2009年11月30日:平成21年第260回定例会(第3号)   本文

◯副議長(清水悦郎) 休憩前に引き続いて会議を開きます。

 一般質問を続行いたします。

 一般質問を通告しておりました古村一雄議員より、都合により一般質問を取りやめたいとの申し出があり、これを認めることにいたしました。

 二番高橋修一議員の登壇を許可いたします。―高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 自由民主党の高橋修一であります。

 本年六月定例会以来、半年ぶりの質問であります。この間政権交代が行われ、私ども自由民主党は野党に転じたわけでありますが、愛する自由民主党の一員として再び登壇できますことを誇りに感じながら質問をさせていただきます。

 初めに、東北新幹線全線開業に向けた二次交通の整備についてお伺いいたします。

 去る十一月三日、新青森駅構内でのレール締結式によって、青森と東京が一つのレールで結ばれることとなりました。我々日本人は、過去百年余を振り返るときに、二つの交通改革を体験しております。

 それは、第一に、明治二十二年七月、東京―神戸間に東海道線が開通し、かごで三百六十時間、日数で十五日間かかったものが、東京―大阪間が二十時間、一日で移動できることとなり、当時としては、日本列島の交通の大革命だったわけであります。

 そして、第二の革命は、東海道新幹線が昭和三十九年十月開通し、その後、ゼロ系ひかり号が本格的に運行することにより、東京―大阪間は約三時間となり、今日では完全に日帰り可能となったことであります。

 その昭和三十九年、東海道新幹線開通からおくれること半世紀、先日のレール締結式によって、東京―青森間二百里、八百キロ、かつて明治の早かごで四百八十時間の旅だった東京―青森間が、完全なる一日行動圏の時代として、ようやく現実のものとなりました。

 東北新幹線の建設は、東北本線を青森まで敷いた明治政府の英断はもとより、整備新幹線の基本計画決定以来、二度にわたるオイルショックや国鉄改革などを経ながらも、新幹線ルート、駅舎位置、車両規格、着工優先順位、並行在来線、開業対策など、近年の青森県政の歴史そのものと言えます。その時代時代の諸問題を克服すべく、英知を結集し、全線開業というその一点のために私どもの先輩はまさに血のにじむような御努力をされてきたわけでございまして、開業を迎える時代に生きる私どもは、ただただ深い感謝の思いをいたすところであります。

 このたびの東北新幹線のレール締結について、「県民だより」十二月号に「申吾のほっとコラム」という記事が掲載されておりました。三村知事は、このコラムの中で、胸の高まりを抑え切れないまま新幹線レールのボルトを締めたと記し、このことで、私たち青森に鉄の道、陸の道、空の道の高速交通体系と海の道が集まったとし、交通の結節点としての価値の高まりをディープインパクトという言葉で表現されておりました。全くもって同感でございまして、新幹線開業というディープインパクトをいかに生かすか、いよいよ一年後に迫った新幹線開業に向けてその真価が問われることとなりました。

 その中にあっても、全線開業に向けた二次交通の整備、開業効果を全県下で享受するためにも、万全の対策が求められるところでございます。

 そこで、二点お伺いいたします。

 現在、新幹線二次交通等整備協議会を設置し、二次交通の整備について協議をしておりますが、二次交通の路線及びダイヤの決定等のスケジュールについて、現在の取り組み状況と今後の見通しを含めてお伺いするものでございます。

 また、新幹線開業に向けた二次交通の整備につきましては、結局のところ、新幹線駅から県内各地へのアクセス方法について、県内外に今後いかに発信していくかが問われるところであり、パンフレットやインターネットなど、あらゆる手段によって積極的かつ効果的PRに努める必要があると考えます。

 そこで、新幹線と接続する二次交通をどのように県内外にPRしていくのかをお伺いするものでございます。

 次に、中小企業の振興についてお伺いいたします。

 この夏の政権交代後、憂慮すべき事項の一つとして、新政権における景気・雇用対策の立ちおくれと経済成長戦略の欠如が挙げられております。

 世界同時不況のあおりを受けた我が国の深刻な経済危機に対し、自公連立政権では矢継ぎ早に経済対策をとってまいりました。特に、今年度補正予算では十五兆円もの対策を講じました。しかし、新政権は発足直後、真っ先にその補正予算を取り崩すことに力を傾注したことは、景気の二番底をつくり出そうとする行為と言えます。無駄排除などと大義名分を立てながらも、無駄かそうでないかの判断基準を明確に示されないままに、補正予算のうち二兆九千億円余りの執行を停止されました。景気の先行きが不透明なこの時期にこのようなことが行われたことが、いまだに信じがたい限りであります。

