2014年05月08日:平成26年原子力・エネルギー対策特別委員会 本文

◯神山委員長

 高橋修一委員の発言を許可いたします。──高橋委員。

 

 

◯高橋委員

 自民党の高橋です。この特別委員会でかなり久方ぶりに、2年ぶりぐらいでしょうか、質問の機会を頂戴いたしました。質問できることに感謝しつつ、残された時間、何点か質問させていただきます。

 初めに、資源エネルギー庁のほうに経済の影響について質問をさせていただきます。

 4月11日に決定されたエネルギー基本計画、この中において、エネルギーの需給に関する施策として、低コストでのエネルギー供給を図りつつ、エネルギーの安定供給と環境負荷の低減を実現していくことが重要、と経済成長の視点についての重要性を訴えております。

 他方、原発停止の経済影響につきましては、これもエネルギー基本計画の中において、原子力発電所の稼働停止やその長期化等によって原子力立地地域では経済的な影響も生じていると記されており、今後、国が原子力発電所の稼働状況等も踏まえ、新たな産業・雇用創出も含め、地域の実態に即した立地地域支援を進める、としているところであります。地元からすれば、原子力発電所の稼働停止により、定期検査が行われないことや建設工事が進まないこと等々によりまして、建設業はもとより、地元の宿泊業、あるいは飲食業、こういった地元の産業への影響も大きくなっております。事業の縮小、あるいは廃業を余儀なくされる、こういった事例も露見されている状況にあります。国はこういった地元の経済への影響をどこまで理解しておられるのか、そういった観点からの質問でありますが、原子力施設の稼働が中断し、あるいは工程が延期されていることのマクロ経済及び地域経済への影響についてどのように考えているのかお伺いをいたします。

 

 

◯小澤経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課長

 委員御指摘のとおり、原子力施設の稼働の中断、あるいは工事の延期によって、さまざまマクロ経済、それから地域経済への影響が少なからず出ていると認識しております。

 3.11以降、化石燃料に対する依存度の増加、原発停止による燃料費の増加、それから電気料金の上昇、そういった問題、課題が生じております。具体的には、海外からの化石燃料への依存度、これが第一次石油ショック当時、76%でございましたが、これが今、88%まで上昇しております。また、2013年度の発電用の燃料費が約3.6兆円に増加する見通しでございます。それから、標準世帯の電気料金、これも震災前に比べ2割程度アップをしているという状況でございます。こうした点がマクロ経済に少なからず影響を与えていると認識しております。それから、原発の長期運転停止により、立地自治体の地域経済にも影響が生じていると認識しております。

 少し余談にはなりますが、今朝方、NHKのニュースを見ていましたら、東通村の地域経済の疲弊の実態ということの報道がございました。タクシー事業者の方が非常に需要が減って苦労されているとか、それからコンビニエンスストア、ガソリンスタンドが閉鎖に追い込まれるとか、そういった報道を見させていただきました。立地自治体にとっては、非常に今、厳しい状況下と認識をしております。立地地域自治体の御苦労も我々としてもしっかりと受けとめて、丁寧に自治体、地元の皆様とお話をさせていただいて、その上で実態に即した地域支援対策を講じてまいりたいという所存で取り組んでいくことにしております。

 

 

◯高橋委員

 認識はしているということでありますが、国全体としての認識と、やはり地元との認識というのは、おのずと温度差が生ずる、当たり前かもしれませんけれども、これはやはり地元としての認識というのは極めて厳しいものがありますので、そこは十分意識を共有、認識の度合いを共有していただきたいと、そのことをお願いをしておきます。

 次に、経済への影響、これをこれ以上長引かせないためにも、まずは新規制基準適合確認であります。日本原燃株式会社に引き続きましてリサイクル燃料貯蔵株式会社では平成26年1月15日に適合確認申請を行っていると伺っております。これにつきましては、これまで14回のヒアリングが行われておりますが、原子力規制委員会の審査の状況と今後の見通し、これにつきまして、原子力規制庁にお伺いをいたします。

 

 

◯米山原子力規制庁地域原子力規制総括調整官(青森担当)

 リサイクル燃料貯蔵株式会社から申請がありました内容についての審査でございますが、1月15日付で申請がございましてから合計14回、ヒアリングによる審査を実施しているところでございます。これまでの審査におきまして、例えば下北半島地域の地下深部の地下構造についての形成メカニズムですとか、あるいはそれに関する知見、大陸棚外縁断層の活動性などの調査を踏まえた評価、こうしたことについて論点として提示しているところであります。

 今後の審査の見通しでございますけれども、先ほどからの繰り返しになるかもしれませんが、新規制基準にかかわる初めての審査であることに加えまして、事業者の対応によるものでございますので、現時点において具体的な見通しを述べるというのはちょっと難しいという状況でございます。

 

 

