2012年11月30日:平成24年第272回定例会(第3号)   本文

◯議長(西谷 洌) 休憩前に引き続いて会議を開きます。

 一般質問を続行いたします。

 十四番高橋修一議員の登壇を許可いたします。──高橋議員。

 

◯十四番(高橋修一) 自由民主党の高橋修一です。愛する自由民主党の一員としてこの場に立てることを誇りに感じます。

 それでは、議長のお許しをいただき、所感を申し上げながら質問を行います。

 本日で十一月も終わりとなります。あすから十二月。ことしもあと一カ月を残すのみとなりました。少し早い気もいたしますが、ことし一年を振り返ってみますと、さまざまな出来事がございました。

 私がことし一番うれしく、胸が熱くなったこと、それは、自民党の総裁に安倍晋三先生が御就任されたことであります。思えば、私が県議会に初めて議席を頂戴したのが平成十九年四月でありましたが、そのとき総理・総裁だった安倍先生には、やはり特別な思いを抱きます。

 平成十八年九月に安倍晋三内閣総理大臣が誕生し、日本の国家像に明確なビジョンを打ち出しました。その主軸となったのが我が国の次世代が誇りを持てる美しい国日本を目指すことであります。そして、戦後レジームからの脱却を提唱し、戦後日本のあり方を根本から見直すとの壮大な国家目標を掲げた安倍総理の誕生は、新鮮さと英知に満ちあふれたものであり、歴代自民党政権がなし遂げられなかった教育基本法の改正や防衛庁の省昇格、憲法改正の布石となる国民投票法の制定などをなし遂げました。

 外交面でも、米国、中国、韓国などはもちろん、安倍総理になってからの国際社会での外交に対する信頼など、日本はたくましさと新鮮さにあふれ、我が国の戦後保守政治は新しい時代の幕あけを迎え、揚々たる光を放っておりました。まるできのうのことのように思い出されます。病気による総理辞職から五年の歳月を経たことし、自民党は再び安倍先生に我が党の命運を託し、日本が抱える難局を打開するための切り札に選んだのであります。このたびの安倍総裁の誕生は、安倍晋三先生の再チャレンジであり、自民党の再チャレンジであり、日本の再チャレンジと捉えております。

 自民党は、三年前、下野いたしました。なぜそうなったのかという深い反省を常に心に抱き続けてきました。国民は瞳を凝らして見ております。自民党は変わったのか、開かれた国民政党という立党の精神を本当に取り戻したのか。私どもは、国民の厳しい目を強く意識し、自民党という原点に立ち戻り、すべての党員が努力を重ねてまいりました。

 後世歴史家が振り返るとき、現在の自民党に課せられた責務は重大であります。そのことを強く意識し、我々は国民の皆様とともに再び誇りある日本を取り戻すために、残り一カ月となったこの年を実りあるものとしなければなりません。新しい年が安倍晋三総理・総裁のもと、日本の立て直し元年になることを念願し、質問に入ります。

 初めに、東日本大震災による被災自治体への職員派遣についてです。

 十一月十一日、私ども自民党青森県連青年局は、女性部と合同で大会を開催いたしました。当日は、私ども自民党青年局の仲間である宮城県女川町の須田善明町長をお迎えして、東日本大震災からの復興に向けてをテーマに御講演をいただきました。女川町は、場所によっては高さ二十メートルもの大津波が襲い、町内の住宅の七割が流失し、人口のおよそ一割、一千人近くの方がとうとい生命を失うという未曾有の災害に見舞われました。

 須田町長は、美しかったふるさとが一瞬にして見渡す限り瓦れきの山と化してしまったその姿に言葉を失い、ただ立ち尽くすしかなかったそうです。食べるものも着るものもない中で、凍えるような寒さに震え、あすへの希望すら失いかけた。しかし、今を生きる自分たちの世代が復興の第一歩目からその責任を担おうと誓い、新たな女川をつくり上げる、復興をなし遂げる、そう決意したそうです。

 政治家としての正義感、覚悟、気概を持つ人物であり、同志として我々青年局世代の政治家も大いに刺激を受け、大変有意義な時間ともなりました。そして、御講演の最後に、今、被災地が何を一番必要としているのか。今、他の自治体に対して一番お願いしたいことは何かという点を述べられました。それは、人だそうです。具体的には町役場で働く職員の数が圧倒的に足りないとのことでもありました。

 女川町を初めとする被災自治体は、全国各地から寄せられた支援に支えられ、今新たな一歩を踏み出そうとしております。同町でも町の復興計画を策定し、魚市場の再始動、仮設住宅、仮設店舗の完成と、町も徐々に活力を取り戻しつつあるようですが、より早い復興をなし遂げるための原動力となるのは、確かに最終的には人の力となると考えられます。

 そこで、被災自治体からの派遣要請を受ける仕組みと、現在の職員の派遣状況を、知事部局所管分、教育委員会所管分、県警察本部所管分、それぞれお伺いするものであります。

 次に、原子力防災対策の推進についてであります。

 十月三十一日、原子力規制委員会は、原子力災害対策指針を定めました。これに基づき、本県を初めとする原発立地地域周辺自治体は、来年三月までに地域防災計画を策定しなければなりません。

 示された指針では、福島第一原発事故を踏まえ、住民避難に備える原子力災害対策重点区域、UPZの目安を、原発の半径八から十キロ圏から三十キロ圏にまで拡大、五キロ圏を重大事故発生と同時に即時避難する区域、PAZとして新たに定めました。これは、福島事故前に比べて九倍の広さへの拡大。この結果、関係する自治体は、従来の十五道府県四十五市町村から二十一道府県百三十五市町村に増加し、対象人口は、現行の七十三万人から四百八十万人に膨れ上がることになりました。

 重点地域の拡大で、青森県の場合、東通原発の防災重点区域の住民は、十キロ圏では四市町村、約八千五百人だったものが、三十キロ圏では野辺地町を加えた五市町村となり、対象人口は八倍超の約七万三千人にまでふえ、五キロ圏内の約三千人は、事故の際、即時に避難しなければならない対象となります。