 本題に入ります。

 初めに、青森県中小企業振興基本条例制定後の取り組みについてお伺いいたします。

 ちょうど二年前の平成十九年十二月、本条例は議員提案によって、県議会において全会一致で可決されました。本条例が提案された理由は明白でございました。青森県内の中小企業が危機的状況にあるからでありました。特に、県条例を議員提案で制定したということは、県執行部と私ども県議会が中小企業の振興を県政の重要課題として明確に位置づけ、青森県を挙げて県内中小企業を支援するという大変大きな意義がございました。

 そこで、二点お伺いいたしますが、まず一点目として、青森県中小企業振興基本条例制定後の県の主な取り組みについてお伺いし、二点目として、中小企業振興庁内連絡会議の開催内容についてお伺いするものでございます。

 次に、中小企業の金融円滑化対策についてお伺いするものでございますが、私の周りの中小企業経営者の方々から最近よく言われることは、新政権における景気・経済対策がいまだ不透明な中にあって、年末や年度末の運転資金がかさむ時期をこれから控えて、果たして自分の企業が持ちこたえることができるのかという切実な不安であります。中小企業の金融対策は、県内中小企業の現状を踏まえれば、今年度予算の柔軟な運用等により、国に先行する形で県独自の対策を講じる必要があります。県内中小企業は、待ったなしという危機的状況にあります。このことから、年末、年度末の資金需要期を控えて、県内中小企業の資金繰りの円滑化にどのように取り組んでいかれるのかをお伺いするところであります。

 次に、わら焼き防止対策についてお伺いいたします。

 本年六月、私ども自民党会派では、わら焼き防止、また、稲わらの有効活用を図っていくためのプロジェクトチームを立ち上げたところでございます。これまで私どもは、稲わらの焼却や利活用の現状、また、わら焼き防止のための県内のさまざまな取り組みなどを検証しつつ、五所川原市内での現地調査を実施するなど、県条例制定の可能性を含めて、議会としてこの問題に主体的に立ち向かうべく活動を行っているところであります。

 そのわら焼きも、ことしの秋はかなり減少したと言われております。このことは、稲刈り後の天候が影響したとも推測されますが、県及び市町村におけるわら焼き防止PRや、稲わらの再利用の普及など、これまでの諸対策の成果があらわれ始めていると考えるところです。

 しかしながら、相変わらずわら焼きはゼロには至っておりません。道路は視界不良のため渋滞を招き、煙でせき込むなど、住民生活への影響もいまだにあります。新幹線開業を一年後に控える中にあって、観光面においても、もはやわら焼きは根絶すべきであり、そのためにも、さらに徹底したわら焼き防止、稲わら利活用策の確立と農家の方々の意識改革は急務と考えるところであります。

 そこで、以下三点お伺いいたします。

 一点目として、本県における最近のわら焼きと苦情の状況について。

 二点目として、県が本年度に取り組んだわら焼き防止対策の内容と成果について。

 三点目として、今後わら焼きをなくするために、稲わらの有効活用をどのように進めていくのか、それぞれお伺いするものでございます。

 次に、有料道路の経営改革についてお伺いいたします。

 私は、先月、環境厚生常任委員会の県外調査で兵庫県へ行ってまいりました。兵庫県は、面積約八千三百九十五平方キロメートルを有しておりますが、その道路事情は、高速中国道、山陽道、第二名神、兵庫県及び神戸市道路公社管理の自動車専用道路、また、一般国道を含め網の目のように張りめぐらされており、本県に比べ格段に恵まれているものと感じました。調査中御案内いただいたバスガイドさんが、車内でマイクを通し、どの自動車道路を走ればいいか地元の人でも悩むとの言葉を発せられました。何げない一言ではありましたが、我々委員会メンバーも同行された県執行部の職員の方々も、皆が青森県の道路事情と比べてしまい、バスの車内の空気は一瞬重いものとなりました。

 しかし、本県の道路事情を憂いながらも、大変快適な三日間のバス移動でありました。仮に同じ距離の移動を青森県内で行おうとすれば、本県の道路事情の悪さゆえに、三泊も四泊もしながら移動しなければ到底調査を完了できないものと思われ、環境厚生常任委員会の調査ではありましたが、本県の交通インフラ整備のおくれを痛感させられる県外調査でありました。

