでありますが、今回の追加工事の概要についてお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 今回の軟弱地盤に対応するための追加工事は、大きく分けて三つの工種を実施していくものでございます。

 一つとして、補強土壁を支えるのに必要な強度を確保するため、廃棄物の外周の土台となる部分について、セメントを混合するなどして地盤改良を行います。

 二つとして、補強土壁を強固なものとし、また、廃棄物を安定して積み上げるため、盛り土材とする廃棄物に石灰を混合して含水率等を調整する土質改良を行います。

 三つとして、これらの地盤改良及び土質改良を行うために、先行して、地盤面の下の部分及びその上に野積みされているのり面部分の広範囲な掘削を行います。

 これらの追加工事は、八戸市への移管を見据えた恒久的な対策として、構造物の安定性を確保するために必要不可欠な工事でございまして、県といたしましては、封じ込めの措置に万全を期すために確実に施工してまいります。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) ただいまの答弁で、追加工事の概要、また、答弁の内容によってその必要性は理解をいたしました。

 となると、この工事の前段階のいわゆる工事設計の妥当性、このことも問われると言えますけれども、当初というのは、先ほど私は冒頭で申し上げましたが、平成二十七年二月補正予算で成立した行政代執行における具体的な対策工事の方法や費用等について検討するための基本設計業務委託五千九百四十万円余、あわせて、現場測量等の調査委託に四百五十万円余、合わせて六千三百九十万円余、この業務設計であります。

 そこでお伺いいたしますが、この設計業務そのものの妥当性も含めて、当初の設計で今課題となっている軟弱地盤を把握できなかった、その理由についてお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 今回の代執行工事につきましては、昨年度に基本設計及び詳細設計を行いました。その際には、十カ所のボーリング調査で採取された試料を用いて土質試験を行いましたが、いずれの試料からも、改良を要する状態にあるとのデータは得られませんでした。

 本現場に野積みされている廃棄物の内部の状態につきましては、一定程度不均質であることは想定しておりましたが、実態といたしまして、長年にわたって現場に堆積しており、全体の重みで相当程度の締め固めが進んでいるものと考えられたこと、また、現状では特に沈下している箇所なども確認されなかったことなどから、設計の段階では、ボーリング調査による土質試験結果により現場の全体像を把握できると考えていたものです。

 しかしながら、工事着手後、実際に廃棄物の外周部分を掘り進めたところ、当初の想定以上に広範囲にわたる軟弱地盤が確認されるに至ったものでございます。

 結果といたしまして、ボーリングのような点による調査では、不均質な状態にある廃棄物の全体像を面的に把握するには限界があり、掘削作業を行う前の段階で当初の設計に反映させることは困難であったと考えております。

 設計委託につきましては適切に行われたと考えております。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) ただいまの答弁を要約すれば、昨年度の設計の段階では、あの現場の十地区をボーリングで調査したと。それをいわゆる点という表現をされていますが、しかし、廃棄物はかなりの容量で、また、その中というんですか、奥のいわゆる廃棄物の全体像は、立体的に、面的に把握できなかったというような御答弁であろうかと思います。

 追加工事が今必要となっていると。この今の状況から見れば、これはあくまでも結果論なのかもしれませんが、さまざま思うところがあります。今の御答弁によれば、昨年の設計の段階ではそれ相応の予見できない理由もあったと、そういうことと理解しますけれども、その御答弁の内容は一定の理解はいたしますけれども、この点については後ほどまた関連して質問をさせていただきたいと思いますが、少し視点を変えて、工事の金額ですね。今の補正予算案で二億七千八百万円余の追加工事が提案されておりますが、金額がもともとの工事費に比較してというか、そのことを踏まえればふえ過ぎではないかと、そのように捉えることもできますが、工事金額という点での増加という、金額面での県の見解をお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 今回の追加工事は、部分的に施工する作業とは異なりまして、廃棄物の外周部分のうち約八割の広範囲にわたる地盤改良が必要となりましたこと、また、これに伴いまして、全体の掘削量、地盤面の下の部分及びその上に野積みされているのり面部分の掘削量が大きく増加したことなど、施工の範囲が現場全域に及び、工事量が大幅に増加したことにより、工事費用を押し上げる結果となったものでございます。