 一方、事故に備える重点区域を原発三十キロ圏内と拡大したものの、今後の検討事項として内容が不明確なものが多数あります。最も重要な項目の一つが避難などに使われる判断基準と言われておりますが、原発の地元自治体はそれぞれに地域特性があり、いかに避難を実行させるかという難問を抱えながら、それぞれが手探りで地域防災計画の検討作業を進めているというのが実態ではないでしょうか。福島第一原発事故では、避難の基準がなかったため、原発の知識に乏しい政治家の判断で、避難地域が三キロから十キロ、二十キロへと段階的に広げられるなどして混乱を招いたという失態を忘れてはなりません。

 そもそも、国家の非常時、限られた時間内で、政府や自治体、電力会社は、これだけ多数の住民、青森県だけでも七万三千人に被曝を避ける情報を的確に伝え、各種の要請に応えられるすべを持ち得ることはできるのか。また、大勢の人が一度に動けばパニックに陥りかねないわけで、それを防ぐ手だてを講じることが本当に可能なのか。加えて、今後の検討課題とした項目には、SPEEDIの活用方策など、福島第一原発事故の対応で問題視され、国民の関心が高い事項も含まれております。福島第一原発事故の教訓が生かされた指針でなければ、実効性のある対策を講じることは困難であると指摘せざるを得ません。

 さらに、オフサイトセンターの今後のあり方、緊急被曝医療のあり方、安定ヨウ素剤の投与判断の基準など、いずれも避難計画策定の基礎となる事項が今後の検討事項として積み残されております。抽象的で大まかな骨格を示されただけで、各自治体は果たして本当に実効性ある地域防災計画を策定することが可能なのか。今後、本県を含む関係自治体の地域防災計画づくりは難航をきわめるのではないかとの懸念を抱くものであります。

 以下、お伺いいたします。

 まず、原子力災害対策指針を踏まえた対応についてでありますが、原子力規制委員会が示した原子力災害対策指針について、その概要及び県の評価。

 原子力災害対策指針を踏まえ、地域防災計画(原子力編)の修正等に向けた県及び市町村の対応とスケジュールについて。

 地域防災計画(原子力編)修正後、原子力防災対策の実効性をどのように高めていくのか、それぞれお伺いいたします。

 次に、原子力防災訓練の実施についてですが、いずれにしても、防災計画の策定準備は進めなければならず、県は、原子力防災訓練を十一月三日に行いましたが、十一月三日に実施した原子力防災訓練の目的及び概要についてお伺いいたします。

 また、原子力防災訓練によって得られた成果、課題を今後の原子力防災にどう反映させていくのかお伺いするものであります。

 次に、青い森鉄道線の利用促進等についてであります。

 新幹線整備の前提としてJRから経営分離された並行在来線青い森鉄道線は、より利用しやすい、そして利用したくなる鉄道として、地域に密着したサービス提供を行う交通機関へと変わることができなければ、同鉄道線が将来に向けて安定した運行を続けていくことは望めません。鉄道を利用する県民、市民あるいは観光客の視点に立った利便性の高い交通機関として万全の対策が講じられることを望むものであります。

 そこで、青い森鉄道株式会社が本年七月に策定した中期経営計画に対する県の評価、認識をお伺いいたします。

 また、豪雪による運休が青い森鉄道株式会社の経営に悪影響を及ぼしているものと考えます。今冬における青い森鉄道線の雪対策について、会社ではどのような取り組みを行っているのか伺います。

 さらに、青い森鉄道株式会社の安定的な経営を図るためには、会社のみならず、県、沿線市町村及び地域住民等が一体となった利用促進対策を進める必要があると考えますが、どのような取り組みが行われているのか伺います。

 次に、県内中小企業の振興対策についてであります。

 本県経済に占める中小企業の重要性と厳しい経営環境を踏まえれば、県におかれましては、今後とも金融機関や商工団体等の関係機関と連携を密にしながら、全庁一体となって県内中小企業の振興に努めていく必要があります。

 県内中小企業の多くは、年末や年度末の運転資金がかさむ時期をこれから控えて、果たして自分の企業が持ちこたえることができるのかといった切実な不安を抱いております。

 そのような中、平成二十一年施行された中小企業金融円滑化法は、来年三月には期限切れを迎えるとされております。県内中小企業に対して、金融機関が同法の期限切れ後、貸し渋りや融資条件を厳しくするとすれば、多くの県内中小企業の経営は成り立たず、倒産件数の増加やそれに伴う失業者の発生などが懸念されます。

 中小企業の金融対策は、県内中小企業の現状を踏まえれば、中小企業金融円滑化法終了後においても切れ目ない金融円滑化対策を講ずる必要があります。

 以下、お伺いいたします。

 本県の経済、産業、雇用における中小企業の役割をどのように位置づけているのか、県の認識について。

 県内企業の求人状況、倒産件数など、県内中小企業を取り巻く環境はどのような状況にあるものと認識しているのか。

 来年三月に期限切れを迎える中小企業金融円滑化法について、その概要及びこれまで県内中小企業の経営安定に果たした役割についての認識。

 中小企業金融円滑化法が終了する来年四月以降の県内中小企業の資金繰り悪化が懸念されるが、県ではどのような姿勢で金融面での支援を行っていくのか、それぞれお伺いするものであります。

 次に、陸奥湾におけるホタテガイ産業の振興についてお伺いします。

 陸奥湾のホタテガイ産業は本県の基幹産業の一つでありますが、一昨年の異常高水温被害によって大きな被害をこうむっており、陸奥湾ホタテの再生に向けてこれまで関係者一丸となった対策が講じられてきたところであります。

 その成果としましては、昨年は出荷数量の減少が見込まれ、また、親貝不足の中で必要数量の稚貝を確保することができ、多くの関係者が陸奥湾再生に向けた期待感を膨らませたことと思います。しかしながら、その期待もつかの間、ことしの夏以降も陸奥湾は高水温となり、まことに残念なことに、ホタテガイの大量へい死が確認されております。一昨年の被害から回復し切れない漁業者や加工業者の心情を察すると胸が詰まります。