 また、バスでの移動中、車内から注意深く見ておりましたが、兵庫県と神戸市の道路公社管理の有料道路は既にETCが導入されており、また、休日、夜間、通勤時間の料金割引による社会実験なども行われ、利用者の利便性確保と有料道路の経営改革に努力しているものと感じ取った次第でございます。

 さて、本県の有料道路の経営改革につきましては、これまで青森空港道路の早期無料化に始まり、幾度か本会議で取り上げさせていただきましたが、当面は今年度設置されました青森県有料道路経営改革推進会議の議論の行方に注視していかなければならないものと思います。

 先般、中間報告もなされたところでありますので、以下お伺いいたします。

 一点目として、青森県有料道路経営改革推進会議の設置の意義について。

 二点目として、同会議から示された中間報告について、三路線それぞれの概要をお伺いいたします。

 また、同会議は道路政策やインフラマネジメントに精通した専門家で構成されておりますが、有料道路の利用者はやはり地元県民でありまして、同会議には県議会建設委員会副委員長の小桧山議員を初め、地元識者も参画されているとのことであり、地元の意見も十分考慮していかなければならないと考えるところであります。

 そこで、三点目として、このたびの中間報告について、地元識者から三路線それぞれにどのような意見があったのかをお伺いいたします。

 あわせまして、四点目として、青森県有料道路経営改革推進会議の今後の見通しについてお伺いするものでございます。

 次に、国道七号浪岡バイパス鶴ヶ坂工区の休止についてお伺いいたします。

 今月二十四日、青森市内において高規格道路建設及び道路整備促進青森県総決起大会が開催され、出席してまいりました。毎年実施されている大会ではありますが、ことしの大会は、言い知れぬ脱力感と申しますか、何ともすっきりしない大会であったように感じたのは私だけだったでしょうか。

 なぜなら、まず、例年大会に出席されていた国の道路行政を所管する国土交通省からの出席者が一人もいなかったということです。このことは、新政権が掲げるいわゆる脱官僚依存、政治主導の影響かと推測した次第でありますが、私はこれらの理念や政治決定のあり方について、そのすべてを否定するものでは決してございません。ただ、ここで指摘させていただきたいのは、本大会は、毎年、国会議員はもちろん、県知事初め県内市町村長、そして、私ども県議会議員、市町村議会議員、加えて、県内の多くの道路関係者が一堂に会する本県の道路行政において極めて重要な大会であるはずです。しかし、私ども県議会議員の大会参加の状況を見ますと、合計十四名参加いたしましたが、新政権下において与党である会派からの出席者がわずかにお一人、出席されたのは三上隆雄先生でございまして、三上先生には心から敬意を表したいわけでありますが、しかし、国交省職員もいない、国政与党議員も県議会からわずかにお一人、果たしてこの大会にどれほどの意味を持つのかとの思いに至ったわけであります。

 大会終了時に逢坂平内町長が大会決議案を読み上げ、決議案は採択となりましたが、この決議が果たしてきちんと国へ届けられるのかという不安がよぎるところでもあります。ことしの大会は、青森大学の末永学長の基調講演や、津軽地域のショッピングセンターの方とホテル経営者の方からの意見発表もございました。新政権が発足し初めての総決起大会でありましたが、政策決定の仕組みを新政権が政治主導に変えていくというのであれば、これまで以上に私ども政治に携わる者が、与野党を問わずこういった大会に積極的に参加し、同じ時間を共有することで地域や関係者の声を肌で感じ取り、それこそ政治主導で政策決定に生かしていかなければならないと考えるところであります。

 しかし、この日は、新政権が掲げております「コンクリートから人へ」の一端を思い知る一日となりました。そもそも、この「コンクリートから人へ」というキャッチコピーでありますが、コンクリートには何ら罪はないわけでありまして、基調講演をされた青森大学の末永学長からも、「コンクリートは地域の命と暮らしを守るもの」との言葉もございました。要するに、政権がかわっても道路の必要性は何ら変わらないと考えるところであります。

 さて、本日質問させていただくのは、国道七号浪岡バイパスについてでございます。同バイパスの女鹿沢工区につきましては、先ほど述べました総決起大会翌日の今月二十五日、青森市浪岡で開通セレモニーが行われましたが、女鹿沢工区の供用開始によって、残る工区は青森市街につながる鶴ヶ坂工区のみとなりました。しかし、鶴ヶ坂工区休止の知らせが既に入っていたせいか、大変めでたい席でありながらも、この日も何ともやりきれない一日となりました。

