2013年06月21日:平成25年第274回定例会(第4号)   本文

◯議長(西谷 洌) 一般質問を継続いたします。

 十四番高橋修一議員の登壇を許可いたします。──高橋議員。

 

◯十四番(高橋修一) 自由民主党の高橋修一です。

 愛する自民党の一員として、そして政権与党に復帰した自民党の一員として、この場に立てることを誇りに感じております。

 さて、もう随分前のことにも感じるわけでありますが、三年余りの民主党政権下において、日本は外交、内政ともに混迷をきわめました。国としての活力が低下し、国益が損なわれ続けたのであります。

 そして、天災とはいえ、ふがいない民主党政権下で未曾有の大震災が発生するという国家にとって危機的事態、一向に進まない被災地の復旧・復興、また、この青森県を初め、経済基盤が脆弱で財政力の乏しい地方ほど大打撃を受けることとなりました。

 そのような、日本全体に諦め、怒り、そういったものが募る中で昨年末の総選挙が行われたわけでありますが、自民党の政権復帰によって、復興の加速、外交、防衛、地方再生、経済成長、安全・安心、教育の再生、政治改革、憲法改正に向けた動き、どれをとっても、今まさに、国民皆様とともに、日本を取り戻すための真っ当な政治がこの国で再び行われていると確信する一人であります。

 このような正常とも言える政治環境を取り戻しつつある中にあって、県議会と執行部がなすべきことは、原点回帰だと思います。今こそ、ここにいる皆が公僕としての原点に立ち返って、青森県を希望と誇りの持てるふるさととすることであり、そのためには、前例にとらわれることなく、今何が必要なのかを考え抜いて、全ての県民に直結したダイナミックな政策を打ち出して、県民皆様とともに、果敢に取り組む姿勢を貫いていくことだと考えております。

 そのような思いを持って、通告順に従い、順次質問してまいります。知事初め、執行部の皆様におかれましては、何とぞ、前向きで建設的な御答弁をお願いする次第であります。

 初めに、全国学力・学習状況調査についてであります。

 人づくりは国づくり、将来を担う子供たちは日本の宝です。今こそ、私たちは、教育基本法の理念に基づいた人間力と基礎学力の向上に努め、子供たちの教育に地域格差が生じないよう、きめ細やかな指導を行って、世界トップレベルの学力と高い規範意識、日本の歴史や文化をとうとぶ子供たちを育てなければなりません。教育の再生は憲法改正と並ぶ自民党の党是でもあり、安倍政権の政策の大きな柱であります。

 民主党政権下での失政は、次代を担う子供たちにまで及びました。全国学力・学習状況調査を全員参加型の悉皆調査から、四割程度の学校を選ぶという抽出方式に変更し、事業費を大幅に削減したことであります。

 平成二十一年十一月定例会において、私は、このような事態を受けて、他県の事例を挙げ、県費を投入してでも全員参加の悉皆方式を継続すべきであると主張したわけでありますが、その願いはかないませんでした。

 そこで、今、改めてお伺いいたします。

 全国学力・学習状況調査の悉皆調査が四年ぶりに復活となりましたが、この調査の意義をどのように捉えているのかをお伺いするものであります。

 また、全国学力・学習状況調査というと、都道府県、市町村、学校の順位や平均点に注目が集まりがちであります。

 大切なことは、調査結果を踏まえて、各学校現場が授業での指導をどう改善するかであり、さらには、こうした教育現場での指導改善のために、教育委員会を主体とする教育行政側が施策としてどのような有効な手だてを講じることができるかです。

 そこで、県教育委員会では、全国学力・学習状況調査の結果をどのように活用しているのかをお伺いするものであります。

 次に、緊急時情報力強化推進方針についてであります。

 一昨年の東日本大震災発生時を振り返りますと、まず県民が不安に感じたことに、情報の混乱、錯綜、得たい情報が途絶えたことなどが挙げられます。

 緊急時の情報取得手段には、各自治体の防災無線やテレビ、ラジオ、固定電話、携帯電話、インターネットなどさまざまなものがありますが、長時間の停電発生等によって、ふだんなら何の問題もなく簡単に取得できる情報であったとしても、それを取得することが困難な状況に陥りました。