 陸奥湾におけるホタテ産業は、地域経済に与える影響が非常に大きいことから、官民一体となった安定的生産の確立に向けた不断の努力が求められます。

 そこで、本県の水産業における陸奥湾ホタテガイ産業の位置づけ及び重要性について県の認識を伺います。

 また、一昨年の高水温被害を踏まえれば、本年の養殖管理の指導内容はレベルアップしてしかるべきものと思います。

 そこで、本年の高水温に対するホタテガイ養殖管理の指導状況についてお伺いいたします。

 さらに、一昨年、本年と頻発する高水温被害を踏まえると、水温上昇の予測や高水温に強い養殖技術の開発研究など、持続的な生産確保のための長期的視野に立った抜本的対策が必要と考えます。

 そこで、今後の高水温に備えた抜本的な対策について、県の認識及び対応状況をお伺いするものであります。

 今月、環境厚生委員会の県外調査で佐賀県に行ってまいりました。以下、県外調査内容に関連して質問をいたします。

 初めに、がん対策の推進についてであります。

 佐賀県は本県同様がん死亡率は全国高位にあり、また、沖縄県を除く九州、山口の各県もがん死亡率が全国平均よりも高く、効果的ながん対策が求められてきました。

 そのようなことから、佐賀県では、平成二十三年三月の九州新幹線鹿児島ルートの全線開通に合わせて開業した新鳥栖駅前に、九州では初めて、また民間では日本で初めて、最先端の放射線治療である重粒子線がん治療施設として、九州国際重粒子線がん治療センターを平成二十五年五月に開設することとしております。

 施設設置費は、用地を鳥栖市から譲り受け、約百五十億円。運営は、佐賀県、福岡県と佐賀県医師会が設立した公益財団法人佐賀国際重粒子線がん治療財団が担うこととしております。

 佐賀県鳥栖市は、新幹線、高速道路がクロスする交通の要衝であり、九州のがん患者さんに最先端のがん治療の機会を提供し、地域医療、地域福祉の向上、ひいては九州全体の地域振興への貢献が期待されております。また、民間初の施設及び経営となることから、新たな事業モデルとして重粒子線がん治療の全国的な普及効果が期待されるものと思われます。

 本県の死亡原因の第一位はがんであり、全死亡数の二九・二%、四千八百三人ががんで亡くなられ、平均寿命、そしてがん死亡率が全国最下位レベルに低迷している本県にとって、がん対策の充実は長年の懸案となっております。

 そこで、以下お伺いいたします。

 がん対策については、本県の健康・医療政策の中で非常に重要な位置を占めるものと考えますが、本県におけるがん対策の主な取り組みについてお伺いいたします。

 また、重粒子線によるがん医療が注目されているが、その特徴及び全国における重粒子線治療施設の整備状況についてお伺いいたします。

 がん死亡率が高い本県こそ重粒子線治療施設の設置を検討すべきと考えますが、県の考えを伺います。

 次に、ICTを活用した救命救急医療の充実についてであります。こちらも佐賀県の取り組みに関連した質問となります。

 緊急医療現場が抱える課題として、救急車で搬送される人の数は、全国で平成十二年において三百九十九・七万人だったものが平成二十二年には四百九十七・九万人で過去最多。この十年間で百万人増となり、佐賀県内においても同様の傾向をたどっているとのこと。

 これは、搬送先医療機関が見つからない、搬送先が特定の医療機関に集中していたこと等が原因として挙げられ、また、このことが一一九番通報から病院搬送までの時間が毎年伸びるという問題を生み出し、全国で平均搬送時間が平成十一年で二十七・一分で済んでいたものが、平成二十二年には三十七・四分で過去最長。佐賀県内でも同様に、過去十年間で十分程度搬送時間が延びるといった悪循環を生み出していたとのことでありました。

 この問題に対する解決策として、平成二十三年四月、救急医療現場で全国初、アップル社のiPadを導入することでリアルタイムな情報共有システムを確立し、効果的な搬送先選定、搬送先の分散化、適正化が図られ、それまでの救急医療搬送システムに比べシステム利用率も大幅にアップし、搬送時間短縮につながるといった成果を上げておりました。

 救急医療現場を受け持つ救急隊員の声として、iPadをタッチするだけなので、検索も入力も素早くできるようになった、どの病院に搬送が集中しているのか、他の救急車の動向などが一目でわかる。救命医師の声として、他の病院の受け入れ情報や地域の現状が一目でわかる。他の病院の受け入れ状況を意識するようになる。リアルタイムで状況がわかるのは非常にいいといった救急医療現場の声も紹介されました。

 また、運用コスト面でも、それまでの救急医療システムが年間六千七百万円だったものが、iPad導入によって年間二千七百万円、年間四千万円コストダウンにつながったとのことです。

 佐賀県の救急車でのiPad活用の取り組みは全国的に評価され、その取り組みが徐々に広がりを見せ始めており、本県も今後参考にすべきと考えます。

 以下、お伺いいたします。

 救急車で搬送された患者の人数及び平均搬送時間について、本県の現状。

 救急搬送に際し、受け入れ可能病院の把握や搬送先の選定等については、どのような基準に基づき行われているのか。

 救命救急医療の充実を図るため、ICTの積極的な活用を検討すべきと考えますが、県の考え方をそれぞれお伺いするものであります。

 以上で壇上からの質問を終わります。

 

◯議長(西谷 洌) 知事。

 

◯知事(三村申吾) 高橋議員にお答えします。

 まず、私からは、原子力防災訓練により得られた成果、課題を今後どのように反映させていくのかであります。

 去る十一月三日に実施いたしました原子力防災訓練は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、原子力発電所に係る防災範囲が十キロメートルから三十キロメートルへ拡大することに伴う広域避難をメーンに実施いたしました。

 この訓練を通じまして、地域住民の防災意識の醸成と原子力防災に対する理解促進が図られ、防災関係機関相互の連携を確認できたと考えております。また、訓練終了後、訓練を振り返り、成果、課題等を抽出し、今後の原子力防災対策や防災訓練の実効性をより高めるため、訓練参加市町村や防災関係機関から意見を聴取したところであります。

