2016年09月20日:平成28年農林水産委員会 本文

◯夏堀委員長

 ほかに質疑はありませんか。──高橋委員。

 

 

◯高橋委員

 それでは私のほうから、改正農協法を踏まえた農協改革について質問させていただきます。

 政府と与党との農協改革の議論を経て、昨年8月、国会で改正農協法が成立されたと認識しております。改正のポイントはさまざま挙げられておりますけれども、大きくは農協の本来の目的が何であるのか、その目的の明確化、あるいは、組織の問題ですね、農協中央会の組織変更など、そういった農協改革を進めるための改正農協法が昨年成立し、そして、いよいよ本年4月から施行されました。農協そのものは協同組合でありますので、組合員に最大限の奉仕をすることを基本としてきたところでありますけれども、この改正によって、さらに一歩踏み込んで、その中に「農協はその事業を行うに当たっては、農業所得の増大に最大限配慮しなければならない」、こういった項目が明記されたところ、これが最大の改正点とも言われております。

 そういった中で、特に、青森県は農業が基幹産業でありますので、農協の改革がどのように進められていくのか、着実にこれを進めていくことが必要であると認識しているところでもあります。

 1点目の質問でありますけれども、農協の理事の構成についてであります。改正によって農業者にメリットがある経済活動に積極的に取り組む必要がある、そういったことから、農協の業務を執行、決定する理事会について、その定数の過半数を認定農業者等とすることが規定されているということであります。そこで質問でありますが、本県の農協の理事について、実際の担い手である認定農業者等の現状の就任の状況をお伺いするものであります。

 

 

◯山田団体経営改善課長

 改正農協法では、農業所得向上に向けた責任ある経営体制を確保する観点から、ご指摘のとおり、理事の定数の過半数は認定農業者、または農畜産物の販売等に関し実践的な能力を有する者でなければならないと規定されております。

 本県におきましては、9月1日現在、10の農協全てにおきまして、この規定が満たされております。具体的な数字で御説明しますと、理事に占める認定農業者または農畜産物の販売等に関し実践的な能力を有する者の割合は、最も低い農協でも63%、最も高い農協で100%となってございます。

 

 

◯高橋委員

 御答弁ありがとうございます。ただいまの答弁で、青森県内の農協の理事会の体制は既に整備されているということを理解いたしました。それでは、農協改革に向けた具体的な取り組みについて御質問したいと思います。

 農協はかなり大きな組織でありまして、例えば、指導であったり、販売であったり、金融等々さまざまな事業を展開しているわけでありますけれども、本県の農協系統の改革に向けた現在の取り組みの状況をお伺いいたします。

 

 

◯山田団体経営改善課長

 本県の農協系統の改革につきましては、昨年12月に開催されました、第27回JA青森県大会におきまして、「農業者の所得増大への支援力発揮」などの3つの重点目標が決議されまして、販売力の強化、生産コストの低減等を初めとした改革を着実に実践していくこととされました。

 これを受けまして、各農協では、組合員へのアンケート調査や、各作物部会の代表者等との話し合いを実施しまして、組合員の要望を反映した改革への取り組みを進めているところでございます。

 具体的な取り組み内容としましては、例えば、販路拡大や買い取り販売を速やかに進めるための新たな部署の設置、早期予約や大量購入による生産資材価格の引き下げ、販売及び購買手数料の引き下げ等を進めているものと聞いております。

 

 

◯高橋委員

 手元に、地元の新聞の報道があります。9月8日に全国農業協同組合中央会、JA全中が農業生産に必要な資材の値下げ策を柱とするJAグループの改革方針を発表といった報道でありまして、今、まさに着手し始めたということでありますので、これについては、今後の推移を注視していく必要があろうかと思います。

 そこで、3点目であります。今後の話でありますけれども、各農協が農協の改革に当たっては、その所属する組合員と話し合いを重ねて、法の趣旨にのっとった形で農業者の農業所得の増大等に向けた取り組みが必要であると考えられます。そこで、青森県における農業改革のそういった着実な推進を後押しするために、県としてどのように今後取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。

 

 

◯山田団体経営改善課長

 県としましては、農協改革の着実な推進を後押しするため、各農協に直接足を運び、組合長や職員の方々と十分に意見を交換しながら、農協に新たな取り組みの提案も行うなど、各農協がそれぞれの特徴を生かした改革を着実に進められるよう支援してまいりたいと思っております。

 とりわけ、県内の農協では、農業経営、農作業受託、作業員派遣を行うJA出資型農業法人を設立しまして、農業の担い手、労働力の確保という喫緊の課題に取り組もうという新たな動きがございますことから、県としても、これに呼応して、積極的に支援していくこととしております。

 具体的は、本年3月に、ゆうき青森農協が出資設立しました、アグリTASKEL株式会社が本県の優良モデルとなり、ほかの農協に同様の取り組みが広がることを促進するため、県としましては、農協を対象とする研修会や市町村を対象とする勉強会の開催、専門的な知見を有するアドバイザーの委嘱等を行ってまいりたいと思っております。

 

 

◯高橋委員

 それぞれ御答弁ありがとうございました。農協改革については、1年、2年ぐらい前から議論が急激に盛り上がりを見せて、農協はよく耳にする団体ではありますけれども、実は、具体的にどういった組織となっているのか──皆さんはよく御存じでありますけれども、広く県民の間では、一部を除いては知られていない。農協がどういった組織で、あるいは、今回の農協改革がどのようなことを目指していくのか、これは今後、農業者のみならず、広く県民にも周知していくということがこれまた必要であるのかな、そのようにも考えております。

 もとをただせば、やはりTPPへの対応と申しますか、発効前にいかに農業の体質を強化していくのか、そのことが一番、法の改正によって求められている、そのようにも捉えております。したがって、着実な農協の改革が必要でありますので、これをしっかりとやっていただきたい。

 一方で、農協がこれまで地域において果たしてきた役割、これも非常に自問する必要があろうかと思います。国が示しました改正農協法に係る今後のスケジュールを見ますと、一定の移行期間と申しますか、猶予期間も設けられているようでありますので、この間に、さらに農業者と農協が徹底的に改革に向けてお互い話し合っていただいて、また、これに対して、国も、あるいは、県も市町村も、それぞれの立場で連携し合いながらこれをバックアップしていただきたい、そのことを期待したいと思います。

 以上申し上げまして、私からの質問を閉じます。ありがとうございました。