2016年03月04日:平成28年第285回定例会(第4号)   本文

◯議長(清水悦郎) 休憩前に引き続いて会議を開きます。

 一般質問を続行いたします。

 二十六番高橋修一議員の登壇を許可いたします。──高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 自由民主党の高橋修一です。

 一般質問を行います。

 初めに、第五次青森県環境計画の策定についてであります。

 県では、環境の保全及び創造に関する基本条例に基づき環境計画を策定し、地球温暖化対策や廃棄物対策、自然環境保全対策など、本県の環境に関する各種施策を総合的かつ計画的に推進しているところであります。

 近年の環境を取り巻く情勢に目を向けますと、国際的には、昨年末にCOP21において二〇二〇年以降の温暖化対策の新たな枠組みとなるパリ協定が採択され、ことしは地球温暖化を初めとした環境課題の解決に向けて国際社会が一丸となって新たなスタートを切る重要な年と言えます。

 一方、本県の環境に関する状況を見ますと、おおむね良好な状態であるものの、県民の世帯構成やライフスタイルの変化などにより温室効果ガス排出量は年々増加しており、県民一人一日当たりのごみの排出量も全国値を上回っているほか、近年、県内においてもニホンジカの目撃情報がふえており、食害による農林被害や自然植生への影響が懸念されるなど、さまざまな課題が顕在化しております。

 しかしながら、本県には世界自然遺産の白神山地など豊かで美しい自然が多く残されており、十和田湖、奥入瀬渓流、八甲田連峰を有する十和田八幡平国立公園十和田八甲田地域については、ことしで国立公園指定八十周年となるなど、本県の豊かな自然環境を見詰め直すよい時期でもあります。

 まさに、今、多くの県民が誇りに思い、大切にしている本県の環境を確実に次の世代につなげていくための転換点を迎えており、本県の環境分野の基本計画であります環境計画を見直すことによって次の時代に向けた新しい取り組みを進めていくときであると考えます。

 また、本県の環境を守り、次の世代につなげていくためには、あらゆる取り組みの根幹である人づくりが大切であり、大人はもちろんのこと、子供のころからの環境教育が非常に重要であると考えるところでございます。

 そこで、現在策定作業中の第五次青森県環境計画について二点お伺いいたします。

 一点目として、計画策定に当たっての基本的な考え方をお伺いいたします。

 二点目として、環境教育を推進していくため、第五次青森県環境計画ではどのように取り組んでいかれるのかお伺いするものであります。

 次に、自殺対策の推進についてであります。

 平成十八年に自殺対策基本法が施行されてから、この十年間で国全体として自殺対策の取り組みが本格化され、自殺対策は大きく前進したと言われております。

 ことしは、自殺対策基本法施行からちょうど十年の節目に当たり、今国会において、この十年間の成果や反省を踏まえて、全ての都道府県と市町村への自殺対策の計画策定義務づけや、子供の自殺阻止に向けて学校と保護者らとの一層の連携強化といった法改正案が審議されており、成立の見通しとのことであります。

 さて、昨年十月でありましたが、環境厚生常任委員会の県内視察で弘前保健所へ伺った際、同管内をモデル地区とし、救急医療機関との連携による新たな自殺未遂者支援のシステムづくりの取り組みを御担当の方から拝聴する機会がございました。

 健康あおもり21に自殺予防を心の健康づくりの重要課題として位置づけ、関係機関とも連携しつつ、このような自殺対策を継続して実施してきた結果、この十年間で県内自殺者数、自殺死亡率ともに大幅な減少傾向にあるとのことであり、成果を見せ始めていると受けとめております。

 依然として毎年毎年多くの県民がみずから命を絶っている、この現実と正面から向き合い、青森県の実態に即した自殺対策を今後とも講じていくことが求められます。

 そこで、二点お伺いいたします。

 一点目として、自殺対策のこれまでの取り組みと自殺に係る本県の最近の動向についてお伺いいたします。

 二点目として、自殺対策の課題と来年度の主な事業内容についてお伺いするものであります。

 次に、陸奥湾産ホタテガイの輸出拡大についてであります。

 陸奥湾で生産されるホタテガイは、漁業のみならず、水産加工業など陸奥湾沿岸の地域経済、雇用に及ぼす影響が極めて大きい重要な水産物であります。

 平成二十二年夏の異常高水温やその後の冬季へい死など、近年は環境変動の影響を受け、厳しい生産状況が続いていましたが、関係者による御尽力により、昨年の水揚げ金額は歴代二位の百六十八億円となり、ホタテガイの生産回復を心から喜んでいるところであります。