 いただいた意見には、自然災害と原子力災害の複合災害を想定した訓練の継続、深化や、より多くの住民の参加による住民避難訓練の実施、冬期間あるいは夜間といったさまざまな状況下での活動等に関するものがございました。

 県としては、今回の訓練で得られました成果、課題について、県及び関係市町村において年度末までに修正する地域防災計画(原子力編)や避難計画に反映させていきますとともに、市町村を初め、防災関係機関と検討、調整を図りながら、より充実した原子力防災訓練を実施することにより、原子力防災対策のさらなる充実強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 中小企業金融円滑化法が終了します四月以降の金融面での支援であります。

 私は、地域の中小企業が、自主自立を目指して、その持てる力を存分に発揮していくためには、何よりも企業経営の血液と言われる金融の円滑化が重要であると考えております。これまでも、東日本大震災への迅速な対応など、県内中小企業のその時々の経営環境を踏まえた金融支援を積極的に行ってきました。

 県内中小企業の資金繰りは、中小企業金融円滑化法の終期を今年度末に控えていることに加え、国内景気にいわゆる下振れの傾向が見られることなどから、先行きに不透明感が増しているものと認識いたします。

 このため、県では、これまで国に対し、同法の一定期間の延長、または失効した場合の支援施策を要望してきましたほか、今月六日に開催いたしました制度金融運営協議会において、県内金融機関に対しまして、新規融資や既存借り入れに係る条件変更への積極的な対応を要請いたしました。

 これに対し、県内金融機関からは、金融円滑化法終了後もこれまでと同様の姿勢で対応していくなど、引き続き県内企業を支援していく方針が示されたところであります。

 県としては、今後とも、関係機関と連携を密にし、現場の状況変化を迅速、的確に捉え、県内中小企業者の資金繰りに支障がないよう対応したいと考えております。

 水産業における陸奥湾ホタテガイ産業の位置づけ、重要性についての認識でありますが、陸奥湾におけるホタテ養殖業は、昭和三十年代後半の稚貝採取の技術開発から始まり、その後、我が国を代表するつくり育てる漁業の象徴として、今日では百億円産業となり、数多い本県の水産物の中でもトップクラスの漁獲高を誇っております。また、ホタテガイ加工業も養殖業と両輪となって発展を遂げ、近年では、ボイル加工品等の出荷額が約二百億円となっており、雇用の確保など、県経済の活性化に大きく寄与しております。

 さらに、陸奥湾で育まれましたホタテガイは、多くの方々に甘くておいしいと高く評価されており、本県を代表する食材として数々の郷土料理に用いられ、観光資源にもなっておりますほか、貝殻が建設資材等に利用されるなど、経済効果が広範囲に及んでおります。

 私は、このように、陸奥湾ホタテガイ産業を漁業、水産加工業などの水産業にとどまらず、流通業、飲食業、観光業、さらには建設関連産業等にも影響を及ぼす陸奥湾沿岸地域の核となる重要な産業であると認識するところであります。

 陸奥湾のホタテガイ養殖業は、これまでも大量異常へい死や貝毒問題等多くの困難を克服しながら発展してきております。この夏の高水温に対しましても、関係者が一丸となって克服することによってホタテガイ産業の持続的な発展にしっかりとつなげていきたいと考えております。

 続いて、本県におけるがん対策の主な取り組みということであります。

 本県の平均寿命が男女とも全国最下位に低迷しております中、平成二十三年のがんによる死亡数は四千八百人を超え、死亡数全体の約三割を占めております。特に死亡率につきましては、男性は四十歳代から、女性は五十歳代から全国との差が顕著となっており、平均寿命や健康寿命の延伸を図る上でも、がんの克服が本県の大きな課題となっております。

 私は、県民が住みなれた地域で健やかに安心して生活できる社会の実現を目指し、青森県基本計画未来への挑戦において、がん対策先進県の実現を掲げ、重点的に取り組んできました。

 具体的には、平成二十年五月に策定した青森県がん対策推進計画に基づき、生活習慣の改善などの一次予防対策、がん検診受診率向上などの二次予防対策、がん診療連携拠点病院を中心とする医療体制の充実等に総合的に取り組んできましたが、今年度終期を迎えますことから、現在、がん医療従事者、学識経験者、がん経験者等で組織いたします青森県がん医療検討委員会において、来年度からの青森県がん対策推進計画を検討いただいているところでございます。

 この中で、精度の高いがん登録に基づく詳細な分析、評価を踏まえた戦略的な取り組みの推進が必要であるとの御意見をいただいているところであり、県としては、これらの御意見を踏まえながら引き続き検討を進め、がんと闘うあおもり、がんに負けないあおもりの実現を図っていきたいと考えているところでございます。

 私からは以上です。

 

◯議長(西谷 洌) 青山副知事。

 

◯副知事(青山祐治) 救命救急医療の充実を図るため、ICTの積極的な活用を検討すべきと考えるが、県の考え方についてお答え申し上げます。

 救急医療の現場におけるICTの活用については、搬送先医療機関の選定を速やかに決定することを目的とするもの、傷病者の状態を医療機関に伝達することを目的とするものがありますが、いずれも早期に効果的に治療を開始することにより救急医療の充実が図られるものであります。

 総務省消防庁では、救急業務のあり方に関する検討会において、救急現場におけるICTの活用についても検討を行っており、搬送先医療機関の速やかな選定を目的とする先進事例として、佐賀県の救急医療情報システムなどの調査を行っているところです。

 議員から御紹介がありましたが、佐賀県の事例では、救急車に登載したタブレット型携帯端末を活用して救急隊が速やかに搬送状況を入力することで、救急隊と医療機関における患者搬送状況や医療機関の受け入れ状況などの情報共有が可能となり、搬送側と受け入れ側の相互理解が深まったため、円滑な患者搬送に効果が見られたということであります。

 県としては、現行の救急医療情報システムが二十五年度までの運用であるため、二十六年度からの新システム構築に当たり、佐賀県などの先進的な取り組みを参考として、医療関係者や消防機関、ICTの専門家などの御意見を伺いながら検討することとしております。