◯高橋委員

 関連して、事業者であるリサイクル燃料貯蔵株式会社へ質問いたします。

 先日の説明の中で、久保社長から私どもの事業の前提は六ヶ所再処理工場の稼働と認識している。六ヶ所再処理工場の稼働を見極めつつ、安全確保を第一に取り組んでいくとの発言がございました。再処理との関係を含めた中間貯蔵事業の位置づけを再確認するとともに、これを踏まえた上での竣工見通しをお伺いをいたします。

 

 

◯山崎リサイクル燃料貯蔵株式会社常務取締役

 私どもの事業は、平成22年5月に事業許可として国よりいただきましたとおり、使用済燃料を再処理するまでの間、中間貯蔵するものでございます。したがいまして、国におけるサイクル政策と、それから再処理の見通しが重要であると考えているところでございます。

 国におけるサイクル政策については、今般のエネルギー基本計画におきまして、核燃料サイクル政策の推進として、六ヶ所再処理工場の竣工などとともに、当社のむつ中間貯蔵施設の竣工を進めるということが明記され、改めて原子燃料サイクルを進めることがしっかり位置づけられたものと考えているところでございます。また、竣工の見通しにつきましては、まずは六ヶ所再処理工場の稼働が前提となることから、その状況を見極めていくことが重要であると考えておりますが、現在、リサイクル燃料備蓄センターにつきましては国の適合確認を受けているところでございますので、私どもとして竣工の見通しを現時点でお示しすることは難しく、引き続き再処理工場側の状況を注視していくとともに、国における適合確認審査に対し、真摯に取り組んでまいりたいと考えているところでございますので、何とぞ御理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 

 

◯高橋委員

 理解いたしました。

 次に、中間貯蔵施設についてお伺いをいたします。

 資源エネルギー庁のほうにお聞きするわけでありますが、エネルギー基本計画においては最終処分に時間がかかることを理由に使用済燃料の貯蔵能力を強化することが必要とされております。一方で、将来へ先送りせず、着実に進める取り組みともされておりますが、その割に当面の貯蔵容量確保以外の考え方が示されておらず、特に貯蔵後の使用済燃料をどう扱うかについての長期的な見通しというか、こういった視点も欠けているように感じました。リサイクル燃料貯蔵の場合は、県民の不安に配慮して再処理するまでの一時的な貯蔵であることや、期間、これを50年に限ることなどを明らかにすることで、これまで理解を得てきたところでもあります。したがいまして、今後、国民の理解を得て中間貯蔵施設の立地を進めていくために、政策上の位置づけ、これをもっと具体的に示す必要があろうかと考えるところです。

 そこで質問でありますが、使用済燃料中間貯蔵施設については、燃料資源の貯蔵施設としての役割、位置づけを明確にした上で全国的に整備していくべきと考えますが、このことに対する国の考えをお伺いいたします。

 

 

◯小澤経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課長

 委員御指摘の中間貯蔵施設も含めまして、使用済燃料の貯蔵能力の強化、これは極めて重要でございます。こうした観点から、エネルギー基本計画において、使用済燃料の貯蔵能力の強化については、対応の柔軟性を高め、中長期的なエネルギー安全保障に資すると、いわば資源としての活用という視点も含めて、そういった位置づけをした上で発電所の敷地内外を問わず、新たな地点の可能性を幅広く検討しながら、中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設等の建設・活用を促進するとともに、そのための政府の取り組みを強化するとさせていただいております。中間貯蔵施設の可能性を全国に検討し、進めていきたいというものでございます。

 なお、先ほども申し上げましたが、青森県は最終処分地にしないという約束は引き続きしっかり守ってまいります。

 

 

◯高橋委員

 理解はいたしました。

 時間がありませんので、次に進みます。

 次に、東北電力株式会社のほうにお伺いいたします。

 原子力発電所にかかわる新規制基準、これが昨年7月に施行され、これまで原子力発電所17基が適合申請をしているところであります。このうち、東北電力株式会社女川原子力発電所2号炉も昨年12月に申請しております。先般の説明の中で、安倍副社長から東通原子力発電所についても適合申請に向けた準備を進めているところであり、今後準備が整ったら安全協定に基づく事前了解願いをさせていただきたいと考えている旨の発言がございました。また、このことは社長の記者会見でも言及があったと伺っております。

 そこで、東北電力株式会社における新規制基準への適合申請の時期についての考え方をお伺いいたします。

 

 

◯安倍東北電力株式会社取締役副社長

 適合性申請は、御案内のとおり、敷地内断層の活動性評価を含めたさまざまな地震動評価に加えまして、津波や竜巻などの自然現象への安全対策や重大事故対策の妥当性等を総合的に審査するものでございます。

 当社としては、東通原子力発電所のより確実な安全確保を図るためには、現在進めております原子力規制委員会による敷地内断層の活動性評価にかかわる有識者会合、こういったものへの対応に加えまして、さらに世界最高水準の新規制基準への適合性について、原子力規制委員会から安全性の評価を受けることも重要と考えており、現在、適合性審査の申請に向けた準備を進めているところでございます。申請の時期については、現時点では具体的に申し上げられる状況ではありませんが、今後、準備が整い次第、青森県や東通村に安全協定に基づく事前了解願いをさせていただきたいと考えております。