 この間、県では、陸奥湾海況自動観測システムによる水温などのデータをもとに的確な管理情報を提供するほか、波浪によるへい死対策や付着生物軽減のための新たな技術を開発し、安定生産を支援してきたところであり、昨年三月からは、貝毒の検査方法が短時間で精度の高いデータが得られる機器分析へ移行させるなど、活貝の出荷期間の延長に対応した成貝の生産拡大を図るための諸対策を着実に推し進めてきた成果であると受けとめております。

 さて、ホタテガイの輸出については、これまでも、中国や東南アジア、アメリカ、EUなどへ輸出が行われておりますが、EUには現状では冬の卵つき貝柱製品しか輸出されておりません。

 陸奥湾のホタテガイが最も美味しい時期は、貝柱が太り、うまみが増す六、七月ころとのことであり、EUにおいても夏場の貝柱の需要が増加しているとのことであります。

 また、昨年は県内のEU輸出水産食品取扱施設が新たに三社ふえて四社となり、輸出能力が強化されたことから、EU向けの輸出を、現在の冬場だけでなく、六、七月の夏場にも拡大していくことがホタテガイの輸出拡大につながっていくものと考えるところでございます。

 このことから、昨年の九月定例会一般質問でありましたが、EUの輸出拡大に向けた生産面での課題についてただしたところ、ホタテガイを夏までに輸出できる大きさに育てるためには、飼育管理方法を変えることが必要、貝毒の発生リスクが高まる時期に、国内基準よりも厳しいEUの貝毒の基準値をクリアすることが生産面での課題といった御答弁をいただきました。

 県におかれましては、県産業技術センター水産総合研究所と連携し、漁協など関係団体の協力を得ながら、これら考えられる課題を一つ一つ克服し、陸奥湾産ホタテガイのさらなる輸出拡大を図っていくことがホタテガイ産業の成長産業化につながっていくものと考えるところでございます。

 以上の観点から、陸奥湾産ホタテガイの輸出拡大に向けて県はどのように取り組んでいくのかをお伺いするものであります。

 次に、だしを活用した減塩の推進についてであります。

 短命県返上に向け、県民の健康に対する意識が高まる中、食生活の部分では減塩に対する関心が高まっております。

 県では、平成二十六年度から味感を育む「だし活」事業を実施し、だしを活用して減塩を推進する活動、だし活を展開しているところでありますが、最近は、県内どこのスーパーや量販店に行っても、「できるだし」という青森県産の農林水産物を使った商品が販売されており、新聞やテレビでもだし活の取り組みがよく紹介されております。

 先日、三村知事が県職員と一緒にエプロン姿でだし活普及活動をしている場面をたまたま見る機会がありました。みずからが先頭に立って、エプロン姿で地道に踊る、その知事の姿に感銘を受けた次第であります。

 青森県では、だしに向くすばらしい資源を有しており、青森県の農林水産物を活用した青森県ならではのだし商品を広く普及させるだし活事業は、健康的な食生活による平均寿命の延伸、さらには攻めの農林水産業推進のためにも大変有効な取り組みと思われます。

 そこで、二点お伺いいたします。

 一点目として、平成二十六年度から実施しているだし活事業のこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

 二点目として、だし活の推進に向けて今後県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 次に、郷土を愛する心を持ったグローバル人材の育成についてであります。

 平成十八年改正の教育基本法では、第一条の教育の目的を実現するための今日重要と考えられる事柄を五つに整理して教育の目標として規定されております。

 その一つが「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」であります。

 一方、青森県教育施策の方針は、「郷土に誇りを持ち、多様性を尊重し、創造力豊かで、新しい時代を主体的に切り拓く人づくりを目指します。」としており、その方向性は同じくするものと受けとめております。