 また、県民にとっては、災害発生直後から、自分の危険を回避するための情報に始まり、家族や知人の安否確認やライフラインに関する情報など、時間の経過とともに、得たい情報の種類も刻々と変化していきました。

 加えて、テレビやラジオ、新聞などの報道機関からは得ることができないような細かな情報をリアルタイムで得たいという状況も多々あったものと捉えております。

 そのような状況下において、さまざまな情報の取得に効果を発揮したのが、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアネットワークサービスでありました。

 私の場合も、ツイッターのアカウントは震災発生以前から持っておりましたが、フェイスブックのアカウントは震災発生直後に取得いたしました。やはりこれは、震災発生後、より多くの、また、より正しい情報をリアルタイムで得たいという理由からのアカウント取得でありました。

 ツイッターもフェイスブックも、緊急時の情報取得や情報伝達、情報発信、時にはコミュニケーションの確保などにも活用でき、災害等の緊急時の有効性について、身をもって感じることができました。

 県においては、こういった災害等の緊急時のソーシャルメディア等インターネットの活用に着目し、先般、緊急時情報力強化推進方針を策定したと伺っておりますが、時宜にかなった実効性のある取り組みでありまして、今後の展開に大いに期待するところであります。

 そこで、一点目として、緊急時情報力強化推進方針の目的とその内容についてお伺いいたします。

 二点目として、県は、この推進方針をどのように周知していくのか、また、緊急時における県民の情報力強化のため、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いするものであります。

 次に、カシスの生産振興についてであります。

 本県のカシス生産は、全国の九〇%を占め、日本一であります。青森市を中心に、三十年以上前からカシス生産に取り組んでおり、現在では、加工業者によるさまざまな商品が販売され、また、カシスの持つ健康機能性が注目されることによって、国内のカシス人気が高まっております。

 しかしながら、十五トンとも言われる加工業者の需要に対して、七トン程度の生産のため、慢性的な供給量不足が続き、加えて、収穫に大変手間がかかる割に低収入に甘んじ、生産者も若者は少なく、今後離農する高齢者が多い現状を見ますと、持続的な生産確保は困難になるのではないかと予測され、早急な対策を講じなければ、青森カシスの将来が案じられます。

 従来の小規模生産から、休耕地を活用した大規模生産への転換をも視野に入れ、労働効率を高めた摘み取り方法の考案や、六次産業化の拡大などによって、カシス生産者の農業所得の増加、技術開発、ノウハウを引き継ぐべき後継者の育成と若者への雇用創出などが求められております。

 そこでお伺いいたしますが、一点目として、カシスの生産を振興していく上での現状での課題についてお伺いいたします。

 二点目としては、県はカシスの生産振興をどのように図っていくのかをお伺いするものであります。

 次に、陸奥湾におけるホタテガイ産業の振興についてであります。

 自民党青森県連では、先月二十七日、青森市の野内漁港などにおいて、陸奥湾養殖ホタテのへい死状況等を視察するとともに、平内町漁協において、県ほたて流通振興協会、むつ湾漁業振興会に所属する陸奥湾沿岸の漁協幹部と懇談し、ホタテの生産安定対策や養殖残渣対策、貝毒対策の要望を受け、これらを踏まえ、先般、党県連として、国に対して、ホタテ産業の振興に関する要望活動を行ったところであります。

 陸奥湾のホタテ産業は、今日、百億円産業となり、本県の基幹産業に成長しましたが、平成二十二年の高水温による大量へい死被害に加えて、今後も高水温被害が発生することが懸念されます。

 そのため、生産安定対策として、ホタテガイ養殖の原点に立ち返った養殖方法の普及促進など、丈夫で高品質なホタテガイづくりを進める必要があることから、一点目として、陸奥湾ホタテガイ養殖業者が持続的、安定的な生産を継続するために、県はどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