 一方、これらの追加工事は、八戸市への移管を見据えた恒久的な対策として、構造物の安定性を確保するために必要不可欠な工事であり、県としては、封じ込めの措置に万全を期すために確実に施工していかなければならないと認識しております。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 当然にしてさまざまな工法と申しますか、費用面においてさまざまな工法を比較、検討されたものと思います。もっと費用をかけずに──ないんでしょうけれども、もっと費用をかけずに低コストでこの追加工事を実施する、そういった方法はないのでしょうか。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 今回の追加工事の内容を検討するに当たりましては、コストや工期の面から、補強土壁以外の工法についても比較検討を行いましたが、結果といたしまして、今回の施工方法が最も合理的かつ経済的であると判断したものでございます。例えば、廃棄物を全量撤去した場合は概算で約百六十億円程度と想定したものでございます。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 工法そのものの費用面での妥当性については理解をいたします。

 続きまして、財源の問題です。今回の追加費用に関しては、現行の工事費とは違って財団の支援は受けられないということを伺っております。全て一般財源で賄うこととしておりますが、この追加費用に対して財団から支援を受けられないのはなぜでしょうか。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 財団からは、一議案に対する審査は一回が基本原則であり、本県の代執行工事に対する審査及び決定は昨年度に完了しているため、新たに判明した軟弱地盤に伴う追加工事につきましては、その必要性は理解できるものの、既に決定済みの上限額を引き上げることは困難であるとの回答を得ております。

 また、その後も数回にわたって協議を行いましたが、財団からは、仮に追加支援に係る変更手続を進めるにしても、財団に対して改めて申請を行い、有識者等で構成する審査会での審査を経る必要があること、追加支援を決定する前の事前着手は認められないため、一連の手続が終了するまでの間は工事を休止しなければならないこと、工事を休止すべき手続期間は通常三カ月から四カ月程度を目安とすることとの回答を得たものです。

 追加工事に伴う工事量の大幅な増加によりまして、工期を十二月中旬ごろまで延長せざるを得ない状況にある中、仮に数カ月にわたって工事を休止する事態となれば年内に完了できないことは明らかであるとともに、支障の発生を防止するための措置が完了せず、工事途中の不十分な状態のまま本現場を一時的に放置せざるを得ないこととなります。

 このような状況を踏まえ、県民の安全な生活環境を確保するためには、県の責任において、八戸市が中核市に移行する前に確実に工事を完了させることが必要と判断し、工事を休止することなくこれまで進めてきたものでございます。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 財団からの支援の関係でありますが、恐らく昨年の設計段階において、どういう工事を行うのか、その工事の内容についても事前に財団とは協議をして、その上で財団からの支援額が決定したものと推察をいたします。そういった経緯を踏まえますと、県の一般財源の投入を少しでも抑えるために、財団からの追加支援、これからの追加支援の可能性を探る、その選択肢もなくはない、考えられなくはないわけです。

 関連して、ちょっと聞き方を変えますけれども、そういった選択はせずに、年内に必ず完了させるということを選択されたわけでありますが、この年内に必ず完了させるということの必要性については県としてどのように捉えているんでしょうか。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 本事案については、中核市への意向を表明した八戸市の意向を踏まえ、環境省と協議を重ねた結果、代執行の実施を前倒しすることも可能との見解が示されたものでございます。また、今回の追加工事の発生に伴う対応につきましても、環境省からは、行政責任と権限が移行する前の完了、すなわち年内の工事完了を第一に対応することとの助言を受けております。

 県といたしましては、八戸市の意向及び環境省の見解を前提といたしまして代執行の前倒しでの実施を判断したものでありますので、当初の方針どおり、八戸市が中核市に移行する前に確実に工事を完了させることを第一に対応していくものでございます。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) この点についてでありますが、今私が申し上げている財団からの追加支援の有無は別にして、本補正予算が仮に成立後、追加分の工事に着手したとしても、それでもなおかなりタイトなスケジュールで工事しなければならない、そのように考えられますが、こういった場合の工事が年をまたいだ場合の対応については八戸市と協議はされているのでしょうか。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 八戸市に対しては、これまでも工事の進捗状況について随時情報提供しており、今回の追加工事や工期の延長についても説明して理解を得ているところでございます

 環境省につきましては、年内の工事完了を第一にという助言もございまして、年を越すことのないように、それを第一に進めているものでございます。

 

◯二十六番(高橋修一) 先ほどの答弁と若干重なる部分があったように思いますが、こういった時間的な制約があると。そういった制約がある中で工事を完了させなければならないということであろうかと思います。

 そうであるならば、時間的な制約がある中で、そもそも当初から軟弱地盤を見込んで──今だから言えるのかもしれません。軟弱地盤を見込んで設計をしていれば、少しでも多くの財団の支援を受けることができたのではないか、そのようにも考えますが、この点について県のお考えをお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 実態といたしましては、工事に着手した後、実際に掘削作業を進める中で広範囲にわたる軟弱地盤の確認に至ったものでございまして、当初の設計段階の調査でこれを詳細に把握することは極めて困難であったものでございます。