 国際社会が大きな変貌を遂げ、グローバル化が急速に進展する中で、異なる文化や歴史に立脚する人々と共存していくためには、まずは、みずからの国や地域の伝統や文化についての理解を深め、尊重する態度を身につけることが重要との考えに基づき、この崇高な教育目標を実現するために、青森県の学校教育現場では具体的にどのような教育がなされているのか、青森県の児童生徒はどのような学習過程や社会経験を通じて我が国と郷土を愛するのか。このことは、昨今、青森県の重要な政策課題となっている人口減少社会の克服や地方創生の実現の根幹となる取り組みであると考えるところであります。

 青森県に対する理解を深め、青森県を愛し、青森県に誇りを持つ子供の育成によって、十年後、二十年後も、この青森県で学び、働き、暮らし、そして青森県へ貢献する、そういった人材こそ、知事の言うところの人の財(たから)そのものであると考えるところであります。

 郷土とは、自分の生まれ育った土地、郷里、故郷、ふるさとであります。国民として国を愛するのは当然なことと同じように、青森県民として青森県、つまりは郷土を愛する、そういった人材育成を教育現場において、小学生、中学生といった年代から取り組み、未来の青森県に送り出していくことが必要と考えるところであります。

 そこで、郷土を愛する心を持った人材育成のためには小・中学校からの取り組みが必要と考えるところでありますが、このことに関する公立小・中学校での取り組みをお伺いするものであります。

 最後に、主権者教育を含めた投票率アップに向けた取り組みについてでございます。

 選挙権年齢や国民投票年齢が十八歳以上に引き下げられることに対応し、学校現場における政治や選挙等に関する学習の内容の一層の充実を図るため、総務省と文部科学省が連携し、高校生向け副教材及び同教師向け指導資料が作成され、昨年末までに全国の一から三学年全ての国公私立等高校生へ約三百七十万部配布されました。

 副教材のタイトルは、「私たちが拓く日本の未来 有権者として求められる力を身に付けるために」であり、その内容は、全体を三部構成とし、解説編として、選挙や投票の仕組み、選挙の意義、憲法改正国民投票等、実践編として、政治や選挙等に関する学習をより参加実践型にするため、学校の授業等でそのまま使用できるように、実施準備、実施手順・手法、ワークシートなどを盛り込んだ学習教材の実例が掲載され、さらに、話し合いやディベートの手法、模擬選挙や模擬議会の実施等、参考編として、投票と選挙運動等についてのQ&A、学校における政治中立の確保等が掲載されており、私も目を通しましたが、内容が大変充実しており、また、図表、イラスト等を多く取り入れるなど、生徒の関心を高めるよう配慮されております。

 また、この副教材には、本書の願いとして、選挙権年齢が満十八歳以上に引き下げられたことを踏まえて、高校生の間から有権者となり得る高校生世代が、これまでの歴史、つまり、今まで受け継がれてきた蓄積や先人の取り組みや知恵といったものを踏まえ、自分が暮らしている地域のあり方や日本・世界の未来について調べ、考え、話し合うことによって、国家・社会の形成者として現在から未来を担っていくという公共の精神を育み、行動につなげていくことを目指したものであり、本書を通してあるべき自分の姿を探求し、社会参画につなげていってくださいと記されております。

 私は、当初、この選挙権を十八歳まで引き下げるということについては、私自身の子供がこの年代であり、選挙権を有するにはまだ年齢的に早過ぎるのではないか、また、高校三年生で選挙権のある生徒とない生徒が同じ教室に混在するといったことを踏まえ、いささか否定的な見方をしておりました。

 しかしながら、十八歳、十九歳の新たな有権者は、全国で約二百四十万人、青森県だけでも約二万五千人もおります。この若い世代が選挙に行き、政治に積極的に参加するということは、これまで以上にこの年代にも届くような施策の実現が求められ、このことによって既存の施策が拡充され、より若い人にとっても魅力ある国、郷土になっていくことにつながるのではないか。若い人が、日本人でよかった、青森県民でよかったと誇れる国、郷土になる。そのきっかけとすべく、今回の選挙権年齢引き下げを前向きに捉えることが必要であろうと、考えを改めるようになりました。

 また、学校で尊敬する先生から、政治について、選挙について学ぶ、その若者が十八歳で投票所に行き、投票用紙に名前を書く。この経験は大人になっても決して忘れず、結果として、将来の全年齢層の投票率向上にもつながっていくのではないかと捉えるようにしております。