 また、養殖かごの付着生物は、一旦海から揚がったものは養殖残渣として、漁業者等が費用を負担し、一般廃棄物として処分しておりますが、高水温被害やホタテガイの価格安による影響によって、大きな負担となっている現状があります。

 そこで、二点目として、養殖残渣の処分費用の軽減に向けて、県はどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

 さらに、近年は、ホタテガイの貝毒による出荷規制期間が長期化傾向にあり、生産者価格の低下に加え、流通業や加工業に及ぼす影響は極めて大きく、本県ホタテガイ産業の大きな損失となっております。

 このことから、安全・安心の強化と貝毒出荷規制の短縮を図るため、貝毒検査方法を現在の公定法であるマウス試験から、国際規格に基づいたOA群だけを規制対象とした機器分析の早期導入も求められております。

 そこで、三点目として、ホタテガイ貝毒検査の公定法として、機器分析法の導入に向けた県の取り組みについてお伺いするものであります。

 次に、ポリテクセンター、ポリテクカレッジの運営継続についてであります。

 知事は、就任以来、産業・雇用を県政の最重要課題として位置づけ、企業立地や本県の強みを生かした産業振興施策と連動し、雇用の維持拡大のための施策を積極的に展開されているところであります。

 こうした取り組みの結果、昨今の有効求人倍率は確実に改善しつつあり、この回復基調を一過性のものに終わらせず、全国平均並みに向上させるためにも、さらなる取り組みが求められます。

 そのような中にあって、国においては、ポリテクセンター、ポリテクカレッジの移管、廃止の動きがあると伺っておりますが、依然として、全国に比べて厳しい本県を初めとする地方は、引き続いて国による地域雇用対策の充実が必要不可欠であり、青森市にあるポリテクセンター青森と五所川原市にあるポリテクカレッジ青森は、地域の産業基盤を支えるものづくり人材等の育成に大きな役割を果たしていることから、これまでどおり、国が責任を持って運営を継続していく必要があると考えるところであります。

 そこで、一点目として、ポリテクセンター、ポリテクカレッジの役割についてどのように考えているのかをお伺いいたします。

 二点目として、ポリテクセンター、ポリテクカレッジを県に移管する動きがありますが、受け入れについての県の考えをお伺いいたします。

 最後に、青森県道路公社の経営状況についてであります。

 青森県道路公社の平成二十四年度決算が示されたわけでありますが、管理運営するみちのく有料道路、第二みちのく有料道路、青森空港有料道路は、それぞれ本県の拠点地域を結ぶ幹線道路としての交通の安全や本県の産業経済、県民生活に果たす役割は変わらず、公社の長期債務の迅速な解消や中期経営プランの目標達成による公社経営健全化が引き続き求められております。

 そこで、一点目として、長期債務の解消状況及び中期経営プランの進捗状況についてお伺いいたします。

 二点目として、路線ごとの債務の償還の見込みについてお伺いするものであります。

 また、青森空港有料道路については、昭和六十二年に供用開始され、通行料金徴収期間は平成二十九年七月までの三十年間と設定されております。市町村合併後の青森・浪岡両地区相互間の重要な路線であること、また、青森空港と県内各圏域を結ぶ主要路線であることなどから、早期の無料開放が求められております。

 県公社のこれまでの努力によって着実に債務の償還が進められているものと推測いたしますが、そのような中、同有料道路については、ことし三月の県包括外部監査で、料金徴収期間内の全額返済について、難しい旨の指摘がなされたことを危惧するところであります。

 そこで、三点目として、青森空港有料道路の無料開放について、県の見解をお伺いいたします。

 以上で壇上からの質問を終わります。

 

◯議長(西谷 洌) 知事。

 

◯知事(三村申吾) おはようございます。高橋議員の御質問にお答えいたします。

 まず、私からは、緊急時情報力強化推進方針の目的、内容でございます。

 東日本大震災におきましては、議員御指摘のとおり、ソーシャルメディア等インターネットを活用して安否の確認が行われるなど、情報通信技術(ICT)が被災者の支えとして、一定の役割を果たしたと言われております。

