2009年06月24日:平成21年第258回定例会(第4号)   本文

◯議長(田中順造) 休憩前に引き続いて会議を開きます。

 一般質問を続行いたします。

 二番高橋修一議員の登壇を許可いたします。──高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 自由民主党の高橋修一でございます。

 昨年六月定例会以来、一年ぶりの登壇でございます。愛する自由民主党の一員として再び登壇できることを喜びに感じ、直ちに質問を行います。

 まず初めに、東北新幹線全線開業に向けた取り組みについてでございます。

 本年四月十九日、私の地元青森市において市長選挙が実施されました。私ども自由民主党が支援した佐々木誠造候補が鹿内博候補に敗北。継続か刷新か、民意は市政トップの交代を選択することとなりました。結果は結果として厳粛に受けとめます。

 私にとりましては、佐々木前市長は特別な存在でございました。平成七年四月に青森市役所に入庁した私は、佐々木前市長のもと、十二年間職員としてその職務に当たってまいりました。この間、佐々木前市長から教わったことはたくさんあります。行政サービスとは何か、まちづくりとは何か、福祉とは、教育とは、現在の私の礎を築いてくださったのが佐々木前市長でございました。

 今、佐々木前市長が市職員に対しよく言っていた言葉を思い出します。それは、どんなに困難なことにぶつかっても、市民のためになるのであれば、決してできない理由を考えてはいけない。常に前向きに考えなさいと。お金がなければ知恵を絞りなさい。知恵がなければ汗をかきなさい。おのずと道は開けるはずと。

 佐々木前市長のこれまでの政治、行政の実績を踏まえれば、私は余人をもって青森市の将来を託すことはできず、再選こそが真の意味において市民のためになると確信し、全力で応援しただけに、残念至極の思いであります。

 青森市政この二十年の歩みを振り返ってみますと、青森公立大開学、青函ツインシティ、雪総合対策、下水道整備、陸奥湾再生、ねぶた健全化、男女共同参画、検診率の向上、カーリングの街、市町村合併、中核市移行などさまざまありますが、特に豪雪都市の課題克服に、コンパクトシティの概念を全国に先駆けまちづくりに取り入れたこと、そして、市民、県民の長年の悲願でありました東北新幹線の新青森駅開業の決定は特筆すべき功績と言えます。それだけに、このたびの選挙結果だけをもってして佐々木市政二十年の歩み、そのすべてが否定されたわけではないと信じるところであります。

 新市政がスタートし、はや二カ月ほどたったところでございますが、新市長が向こう四年間どのような市政運営をとり、どのような青森市をつくっていかれるのか、地元選出の県議として、また一青森市民として注視してまいりたい、そのように考えるところでございます。

 さて、その青森市における喫緊の課題は、何と申しましても平成二十二年十二月と今や目前に迫った東北新幹線全線開業に向けた取り組みでございます。これは県も同様です。

 県では、「結集!!青森力」の統一テーマのもと、観光や産業振興、地域活性化など、今年度だけでも総額百六十八億円の予算を集中投入し、開業効果の獲得に向けて全庁挙げて、県民皆様とともに開業関連事業を推し進めており、必ずやその取り組みが大きな成果として実を結ぶものと期待するところであります。

 一方、全国においても着々と整備新幹線の工事が進められ、東北新幹線だけでなく、九州新幹線の全線開業や北陸新幹線の延伸、金沢開業、さらには北海道新幹線の函館開業が控えておりますが、各沿線には、全国有数の観光地として十分な知名度を持つ地域や都市が多数あり、新幹線の開業を契機として、地域間、都市間における競争の激化が予測されます。

 どの地域においても、新幹線が開業することによって一時的には自然発生的に来訪者が増加することが予測されますが、過去の例を見るに、開業後数年後には来訪者が横ばいから減少の傾向の地域も見受けられるところです。このことは、やはり地域そのものに魅力や個性がないと、新幹線開業効果も一過性のものとなってしまい、新幹線開業という地域活性化の起爆剤となるチャンスも失われかねず、地域としての受け入れ体制のあり方が大きく問われると考えます。

 そこでお尋ねいたします。

 青森地域における受け入れ体制の充実に向けて、県はどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

 あわせまして、全国からの観光客の多様なニーズに対応するためには、新幹線だけでなく、他の鉄路やフェリー、航空機など多様な交通手段を組み合わせた観光の推進も必要となると考えますが、このことに県はどのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。

 また、東北新幹線全線開業に向け、先日、大変明るいニュースが届きました。長さ十五メートルの特徴的な先頭形状を持ち、車体をグリーン、ホワイト、ピンクで配した新型車両E5系の公開でございます。E5系は時速三百キロで運転を開始し、段階的に速度を上げ、平成二十五年春からは時速三百二十キロで走る計画であります。東京─新青森間を最速三時間五分で結ぶこととなり、未来の先進的イメージとスピード感を感じさせる新型車両であります。

 ただ、このE5系という名称はあくまで車両の型式名称でありまして、「はやて」や「つばさ」、「ひかり」など一般的に使われる新幹線の名称ではございません。新型車両の名称に関してはJR東日本からの発表はなく、今後「はやて」という名称を定着させるのか、あるいは新型車両の導入にあわせて新たな名称がつけられるのかが話題となっております。