 もちろん、今何もしなければ、十八歳、十九歳の投票率は二十歳代同様、いやそれ以下の低い水準になりかねません。したがいまして、副教材「私たちが拓く日本の未来」が県内の高等学校等に通う全ての生徒に確実に配布され、有効に活用されるよう求めるものでございます。

 そこで、一点目として、県立高等学校等では、副教材「私たちが拓く日本の未来」をどのように活用しているのかをお伺いするものであります。

 引き続いて、県選挙管理委員会にお伺いするものでありますが、青森県内の国政選挙の投票率は、平成二十五年七月の参院選が四六・二五%、平成二十六年十二月の衆院選が四六・八三%で、二年連続で全国最下位という不名誉な結果となりました。

 この結果を受けて、県選管においては、その脱却を図るべく、これまでにないような危機感を持って投票率アップに向けた取り組みに着手されていると受けとめております。その結果、昨年四月の県議会議員選投票率は、県全体で五一・〇八%で、前回の五一・六八%に比べほぼ横ばい、昨年六月の知事選投票率は四三・八五%で、前回の四一・五二%に比べ上昇しており、一定の成果を見せ始めているものと捉えております。

 投票率アップのための取り組みはさまざま考えられますが、その一方策として、大型商業施設等の期日前投票所の設置は、他の期目前投票所に比べて多くの投票が見込まれるとされており、こういった有権者にとって利便性の高い施設での期日前投票所の開設の拡大が有効と考えるところであります。

 また、選挙権年齢引き下げに対応し、大学等と連携し、キャンパス内での期日前投票所の設置については、若者の政治参加意識を促進する取り組みにつながることから、これまた拡大されるべきであります。

 この七月には参議院議員選挙が予定され、いよいよ全国最下位の不名誉を挽回するときがやってきました。ピンチをチャンスに変える、課題は伸び代である、投票率も同じであります。

 そこで、二点目として、県内における商業施設等への期日前投票所の設置に向けた取り組み状況についてお伺いいたします。

 また、三点目として、投票率全国最下位からの脱出に向けて県選挙管理委員会ではどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

 以上で壇上からの質問を終わります。

 

◯議長(清水悦郎) 知事。

 

◯知事(三村申吾) 高橋議員にお答えします。

 私からは、まず、第五次青森県環境計画の策定についての基本的な考え方であります。

 本県は、世界自然遺産白神山地を初め、国立公園指定八十周年を迎えました十和田湖など、豊かで美しい自然にあふれており、また、暮らしに欠くことができない良質な水や食料、エネルギーなどの恵みを享受するとともに、自然との共生を通じて薫り高い地域文化、伝統を培ってきたところであります。

 この豊かな環境を次の世代へ確実に継承していくため、第五次青森県環境計画を策定するに当たっては、本県の環境分野における二〇三〇年の目指す社会像を、自然との共生、低炭素・循環による持続可能な地域社会の形成とすることとしております。

 また、この計画を効果的に推進するため、自然との共生と健全な水循環の確保、県民総参加による低炭素・循環型社会づくりの推進、子どもから大人まで青森県の環境を守り・つなぐ人づくりと仕組みづくりの三つを重点施策として位置づけ、山、川、海を一体的に捉えた健全な水循環の確保と野生鳥獣の保護、管理を進めるとともに、もったいない意識のもと、県民一丸となった3Rの推進や省エネルギー対策などの取り組みを重点的、部局横断的に進めることとしております。

 私は、県民の暮らしや生業(なりわい)を支えるかけがえのない本県の環境を守り、つないでいくため、県民の皆様方とともに、環境計画に掲げる各種施策を着実に推進していきたいと考えているところであります。

 自殺対策のこれまでの取り組み、そして最近の動向でございます。

 人の命は何物にもかえがたいものと考えます。また、自殺は、本人にとってこの上ない悲劇であるだけではなく、家族や周りの人々にとって大きな悲しみと、そしてまた、生活上の困難ももたらし、社会全体にとっても大きな損失であると考えるところであります。

 私は、この思いから、県を挙げて自殺対策に取り組み、自殺を考えている人を一人でも多く救うために力を入れて推進してきました。

 本県の自殺対策は、平成十三年に策定しました健康あおもり21で自殺予防を心の健康づくりの重点課題と位置づけて以来、重点施策として継続的に取り組んできたところであります。

