2009年03月10日:平成21年第257回定例会(第8号)   本文

◯議長(田中順造) 議案第一号から議案第七十七号までを一括議題といたします。

 ただいま議題となりました議案に対して質疑を行います。

 質疑は議題外にわたらないように願います。

 二番高橋修一議員の発言を許可いたします。──高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) おはようございます。自由民主党の高橋修一でございます。久方ぶりに発言の機会をいただきました。よろしくお願い申し上げます。

 初めに、議案第十八号「青森県知的財産による新事業等の創出の推進に関する条例案」につきましてお伺いいたします。

 昨年、十一月に県庁内に知的財産支援センター準備室が設置されました。一連の品種登録問題への対応だけではなく、これまで県内産業界で知的財産の活用が進んでいない現状を課題としてとらえて、知的財産の活用を産業振興に結びつけようとする取り組みは、本県経済へのプラス効果や、新たな雇用創出に向けての一定の効果があらわれてくるものと期待するところであります。また、知的財産に係る施策、事業の展開のみならず、きちんと条例としてこのたび制定しようとすることは、このことに対する県のやる気のあらわれであると評価されるべきものと考えます。

 以下、本件につきましてお伺いいたします。

 まず、一点目として、本条例制定の理由につきましてお伺いいたします。

 二点目として、本条例の特徴の一つとして、県、事業者、大学等に加えて、金融機関の取り組みが規定されている点が挙げられます。そこで、県では金融機関にどのような取り組みを期待するのかお伺いするところであります。

 三点目として、条例の制定と申しましても、条例施行後の具体的な取り組みがより実りのあるものでなければなりません。そこで、本条例が実効性あるものとするために、県ではどのような取り組みを進めていかれるのかお伺いするものであります。

 次に、議案第七十四号「地方独立行政法人青森県産業技術センターの中期目標の策定の件」についてであります。

 十一月議会において、新法人の定款の制定と県所有の土地、建物等の移管に係る二つの議案が県議会において可決され、四月の独法化に向け、いよいよ最終の段階になったものと思います。これまでの諸準備も大変だったろうとお察しいたしますが、農林水産系と工業系の複数の試験研究機関が統合し、独法化するのは全国でも初の取り組みでもあり、全国的にも大変注目される先行事例となりますので、関係部局、また、このたび内定した新理事長のもと、万全の準備をしていただきたいと考えます。

 本議案につきましては、一般質問の中でも、中期目標の位置づけや目標達成による県民サービスの向上等について質問がなされたわけでありますが、中期目標実現のためにどのように取り組まれていかれるのかという観点から、以下、お伺いいたします。

 一点目として、試験研究機関が独立法人になることで、試験研究への取り組みがどのように変わっていくのか。

 二点目として、農工一体となった試験研究開発について、中期目標において各部門が連携し、それぞれの知見や技術を生かし、生産事業者からの需要に弾力的に対応した試験研究開発に積極的に取り組むとの記述がありますが、これはどのように進めていかれるのか。

 三点目として、中期目標に地球温暖化に対応した生産技術等の開発が位置づけられております。この試験研究課題にはどのようなものがあるのか。

 四点目として、目標を立てるのであれば、ぜひとも達成していただきたい、そのように思います。そこで、中期目標はどのような形で実現されるのかについてお伺いいたします。

 次に、議案第二十四号「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」及び議案第二十六号「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案」についてお伺いいたします。

 改正案を拝見いたしまして、いよいよ県の財政も非常に厳しい局面に入ったなと。特に特勤の見直しにつきましては、全般にわたって見直しが行われております。組合との交渉も大変だったろうし、よくまとまったなというのが率直な感想でもありました。いずれにしても、めり張りと申しますか、廃止、縮小すべきもの、一方で、引き上げるべきもの、これをきちんと精査し、また、県民の理解が得られるような見直しを進められたものと思います。