 一方で、通話制限といった日常と異なる状況による混乱も見られましたことから、あらかじめ、緊急時を想定した対応を整えておくことの必要性が強く認識されたところです。

 県では、地震、津波等の自然災害を初めとした緊急時に、県民が安全・安心とコミュニケーションを確保するために、ICTをどう活用すべきか、また、産学官や地域の役割等を、去る六月五日、緊急時情報力強化推進方針として策定したところでございます。

 推進方針におきましては、県民の行動指針と産学官等の役割について、情報を確実に受け取る、みずから情報を発信するなど五つの場面を設定し、必要な事項を整理しております。

 特に緊急時には、家庭や職場、地域等がそれぞれの立場や役割の中で情報を発信していくことが重要でございます。また、みずからICTを活用できない高齢者等を支える社会全体での共助、公助も求められるところであります。

 そのためには、県民一人一人の情報力を高めることが大切でございまして、産学官それぞれが当事者意識を持って緊急時の対応を進めるよう働きかけていきます。

 続いて、陸奥湾産ホタテガイの養殖が持続的、安定的になるための取り組みであります。

 陸奥湾産ホタテガイ養殖業は、漁業者の不断の努力による技術革新と生業(なりわい)にかける情熱が実を結び、今や百億円産業とも呼ばれ、本県の水産物の中でも、トップクラスの漁獲高を誇ってきました。

 このような中で、平成二十二年、二十四年と立て続けに高水温被害にさらされ、一時は再生産さえ危ぶまれる状況となったわけでございますが、漁業者が一致団結して、出荷を抑制して親貝を確保し、へい死被害軽減技術に積極的に取り組んだことにより、早期回復に向け、順調に推移いたしております。

 私は、本県が誇るこのつくり育てる漁業を将来にわたり持続的、安定的に継続していくためには、半成貝を中心としながらも、再生産に必要な成貝の適正量を確保し、バランスのとれた生産システムを構築していくことが何よりも重要と考えるところであります。

 このため、県では、生産・加工・流通分野の関係団体とともに、成貝づくり促進プランの策定を進めており、適正な養殖可能数量を定めたTASC制度とあわせて、持続可能なホタテガイ生産体制の確立を目指していくことといたしております。

 また、今後も発生する可能性が高い高水温のリスクを回避する研究開発にも取り組み、ホタテガイ養殖を営む漁業者が安定的に生産できるよう努めていきたいと思います。

 続いて、ポリテクセンター、ポリテクカレッジの移管の動きについてでございます。

 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しておりますポリテクセンター及びポリテクカレッジにつきましては、今年度末までの間、道府県が希望すれば、一定の条件のもとに道府県に移管することができるとされておりまして、国は、各道府県に対し、移管の受け入れについての積極的な検討を促しております。

 また、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会では、移管の見込みが立たないポリテクセンター、ポリテクカレッジについては、廃止を含めて検討する旨の議論がなされております。

 県としては、ポリテクセンター、ポリテクカレッジは、議員御指摘のとおり、雇用のセーフティーネットの維持、産業基盤を支える高度なものづくり人財の育成に重要な役割を担っている施設であり、全国的に一定の訓練水準を確保する必要がありますことから、今後とも、国が責任を持って運営すべきものと考えているところであります。

 このため、六月十四日、私は、厚生労働省に対しまして、国によるポリテクセンター、ポリテクカレッジの運営継続について要請をしたところでありますが、今後も国の動向を注視し、関係機関とも連携を図りながら、国による運営継続を働きかけていきたいと考えております。

 以上です。

 

◯議長(西谷 洌) 青山副知事。

 

◯副知事(青山祐治) 青森県道路公社の経営状況について、長期債務の解消状況及び中期経営プランの進捗状況についてお答えいたします。

 道路公社の長期債務は、平成六年度末に最大約三百十九億円となりましたが、県からの無利子貸し付け等の支援や収支改善策への積極的な取り組みの結果、平成二十一年度末では約百四十六億円まで減少いたしました。