 主な取り組みとしては、一つとして、地域で悩んでいる人を適切な支援につなげる役目を担うゲートキーパーの育成、二つとして、県民一人一人が自殺について考える機会となる自殺予防デーフォーラムの開催、三つとして、自殺対策に取り組む関係機関同士の連携強化を図るためのネットワーク会議の開催等を実施してきたところであります。

 この結果、本県における自殺者数は、平成二十六年は二百七十人で──これも残念ではあります。そして、私が知事に就任した平成十五年の五百七十六人に比べ三百六人減少し、自殺者数が半減したところではあります。また、人口十万人当たりの自殺死亡率は、平成二十六年は二〇・五となり、平成十五年の三九・五に比べ一五ポイント(後刻「一九ポイント」に訂正)減少しました。全国第一位の減少幅となったところであり、これまで地道に自殺対策に取り組んできたそれぞれの機関、それぞれの方々が結集した力の成果があらわれているものと考えております。

 県民の命を守る社会を形成することは最も重要な取り組みであると私としては考えております。引き続き、誰もが住みなれた地域で安心して暮らすことができる青森県の実現に努めていきたいと考えているところでございます。

 続きまして、だし活の推進に向けて今後どのように取り組むかであります。

 私は、青森県の健康寿命の延伸のためには、食塩摂取量を減らすことが重要であり、だしのうま味成分により、おいしく減塩し、薄味の食生活に改善していくことが効果的であると考えます。

 このため、県内のだし商品への活用が可能な未利用素材や規格外の農林水産物の資源調査を行い、県内事業者によるだし商品「できるだし」の開発を支援してきましたほか、議員からもお話しいただきましたが、私自身も店頭に立ち、県民の皆様方に対して直接PRするなど、減塩の重要性を訴え続けてきました。こうした取り組みが、農林水産省と厚生労働省の両省から──ダブル受賞ということになりますが──表彰されるなど、だしを活用した減塩活動が高く評価されますとともに、県民の皆様方の間にも徐々に浸透してきたと感じているところであります。

 今後は、さらなるだし活の推進に向け、引き続き、店頭で県民の皆様方に直接働きかけるほか、新たに栄養士や食生活改善推進員の方々等をだし活伝道師として育成し、各地域で普及活動が広がるよう取り組んでいきたいと思います。また、量販店と連携し、だし活と運動等を組み合わせた健康プログラムを提供する店舗を支援するほか、スーパーが独自にだし活のPRを企画できるよう研修会も開催していきます。

 県民の健康長寿の実現には、息の長い取り組みが必要であることから、あおもり食命人や野菜摂取量の増加の取り組みなどとともに、官民一体となってだし活の推進に努めていくこととしております。

 失礼いたしました。自殺対策に非常に頑張っておりまして、一五ポイントと申し上げましたが、正しくは一九ポイントということで、日本一の状況でございます。

 私からは以上であります。

 

◯議長(清水悦郎) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(林 哲夫) 環境教育を推進していくための取り組みについてお答えいたします。

 本県の豊かな環境を保全し、次の世代に引き継いでいくためには、県民や事業者などの各主体が環境保全の担い手であるとの自覚を持ち、環境問題の本質や取り組みの方法をみずから考え、進んで環境保全に取り組んでいくことが重要であり、このための人財育成、特に、子供のころから適切な環境教育を行うことが重要であると考えております。また、環境教育・学習を効果的に推進していく上で、県民、NPO、事業者、学校、市町村等が役割分担をしつつ相互に協力しながら取り組みを進めていくことも重要であると考えております。

 県では、これまで地域の人財やNPOとの協働による小学生を対象とした環境出前講座を実施してまいりましたほか、環境教育プログラムの拡充、こどもエコクラブの活動支援などに取り組んでまいりました。また、これからの担い手となる若者を育成するため、大学やNPO、事業者等が協働した環境教育等の仕組みづくりに取り組んでいるところでございます。

 今後とも、第五次環境計画に基づき、子供から大人まで、本県の環境を守り、つなぐ人づくりや、多様な主体と協働した持続可能な環境教育等の仕組みづくりに重点的に取り組んでまいります。

 

◯議長(清水悦郎) 健康福祉部長。

 