 

◯議長(西谷 洌) 総務部長。

 

◯総務部長(中村 賢) 東日本大震災による被災自治体への職員派遣についてお答え申し上げます。

 東日本大震災からの復旧・復興対策に係る派遣要請については、派遣先の自治体からの直接の要請、国の各省庁の要請などがございますけれども、現在、本県職員の派遣は、主に全国知事会を通じた派遣要請に基づき行っております。

 その仕組みは、同会が、まず、岩手県、宮城県及び福島県において必要としている派遣職員の職種や人数を取りまとめ、各都道府県に対し派遣の要請を行います。要請を受けた各都道府県は、条件に適合する派遣可能職員数等を同会に回答し、同会が調整する仕組みとなっております。

 一方、市町村職員につきましては、被災自治体の派遣要請を国が取りまとめて、市長会、町村会を通じて各市町村に提供されます。各市町村からの派遣申し出は、市長会、町村会を通じて被災県に提供され、被災県が調整する仕組みとなっております。

 また、本年十一月一日現在の派遣の状況でございますけれども、本県知事部局職員については、岩手県へ三人、宮城県へ一人、福島県へ四人、岩手県野田村へ一人の計九人が派遣されており、本県市町村職員につきましては、岩手県内に九人、宮城県内に二人、福島県内に一人の計十二人が派遣されております。

 以上でございます。

 

◯議長(西谷 洌) 行政改革・危機管理監。

 

◯行政改革・危機管理監(小笠原靖介) 御質問二点についてお答えいたします。

 初めに、救急車で搬送された患者の人数及び平均搬送時間についてです。

 平成二十三年中、一月から十二月までにおける本県の消防機関による救急出動件数は四万七千五十三件、救急患者の搬送人員は四万四千五十八人となっており、増加傾向にあります。

 また、平成二十三年中において、救急隊が救急要請を受けてから現場へ到着するまでの救急出動現場到着平均所要時間は七・八分、救急要請を受けてから患者を医療機関へ収容するまでの収容平均所要時間は三十三・五分となっております。

 次に、受け入れ可能病院の把握や搬送先の選定等の基準についてです。

 県では、救急患者の搬送及び受け入れの迅速かつ適切な実施を図ることなどを目的に、消防機関及び医療機関等で構成する青森県救急搬送受入協議会を設置して、青森県救急患者搬送及び受入れに関する実施基準を策定し、平成二十三年四月から運用しております。

 この実施基準では、救急患者の状況に応じた医療機関リスト、救急患者の状況を確認する観察基準、搬送先医療機関の選定基準、救急患者の状況の伝達基準などが定められています。

 県内の各消防機関では、この実施基準等に基づき、搬送先の医療機関とも連携しながら、救急患者の迅速かつ適切な救急搬送業務に努めております。

 

◯議長(西谷 洌) 企画政策部長。

 

◯企画政策部長(小山内豊彦) 青い森鉄道線の利用促進等についての御質問三点にお答えいたします。

 まず、中期経営計画に対する県の評価、認識についてです。

 青い森鉄道株式会社が今回策定した中期経営計画は、全線開業後初の通年営業となった平成二十三年度の実績等を踏まえて、収支改善を初めとする平成二十七年度までの経営の方針、目標などを示したものです。

 まず、収支の改善については、収益面では、沿線の人口減少や少子化の進行等を勘案して旅客運輸収入を厳しく見込む一方で、費用面では、人件費についてプロパー転換の促進による減少を図るとともに、業務委託の見直し等を順次行っていくことにより収益の減少幅を上回る経費圧縮を計画するなど、実情を踏まえた収支改善努力が明示されております。

 また、これまで課題とされてきた輸送力の増強については、新造車両を二編成四両導入するとのことであり、平成二十五年度末に予定される青森市筒井地区の新駅開業への対応も含めて、利用者の利便向上につながるものと考えております。

 今回会社が策定した計画は、今後予想される厳しい経営環境において、安全で安定的な運行を第一として、可能な限り収支改善等を図っていこうとするものと受けとめており、県としては、本計画の着実な推進を期待しているところです。

 次に、今冬における青い森鉄道線の雪対策についての取り組みについてです。

 青い森鉄道株式会社では、昨年度の大雪による運休の増加を受け、お客様にとって冬期間の頼れる足として安心して御利用いただけるよう、より一層の冬期の安定輸送を目指し、詳細な気象情報等を活用した早期に除雪を開始できる体制の整備や、除雪業者の保有する除雪機械の新機種への更新、青森駅など主要駅への新たな冬期要員の配置などについて取り組んでいくこととしております。

 また、鉄道施設を所有する県としても、雪による運行障害の大きな原因となるポイントの不転換を防止するため、列車が抱えてくるいわゆる抱き込み雪をポイント上で溶かす設備を青森駅構内に設置することとしております。

 最後に、県沿線市町及び地域住民等が一体となった取り組みについてです。

 青い森鉄道線を将来にわたって維持・存続していくためには、青い森鉄道株式会社による利用促進対策に加えて、地域からのより一層のサポートが今後ますます重要であると考えています。

 このことから、平成二十二年五月に、沿線十一市町、青い森鉄道株式会社、県等が一体となって利用促進対策を進めていくことを目的とした青い森鉄道線利活用推進協議会が設立されております。

 この協議会では、青い森鉄道の利用促進とマイレール意識向上のための取り組みを進めており、平成二十四年度は、鉄道の日を記念した鉄道まつりを開催したほか、フォトコンテストの実施、地域住民等による駅舎の美化活動や利用促進を目的とした取り組みへの助成等を行っています。

 また、平成二十二年十月には、地域住民、沿線団体等を会員とする民間レベルで青い森鉄道を応援する団体「青い森鉄道プラットホーム~ぷらっとプラット~」が組織され、駅舎を活用した交流イベントや県からの委託を受けて駅前商店会と連携したスタンプラリーを実施するなど、青い森鉄道を盛り上げるための取り組みを展開しているところであります。