 本議案につきまして、二点お伺いいたします。

 まず、一点目として、職員の給与及び特殊勤務手当について、改正に当たっての基本的な考え方をお伺いいたします。

 あわせて、見直しに伴う影響額はどのようになるのかをお伺いいたします。

 二点目として、厳しい行財政環境下においては、県民目線での諸手当の見直しを進めるべきでありますが、一方で、職員の士気にも配慮の必要があろうかと考えます。このことについての県の見解をお伺いいたします。

 最後に、議案第五十号「青森県教育職員免許法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例案」についてお伺いいたします。

 本条例案改正については、その前提として、教育職員免許法改正に伴うものと理解しておりますが、教育職員免許法改正の趣旨と、このたびの条例改正の内容についてお伺いいたします。

 以上です。

 

◯議長(田中順造) 総務部長。

 

◯総務部長(海老原 諭) 二点お答えします。

 まず、職員の給与及び特殊勤務手当の改正に当たっての県の基本的な考え方等であります。

 県では、これまでも県人事委員会勧告や社会経済情勢の変化等を踏まえまして、県職員の給与を改定してきたところであります。今回の改正に当たりましても、これまでの基本的な考え方に基づき、昨年の県人事委員会勧告どおり、医師に対する初任給調整手当の額を改めるほか、新たな行財政改革大綱に基づく取り組みといたしまして、特殊勤務手当や僻地勤務手当等の職務の特殊性または勤務地の事情等考慮して支給される手当について、勤務環境や社会情勢の変化等踏まえまして、職員及び県民からの理解を得られるよう適正化いたしますとともに、安定した財政基盤確立のため、恒久的な改革成果の発現を目指して構造的、抜本的な見直しを行うこととしたものであります。

 これらの見直しによる影響額でありますが、一般会計ベースで、人事委員会勧告に基づく改定分といたしまして約二千万円の増額、一方で、給与の適正化分として約十二億三千万円の減額を見込んでいるところであります。

 次に、県民目線での諸手当の見直しを進める一方で、職員の士気にも配慮する必要があると思うがとの点であります。

 諸手当の見直しに当たりましては、職員の勤務環境や社会情勢の変化等を踏まえ、職員及び県民双方の理解が得られるものとなるよう、それぞれの手当の趣旨に照らして支給対象業務を改めますとともに、現行の給与制度や職員間、手当間の均衡が図られるような適正な支給水準を確保すること、これを基本としております。

 このため、諸手当の多くは、支給対象業務が廃止または縮小され、あるいは支給水準が引き下げとなるものでありますが、一方において、教員が部活動の指導業務に従事した場合に支給される特殊勤務手当の額を大幅に引き上げるほか、獣医師に対する初任給調整手当を導入するなど、職員の勤務の実態あるいは人材確保の要請にも配慮してきているところであります。

 県財政は依然として厳しい状況にありますが、今後とも勤務の実態や社会情勢の変化等を踏まえまして、職員及び県民の理解が得られるものとなるよう適切に対応してまいりたいと考えております。

 

◯議長(田中順造) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(九戸眞樹) 青森県知的財産による新事業等の創出の推進に関する条例案に関して三点お答えいたします。

 制定する理由です。

 特許、商標等の知的財産は、県民の豊かな生活を支える生業(なりわい)づくりの源であると考えています。このため、本条例を制定し、知的財産の重要性を広く周知し、知的財産が最大限活用される環境を整備することによって、知的財産による新事業の創出や本県産業活動の付加価値向上を図り、雇用の場の創出、県民所得の向上、地域産業の活性化を推進していきたいと考えております。

 金融機関の取り組みへの期待でございます。

 知的財産による新事業等の創出のためには、金融機関が持つ資金供給機能のみならず、金融機関の有する豊富な情報や経験が極めて重要となってくることから、本条例において、金融機関が知的財産による新事業等の創出に取り組む事業者の支援に主体的に取り組んでいただくよう規定させていただいているところです。