 結果として、多額の追加費用が発生し、県費負担の増加が必要になったことにつきましては重く受けとめておりますが、県といたしましては、県民の安全な生活環境を確保するために最後までしっかりと工事を進めてまいりたいと考えております。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 今後、これ以上工事費用がふえることはないのでしょうか。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 現在の状況といたしましては、廃棄物の外周部分の掘削は全て終了し、軟弱地盤の詳細及び必要な工事内容が明らかとなっております。今回の補正予算額につきましては、これまでの工事実績及び今後の作業工程を踏まえ、十分に精査を行った結果によるものでございます。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) さまざまお聞きしました。今回の対策工事において求められることを私なりに整理すると、大きく分けて三つあるのかなと考えます。

 一つ目が、対策工事そのものの内容ですね。恒久的な対策を講じなければならない、そのために封じ込めの措置に万全を期すと、工事そのものの内容。それから二つ目が、工期ですね。御答弁のとおり、八戸市の中核市移行前に確実に工事を完了させると。そして、来年以降、この事案については責任を持って八戸市に引き継ぐと、その工期の面も大事です。三つ目が、県費の投入をいかにして抑えるかという点もあろうかと思います。

 冒頭に私が経緯を詳細に申し上げたのは、これは行政代執行でありますので、本来、本事案の原因者が原状回復しなければならないと。そういった中で、それが履行されずに行政代執行に至り、県費を投入しなければならない、この点に立ち返れば、これをいかにして抑えていくのか、これまた重い視点であろうかと思います。

 例えば、道路を通す、河川を改修する、港をつくる、建物を建てる、橋をかける、いわゆる一般的と言っていいんでしょうか、そういった工事であれば、工事の途中段階で、何かしらの事情で追加工事が発生する、ある意味県費投入はやむなし、そのようにも捉えることができますが、この行政代執行の場合は、そういった一般的な工事とは、やはり県費投入の考え方は同じ認識を持ってはいけないのではないか、そのように私自身は考えております。

 その意味において、昨年、環境厚生委員会に所属して、今行われている工事も議会の付託事項として審議した、そのことを振り返ってみると、特に行政代執行に係る工事については、今回のような追加の工事がないように、設計段階から、石橋をたたいて渡ると申しますか、あらゆる可能性を想定して、念には念を入れて慎重に設計業務を行うことが求められる、そのことを今痛感しております。

 そこで質問でありますが、県は、今回の件を教訓に、同様のこういった行政代執行事案の工事を行う場合には、念には念を入れて調査を行うなど、より慎重に対応すべきと考えますが、県の御見解をお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 県といたしましては、今回の件を通して、不法投棄や不適正処理された廃棄物の性状を見きわめることは非常に難しいこと、特に大量に野積みされた廃棄物の中に、どのような廃棄物がどのような状態で存在するかを把握するためには、より慎重かつ広範囲に調査を行い判断していかなければならないことなどを強く認識したところであり、今後の教訓として生かしていかなければならないと考えております。あわせて、事案がこのように大規模化することのないよう、これまでも不法投棄等の未然防止と早期発見、早期解決に向けて、立入検査や不法投棄監視員の配置、早朝、夜間、休日におけるパトロール、そして、今年度のドローンによる監視体制の強化などの各種の対策を講じてきたところでございますが、本県の生活環境の保善を図るため、今後ともさらなる取り組みの充実強化を図ってまいりたいと考えております。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) わかりました。

 それでは、この点について最後の質問でありますが、今後の工事完了の見通しをお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(鈴木日登美) 現在の工事の進捗状況を踏まえ、予定どおり十二月中旬ごろに工事を完了するスケジュールとなっております。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 繰り返しになりますが、県費投入の抑制、県民の負担を最小限に抑える、こういった視点での行政代執行の設計業務のあり方については今後の教訓として生かしていただきたい、これはお願いをします。一方で、追加工事によって恒久的な対策をしっかりと行うと、これは十分理解します。万全を期していただきたい。あわせて、八戸市の中核市移行の前に確実に工事を終わらせなければならない、その部分も理解いたします。したがって、三点申し上げましたが、この点はそれぞれ重要なテーマというか、課題であろうかと思いますので、この点についても万全を期して、今後とも最大限努力していただくようにお願いして、次の質問に移ります。

 歳出八款四項一目「港湾管理費」、青森発!新流通サービス「A!Premium」活用促進事業費の取り組み等についてであります。

 青森発!新流通サービス「A!Premium」活用促進事業を補正予算に計上した理由と、事業実施により期待される効果について、あわせまして、この「A!Premium」を将来にわたり持続可能なものとする必要があると考えますが、県は今後どのように事業を展開していくのかお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 県土整備部長。