 そこで、開業に向けた機運醸成に当たっては、新青森駅に発着する東北新幹線の列車名も関係すると思いますが、これが「はやて」から変更されるのかをお伺いするものであります。

 次に、並行在来線対策についてであります。

 新幹線整備の前提としてJRから経営分離される並行在来線青い森鉄道線は、経営環境の厳しさから新幹線開業に対する代償という側面でとらえがちでありますけれども、同鉄道線が将来に向けて安定した運行を続けていくためにも、鉄道を利用する地域住民あるいは観光客の視点に立った利便性の高い交通機関として再出発することができるよう、万全の対策が講じられることを望むところでございます。

 そこで、青い森鉄道の利活用促進に関しお伺いいたします。

 まず、一点目として、青森市内の三カ所の新駅設置について、現在の取り組み状況と今後のスケジュールはどのようになっているのか。

 二点目として、青い森鉄道の新青森駅乗り入れについて、県はJR東日本とどのように協議を進めていくのか。

 三点目として、青い森鉄道線の青森開業に向けた利活用促進についての県の考え方について。また、県、青い森鉄道株式会社及び沿線鉄道での取り組みはどのようになっているのかをお伺いいたします。

 次に、陸奥湾の水産振興についてお尋ねいたします。

 昨年四月五日、陸奥湾内においてホタテ漁船日光丸に乗船し、お亡くなりになられた八名の方々の御冥福を改めてお祈り申し上げます。

 さて、津軽半島と下北半島に挟まれ、本県の中央に位置する陸奥湾は、国内有数の内湾で、多くの魚介類にとって繁殖や生育の場となっており、本県海面漁業生産の三分の一を占める主要漁場として多くの恵みをもたらしてきたところであります。

 陸奥湾では、恵まれた漁場環境を生かした漁業関係者の積極的な取り組みにより、昭和四十五年以来、ホタテガイ養殖業が飛躍的に発展し、その生産量は近年では七万トンから十万トンに達し、百億円産業となり、陸奥湾内漁業者の所得の向上に大きく貢献しております。

 しかし、ホタテガイの養殖業については、養殖技術が高度化されてきたものの、えさとなるプランクトンの発生量や波浪等漁場環境の変化による影響を受け、成長不良や大量へい死が発生することがあり、生産はいまだ不安定な状況にあります。

 そのため、より効率的で安定した生産体制を構築するため、漁業関係者が一致団結して今年度からスタートした全国初の取り組みでありますホタテガイ適正養殖可能数量制度、いわゆるタスク制度によります効果が期待されるところであります。このタスク制度の導入に関しましては、日光丸の船長でありました川村春光さんが、青森市漁業協同組合長として生前熱心に取り組まれておりましただけに、是が非でも成功に導いていただきたいと考えます。

 そこで質問いたしますが、タスク制度のこれまでの取り組み状況と、ホタテガイ生産の安定化を図るための今後の対策についてお伺いいたします。

 次に、陸奥湾でホタテガイに次いで生産額の多いナマコについてですが、中国での需要の高まりによってナマコの生産量は近年著しくふえており、乱獲によって資源の減少が危惧されているところであります。ナマコの生産拡大を図るため、青森市ではいち早く栽培漁業に取り組み、平成六年度から稚ナマコの大量生産、放流を実施しているほか、むつ市や横浜町では、育成場の造成、資源管理に積極的に取り組んでいるところであります。陸奥湾のナマコ資源を枯渇させないためには、これらの取り組みを陸奥湾全体で実施することが必要と考えます。

 そこで、ナマコ資源対策の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。

 次に、リンゴの生産振興についてでございます。

 平成二十年産リンゴは、春先の霜、ひょう、台風の発生、さらに、収穫直前には追い打ちをかけるようにまたもやひょうに見舞われるなど、リンゴを含めた果樹全体の被害額は百五億円となりました。また、つる割れが例年になく発生するなど、百三十年を誇る青森リンゴの中でも特異的な一年であり、リンゴ農家にとっては大変な御苦労がございました。

 これらの発生要因として、温暖化の影響と思われる異常気象が考えられますが、このような現象は世界各地で頻発しておりまして、これからも私たちが経験したことのない現象が至るところで発生するかもしれません。自然の中で営まれる農業については、これまで台風や霜などの気象災害にはなすすべがないといったようなあきらめに似た時代もありましたが、栽培技術や気象予測が飛躍的に発達した今日、生産者みずから気象災害を防ぐ対策に万全を期していくことが必要であると考えます。

 そこで、気象災害の発生が懸念される中で、災害に強い園地づくりをどのように進めていくのかをお伺いいたします。

 また、二十年産リンゴは、気象災害等により大量の加工向けが発生いたしました。このため加工原料は供給過剰となり、生食として販売することも加工として販売することもできなくなり、例年になく大量の在庫を抱えたリンゴ農家も見受けられました。

 台風などの被害リンゴは生食向けとして販売できないことから、加工向けに換金し、生産者の所得確保につなげる貴重な役割を果たしてまいりましたが、二十年産については、加工向けが大量に発生したことから、その機能を十分に果たすことができませんでした。在庫を抱えたリンゴ農家は、不要となったリンゴを園地にすき込んだほか、埋設処理も行われました。