 鶴ヶ坂工区は、冬期間事故が多発し、また、慢性的な渋滞箇所ともなっておりまして、事業実施の必要性は依然高いものと考えます。

 そこで質問いたしますが、平成二十二年度概算要求において、国道七号浪岡バイパス鶴ヶ坂工区が休止されたことに対する県の考えをお伺いするものでございます。

 最後に、全国学力・学習状況調査についてお伺いいたします。

 これまで述べてきたとおり、政権交代の余波はさまざまな形であらわれ始めておりますが、私は、国の根幹をなす教育行政への影響に最大の関心を寄せております。

 振り返りますと、安倍内閣のもと教育基本法が改正され、教育の目標として、豊かな情操と道徳心、公共の精神、伝統と文化の尊重、我が国と郷土を愛する態度など、今求められる教育の理念が明示されました。実に昭和二十二年制定以来、戦後六十年を経て初めての改正でございました。この改正は、将来に向かって新しい時代の教育の基本理念を明示する歴史的意義を有するものであり、我が国の教育は新たな一歩を踏み出したと言えます。

 教育基本法の改正のみならず、教育再生三法の成立、学習指導要領の改訂、教員免許更新制度実施や道徳教育の充実が行われているところであります。これまで、県議会においても、私は、我が国と郷土を愛する態度の育成、規範意識醸成のための道徳教育の充実、また、教員免許更新制度の着実な実行について、それぞれ取り上げてまいりました。しかし、政権交代後、民主党幹部の方が九月十二日の記者会見で、ことし四月に実施されたばかりの教員免許更新制度を廃止させるため、来年の通常国会に改正法案を提出する考えを示しました。また、川端文部科学大臣は、十月九日の記者会見で、全国学力・学習状況調査について、来年度から抽出方式に転換する方針を明らかにいたしました。さらに、道徳教育補助教材「心のノート」は廃止になる方向とも報じられております。

 安倍内閣においてスタートした教育再生の諸施策が、政権交代で次々と方向転換されようとしていることは、ゆゆしき事態であります。今月二十五日の政府の行政刷新会議の事業仕分けにより、学校教育の重要政策をめぐる予算も審議対象となりました。文部科学省では、当初の概算要求の段階では、全国学力・学習状況調査の実施費用五十七億円を盛り込んでおりました。これは小学校六年生と中学校三年生の全員参加による悉皆方式によるものでありましたが、政権交代後、新政権の方針どおり四割程度の学校を選ぶという抽出方式に変更し、事業費を三十六億円に圧縮して要求し直したものの、先日の事業仕分けでさらなる大幅削減を求める決定が下されることになりました。

 これでは四割抽出もままならず、全国学力・学習状況調査は事実上中止を宣告されたに等しい事態であります。これまで四十三年間実施できなかった同調査は、平成十九年度から三年間連続で実施されることにより、これに呼応する形で全国の自治体や学校現場では学力向上のための取り組みが着実に強化されてきました。

 代表的な例として、平成十九年、二十年度の成績が続けて全国最下位近くに低迷した大阪府です。橋下大阪府知事は、昨年十月、反復学習の徹底などを盛り込んだ学力向上プラン「『大阪の教育力』向上に向けた緊急対策」を発表し、多くの公立小・中学校がこの計画に基づいて学力向上の取り組みを進めた結果、平成二十一年度のテストでは、小学校の成績が前年度全国で四十一番目から三十三番目にアップするなどの成果もあらわれております。

 一方、高知県の尾崎知事は、これまで一貫して全員参加の悉皆方式継続を主張してきており、仮に抽出方式となったとしても、公立小・中学校は希望利用方式を使って全員参加する方針を示されているところであります。ただ、この希望利用方式の併用も、先日の事業仕分けにより、その実施さえ不透明なものとなってしまいました。

 また、身近な例でありますが、私の子供が通う青森市内の中学校では、全国学力テストの正答率を保護者に公開するとともに、ステップアップタイムという学力向上のための独自の取り組みに着手しているところであります。この取り組みは、毎日二十分、一週間サイクルで国、数、社、理、英の順に反復学習を継続し、週末にまとめのテストを行い、八十点に満たない生徒には再テストをするというものでありまして、基礎的、基本的な学習内容の定着を図り、努力すれば実るということを子供たちに教え込み、学習に対する意欲や態度を養うことに大きな成果を上げております。

 来年は、三年前に小学校六年生だった児童が中学校三年生となり、全国学力・学習状況調査に参加することとなります。三年間の学習の成果を定点観測により検証できる初めての機会であるにもかかわらず、あえて抽出方式に切りかえる合理的理由が見当たりません。私は、全国学力・学習状況調査については、全員参加の悉皆方式であるからこそ、子供一人一人、個々の学校別、市町村別、都道府県別の経年変化や課題が把握でき、高度な分析、検証にかかわる調査研究も可能となることから、引き続き悉皆方式で継続するべきと考えるところであります。