 明日、十二月一日及び二日には、会社と協議会等が目時─八戸開業十周年を記念したイベントを開催し、利用促進の機運を盛り上げることとしておりますが、今後も、青い森鉄道株式会社と地域の方々、沿線市町、県等が一体となって、青い森鉄道線の利用を促進していくための取り組みを進めてまいります。

 

◯議長(西谷 洌) 環境生活部長。

 

◯環境生活部長(林 哲夫) 原子力防災対策の御質問にお答えいたします。

 まず、原子力災害対策指針の概要と評価についてでございます。

 原子力災害対策指針は、原子力災害対策特別措置法に基づきまして、関係者が原子力災害対策を実施する際等において、科学的、客観的判断を支援するために、専門的・技術的事項について定めるものでありまして、去る十月三十一日に開催された原子力規制委員会で決定されたところでございます。

 今回の指針には、原子力発電所に係る原子力災害対策重点区域について、原子力施設からおおむね五キロメートルの予防的防護措置を準備する区域(PAZ)及び原子力施設からおおむね三十キロメートルの緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)の概念を導入することなどが新たに盛り込まれました。また、緊急時の意思決定のための基準となります緊急時活動レベル(EAL)及び運用上の介入レベル(OIL)の具体的な内容や安定ヨウ素剤服用の具体的な手順、原子力発電所以外の原子力施設の原子力災害対策重点区域の範囲などについては、今後検討し、指針に盛り込むこととしております。

 県としては、当該指針を踏まえまして、来年三月までに地域防災計画(原子力編)を修正する予定でございますが、原子力規制委員会が今後検討するとしている事項につきましては、内容が示された時点で修正案に可能な限り反映させたいと考えておりますことから、早急に検討し、内容を示していただきたいと考えているところでございます。

 次に、地域防災計画(原子力編)の修正についてでございます。

 地域防災計画(原子力編)は、国の防災基本計画に基づき作成することとされており、専門的、技術的事項については、国が定める原子力災害対策指針を遵守し、作成することとなります。

 国におきましては、去る九月六日に防災基本計画を修正し、九月十九日に原子力規制委員会の発足に合わせ、改正原子力災害対策特別措置法の施行と関係政省令の改正を行い、十月末に原子力災害対策指針を決定いたしました。また、これをもとに、県を初めとする関係地方公共団体に対して、来年三月までの地域防災計画(原子力編)の修正等を求めております。

 県としては、これら関係法令等の改正及び本年三月に青森県原子力防災対策検討委員会が取りまとめた提言を踏まえまして、関係市町村に随時情報提供し、情報共有を図りながら、防災会議等一連の手続を経て地域防災計画(原子力編)を修正することとしております。

 関係市町村においても、県の計画と整合をとりながら、所要の手続を経て、それぞれの地域防災計画(原子力編)の修正等を同じ時期までに行うこととなります。

 次に、原子力防災対策の実効性をどのように高めていくかについてでございます。

 原子力災害から県民の生命、身体及び財産を保護するためには、地域防災計画(原子力編)に基づき、国、県、市町村その他の防災関係機関が相互に連携し、防災対策に万全を期すことが重要と考えております。

 このため、平常時から、国の交付金などを活用した防災活動資機材や緊急時連絡網の整備などのハード対策とともに、原子力防災に関する知識の普及啓蒙のための研修や講習会の開催、避難計画や活動マニュアル等の作成、また、万一の場合を想定した緊急時通信連絡訓練、住民避難訓練などの各訓練やこれらを組み合わせた総合訓練などを定期的に実施することにより、各防災関係機関相互の連携を確認し、防災対応能力の向上を図っていくこととしております。

 県としては、国、市町村を初め、その他の防災関係機関と連携しながら、運用面を含め、実効性の向上が図られるよう、より一層の原子力防災対策の充実強化に取り組んでまいります。

 最後に、十一月三日に開催いたしました原子力防災訓練の目的と概要についてでございます。

 今回実施いたしました訓練は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえた初めての訓練としまして、自然災害に伴う原子力災害時における国、県、市町村及び防災関係機関の連携や役割などを確認し、防災業務従事者の緊急時対応能力の向上等を図ることを目的として実施いたしました。

 主な訓練内容は、原子力発電所に係る原子力防災対策の重点区域がおおむね三十キロメートルに拡大したことを踏まえ、東通村、むつ市、横浜町、六ヶ所村に加え、新たに対象となりました野辺地町を含む三十キロメートル圏内の全市町村が住民避難誘導訓練を実施するとともに、東通村から青森市までの広域避難訓練についても初めて実施いたしました。

 また、東通村住民の広域避難の受け入れ先として予定しております青森市の協力のもと、避難者に対するスクリーニング等の緊急被曝医療活動や避難所の運営訓練を実施いたしました。さらに、地震、津波に伴い原子力事故が起こるという複合災害を想定した原子力災害初動時の県災害対策本部の活動訓練を実施いたしました。

 県では、今後も、市町村を初め、防災関係機関等と調整を図りながら、原子力防災対策の充実に向け、原子力防災訓練を継続的に実施してまいりたいと考えております。

 

◯議長(西谷 洌) 健康福祉部長。

 

◯健康福祉部長(江浪武志) 二点についてお答え申し上げます。

 まず、重粒子線によるがん医療の特徴及び全国における重粒子線治療施設の整備状況についてでございます。

 エックス線などの電磁波による放射線治療に比べてがん細胞を壊す効果が高く、体内の深い部分にある病巣をピンポイントで破壊できる特性を有しています粒子線治療の中に、炭素の原子核を使う重粒子線治療と水素の原子核を使う陽子線治療がございます。

 この粒子線によるがん治療は、患者の肉体的負担が軽く、がん細胞を壊す効果が高いといった特性を有しておりまして、また、短期間で治療を終えることができ、治療後の生活の質を考えると大きな効果があると言われております。

 一方で、この粒子線によるがん治療は研究段階にあり、対象となるがん患者の範囲ががん死亡数の多い胃がんや大腸がんは適応外とされるなど、すべてのがん患者に適応できるわけではないとされております。