 このような事態を再び起こさないためにも、リンゴ加工場の経営を安定化させ、受け入れ能力を向上させていく必要性がございます。そのためには、不安定な経営の主要因となっておりますリンゴ農家からの加工原料の供給量を毎年一定の範囲に保つことが非常に重要と考えます。

 そこで、リンゴ加工原料の需給安定に向け、県はどのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。

 次に、看護師確保に係る対策についてでございます。

 私は、昨年度、今年度と県議会環境厚生常任委員会に所属しておりますが、これまで県内外の自治体病院や大学病院、また、民間病院などさまざまな医療施設を調査し、病院や地域の医療の現状等につきまして、現場の生の声を聞いてまいりました。スタッフの不足や経営難などの課題を抱えながらも、医師や看護師、職員の方々より、地域医療の最前線で、高度で良質な医療、また、心の通った医療を提供するために懸命に取り組んでいる状況を伺うことで、地域医療再生の必要性を強く感じ取ったところでございます。

 地域医療の崩壊とも言われる諸問題は、さまざまな観点から議論がなされますが、その中で、医師不足と並んで深刻さを増す看護師不足は地域医療が抱える大きな課題の一つと言え、このことは本県も例外ではなく、自治体病院や民間病院、看護師を必要とする福祉施設等もこの問題に頭を悩ませております。

 本県の看護職の現状は、平成十八年十二月末日現在の状況で見ますと、県内の看護師は一万百七十人、准看護師は六千四百十七人が従事しており、人口十万人に対して見れば、看護師が七百十四・七人、准看護師が四百五十・六人。これを全国平均と比べますと、全国平均は看護師が六百三十五・五人、准看護師が二百九十九・一人でございますので、本県の看護師、准看護師の人口対での数は全国平均を上回っている状況にございます。

 しかし、青森県看護職員需給見通しの直近の数値によれば、平成十八年三月時点において、平成二十二年末で約七百人の看護師不足が見込まれる推定がなされております。加えて、この需給見通し以降、より手厚い看護体制を診療報酬面で評価する七対一看護が新設されたことや、高齢社会の進展によって看護職員の需要が引き続き高まっているといったことから、現時点では、需給見通し以上に将来的に看護師が不足していくであろうと予測されております。

 平成十八年度、七対一看護の基準導入は、入院患者に対して看護師の数が多いほど、これまで以上に病院経営上のメリットを得られるようになりましたが、このことが皮肉にも全国で看護師の争奪戦とも言える現象を加速させる形となりました。

 待遇などの条件がよい首都圏などの大病院に看護師が集中することで、地方においては看護師流出に歯どめがかからず、さらには、青森県内だけを見ても、県立中央病院や弘前大学医学部附属病院などの一部病院が看護師の大量募集に踏み切ったことで、県内の中小病院の看護師が中途で職場を変えるなど、さまざまな動きも出てきております。

 青森県立中央病院の採用状況を見ますと、七対一看護の人員確保のため、平成二十年度五十三名、平成二十一年度には百二十四名採用いたしました。そもそも本制度の導入は、看護師の労働環境改善と看護の質向上をねらいとし、看護師増加にもつながると期待されております。しかし、大病院の大量採用のしわ寄せを受ける形で、中小病院や地方の病院における看護師不足が顕著になったとも言われております。

 先日、青森市内の民間病院の方が、新採用から五年、十年たってようやく一人前に育った看護師が、県立中央病院の看護師大量採用によって複数名転職してしまったことに触れられまして、この病院にとって貴重な戦力を失った痛手は大きいと嘆かれておりました。今後は、救急医療の充実によって、これら大病院においてさらなる看護師の大量採用も予測されます。

 そこで、県内の一部病院における看護師の大量採用がもたらす影響についてお伺いし、本県の看護師確保対策についてもお伺いするものでございます。

 次に、有料道路の経営革新の推進についてお伺いいたします。

 昨年の三月定例会において、青森空港有料道路の早期無料開放についてお伺いしたところでございます。この際、青森空港有料道路の早期無料開放やそれに伴う経済波及効果の検討、また、利用促進方策としての料金引き下げ、平成二十二年に料金徴収期間が終了するみちのく有料道路と時期を合わせた青森空港有料道路の無料開放に向けた検討について、それぞれ県の見解をお伺いしたところでございますが、残念ながら、色よい御答弁をいただくことはできませんでした。

 しかし、この時点におきまして、料金徴収期間内での債務解消に向け、利用促進に係る諸方策を検討し、実行していくことに加えて、これまで長年にわたって県議会の場において議論されてきた一連の県公社の債務問題の経緯を踏まえた上で、建設時の背景、路線の位置づけが償還期間終了時までどのように変化しているのか、あるいは中期経営プランの進捗と今後の県財政に与える影響、さらには、いまだ償還期間の残るみちのく有料道路の取り扱い、これら諸課題を丁寧に整理していくことが必要との考えを述べさせていただきました。

 県では、去る六月十二日、県内三有料道路の経営改善策を検討する県有料道路経営改善推進会議を発足させたところでもあります。今改めて地方の有料道路のあり方そのものが問われ、有料道路に対する根本からの議論、検討が必要と考えます。