 その上で教育長にお伺いいたしますが、全国学力・学習状況調査について、一点目として、全国学力・学習状況調査が実施された背景と目的について、改めてお伺いいたします。

 二点目として、県教育委員会では、これまでの調査結果をどのように教育施策や指導改善等に生かしてきたのかをお伺いいたします。

 三点目として、調査方法が悉皆方式から抽出方式に変わるという動きがあるが、このことについて県教育委員会の考えをお伺いいたします。

 以上で壇上からの質問を終えさせていただきます。

 

◯副議長(清水悦郎) 知事。

 

◯知事(三村申吾) 高橋議員にお答えします。

 まず、青森県中小企業振興基本条例制定後の主な取り組みであります。

 私は、青森の元気は経済の元気からとの考えのもと、これまで本県経済の中核を担ってきた県内中小企業をしっかりと守り育てることが大事であると思っております。このことから、私みずからも機会あるごとに県内中小企業を直接訪問し、現場の声をじかにお聞きする姿勢を貫いてきておるわけであります。青森県中小企業振興基本条例が、県民を代表する県議会において全会一致で可決制定されたことも、このような県内中小企業の重要性を踏まえたものと認識するところであります。

 本条例の制定後におきましては、平成二十年二月に中小企業振興庁内連絡会議を設置し、庁内関係部局が一丸となって中小企業振興に取り組む体制を構築したほか、中小企業振興に係る年次報告を県議会に提出させていただき、活発な御議論、御提言をいただく中で、県内中小企業に真に必要とされる施策の推進に努めているところであります。

 また、県では、これまでも、経営安定支援や創業・起業支援、ものづくり産業を初めとする地域産業の活性化など、中小企業の振興を図るさまざまな施策に取り組んできたところですが、ことしは、本条例の趣旨をも踏まえまして、厳しい経営環境に置かれた県内中小企業の一層の金融円滑化を図るため、二月、六月と二度にわたります補正予算で約三千億円の信用保証枠を創出し、さらに年末等の資金需要に対処するため百億円の借りかえ枠を設けるなど、これまでにも増した機動的な対応を迅速に実施いたしますとともに、あおもり農商工連携支援基金を創設するなど、県内中小企業の新たな挑戦への支援にも取り組んでおります。

 県としては、本県経済の大宗を占めます県内中小企業をしっかりと支え、その元気を経済の元気、青森県の元気につなげるべく、引き続き関係機関と連携を密にしながら県内中小企業振興に努めていきます。

 青森県有料道路経営改革推進会議設置の意義であります。

 本県は、全国で唯一、同一県内で人口二十万人以上の都市であります青森市と八戸市が高規格道路で結ばれていないなど、そのネットワーク整備に引き続き鋭意取り組んでいく必要がございます。

 そのような中、本県の有料道路は、平成二十年度の決算時点で合計約百五十六億円もの債務を抱えております。中でも、みちのく有料道路は来年十一月に料金徴収期間の満了が迫っております。

 また、県では、有料道路を運営する青森県道路公社の市中銀行借り入れに損失補償をしておりますことから、有料道路の債務は、今後の道路ネットワーク整備はもとより、県の財政運営に大きな影響を及ぼすことが懸念されるわけであります。

 このため、県は道路政策やインフラマネジメントに精通した専門家から成ります青森県有料道路経営改革推進会議を設置し、より専門的かつ多方面からの議論をしていただき、本県の有料道路の経営改革について御提言をいただくことといたしました。本会議からは、この十一月十日に中間報告をいただいたところであります。今後、十二月の第七回会議を経て最終提言をいただくこととなっております。

 県では、この提言を受け、さらなる経営改革を進めて債務の解消を図り、本県道路ネットワークの整備促進に引き続き努めていきたいと考えるところであります。

 国道七号浪岡バイパス鶴ヶ坂工区休止についてであります。

 国道七号は、新潟市を起点として、青森市で国道四号に接続する日本海側の主要な直轄道路であり、本県においても青森市と弘前市を結ぶ大動脈となる路線でございます。

 浪岡バイパスは、青森市浪岡地区の人家連檐部を迂回することにより、交通安全確保と円滑化を図るため、昭和四十九年度に事業着手したものであり、平成十六年度までに青森市浪岡大字女鹿沢から同市浪岡大字大釈迦に至る八・四キロメートルが供用されております。さらに、今月二十五日には常盤バイパスに接続する女鹿沢工区約二キロメートルが供用されたところであります。