 

◯県土整備部長(鈴木 潔) 「A!Premium」は、ヤマト運輸株式会社との連携協定に基づき平成二十七年四月から提供されている流通サービスであり、初年度である平成二十七年度は、目標の一千個を大幅に上回る三千五百三十二個まで荷物の利用が進みました。しかし、サービス提供から一年以上が経過した今、県内事業者から集荷、持ち込み時間の後ろ倒しを求める声が多いこと、マーケットニーズに応じた商材提案が求められていることなど、課題も明らかになりつつあります。

 これらの課題解決に向けて、今後の取り組みの方向性を示す中期計画の策定経費や、西日本及び海外での販路拡大に向けた取り組みを一層強化するためのプロモーション経費等について、所要の予算を計上し、本定例会で御審議いただいているところです。

 

◯議長(清水悦郎) 青山副知事。

 

◯副知事(青山祐治) 私からは、今後どのように事業を展開していくのかについてお答えいたします。

 「A!Premium」を持続可能な流通サービスとするためには、サービスの安定的な運営に必要な取り扱い荷物量を確保する必要があります。

 そのため、県では、今後、次の三つの取り組みを進めることとしております。

 まず、現行サービスのさらなる改良に向けて、マーケットニーズも踏まえた具体的な課題を抽出、整理するとともに、その改善策を平成三十年度までのロードマップとしてまとめた中期計画を策定したいと考えております。

 次に、将来的な青森空港発着便の活用を念頭に、現在の取り扱い貨物の動向や今後の物流に係る情報を収集する青森空港貨物利活用基礎調査を行いたいと考えております。さらに、取り扱い荷物量のさらなる増加に向け、本サービスを利用する県内事業者の掘り起こしや、国内外の販路拡大の取り組みを強力に進めてまいります。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 「A!Premium」の可能性、伸び代はかなりあるわけで、そういった新しい仕掛けづくりによって効果の獲得を期待いたします。

 続きまして、歳出十款六項二目「文化財保護費」、三内丸山遺跡魅力づくり検討事業費についてであります。

 三内丸山遺跡の魅力づくりに向けたこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

 あわせまして、三内丸山遺跡魅力づくり検討事業の概要をお伺いいたします。

 

◯議長(清水悦郎) 教育長。

 

◯教育長(中村 充) お答えいたします。三内丸山遺跡魅力づくり検討事業のこれまでの取り組みということについてです。

 県教育委員会では、三内丸山遺跡に多くの方に訪れていただき、遺跡や縄文文化が持つ価値を理解していただくため、遺跡の魅力づくりに取り組んでまいりました。

 具体的には、平成二十二年度に常設展示室さんまるミュージアムをオープンし、縄文時遊館で重要文化財等を見学できるようにしたほか、平成二十七年度にはITガイドを導入し、タブレット端末により発掘当時の様子や縄文時代のムラの様子等を映像や音声等で見聞きしながら見学できるようにしました。また、ソフト事業として、縄文人の知恵や生活について理解を深める体験学習や、多くの方に遺跡を楽しんでもらう四季の縄文祭りなどの取り組みを行っております。さらに、本定例会で工事請負契約についてお諮りしております縄文時遊館の増築についても、遺跡のさらなる魅力づくりにつながるものと考えております。

 次に、事業の概要についてです。

 三内丸山遺跡魅力づくり検討事業は、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録を見据え、その中核である三内丸山遺跡のさらなる魅力づくりが必要となっていることから、有識者から御意見をいただきながら遺跡の魅力づくりについて検討するものであります。

 有識者会議においては、世界遺産登録を見据えた来場者サービスの充実や魅力ある展示などについて検討することとしております。なお、有識者会議の構成員は、文化財保護専門家や商工関係者、三内丸山遺跡の関連団体、学校関係者等を想定しており、幅広く御意見を伺ってまいりたいと考えております。

 今後のスケジュールとしましては、年度内に三回会議を開催して遺跡の魅力づくりに向けた方向性をまとめ、来年度は具体的な検討を行うこととしております。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。時間がありませんので、よろしくお願いします。

 

◯二十六番(高橋修一) 議案第十八号「和解の件」、原子力損害賠償紛争審査会から提示された和解案の概要等についてお伺いいたします。

 原子力損害賠償紛争審査会が提示した和解金額の内容と妥当性についてお伺いして、終わります。

 

◯議長(清水悦郎) 質疑時間を超過いたしましたので、これをもって高橋議員の質疑を終了いたします。