 そこでお伺いいたします。

 一点目として、有料道路の経営改革をどのように進めるのか。

 二点目として、三つの有料道路の経営状況はそれぞれどのようになっているのか。

 三点目として、外部専門会議はどのような構成になっているのかをお伺いいたします。

 次に、駒込ダム建設事業についてであります。

 青森市の市街地を貫流する堤川は、八甲田山系に源を発し、北流し、入内川、牛館川、駒込川等、大小支川を合わせて陸奥湾に注ぐ流路延長三十二・六キロメートルの二級河川です。

 川沿いに広がる青森平野では都市化が進みまして、高度な土地利用がなされております。青森市街地は、これまでこの堤川のはんらんによって、昭和初期よりたび重なる洪水被害を受けてまいりました。堤川の本格的な治水事業は昭和四十三年度に開始されましたが、その後、昭和四十四年八月、台風九号により浸水面積約一千六百ヘクタール、浸水家屋八千戸を超える大水害を受け、これを契機として、青森市堤川水系の抜本的な治水対策として、河道整備とあわせて、下湯ダム、駒込ダム、横内遊水地、牛館川防災調節池を整備する治水計画を立案し、これまで計画的に整備が進められてまいりました。

 この堤川水系における治水事業において、最後の最後に残ったのが駒込ダムの建設でございます。この完成をもってして初めて流域に住む住民の生命、財産の安全が確保されることとなり、その早期完成が望まれるところであります。駒込ダムの建設につきましては、昨年度の県公共事業再評価審議委員会において議論もなされましたが、継続事業となったことに流域に住む住民は安堵した次第でございます。

 そこでお伺いいたしますが、

 一点目として、駒込ダム建設事業のこれまでの事業経緯と進捗状況について。

 二点目として、県公共事業再評価審議委員会で事業について審議されたことを踏まえ、今後の見通しについてお伺いするものでございます。

 最後に、公共事業の早期発注と県内企業への優先発注の取り組みについてお伺いいたします。

 今定例会におきまして上程されました補正予算は、経済危機対策として三百三十三億九千四百万円と補正予算としては異例の大型措置でありまして、県内中小企業の大部分が業種を問わず極めて厳しい経営環境に置かれている中、今年度当初予算とも連動し、一刻も早い執行が待ち望まれております。

 もともと公共事業への依存度が高い県経済の体質を踏まえれば、予算措置の効果をより一層向上させるためにも、発注計画の前倒しによる早期発注の取り組みや地元企業への優先発注などのさらなる取り組みが不可欠でありまして、今後の県の対応いかんによって、実りのある経済対策となるか否か大きく左右されると考えます。公共事業に携わる業種の方々が一様に言われることは、地元でできることは地元で、この一点に尽きます。

 そこでお伺いいたしますが、

 一点目として、今年度当初予算の早期発注の取り組みについて。

 二点目として、県発注工事における県内企業に対する過去三年間の発注状況の推移について。

 三点目として、公共事業の県内企業への優先的な発注の取り組みについて。

 以上をお伺いいたしまして、壇上からの質問を終わります。

 

◯議長(田中順造) 知事。

 

◯知事(三村申吾) 高橋議員にお答えいたします。

 まず、新幹線や航空機等多様な交通手段を組み合わせた観光の推進であります。

 来年の十二月、東北新幹線全線開業によりまして、ようやく県内一円に全国から多くの観光客を誘致できる環境が整うこととなりまして、私は、「結集!!青森力」の統一テーマのもとに、県民挙げての機運醸成や開業に向けたさまざまな取り組みを強力に推進してきているところであります。加えて、開業効果の獲得を一層高めていくためには、旅行者の多様なニーズに対応し、立体観光、立体交通と言っているんですが、新幹線のみならず、航空機やフェリー等の交通手段を組み合わせた旅行商品の創出も重要であると考えております。

 そのため、今年度から新幹線や航空機、フェリー等、陸、海、空の交通手段をフルに活用した総合的な立体観光の推進に取り組むこととし、例えば、片道レール、片道エアーのように、鉄道と航空機を組み合わせるなどによって、バラエティーに富んだ魅力あふれる多くの旅行商品を造成していくことについて、旅行エージェント等に働きかけているところであります。

 県としては、今後とも東北新幹線全線開業の効果を最大限に活用しながら、本県観光の底上げを図るため、鉄道事業者や航空事業者、旅行エージェントなど関係機関との連携を図り、観光客の誘致に積極的に取り組んでまいります。

 タスク制度への取り組み状況、そしてホタテガイ安定生産の今後の対応であります。

 近年、ホタテガイの安定生産を継続していく上で、過密養殖や母貝の不足等が課題となっており、県では、ホタテガイの適正養殖を推進するため、年間の養殖可能数量を定めるいわゆるタスク制度づくりへの取り組みを指導してきたところ、昨年度、陸奥湾内の漁業関係者による合意形成がなされたことから、ことし四月に暫定数量でスタートしたところであります。私は、ホタテガイ養殖発祥の地である陸奥湾で全国初の取り組みが開始されましたことは、非常に意義深いものだと考えております。