 

 

◯高橋委員

 時期はあれですけれども、その考え方については理解をいたしました。

 次に、県内の建設中の発電所について質問します。

 原子炉設置許可を得ている施設については、これは新増設に当たらないと、本県で工事が進められている大間原子力発電所と東通原子力発電所は新増設には含まれないとの考え方が、これは国の茂木大臣の答弁からでも明らかになっているところではありますが、とすれば、国とすれば引き続きエネルギーの供給力として期待していると、そのように受けとめることもできるわけでありますが、建設中である電源開発株式会社大間原子力発電所や東京電力株式会社東通原子力発電所のエネルギー基本計画における位置づけについてお伺いをいたします。

 

 

◯小澤経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課長

 大間原発、それから東電東通原発については、既に原子炉設置許可を取っておりますので、新増設に当たらないとの位置づけでございます。その上で、実際の稼働ということに当たっては、その前に大間原発、それから東電東通原発の建設が進められることが前提になりますし、その上で、仮に建設が進んで稼働ができるような状態になったとしても、原子力規制委員会により新規制基準に適合していると認められることが必要になるということはもちろんのことでございます。そういった手続を経て、しっかりと利用していくということが重要になろうかと思っております。

 

 

◯高橋委員

 大間については理解もするわけでありますが、東電の東通、これについてはなかなか現段階では、今の状況では国民の理解を得るのはかなりハードルが高いのかなといった感がございますけれども、今の国の御答弁を受けて、事業者それぞれ適合申請の時期についての考え方、これを電源開発株式会社、それから東京電力株式会社にお伺いして質問を終わります。

 

 

◯日野電源開発株式会社取締役副社長

 大間の原子力発電所計画でございますけれども、当社は安全強化対策の全てを建設中に実施するということで今考えておりまして、5年間の経過措置が認められております特定重大事故等の対処施設、これを含めまして、現在、安全強化対策にかかわります基本設計、それから詳細設計、安全評価を実施中でございます。これらの検討状況を踏まえますと、設置変更許可申請に向けて、少なくとも今後半年程度、準備期間が必要だと考えておりまして、その旨既に3月に当社から公表させていただいているところでございます。現状も変更ございません。当社といたしましては、可能な限り速やかに準備を整えまして申請いたしたいと思っております。

 また、申請の準備として具体的にどんなことをしているのか、主なものを少し挙げさせていただきたいと思います。5年間の経過措置が認められております特定重大事故等の対処施設、これはテロ等に対する施設でございますけれども、この施設の設計、それから常設の直流電源の増強設備の設計をまず行っておりますし、さらに安全強化対策の具体化のために建物・構築物、機器・配管等の設計及び運用性を考慮した構内配置の見直しも行っております。安全強化対策がシビアアクシデント時に有効に働くということの評価を今、実施しているところでございます。さらに、これまで行ってきました地質調査等の評価を取りまとめまして、最新知見を踏まえた基準地震動の検討も実施中ということでございます。

 

 

◯相澤東京電力株式会社取締役、代表執行役副社長

 御質問にお答えする前に、まずは弊社の福島第一原子力発電所の事故から3年が経過した今もなお福島県の皆様のみならず、青森県を初めといたします地域の皆さん、社会の皆様に大変御迷惑、御心配をおかけしておりますことを改めて深くおわび申し上げます。本当に申しわけございません。

 御質問の弊社における新規制基準への適合申請の時期に関する御質問にお答えいたします。

 弊社の東通原子力発電所1号機の建設工事につきましては、先ほど少し御説明がございましたが、平成22年12月に原子炉設置許可をいただくとともに、翌23年1月に第1回の工事計画認可をいただき、着工をいたしました。しかしながら、福島第一原子力発電所の事故以降、本格工事を見合わせております。

 弊社にとりまして、東通原子力発電所が重要かつ必要な電源であるということは、福島の事故以降も全く変わりはありません。その一方で、経営事情等から、現時点では具体的な見通しをお示しすることができず、この3月末に届け出をいたしました平成26年度供給計画におきましても、東通1号機及び2号機の運転開始時期は未定とさせていただいております。

 東通原子力発電所につきましては、福島の原子力発電所事故から得られた教訓、あるいは柏崎刈羽原子力発電所での対策を踏まえ、安全対策を講じていく所存でございます。当然のことながら、新規制基準に基づく安全対策も講じることになるわけでございます。

 しかしながら、東通1号機の本格工事の再開時期につきましては、今後さまざまな状況を踏まえながら決定をしていくことになります。したがいまして、現時点で具体的な設計見直しや新規制基準への取り組みに言及できる状況にないということにつきまして御理解をいただきたいと存じます。