◯健康福祉部長(一戸和成) 自殺対策の課題と来年度の主な事業内容についてお答えいたします。

 これまでの本県の自殺者の傾向について検証した結果、一つ、高齢者の自殺死亡率が減少しないこと、二つとして、壮年期の自殺者数の割合が依然として高いこと、三つ、過去に自殺未遂歴のある自殺者数の割合が増加していることなどの課題があります。

 これらの課題に対応するため、来年度も未来を変える挑戦重点枠事業の健康長寿県プロジェクトの一つとして自殺対策重点化事業を実施することとしています。

 具体的には、高齢者対策として、モデル市町村において高齢者の鬱状態を早期に発見するスクリーニングを実施し、自殺の危険性の高い人に対し受診勧奨する等の早期対応に努めることとしています。

 壮年期対策としては、民間企業の事業主等を対象としたゲートキーパーの育成を行い、職場におけるメンタルヘルスの向上と自殺予防につなげていきたいと考えています。

 自殺未遂者対策としては、議員も御質問でおっしゃられましたけれども、弘前保健所管内をモデル地区として、協力救急医療機関に搬送された自殺未遂者のリスク評価により、退院後の支援が必要な方に保健師等による家庭訪問や電話相談を行う自殺未遂者支援対応力向上事業を今年度に引き続き来年度も実施するほか、救急医療機関を拡大して事業を実施することとしています。

 以上です。

 

◯議長(清水悦郎) 農林水産部長。

 

◯農林水産部長(成田 博) 御質問二点についてお答えします。

 まず、陸奥湾産ホタテガイの輸出拡大に向けて県はどのように取り組むのかについてです。

 平成二十七年産の県産ホタテガイは、生産数量が約十万三千トン、生産金額が約百六十八億六千万円と、昭和三十五年以降では、生産数量で第三位、生産金額で第二位を記録するまでに回復しました。

 県では、海外市場に一層目を向けていくこととし、冬場に生産している生殖巣のついた貝柱の輸出に加え、EUにおける夏場の大型貝柱の需要に応えるため、来年度から、輸出体制の検討と成貝の安定生産に向けた技術開発に取り組むこととしています。

 具体的には、県産業技術センター水産総合研究所や関係漁協等と連携し、これまで未調査であったEU向けの夏場の下痢性貝毒などのデータを収集、蓄積するとともに、出荷時期の変更に対応できる輸出体制を検討していきます。

 また、秋の水温やホタテガイの大きさなどから、翌年春の生産数量を予測する技術開発を進め、輸出向けの成貝の安定生産技術を確立することで陸奥湾産ホタテガイの輸出拡大を図っていく考えです。

 次に、平成二十六年度から実施している味感を育む「だし活」事業のこれまでの取り組みについてです。

 当事業では、家庭や給食施設で簡単に使うことができるだし商品「できるだし」の開発を支援し、これまで家庭用八商品、給食用七商品が開発、販売されたほか、県内スーパー、量販店での知事によるトップセールスのほか、県職員による出前トークなどによりだし活の普及啓発を行っています。

 また、学校や保育所など給食分野での定着に向け、だし素材や「できるだし」商品を活用したレシピ集を作成し、県内の約一千二百施設に配布するとともに、減塩給食を推進する研修会を通じて、栄養教諭や保育所調理員等に対して理解を深めていただくことに努めています。

 その結果、家庭用商品については現在県内のスーパー、量販店等の約二百三十店舗で販売されているほか、給食用としては十施設で利用されるなど、活用が進んでいるところです。

 以上です。

 

◯議長(清水悦郎) 教育長。

 

◯教育長(中村 充) 御質問二点にお答えします。

 郷土を愛する心を持った人材育成のための公立小・中学校における取り組みについてです。

 県教育委員会では、青森県教育施策の方針として、郷土に誇りを持ち、多様性を尊重し、創造力豊かで新しい時代を主体的に切り開く人づくりを目指しております。

 児童生徒の郷土を愛する心を育むために、小・中学校では、社会科、道徳、総合的な学習の時間等において郷土についての学習を行っております。

 また、来年度からは、児童生徒が郷土に愛着と誇りを持ち、積極的に地域課題を解決していこうとする力を育成する郷土を愛する心を育てる学校教育支援事業を実施することとしております。