 今後、ホタテガイ生産の一層の安定化を図るためには、タスク制度を実効あるものとしていくことが肝要でありまして、引き続き関係者が一丸となって取り組むことが重要であると考えます。

 県としては、来年度からの本格実施に向け、タスク制度が遵守されるよう、養殖実態を調査し、適正養殖の指導に努めるほか、関係漁協とむつ湾漁業振興会などにより、制度運用に関する協定書が締結されるよう指導していくこととしております。また、昨年度から大型活ホタテガイ生産のための適正な養殖密度などの技術開発にも取り組んでいる状況でありまして、高品質な生産を促進することによってホタテガイ養殖のさらなる発展を図っていく所存であります。

 有料道路の経営改革であります。

 本県の三つの有料道路は、県内の道路ネットワークにおいて重要な位置づけにありますが、平成二十年度決算時点で約百五十六億円に及ぶ債務を抱えており、また、来年十一月にはみちのく有料道路の料金徴収期間の満了が迫っております。

 一方、地方の有料道路は、その多くが厳しい経営状況にあり、地方の有料道路の経営改革は、我々青森県のみならず、日本全体の行政課題と言っても過言ではないと考えております。

 そこで、県では、全国に先駆けて、道路政策やインフラマネジメントに精通した専門家の方々から成る青森県有料道路経営改革推進会議をこの六月に設置し、地方の有料道路の経営改革策の検討に取り組むこととしました。本会議には、みちのく有料道路だけではなく、県の有料道路全体の経営改革策について、国内外の改革事例などを参考に多岐にわたる活発な議論を期待しておりまして、本年十二月には改革案に関する御提言をいただくこととなっております。

 県では、この提言や県議会を初めといたしまして、県民の皆様の御意見などもお伺いしながら、抜本的な経営改革を進めたいと考えております。

 以上です。

 

◯議長(田中順造) 青山副知事。

 

◯副知事(青山祐治) 高橋議員御質問のうち、公共工事の県内企業への優先的な発注についてお答えいたします。

 公共工事の発注につきましては、これまでも地域経済、雇用対策などの観点から、可能な限り分離、分割を行うことなどにより、県内企業への優先発注に努めてきたところであります。また、青森県土木工事共通仕様書などに、「請負者は、工事を下請負に付する場合には、可能な限り地元建設業者を使用すること」を明記しているほか、県外・県内企業にかかわらず、工事を受注した業者に対し、改めて同様の趣旨を要請しているところです。

 さらに、県内における国直轄事業や新幹線関連等に係る工事についても、事業主体である国やJR東日本、それから鉄道運輸機構等に対し、県内企業の受注拡大について働きかけをしてきたところであり、引き続き機会あるごとに要請してまいります。

 県としては、このような取り組みなどにより、今後とも県内企業の受注機会の確保に努めてまいります。

 

◯議長(田中順造) 総務部長。

 

◯総務部長(田辺康彦) 今年度当初予算の早期発注の取り組みについての御質問でございます。

 これにつきまして、県では、速やかに公共事業の上半期発注計画を示すことが重要と考えまして、年度初めの四月二十三日に青森県公共事業等施行対策本部会議を開催し、今年度の上半期発注計画の目標率を、昨年度を上回る八〇・二%に設定いたしました。また、この発注計画を踏まえまして、発注計画の前倒しによる、より一層の早期発注を促進するとともに、各部局等において所定の発注率が確保できるよう、現在、各部局で取り組んでいるところでございます。

 次に、ただいま副知事から具体的な取り組みが御紹介されましたが、本県における公共事業の県内企業に対する過去三年間の発注状況の推移でございます。

 契約件数ベースでは、平成十八年度が九二・一%、平成十九年度が九三・四%、平成二十年度が九四・五%になっております。また、契約金額ベースですと、平成十八年度で七五・二%、平成十九年度で七八・一%、平成二十年度で八四・九%となっているところでございます。

 以上です。

 

◯議長(田中順造) 企画政策部長。

 

◯企画政策部長(奥川洋一) 御質問五点にお答えいたします。

 初めに、新青森駅に発着する東北新幹線の列車名についてであります。

 平成二十二年十二月の東北新幹線全線開業まで約一年半となり、既に橋梁、高架橋、トンネル等の土木工事はすべて完成し、駅舎の外観もあらわれ始め、また、新型車両の実物が報道されるなど、開業が迫ってきたことが目に見える形で実感できるようになってまいりました。

 こうした中、新青森駅に発着する東北新幹線の列車の愛称についても、県民の皆様の関心が高まってくるものと考えております。この列車の愛称の取り扱いについては、現在、JR東日本において変更するかどうかも含めて検討中とのことでありますが、県民に親しまれ、愛される新幹線となるよう、県としては、JR東日本の早期の取り組みに期待しているところです。

 次に、並行在来線の新駅設置についてであります。

 青森市から設置要望のある市内三カ所の新駅については、現在、野内地区及び筒井地区について、青森市と協力し、JR東日本に委託して新駅設置基本調査を行っているところです。

 平成二十三年度に県立青森工業高校が移転開校することから、優先して進めることとしている野内地区の新駅については、国の補助事業である幹線鉄道等活性化事業費補助のコミュニティレール化事業を活用することとしており、基本調査の結果も踏まえ、青森市と連携しながら、移転開校までに完了するよう整備していきたいと考えています。筒井地区については、基本調査結果を踏まえ検討し、青森市等と協議していきたいと考えています。