 残区間となります鶴ヶ坂工区の改築は、課題となっております渋滞緩和や、この地区は冬が大変でございますので、冬期間の安全確保のため、大変必要性の高いものと考えております。

 このため、私としても、東北地方整備局からの概算要求の説明の場において事業継続の必要性を訴えたところであり、今後も引き続き機会をとらえて地域の声を国に届けていきたいと考えるところであります。

 以上です。

 

◯副議長(清水悦郎) 青山副知事。

 

◯副知事(青山祐治) 東北新幹線全線開業に向けた二次交通の整備について二点お答え申し上げます。

 まず、二次交通の路線及びダイヤの決定等のスケジュールについてでありますが、東北新幹線全線開業に向けた二次交通の整備については、去る九月七日に、具体的路線等の整備及び交通結節点における交通事業者間の接続等の協議調整を行うため、交通事業者、市町村等をメンバーとする新幹線二次交通等整備協議会を設置し、第一回会議を開催したところです。

 当協議会では、新幹線駅と交通結節点となる地域の基幹的交通、交通結節点と県内各地を結ぶ支線的交通の各路線について、鉄道、バス、タクシーなど、需要に応じた交通機関による効率的で利便性の高い交通の整備に向けて協議を行うこととしています。現在、各交通事業者との個別協議を進めているところであり、今年度中には路線の決定等二次交通整備の詳細を決定することとしています。

 開業の年となる平成二十二年度には、各交通事業者において路線等の整備に係る手続を進め、新幹線ダイヤの公表後は速やかに二次交通ダイヤを決定するなど、新幹線駅と県内各地を結ぶ二次交通ネットワークの確実な構築を促進してまいります。

 次に、新幹線と接続する二次交通をどのように県内外へPRしていくのかについてであります。

 東北新幹線全線開業の効果を全県的に波及させ、交流人口の拡大に結びつけるためには、二次交通等の整備のみならず、新幹線駅から県内各地へのアクセス方法を県内外に向けてPRしていくことが重要であると認識しています。

 このため、二次交通の路線、ダイヤの決定後、速やかにパンフレットを作成し、県内外に配布するとともに、県及び交通事業者のホームページ等を通じた情報発信により、二次交通ネットワークのPRに努め、来年十二月の開業に万全の体制で臨みたいと考えています。

 

◯副議長(清水悦郎) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(櫻庭洋一) 中小企業振興についての二点、御質問にお答えいたします。

 まず、中小企業振興庁内連絡会議の開催についてでございます。

 中小企業振興庁内連絡会議は、本条例の制定を機に、商工労働部のみならず、関係部局が一丸となって中小企業振興に取り組む体制を構築するため、平成二十年二月に設置した組織であり、商工政策課に事務局を置き、庁内関係部局はもとより、最前線で中小企業支援に取り組む各地域県民局地域支援室も構成員とし、さらに、中小企業支援に係るワンストップサービスを提供する財団法人21あおもり産業総合支援センターをオブザーバーに加え、会議を開催しております。

 この連絡会議では、中小企業振興に係る主要事業等を事務局、関係部局から情報提供し、意見交換することで、関係部局の情報の共有、施策の連携強化を図っているほか、青森県中小企業振興基本条例に基づき、前年度に実施した中小企業振興に係る主要事業を年次報告として取りまとめる連絡調整の場としての役割を果たしております。

 県としては、本県経済に占める中小企業の重要性と厳しい経営状況を踏まえ、今後とも関係機関と連携を密にしながら、この連絡会議を通じ、庁内関係部局等が一体となって県内中小企業の振興に努めてまいります。

 次に、金融の円滑化対策、年末、年度末の資金需要期を控えての県内中小企業の資金繰りの円滑化についてです。

 県内中小企業の金融の円滑化については、これまで青森県信用保証協会に対する補助による保証枠の創出や、県の特別保証融資制度の要件緩和など、いわゆる新規融資に重点を置いた支援を行ってまいりました。

 最近行った商工団体等の関係機関との金融情勢に関する情報交換においては、国の緊急保証制度が創設されて一年が経過し、また、景気の先行きが不透明な現状においては、新規融資には一服感がある、新規融資は本数がふえると月々の返済額の増加につながるといった意見が出されたところです。