 平成二十二年度から二十六年度までの五年間の中期経営プランでは、青森県有料道路経営改革推進会議の提言を受け、さらなる経費削減や収益確保を図ることとしており、五年間で約三十八億円の長期債務を削減することを目標としております。

 平成二十二年度から二十四年度までの長期債務の削減状況については、計画額約二十三億一千万円に対し、実績額約二十六億五千万円で、計画額を約三億四千万円上回る長期債務の削減を達成しており、この結果、平成二十四年度末の長期債務は約百十九億円となっております。

 今後とも、道路公社に対し、中期経営プランの着実な実施に向けて、適切な指導助言を行い、長期債務の削減に努めてまいります。

 

◯議長(西谷 洌) 企画政策部長。

 

◯企画政策部長(小山内豊彦) 緊急時情報力強化推進方針をどのように周知していくのか等についてお答えいたします。

 緊急時情報力強化推進方針の内容を県民へ浸透させ、産学官等への協力と理解を働きかけるため、県内の情報通信事業者と県で構成する緊急時情報力強化キャラバン隊を県内各地に派遣し、緊急時に役立つ情報通信技術に関するPR活動を展開することとしております。

 また、緊急時における情報サービス機能を確保するため、一つとして、被害状況や避難所情報等、各種災害関連情報を集約する基盤を活用し、メディア間等で相互に情報を参照できる体制の構築、一つとして、臨時災害放送局とインターネットが連携した仕組みの構築に向けた関係者間の検討、また一つとして、公衆無線LAN、充電器、ラジオを備え、情報端末を持たない人でも情報共有できる情報提供システム構築に向けた実証実験などの取り組みを進めることとしております。

 

◯議長(西谷 洌) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(馬場良夫) ポリテクセンター、ポリテクカレッジの役割についてお答え申し上げます。

 ポリテクセンターは、失業者の早期再就職を図るための雇用のセーフティーネットとしての離職者訓練等を行っておりまして、また、ポリテクカレッジは、生産技術・生産管理部門のリーダーとなり得る中核的な人財を育成する学卒者訓練等を行っております。

 両施設は、現場の即戦力となり得る知識、技術を持つものづくり人財を育成することを通じまして、地域の雇用と産業に極めて重要な役割を担っております。

 特に、本県におきましては、ポリテクセンター、ポリテクカレッジが実施しております訓練ニーズは高いにもかかわらず、これと同様の訓練を行う民間職業訓練機関がほとんどない実態にございますことから、ポリテクセンター、ポリテクカレッジは本県の雇用と産業に必要不可欠な施設であると考えております。

 

◯議長(西谷 洌) 農林水産部長。

 

◯農林水産部長(一戸治孝) 御質問四点にお答えいたします。

 まず、カシスの生産振興に関する課題についてです。

 カシスは、果実にビタミンCやアントシアニンなどの機能性成分が豊富に含まれ、ジュースやスイーツなどの原料として利用価値が高く、消費者の健康志向を捉えた付加価値の高い商品開発が可能な作目の一つとして期待されています。

 しかし、収穫や選別作業に多大な労力を要するため、面積の拡大が難しいことや、剪定を初めとした栽培管理が十分でないことから、生産性が低く、加工業者からの需要に供給が追いついていかない状況にあります。

 特に、収穫作業は、直径一センチメートルほどの果実を熟した順に選びながら手作業で行う必要があることから、効率的に収穫できる器具の普及や、収量性が高く、一斉に熟すなど収穫効率のよい優良品種選定、導入などが課題として挙げられます。

 次に、カシスの生産振興方策についてです。

 県では、地域の特色を生かした特産果樹の産地づくりやブランド化を推進しており、特に日本一の栽培面積と生産量を有する東青地域のカシスについては、平成二十二年度から地域県民局の重点プロジェクトとして取り組みの強化を図ってきたところです。