 本事業は、県内六地区を研究指定地区とし、各地区の中学校一校とその学区の小学校において、児童生徒のアイデアを取り入れながら、郷土に誇りを持ち、将来の夢や志の実現に向けた体験型学習をテーマに、学校が市町村教育委員会と連携して実践研究に取り組むものです。

 県教育委員会としましては、今後とも地域の伝統やよさを知り、郷土を愛する心を持った人材の育成に努めてまいります。

 県立高等学校等では、副教材をどのように活用しているのかについてです。

 国が作成した副教材「私たちが拓く日本の未来」は、政治の仕組みや意義、話し合いやディベート等の手法、模擬選挙や模擬議会等の実践的な学習活動、投票と選挙運動等についての質疑応答などで構成されています。

 各学校では、公民科における民主政治の単元で、公職選挙法や選挙の具体的な仕組み、民主政治の基本である話し合いや討論の重要性等について教科書で学習するとともに、副教材も活用しております。

 また、副教材には有権者として求められる現実社会の諸課題について、協働的に追求し、解決する力を実践的に育成するため、地域課題の見つけ方という項目があり、総合的な学習の時間において、青森をより良くするために実現したいことというテーマで歩道の除雪やごみの減量化などの現実の身近な課題の解決案をグループで討論し、発表する取り組みを行った学校もあります。

 さらに、副教材には選挙制度の具体的な理解を図るため、選挙の実際という項目があり、投票所における受付から投票までの流れや満十八歳から可能となる選挙の留意事項などについて学んでいます。

 県教育委員会としましては、今後とも各県立高等学校等において主権者教育を適切に進めることができるよう支援してまいります。

 

◯議長(清水悦郎) 選挙管理委員長。

 

◯選挙管理委員長(柿崎光顯) 続いてお答えします。

 商業施設等への期日前投票所の設置に向けた取り組み状況についてですが、昨年六月執行の青森県知事選挙における期日前投票所の設置数は七十三カ所となっています。そのうち、利便性の高い商業施設や大学への設置については、商業施設は四市において四カ所、大学は二市において二カ所となっています。

 投票率の向上のためには、投票環境の向上、とりわけ商業施設や大学のような利便性の高い施設への期日前投票所の設置が効果的であることから、当委員会では、昨年十一月にも各市町村選挙管理委員会に対し、商業施設等への期日前投票所の新たな設置について要請したところであります。

 こうしたことも受け、各市町村選挙管理委員会においては、この夏に執行予定の参議院議員通常選挙に向け、利便性の高い施設への期日前投票所の新たな設置について前向きに検討しており、現時点で、七市町において商業施設七カ所に期日前投票所を新たに設置することを検討しているところです。なお、大学については新たな設置の予定はありません。

 当委員会としては、投票環境の向上に向けて、引き続き、各市町村選挙管理委員会に対し、商業施設等への期日前投票所の新たな設置について要請してまいりたいと考えております。

 次に、投票率全国最下位からの脱出に向けた取り組みについてですが、本県では、平成二十五年の参議院議員通常選挙、平成二十六年の衆議院議員総選挙における投票率が全都道府県で最下位となったことを受け、昨年三月に脱低投票率宣言を行い、先ほど申し上げました期日前投票所の増設など、投票環境の向上対策に取り組んできたところです。

 また、若年層の投票率が低いという状況を踏まえ、若い世代の目線を生かした参加型による啓発事業を行うこととし、今年度は、選挙啓発に係るテレビコマーシャルのデザイン募集や各種選挙の際のPR活動に参加してもらうあおもり投票率向上サポーターの募集を行っているところです。

 さらに、平成二十八年度は、高等学校を対象に、グループワークや意見発表、政策提案などを行う高校生模擬議会開催事業、小・中学校を対象に、県産フルーツをテーマにグループワークや模擬投票を行うフルーツ選抜総選挙事業等、本県の未来を担う主権者を育成するための事業を実施したいと考えており、本議会に所要の予算を計上し、御審議いただいているところです。

 当委員会としては、教育委員会などと連携しながら、若い世代への選挙啓発事業を積極的に推進することなどにより投票率の向上を図っていきたいと考えております。

 以上です。

 

◯議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二十六番(高橋修一) 御答弁ありがとうございました。