 そこで、これらの現場の意見などを踏まえまして、年末や年度末の運転資金の需要期に向けて、融資残高をふやさずに一回当たりの返済額を軽減するための措置を講ずることが必要と判断し、今月十八日付で経営安定化サポート資金に県の経営安定化関連資金の既存債務を対象とする百億円の借りかえ枠を創設いたしました。

 また、年末の資金需要期にあわせて、政府系金融機関、信用保証協会、各商工会議所等と連携して、県内七カ所で移動経営金融相談を実施し、県内中小企業からの金融に係るさまざまな相談に対応したところでございます。

 県としては、今後とも金融機関と連携を密にしながら、県内中小企業の現状を踏まえた一層の金融支援に努めてまいります。

 

◯副議長(清水悦郎) 農林水産部長。

 

◯農林水産部長(有馬喜代史) わら焼き防止対策に関する御質問三点にお答えいたします。

 最初に、最近のわら焼きと苦情の状況についてです。

 本県のわら焼き面積は、最近十年間は水稲作付面積の三%前後で推移し、昨年は一千四百十六ヘクタールで、その七割は西北地域が占めていました。本年は、十一月十五日現在で四百七十四ヘクタール、水稲作付面積の約一%となっています。

 また、県や市町村に対して住民から寄せられた苦情は、昨年は百四十件でしたが、本年は現在のところ四十九件で、昨年の約三分の一となっています。

 次に、本年度のわら焼き防止対策の内容と成果についてです。

 県では、わら焼きを防止するため、津軽地域の六つの市で国の緊急雇用対策を活用してわら焼きシャットアウト大作戦を実施し、わら焼きが集中する地域での戸別訪問や収集作業などを重点的に行ったほか、稲わらの広域流通を進める稲わら流通促進商談会の開催や、地域住民に稲わらを提供する稲わらふりーでんの設置、市町村と連携した巡回指導などによる啓発活動などを推進したところです。

 特に、シャットアウト大作戦では、緊急雇用創出事業で雇用された約百名の方々で、農家個々の意向を確認しながら、稲わらのすき込みや収集作業を集中的に行ったところであり、これらの活動地域では、わら焼き面積が昨年の五百五十ヘクタールから約百五十ヘクタールへと、約四分の一に減少する成果が見られました。

 また、昨年に引き続いて行った稲わら流通促進商談会では、これまでに約百二十トン、約二十ヘクタール分の取引が成立しており、定着した取り組みとして来年も実施することとしています。

 最後に、稲わらの有効活用にどのように取り組むかについてです。

 これまでの取り組みにより、農家を戸別に訪ねて稲わらの収集やすき込みへと誘導することが有効であることが明らかになりました。このため、今後は、わら焼きシャットアウト大作戦の中で、これまで稲わらを焼却してきた農家を直接訪問して、稲わらの収集やすき込みを行う作業組織を紹介するなど、具体的な手段を示しながら、さらに働きかけを進めていくこととしています。

 また、受け皿となる作業組織を育成強化するため、収集やすき込みに必要な機械の支援を行うほか、収集した稲わらについては商談会などを活用して畜産農家等へ提供し、有効活用を進めてまいります。

 

◯副議長(清水悦郎) 県土整備部長。

 

◯県土整備部長(山下 勝) 有料道路の経営改革につきまして三点お答えいたします。

 まず、青森県有料道路経営改革推進会議から示された中間報告の三路線の概要でございます。

 みちのく有料道路につきましては、料金徴収期間延長により県財政の健全化を図り、道路サービスを維持向上すること、冬期間の安全性向上などの利便性向上を図ること、道路ネットワークの整備を推進すること、あるいは民間資金の調達による道路サービスを提供するという案が示されております。

 また、青森空港有料道路及び第二みちのく有料道路につきましては、収支改善と堅実な将来見通しによる現在債務の着実な圧縮を図るという案が示されております。

 また、三路線共通のものといたしましては、維持管理業務の包括的民間委託などによる経営効率化あるいは道路公社の組織体制の見直しを行うという案が示されております。

 次に、中間報告に関する地元識者の方々からの意見でございます。

 まず、みちのく有料道路につきましては、多額に上る債務の返済は受益者負担とすべきであり、そのための料金徴収期間の延長は理解できるという御意見や、走行速度を早めるなど、利用者の利便性の向上を図ることが必要であるとの御意見などをいただいております。

 また、青森空港有料道路につきましては、債務圧縮に努めるとの方針に一定の御理解をいただきましたが、東北新幹線新青森駅開業後の青森空港の利用者数の予測や、青森側からの迂回路利用による不公平感の解消などの課題が挙げられ、引き続き検討が必要であるとの御意見もいただきました。