 具体的には、栽培技術の確立に向けた実証圃の設置や、栽培マニュアルの作成のほか、高い技術と指導力を兼ね備えた生産者をカシスマイスターとして認定し、普及指導員を初め、農協や青森市と連携して、剪定などの技術指導を行う共同指導体制を構築したほか、収穫作業の効率化に向けて、海外から簡易な収穫器具を導入し、効果を検証するなど、栽培技術や生産性の向上に取り組んできました。

 また、平成二十四年度からは、現在の在来品種よりも熟期のそろいがよく、大粒で収量性の高い新品種を導入し、地域への適応性を検討しており、将来的には、優良品種への更新により生産拡大につなげていくこととしています。

 さらに、県では、生産者や加工業者で構成されるあおもりカシスの会、青森市などと連携を図りながら、カシスの持つ機能性と国産としての希少価値を生かしたカシスリキュールを県外の焼酎メーカーと商品化するなど、新たな商品づくりや販路拡大にも取り組んでおり、このような取り組みを通じて、カシスの生産振興とブランド化を図っていきます。

 次に、養殖残渣の処分費用の軽減についてです。

 ホタテガイ養殖で発生する残渣は、養殖施設に付着する海藻や貝類などが原因となっていますが、近年、新たに養殖かごに付着するホヤ類などが急激に増加したため、残渣の処分費用がかさみ、漁業者にとって大きな負担となっており、抜本的な対策を望む声が強まっています。

 このため、県では、養殖残渣の処分費用を軽減する一つの方法として、堆肥や飼料としての利活用を検討するため、先進地である北海道の事例や、畜産飼料メーカーの意向について情報収集を行っているところです。

 また、今年度から、ホタテガイ養殖施設に付着する生物の生態解明と付着生物を低減する効果的な養殖管理技術の開発にも取り組んでおり、早期にその成果を漁業者に普及指導し、ホタテガイ養殖における残渣の処分費用の軽減を図ってまいります。

 次に、ホタテガイ貝毒検査の公定法としての機器分析法の導入についてです。

 現在、貝毒検査の公定法となっているマウス試験では、毒成分ごとの分析ができないため、下痢性貝毒による陸奥湾産ホタテガイの出荷規制区間が長期化する一因となっています。

 このため、県では、毒成分ごとの分析が可能な機器分析法のデータを蓄積することとし、今年度から、夏の陸奥湾活ほたてがい提供促進事業により、一般社団法人青森県薬剤師会と国の試験研究機関の協力も得て、分析結果の比較検討を行っているところです。

 また、県では、先般、厚生労働省と農林水産省に対して、機器分析を公定法とするよう提案したところ、平成二十七年以降の導入を検討するとの情報を得られたことから、これが確実に実施されるよう、引き続き、国に対して働きかけてまいります。

 

◯議長(西谷 洌) 県土整備部長。

 

◯県土整備部長(横森源治) 青森県道路公社関係の御質問二件についてお答えいたします。

 まず、路線ごとの債務の償還の見込みについてでございます。

 みちのく有料道路につきましては、平成二十四年度末における債務残高は約六十八億円で、前年度末と比較して六億四千万円減少しており、平成四十一年十一月の料金徴収期限までに債務を完済すると見込んでおります。

 青森空港有料道路につきましては、平成二十四年度末における債務残高は約二十億円で、前年度末と比較して約一億五千万円減少しておりますが、現在の償還ペースでは、平成二十九年七月の料金徴収期限までに債務を解消することは困難であると考えられます。

 第二みちのく有料道路につきましては、平成二十四年度末における債務残高が約三十一億円で、前年度末と比較して約六千万円減少しておりますが、現在の償還ペースでは、平成三十四年三月の料金徴収期限までに債務を解消することは困難であると考えられます。

 県といたしましては、引き続き、公社の経営状況を把握し、債務の着実な償還に向けて、指導助言を行ってまいりたいと考えております。

 次に、青森空港有料道路の無料開放についてでございます。

 有料道路につきましては、受益者負担が原則でありますことから、県といたしましては、債務は可能な限り圧縮すべきと考えております。

 無料開放につきましては、今後の利用状況、債務の返済状況、経済波及効果等を見きわめながら検討してまいります。

 