 セントラルパークについては、県及び青森市で構成する青い森セントラルパーク活用計画検討委員会において、民間事業を中心とした開発の可能性について検討し、利活用計画を策定することとしています。同地区への新駅設置については、この利活用計画が策定された後、青森市を含む関係者と協議していきたいと考えています。

 次に、青い森鉄道の新青森駅への乗り入れについてであります。

 青い森鉄道の新青森駅への乗り入れについては、奥羽本線新青森駅─青森駅間の線路容量等による物理的制約やJR東日本が設定する新幹線リレー列車との調整など、諸課題を十分検討し、見きわめる必要があります。

 新青森駅への乗り入れは、青い森鉄道線と新青森駅間の利用者の利便性を確保する有効な方策の一つであると認識しており、その観点から協議を進めていますが、県としては、JR東日本列車との相互乗り入れや青森駅における同面ホーム上での乗りかえなどを含めて、利用者の利便性をできるだけ損なわないよう幅広く検討していくこととしています。

 具体的には、東北新幹線新青森駅開業に向けたJR主催のダイヤ協議の中で、その実現可能性等も含め検討していくこととなりますが、このダイヤ協議については、本年夏ごろには開始されていくものと考えており、JR設定のダイヤ案を踏まえながら、できるだけ速やかに結論が出るよう協議していきたいと考えています。

 次に、青い森鉄道線の青森開業に向けた利活用推進についてであります。

 少子化の進展や自動車利用へのシフト等により、鉄道利用者は減少傾向にあり、鉄道事業を取り巻く環境が今後も厳しさを増すことが予想される中で、青い森鉄道線が将来にわたって地域住民の重要な足として維持存続されるためには、効率的な運営や経営努力はもちろんのこと、沿線市町の協力や沿線住民のマイレール意識の向上が不可欠であり、これまで以上に地域住民及び沿線市町と連携しながら利活用促進に取り組んでいくことが重要であります。

 このためには、青い森鉄道線が安全な鉄道を第一義に、利用しやすい鉄道、地域住民のための鉄道を目指していくこととしており、県と沿線市町、青い森鉄道株式会社等で構成する青い森鉄道線青森開業準備協議会が策定した経営計画素案に沿って、関係者がさまざまな取り組みや準備活動を行っているところです。

 県としては、地域において自主的に利活用の取り組みを進めてもらうため、青い森鉄道利活用ビジョンを平成十九年度に策定して種々取り組んできています。また、本年度においては、青森開業に向けて、沿線地域、県、青い森鉄道株式会社が連携して利活用に当たる推進体制等について検討会を設置し、関係者と検討を進めているところであり、引き続き関係者の密接な連携とともに、地域が主体となった利活用の推進に取り組んでいきたいと考えています。

 最後に、青い森鉄道線の県、青い森鉄道株式会社、沿線地域での利活用の取り組みについてであります。

 県では、青森開業に向けて、地域住民の方々に青い森鉄道線をマイレールとしてとらえていただき、主体的な利活用を進めていただく機運を醸成するため、十月の鉄道旬間に合わせて、開業プレイベントを青い森鉄道株式会社と連携して開催することとしています。

 このプレイベントでは、利活用推進をテーマとしたフォーラムを開催するほか、あわせて青い森鉄道株式会社が多数の御応募をいただいたロゴマーク及びイメージキャラクターの発表会を行うほか、沿線市町等の協力を得て、物産展などを開催する予定としています。

 また、県と沿線市町が連携して、青い森鉄道利活用ビジョンの実践を促す取り組みとして、沿線地域のNPO法人などの地域団体が主体的に企画を練り、沿線にちなんだ新たな地域資源の掘り起こしや観光ルートの開発などを行う利活用につながる具体的な活動について、平成二十年度、二十一年度と支援を行っているところです。

 さらに、青い森鉄道株式会社においては、ロゴマークやイメージキャラクターなどによるCI戦略の展開、利用者のニーズに合った学期定期券、持参人式定期券の発売、定期券への割引特典の付加、経営戦略プランの策定など、さまざまな取り組みを進めているところであり、開業に向けて営業戦略を一層強化していくこととしています。

 

◯議長(田中順造) 健康福祉部長。

 

◯健康福祉部長(一瀬 篤) 看護師確保対策についてお答えいたします。

 県の看護師確保対策としましては、社団法人青森県看護協会と連携し、高校生に看護師の仕事を知ってもらうための一日看護体験を通じて看護師を目指す学生の増加を図るとともに、看護師等養成所に対する運営費を助成し、教育環境の充実を図っているところでございます。

 また、県内医療機関の採用試験が遅いこと、情報が少ないことが県外流出の要因でありましたので、看護学生が資格試験に向けての準備期間が十分とれるよう、県内医療機関に対し、採用試験の早期実施を働きかけているほか、県主導で看護学生に対し、就職相談会を年二回開催しております。さらに、二百床未満の中小病院や診療所などに看護師の就業を誘導する看護師等修学資金貸与事業を実施し、県内就業の促進を図っております。