 また、第二みちのく有料道路につきましても、債務圧縮に努めるとの方針に一定の御理解をいただきましたが、青森と八戸間を結ぶ道路ネットワークを早期に整備することや、効率的な道路管理のあり方などについて検討が必要であるとの御意見をいただいたところでございます。

 最後に、経営改革推進会議の今後の見通しでございます。

 青森県有料道路経営改革推進会議では、中間報告で示されました経営改革スキームの具体化に関する検討を行った上で、十二月の第七回会議を経て有料道路の経営改革に関する最終提言を取りまとめる予定としております。

 以上でございます。

 

◯副議長(清水悦郎) 教育長。

 

◯教育長(田村充治) 全国学力・学習状況調査についての御質問三点にお答えいたします。

 初めに、実施の背景と目的についてであります。

 全国学力・学習状況調査は、平成十九年度から始まり、本年度で三年目を迎えたところです。文部科学省によりますと、その背景としては、学校教育の現状と課題について十分に把握する必要があること、国際学力調査の結果に見る学力や学習意欲の低下傾向があること、義務教育の質を保証する仕組みの構築の要請があることを挙げております。

 また、調査の目的は、全国的な義務教育の機会均等と水準向上のため、児童生徒の学力・学習状況を把握、分析して教育の結果を検証し、改善を図ること。各教育委員会、学校等が全国的な状況との関係において、みずからの教育の結果を把握し、改善を図ることとしております。

 次に、これまでの調査結果をどのように教育施策や指導改善等に生かしてきたのかについてであります。

 調査初年度の平成十九年度には、大学関係者等で構成される青森県検証改善委員会を十一月に立ち上げ、調査結果に基づく課題を把握し、その課題に対する具体的な指導のための学校改善支援プランを策定の上、報告書及びリーフレットに取りまとめ、県内すべての小・中学校、市町村教育委員会等に配布したところであります。

 さらに、二十年度は調査活用協力校八校を指定し、各校の課題の改善に向けて、学校改善支援プランの学校現場での活用方法等について研究していただき、その成果や課題等を報告書に取りまとめ、県内すべての小・中学校、市町村教育委員会等に配布し、その成果のさらなる普及啓発を図ったところです。

 また、これまでの調査結果から、家庭学習の習慣や生活習慣の形成が課題であることを受け、今年度から学習習慣形成のための校種間連携教育推進事業に取り組み、家庭と連携した家庭学習のあり方、家庭、地域、関係機関等との連携を重視した生徒指導のあり方などについて調査研究し、その成果を県内全域に普及していくこととしております。

 県教育委員会といたしましては、このような取り組みを進めながら、児童生徒の確かな学力の向上及び家庭学習の習慣形成を目指して、引き続き市町村教育委員会及び学校と連携して取り組んでまいります。

 次に、調査方法が悉皆方式から抽出方式に変わるという動きについてであります。

 文部科学省によりますと、平成二十二年度の全国学力・学習状況調査については、調査方式を見直すこととし、現在、実施要領の策定に向け、具体的な実施方法などについて専門家検討会議等で検討を行っているとのことです。

 来年度の調査がどのように実施されるかについては、この専門家検討会議での検討や行政刷新会議における事業仕分けの結果を踏まえ、今後国から示されることと認識しており、県教育委員会といたしましては、引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◯副議長(清水悦郎) 高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 知事、副知事、また各部長、そして教育長、それぞれに御答弁いただきましてありがとうございました。おおむね納得できる答弁でございましたが、ただ一点、全国学力・学習状況調査についてでございます。

 調査方法に関する県教委のお考えを伺ったわけでありますが、国の動向を注視してまいる考えとの御答弁でございました。教育長と私、なぜか意見がぶつかると申しますか、これは宿命なのかもしれません。しかしながら、私は教育者である田村教育長と教育について議会の場で議論できることを、大変光栄なことと常々思っております。

 先ほどの御答弁の内容でありますが、現段階においては、青森県の県教育委員会においてこれ以上の答弁はできないものと思いまして要望にとどめますけれども、教育の再生は我が党の立党の精神にかかわる事項でもあります。私は、全国学力・学習状況調査については、県費を投入してでもこれまでどおり実施するべきと考えておりますし、今後、その他の公教育の政策転換についても、青森県の教育委員会として、国に抵抗しろとまでは言いませんけれども、田村教育長も教育者であります。青森県の教育かくあるべきと、そのような確固たる信念を持って今後当たっていただきたい、そのことを申し上げまして質問を閉じさせていただきます。ありがとうございました。