 畠山議員と同じく、私も議論がかみ合っていたのかなと、そのように思います。

 知事、それから各部長、教育長、さらには県選挙管理委員会委員長からも御答弁を頂戴いたしました。そのいずれも大変前向きで、また建設的な御答弁ばかりでありました。

 特に、陸奥湾産ホタテガイの輸出の拡大につきましては、ここ数年、ホタテガイの危機的な被害を見事乗り越えて昨年は漁獲高百六十八億円を記録、さらに漁業者の所得の安定あるいは向上を図るため、さらにはホタテを扱う食品加工業の成長、こういったもののために輸出拡大にチャレンジする、その姿勢はすばらしいものがあります。

 しかしながら、先ほど御答弁で、さまざま課題があるということでありました。夏の出荷に備えて必要な貝毒のデータの取得、それから輸出拡大、これはイコール国内出荷とのバランスをどう図るのか、あるいは成貝の生産の技術の確立、その技術をいかにして生産者に普及するか、乗り越えなければならない課題がたくさんあると改めて実感いたしました。しかしながら、あの危機的なへい死を、あの被害を乗り越えた青森県であれば、必ずやこの課題も克服して、輸出拡大に向けてその成功をつかみとると、そのような希望も感じ取った次第であります。

 ただ、一つだけ御留意いただきたいことは、陸奥湾のホタテガイ産業を担ってきた方は、やはり生産者の方々であります。したがって、生産する側の理解も十二分に得ながらこの技術の確立あるいは輸出拡大を図っていく必要があろうかと思います。したがって、その点は十二分に御配慮をいただいて来年度からこの事業を推進していただきたい、そのようにお願いをしておきます。

 それから、だし活であります。三村知事のエプロン姿に正直驚いたわけでありますけれども、みずから率先して青森県の県民の健康を守ろうと、その姿勢は感服するばかりであります。しかしながら、ただ一つ問題があるのかなと思いました。それは、公務多忙な知事一人にこの活動を任せていいのかという問題であります。したがって、皆さん、下を向いておりますけれども、副知事も、農林水産部長も、健康福祉部長もそうですよ。知事一人にこの活動を任せるのではなくて、県執行部一丸となって、県民の健康を守る、そのために汗するということを前向きに御検討願いたいと思います。

 それから、主権者教育と投票率のアップについてであります。

 副教材の活用についてでありますが、これについては、昨年末に配布されたばかりである。したがって、いまだ活用に至っていない学校も実はあるのかもしれません。現在の高校三年生は、三月一日、先日でありましたが、卒業式を迎えて社会に旅立つ。その中で、あの子供たちは全員投票権を付与された。そういった中で、もし副教材が活用されていない子供があの卒業生の中に一人でもいるとすれば、これは残念なことと思います。しかしながら、今後、十八歳選挙権の今回の付与も踏まえて、学校現場の役割、学校教育の役割はますます高まっていくものと思われます。したがって、主権者教育の充実に向けて、副教材の活用も含めて、今後とも前向きにしっかりと取り組んでいただくよう、これまた要望とさせていただきます。

 それから、商業施設等への期日前投票所の設置でありますが、参議院選挙に向けて、現段階では検討段階とはいえ、商業施設等へは前回の四市、四カ所に加えて新しく七市町、七カ所、これは大きな前進であります。県選挙管理委員会は本当に頑張っているなと感じました。大学は、前回、二市、二カ所、弘前大学と青森中央学院大学と記憶しておりますが、新たな設置予定はないということでありますけれども、しかし、この二カ所については、引き続き期日前投票所を設置していただけるということであろうかと思います。

 大学については、投票率アップというよりは、むしろ選挙というものを身近に感じていただいて、政治への関心を高める、そういった効果、側面があろうかと思います。したがいまして、県内にはほかにも大学がさまざまあるわけでありますので、引き続き、期日前投票所の大学での設置拡大に向けた取り組み、働きかけについて御尽力を賜りますようお願い申し上げます。

 その他の項目につきましても、いずれも県政において重要な政策課題であると捉えております。したがって、御答弁いただきました内容については、広く県民にその成果、効果が実感できるような形で着実な実施を来年度以降も引き続いてお願い申し上げまして、私の発言を閉じます。

 ありがとうございました。