 一方、看護師免許を所持しながら看護師として働いていない潜在看護師が全国で約五十五万人いると言われており、県では、この方々に就業してもらうことが非常に重要と考えております。このため、再就業を支援するための研修の実施や職業紹介を行うナースセンター事業を実施しております。

 県としましては、これらの確保対策を進めるとともに、各医療機関に対して、看護師がワークライフバランスを考慮した働き方ができる魅力ある職場づくりを引き続き働きかけていきたいと考えております。

 このような状況の中、七対一看護を導入した病院が大量採用のため、採用試験を早期に実施したことにより、県内の全体の就業者は増加しました。しかし、一方、中小病院や診療所に勤務していた看護師が大量採用の病院に転職したとも言われております。

 今後、新たに七対一看護を導入する病院は少ないものと見込まれ、看護師の大量採用は減少し、影響は少なくなるものと推測されます。

 

◯議長(田中順造) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(櫻庭洋一) 東北新幹線全線開業に向けた受け入れ態勢についてお答えします。

 来年十二月に予定されている東北新幹線全線開業の効果を県下全域で獲得するためには、県内各地域の組織が主体的に取り組むことが重要であります。

 こうした中、青森地域では、官民協働で組織された新幹線新青森駅開業対策事業実行委員会において、地域ならではの観光資源の魅力づくりや受け入れ態勢の整備など、独自の取り組みを推進しているところです。

 また、県では、青森地域の観光力強化と機運醸成を図るため、地域住民と県外出身者との協働による滞在型・体験型観光メニューの掘り起こしと磨き上げや東青地域のそばを活用したあおもり海道そばの地域ブランド化、太宰治生誕百年を契機とした小説「津軽」と太宰治のガイド育成研修によるホスピタリティー向上などに取り組んできたところです。

 さらに、今年度からは、浅虫温泉等の活性化を目指し、温泉を知り、地域を知り、温泉地の魅力を引き出し、情報を発信できる温泉プロデューサーの育成などにも取り組み、観光力のさらなるアップを図っていくこととしています。

 県としては、今後とも地域住民の積極的な参画を図りつつ、新幹線新青森駅開業対策事業実行委員会と連携を密にし、全線開業に向けた青森地域における受け入れ態勢の充実に努めてまいります。

 

◯議長(田中順造) 農林水産部長。

 

◯農林水産部長(有馬喜代史) 御質問三点にお答えいたします。

 最初に、ナマコの資源対策についてです。

 本県におけるナマコの資源対策については、主産地となっている陸奥湾で、青森市が全国に先駆けて種苗の生産、放流を行ってきたほか、むつ市や横浜町では、漁業協同組合が漁場造成や資源管理に取り組んでいます。

 また、乱獲による資源の減少が懸念されることから、県では昨年度からナマコ資源の維持増大を図るため、既設のアワビ種苗施設を利用した種苗の量産技術開発に取り組み、昨年度は九万三千個の種苗を生産したところであり、今年度は種苗生産マニュアルを作成し、その技術普及に努めることとしています。

 さらに、関係漁協や試験研究機関等で構成するナマコ資源管理検討会を昨年十二月に設置しており、本年度中にナマコの資源管理に関する指針を策定するとともに、資源管理を推進するための体制についても整備することとしています。

 次に、災害に強い園地づくりについてです。

 県では、気象変動の大きい中でリンゴ経営を維持発展させていくためには、気象災害等への備えとして果樹共済の加入を基本としつつ、災害に強い園地づくりを進めることが重要であると考えています。

 このため、霜対策では、防霜ファンの導入やおがくずと灯油を混ぜて燃焼させる霜カットの利用、また、台風などの強風対策では、防風網の導入や収穫期の異なる品種の組み合わせによる危険分散、さらに雪対策では、下枝を交差させた雪に強い仕立て方の導入や根雪前の支柱入れなどに取り組むよう指導しているところです。

 特に、防霜ファンや防風網の導入については、昨年、県議会と一体となって国に要望した結果、果樹経営支援対策事業で、担い手が単独でも実施できることとなったので、本事業を積極的に活用するよう農家に対して周知徹底を図っているところであり、今後とも災害に強い園地づくりを強力に進めてまいります。

 最後に、リンゴ加工原料の需給安定についてです。

 本県におけるリンゴ加工原料の需給量は、その年の生産量や価格による影響を受けて変動しやすい状況にあることから、加工原料の安定的な需給に向け、出し手と受け手を結びつける新たな仕組みづくりが求められています。

 このため、県では、本年度、加工りんご安定供給システム確立モデル事業を創設して、生産者組織と加工業者が数量などを取り決めた契約に基づいて加工原料を取引するモデル地区を設定し、契約取引の普及、定着に取り組むこととしています。

 また、こうした取り組みをさらに強力に進めるため、本年度、国が経済危機対策の一環として創設した加工原料の長期取引契約に基づいて出荷した生産者に対し、一キログラム三円の奨励金を交付する対策を活用して、リンゴ加工原料の需給安定に取り組むこととしています。

 

◯議長(田中順造) 高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 知事、副知事、また各部長からそれぞれ誠意ある御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 ただ、一点、看護師の確保に係る取り組みに関して、これは再質問をいたしますが、できることであれば、知事から御答弁をいただきたいと思います。