◯議長(西谷 洌) 教育長。

 

◯教育長(橋本 都) 全国学力・学習状況調査についての御質問二点にお答えいたします。

 初めに、悉皆調査の意義についてです。

 全国学力・学習状況調査は、平成十九年度から始まり、平成二十三年度の中止を挟んで、今年度で六回目を迎えたところです。

 この調査の目的としましては、一つとして、義務教育の機会均等と水準の維持向上のため、児童生徒の学力や学習状況を把握、分析して、教育の結果を検証し、改善を図ること、二つとして、学校において、児童生徒への指導の充実や学習状況の指導等に役立てることとなっております。

 この調査は、当初、全国の全ての小学校六年生及び中学校三年生を対象とする悉皆方式で始まりましたが、平成二十二年度から、一部の小・中学校の児童生徒を抽出して行う抽出方式に変更され、今年度からは再び悉皆方式となりました。

 悉皆方式による調査の意義としましては、全国の全ての小・中学校の児童生徒が調査対象となることから、各市町村教育委員会や各学校が、それぞれ主体的に調査の結果をもとに課題の把握、分析をすることで、地域の実態に合った施策や児童生徒の実態に合った指導の改善を図ることができることであると考えております。

 次に、全国調査の結果の活用についてであります。

 県教育委員会では、全国学力・学習状況調査が始まった平成十九年度当初から、調査の結果を分析することで、本県の児童生徒の学力面での課題を把握し、さまざまな方策を講じて、その解決に努めてまいりました。

 具体的な取り組みとしましては、各教科の問題の正答率の分析から明らかとなった思考力、判断力、表現力に係る課題について、その解決のため、今後改善すべき事柄や指導事例を示した報告書を作成し、県内の各小・中学校及び各市町村教育委員会等に配布することで、各学校が具体的に授業の改善に取り組んでいくことができるようにしております。

 また、生活時間等のアンケート調査の結果から、家庭学習の習慣や生活習慣の形成に課題が認められたことから、その解決のために新たな事業を立ち上げ、地区の小・中・高等学校が連携して、学習のあり方等について調査研究を行い、有効な取り組み事例等をまとめた冊子を作成、配布し、啓発を行っております。

 県教育委員会といたしましては、引き続き、全国学力・学習状況調査の結果を積極的に活用し、市町村教育委員会及び学校と連携して、本県児童生徒の学力や学習状況の改善に取り組んでまいります。

 

◯議長(西谷 洌) 高橋議員。

 

◯十四番(高橋修一) ほぼ納得できる御答弁でありました。苦労して原稿を書いて、質問したかいがあります。

 それで、それぞれの質問項目についてしっかりとやっていただきたいと、これは本当に改めてお願いします。

 ただ、一点、有料道路の関係なんですけれども、御答弁によれば、青森空港有料道路を初めとして、償還期間内の返済は難しいといった御答弁でございました。

 それで、過去の有料道路の徴収期間の延長あるいは無料開放の路線もあったと思いますけれども、それを徴収期間の満了時に一体誰がどういった形でそのことを判断するのか、それを県として提示しているのか、あるいは我々はどう理解すればいいのか、その辺について御答弁をいただきたいので、よろしくお願いします。

 以上で終わります。

 

◯議長(西谷 洌) 県土整備部長。

 

◯県土整備部長(横森源治) 道路公社の償還の課題に対して、対応には大きく二つあるというふうに考えております。

 一つは、毎年債務を着実に償還しておりますことから、償還期限を延長しても債務をしっかりと返還していく、そういうのが一つの方向でございます。

 もう一つは、借入金等を清算した上で、一般県道として無料開放する。その場合に、借入金の清算という課題はありますが、経済波及効果を期待できると、そういう効果も考えられます。

 青森空港の有料道路につきましては、平成二十九年七月という徴収期限が近づいてきておりますので、県といたしましても、今後の利用見込みや無料開放の経済効果等を見きわめながら、できるだけ速やかに検討して、最適な方向を見出してまいりたいというふうに考えております。