 重粒子線治療は粒子線による治療の一つでございますけれども、もう一つの方法であります陽子線治療に比べ細胞を死滅させる生物作用がすぐれているなどの特徴があるとされております。

 重粒子線がん治療施設は、現在、千葉市の放射線医学総合研究所重粒子医科学センター、兵庫県立粒子線医療センター、群馬大学重粒子線医学センターの三施設となっておりますけれども、来年七月には、新たに佐賀県の九州国際重粒子線がん治療センターが運用開始予定と聞いております。また、陽子線治療施設といたしましては、福島県の南東北がん陽子線治療センターなど、現在、全国で七施設が設置されております。

 次に、重粒子線治療施設の設置に関します県の考え方についてでございます。

 重粒子線がん治療施設の設置につきましては、重粒子線による治療の自己負担額が約三百万円と高額であること、来年度の運用開始を予定しております九州国際重粒子線がん治療センターでは、議員からも御紹介がございましたけれども、百五十億円程度の建設費と年間約三十億円の維持費が見込まれるなど多額の経費が必要なこと、さらには、専門の技術者や医師の確保が必要なことなど、多くの課題が指摘されていることから、これらの課題について十分に検討した上で、その必要性及び実現性について慎重に判断すべきであるというふうに考えております。

 県では、がん死亡率が高い本県の状況を踏まえまして、専門的ながん医療の提供及びがん診療の連携協力体制の整備に係る役割を担いますがん診療連携拠点病院を中心として、県内どこでも安心して質の高いがん医療を受けられる医療連携体制の構築を進めてきたところでございます。

 今後も、がん医療の質の確保及び充実と、拠点病院と地域の医療機関とのさらなる連携促進など、がん死亡率の改善に向けたがん医療対策について検討していきたいと考えております。

 

◯議長(西谷 洌) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(馬場良夫) 中小企業の振興対策三点についてお答え申し上げます。

 まず、本県における中小企業の役割の位置づけについてでございます。

 二〇一二年版中小企業白書によりますと、平成二十一年の本県の企業数は四万八千十七でございまして、そのうちの九九・九%に当たります四万七千九百五十四が中小企業であり、また、従業者数は三十二万三千三百二十三人のうち八八・五%に当たります二十八万六千百二十八人が中小企業の従業者となっているところでございます。

 このように、本県経済の大宗を占め、地域経済や雇用を支えている中小企業を守り育てることは大変重要であると考え、これまでも中小企業対策を産業振興の中心に据えて取り組んできたところでございます。

 その結果、腕時計の文字盤の分野で世界市場に製品を供給する企業や光学用特殊プリズムの製造で国内屈指の技術力を有する企業など、国内外の製造業のサプライチェーンの中で欠かせない企業に成長している企業、さらには、地域資源であるブナ材を活用した新たなブランドを確立して国内外に販売している企業もあるなど、中小企業が外貨獲得や雇用創出により地域経済の活性化に大きな役割を果たしているところでございます。

 県といたしましては、中小企業が県経済に果たす役割の重要性を踏まえ、引き続ききめ細やかな中小企業振興施策を積極的に展開していきます。

 次に、求人状況、倒産件数など、県内中小企業を取り巻く環境についてどのように認識しているかということでございます。

 青森労働局の発表によりますと、ことし一月以降の有効求人倍率は二十年ぶりに〇・五倍から〇・六倍台で推移しており、また、新規高卒者の就職内定率も前年同月を上回っている状況が続いているところでございます。

 また、民間信用調査会社によりますと、ことし一月から十月までの負債総額一千万円以上の民間企業の倒産件数及び負債金額は四十九件、約百四十二億円であり、前年同時期と比較すると、件数で一八・三%、負債金額で三七・九%の減少となっています。

 これは、雇用基金を活用した緊急的な雇用機会の創出や戦略的な企業誘致、国の認定件数が東北で最多となっております中小企業の地域資源を活用した経営革新などの地域産業の活性化に向けた取り組みなどに加えまして、厳しい経営を余儀なくされている中小企業に対する県特別保証融資制度による金融面での支援、さらには中小企業金融円滑化法の効果などが着実にあらわれてきたものと考えております。

 しかしながら、少子高齢化と人口減少に伴う市場の縮小、長期間にわたります円高デフレ、東日本大震災の影響などのほか、今年度末に中小企業円滑化法が終了することを控え、本県中小企業の先行きに不透明感が増していると認識しているところでございます。

 最後に、中小企業金融円滑化法の概要と県内中小企業の経営安定に果たした役割についての認識でございます。

 中小企業金融円滑化法は、金融機関に対して、中小企業から債務の弁済に係る負担軽減の申し込みがあった場合は、貸し付け条件の変更などを行う努力義務等を定めた法律でございまして、平成二十一年十二月に施行されております。

 同法は、当初、平成二十三年三月末までの時限的措置とされておりましたが、中小企業の厳しい資金繰りの状況から一年間延長され、さらに、今年度末まで最終延長という形で再延長されているところでございます。

 同法が施行されました平成二十一年十二月から平成二十四年九月末までの県内に本店を有する銀行、信用金庫、信用組合におきます中小企業からの条件変更等の申し込みに対する実行率は約九〇・八%となっております。

 中小企業金融円滑化法は、その施行以降、県内企業の倒産状況や青森県信用保証協会の代位弁済が低水準で推移しておりますことから、中小企業の資金繰りの円滑化に一定の効果があるものと認識しております。

 

◯議長(西谷 洌) 農林水産部長。

 

◯農林水産部長(渋谷義仁) 陸奥湾におけるホタテガイ産業の振興に関する御質問二点についてお答えいたします。

 最初に、本年の高水温に対するホタテガイ養殖管理の指導状況についてであります。

 県及び地方独立行政法人青森県産業技術センター水産総合研究所では、平成二十二年の異常高水温によるホタテガイへい死原因を詳細に検討した上で、本年の高水温時の養殖管理として、養殖施設を水温の低い下層に沈め、安定させること、かごへの入れかえやへい死確認のための作業を行わないこと、水温が二十六度を超えるときは稚貝採取を行わないことなどの指導方針を定めました。