 先ほど、県内の一部病院における看護師の大量採用がもたらす影響、これについてお伺いしたところ、部長から、看護師が大量採用によってほかの病院に転職したと、そういうふうに言われているという御答弁でありました。

 また、七対一看護を導入する病院はある程度落ちついてきたと。よって、今後、県内では看護師の大量採用が減少し、規模の小さい医療機関への影響も少なくなると、そのような趣旨の御答弁でありました。

 私は、地域医療を担う県の答弁としては非常に寂しいと申しますか、冷たいと申しますか、物足りない。先ほどの県の答弁では現状の認識が極めて甘いと言わざるを得ません。

 七対一看護を一部の大病院が導入すること、そのこと自体は、その病院単体の経営、あるいは看護力の向上、そういう視点で見れば必要性は十分理解もできます。しかし、病院単体ではなくて、地域全体あるいは県内全体の地域医療の確保、こういう観点、視点から見れば、大病院も中病院も小病院も、あるいは診療所もそれぞれ役割があります。ほかの県から看護師を中途で採用すると、これであればまだしも、同じ地域の中で、同じ県内の中で中小病院から看護師を中途で採用し、人員を確保していると、こういう現状を私は疑問と感じております。もっと配慮が必要なのではないかということです。

 本来、地域医療というのは、病院の大小にかかわらず、病院同士が互いに補完、協力し合うと、そういった関係にあります。その県内の医療機関同士が限られた看護という労働力市場、これをめぐって争奪戦を繰り返していると、こういった現状を見るに、私はこのことをしっかりと課題としてまずはとらえていただきたい。このことに対します県知事の見解を求めます。

 それから、健康福祉部長、御答弁の中で、今後、県内では看護師の大量採用が減少し、規模の小さい医療機関への影響も少なくなるとのことでありましたが、六月十四日付東奥日報によりますと、弘大病院、看護師百人来春採用と、これは、高度救命センターへの採用ということでありますけれども、こういった新たな動きもございます。果たして、先ほどの答弁のとおり、大量採用が減少して、規模の小さい医療機関への影響が少なくなると、そういう認識をお持ちであるのか、この弘大病院のことを指摘して、先ほどの答弁の内容を再度確認いたしたいと思います。終わります。

 

◯議長(田中順造) 知事。

 

◯知事(三村申吾) 高橋議員にお答えいたします。

 私ども、良医をはぐくむグランドデザインということで、まず、医師の方々がいかにしたらばこの青森で育ってくれるかということを政策的に進めてまいりました。その過程において、やはりいろいろお話を伺う中で、看護師さんを初めといたしまして、いわゆる医療技術者、この部分について、将来的に、要するに実態の不安があるということ等も伺っております。

 そしてまた、私どもの保健大学等のかつての状況は、御案内のとおり、大変多くの流出ということを招いていた時期等もございました。したがって、地域医療全般としてこの医療技術、医師も含め、この看護師の方々も含め、あるいは理学療法士さんも含めでございますが、全体としてどうバランスよく地域で保つことができるかという施策を進めていくことが私としては大切であると考えております。

 昨今、いわゆる看護師さんの場面におきましては、毎年看護協会のほうにもお邪魔して、大会等に行っておるわけでございますけれども、いわゆる離職理由としての結婚であるとか出産であるとか育児であるとか、家事、介護、つまりライフステージにかかわるものが非常に多い、最も高いという状況にあるようでございます。

 私どもといたしまして、したがって、まず進める対策としては、離職防止のための医療機関、それぞれに対しましてのワークライフバランスを考慮した──女性医師のほうでもワークシェア等を進めているわけでございますが、柔軟な勤務体制、子育て支援等の取り組み、魅力ある職場づくりということが大事だと思っています。というのは、資格を有している方々が結構大量にいらっしゃるんですけれども、活用ができていないという段階がございます。したがって、医療政策全般の中において、地域医療を保つための施策として、今後とも、議員からのお話もございました。私としても、看護協会等の御意見等もしっかりと伺いながら対策を進めていきたいと、そう考えている次第でございます。

 詳細はまた、担当部長のほうからお話しさせます。

 

◯議長(田中順造) 健康福祉部長。

 

◯健康福祉部長(一瀬 篤) 再質問にお答えいたします。

 転職者等の防止等に関しましては、まず、日本国憲法二十二条で定めております職業選択の自由とありますので、それを直接規制するというのは非常に難しいと思います。また、各事業主といいますか、病院開設者等がやられます公平な採用ということにつきましては、そちらのほうも直接的な制限をかけるのは難しいと思います。

 ただ、一方で、議員がおっしゃられましたとおり、地域医療を担っておりますのは、大病院に限らず、無床診療所から始まりまして有床診療所、中小病院、それらの多くの医療関係者によって地域医療というのは担われているものだと認識しておりますので、それぞれの医療管理者が看護師を確保することをお手伝いするというのは、私どもの重要な任務だと考えております。

 それで、先ほどの弘前大学の附属病院のお話ですけれども、こちらのほうは採用が基本的に新卒を採用することとなっておりますので、中途採用といいますか、転職のほうを誘発することは少ないと考えておりますので、その影響というのは少ないという認識でございます。

 以上でございます。