 これらの内容については、ホタテガイ養殖管理情報の発行、地区座談会や各種会議での情報提供、水産業普及指導員による現地指導の強化などにより、徹底してその周知に努めたところであります。

 次に、今後の高水温に備えた抜本的な対策についてであります。

 本年の陸奥湾では、ホタテガイ養殖施設のある水深で二十六度を超える水温が観測されるなど、平成二十二年に続き高水温となったことから、今後も異常気象による高水温の発生に備えた対策を早急に講ずる必要があると認識しております。

 このため、県では、陸奥湾の海域特性とホタテガイの生物学的特性を踏まえた抜本的な対策として、高水温予測技術と高水温に強いホタテガイ養殖技術の速やかな開発に取り組んでおります。

 具体的には、地方独立行政法人青森県産業技術センター水産総合研究所において、平成二十二年の異常高水温の原因解明や陸奥湾の継続した海洋観測による水温、流速等のデータ解析などにより水温予測モデルの開発を進めるとともに、室内飼育試験によるホタテガイの高水温耐性の解明や、へい死率を低減する養殖施設の開発等の新技術の確立に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 

◯議長(西谷 洌) 教育長。

 

◯教育長(橋本 都) 東日本大震災による被災自治体からの派遣要請を受ける仕組みと派遣状況についてお答えいたします。

 県教育委員会では、文化庁からの要請を受けて埋蔵文化財発掘調査のための専門職員を派遣しております。その仕組みは、文化庁が岩手県、宮城県及び福島県教育委員会において必要としている派遣職員の人数を取りまとめ、各都道府県教育委員会に対し派遣の要請を行います。要請を受けた各都道府県教育委員会は、派遣可能職員数を文化庁に回答し、文化庁が調整する仕組みとなっています。本年十一月一日現在、岩手県及び福島県教育委員会にそれぞれ一名ずつ埋蔵文化財専門職員を派遣しております。

 また、平成十五年度から、北海道・北東北三県間において、教員の資質向上を図り、本県教育の振興に資するため、教員の人事交流を実施しているところですが、東日本大震災のため、岩手県教育委員会からの派遣依頼を受け、当該人事交流の一環として、さらに養護教諭四名を派遣し、支援に努めております。

 

◯議長(西谷 洌) 警察本部長。

 

◯警察本部長(山本有一) 被災自治体への職員派遣についてお答えいたします。

 初めに、派遣要請を受ける仕組みについてでありますが、警察におきましては、警察法第六十条第一項に、都道府県公安委員会は、警察庁または他の都道府県警察に対して援助を要求することができると規定されておりまして、これを根拠に援助を求める都道府県の公安委員会から本県公安委員会に対し要求があり、職員を派遣しております。

 次に、職員の派遣状況についてでありますが、東日本大震災の発生に伴い、三月十七日に広域緊急援助隊の交通部隊十八人を岩手県に派遣したのを皮切りに、これまでに、救出・救助活動などを行う警備部隊、交通規制などを行う交通部隊、御遺体の検視などを行う刑事部隊、犯罪の防止のための警戒や警らを行う地域部隊など、九部隊で百十九回、九百九十九日間、実人員で九百三十三人を岩手・宮城・福島県に派遣しております。最近では、本年十一月五日から二十一日までの間、警備部隊三十人を福島県に派遣しております。

 被災地におきましては、現在もなお全国警察が一丸となって各種警察活動に取り組んでおり、青森県警察といたしましても、引き続き、被災各県からの部隊派遣要請にできる限り応えてまいりたいと考えております。

 

◯十四番(高橋修一) 多岐にわたる質問に対しまして、知事、それから副知事、教育長、警察本部長、それから、多くの部長さん方からそれぞれ答弁をいただきました。

 いずれも大変誠実で、大変前向きな御答弁ばかりでありますが、一つだけ後ろ向きな答弁がありました。それはがん対策の推進についてであります。

 がん死亡率が高い本県こそ重粒子線治療施設の設置を検討すべきと考えるが、県の考えを伺いたい。検討すべきと伺って慎重に検討するという答弁なんですけれども、自己負担三百万円が高額、百五十億円という初期投資、それからランニングコストが三十億円、多額の経費がかかる。それから、三点目として、医師等の従事者の確保の問題、そういった課題があるということにより慎重に検討したいということでありました。

 であるならば、現在策定を進めておられるがん対策の基本計画に検討事項として位置づけることは可能なのか否か、この点について再度の御答弁を求めます。

 引き続きまして、これは要望でありますが、県内の中小企業の振興対策についてであります。

 答弁にありましたように、来年三月に期限切れとなる中小企業円滑化法でありますが、中小企業の資金繰りの円滑化に効果があったものと捉えております。

 知事から、県内中小企業の現場に支障がないように対応していくという御答弁を頂戴いたしましたので、ぜひともしっかりとした対応を引き続き要望させていただきます。

 その他の各項目につきましても大変重要な政策課題と捉えておりますので、本日の御答弁のように、今後とも、前向きで、かつ誠実な取り組みを心から期待し、お願いし、私からの再質問、要望とさせていただきます。

 

◯議長(西谷 洌) 健康福祉部長。

 

◯健康福祉部長(江浪武志) まず、重粒子線施設のことに関しまして、青森県のがん基本計画のほうで位置づけることが可能かどうかということに関しましてでございますけれども、がんの基本計画に関しましては、がんの医療従事者、学識経験者、がん経験者などで組織いたします青森県がん医療検討委員会のほうで御議論いただいているところでございます。そういった中で、重粒子線施設をこの計画上位置づけるべきだという御意見に関しましては、これまでのところいただいておりません。

 そういったこともございますので、がん重粒子線に関します施設の整備に関しましては、国のほうのがん対策推進基本計画におきましても、重粒子線や陽子線治療機器などの研究開発に関しては推進するとともにということでございますが、その進捗状況を加味し、医療従事者が協力して、国内での計画的かつ適正な配置を検討するというふうに国のほうでも言っておりますので、国の検討状況というものも踏まえながら検討していきたいというふうに考えております。