 具体的には、金融機関において、知的財産の活用による新たな事業の芽を発掘、育成していただくとともに、事業化に必要な資金を円滑に供給していただくことなども期待しております。県としても、来年度の事業として、評価が困難な新技術について有識者と金融機関が連携して評価することにより、円滑な資金供給が可能となるようなシステムの構築を検討してまいりたいと考えています。

 条例を実効性あるものにするための取り組みについてです。

 知的財産による新事業等の創出を推進していくため、県では、特許、商標等の知的財産に関する総合的な相談窓口として知的財産支援センターを開設し、各種相談に対応するとともに、県内各地において、特許、商標等に関するセミナーの開催や巡回相談を行うこととしております。

 また、知的財産による新事業や新商品の創出を支援するため、アイデア段階においては事業者が行う新規性、市場性の調査を支援するとともに、事業者のニーズと大学、試験研究機関の技術シーズとのマッチングを行います。事業化段階においては、知的財産の価値を客観的に評価するための技術目きき事業を行うとともに、効果的な支援が行われるよう関係機関の連携体制を強化するなど、アイデアから事業化までの各段階に応じた実効性のある支援を行ってまいります。

 

◯議長(田中順造) 農林水産部長。

 

◯農林水産部長(佐藤和雄) 地方独立行政法人青森県産業技術センター四点についてお答えします。

 初めに、試験研究への取り組みがどのように変わっていくのかについてであります。

 試験研究機関が地方独立行政法人化することにより、組織運営や試験研究等の業務推進の自由度がこれまで以上に高まることになります。具体的には、民間事業者等からの随時の研究要請や緊急を要する課題への優先的な予算配分と研究員の集中的な配置が可能となること。国等からの受託研究や外部資金の受け入れが随時可能となり、必要な試験研究に即時に着手できること。また、工業系と農林水産業系の統合により、これまで得られた両分野の技術等を組み合わせた新しい研究開発が期待できることなど、これまで以上に迅速で柔軟な試験研究への取り組みが行われることになります。

 次に、農工一体となった試験研究開発についてであります。

 青森県産業技術センターでは、これまで工業系や農林水産業系の試験研究機関が蓄積してきた研究成果に関する情報を各部門が共有化していくほか、部門横断的な技術検討会の開催や課題に応じた研究開発プロジェクトチームの設置、生産事業者や関連団体、産業界を招いての公聴会の開催による研究需要の的確な把握等に努め、農工一体となった試験研究開発の充実に努めていくことにしています。

 二十一年度には、クズナガイモの飼料化のためのカンソウナガイモの給与試験及び乾燥装置の開発、リンゴを活用した新しい美容製品の開発のための有力品種の選抜及び化粧品素材化の検討、LEDを活用したイカ釣り漁法の開発のためのLED水中灯の実用化試験及び操業試験などに取り組むことにしています。

 次に、地球温暖化に対応した試験研究課題についてであります。

 県では、地球温暖化の影響が、既に基幹作目である米やリンゴなどの生産にあらわれてきており、今後拡大していくおそれがあると想定されることから、中期目標に重点取り組み事項として位置づけ、来年度から、高温条件下でも品質が低下しない米やリンゴの新品種の育成や栽培技術の開発、暖地型病害虫の発生メカニズムの解明や効果的な防除技術の確立、海水温の上昇に耐える昆布の藻場造成手法の開発などを研究課題として試験研究に取り組むこととしています。

 次に、中期目標の実現についてであります。

 中期目標は、県が五年ごとに青森県産業技術センターの試験研究や組織運営のあり方等を提示する運営基本方針であり、同センターではこれに基づき、より具体的な取り組み内容を盛り込んだ中期計画を法人成立後速やかに策定し、これを着実に実施することで、中期目標の掲げる事項の実現を図っていくことになります。

 また、五年後の最終年には、この中期目標に基づき、外部有識者で構成する青森県地方独立行政法人評価委員会から業績評価を受け、その結果は議会に報告されることになります。

 

◯議長(田中順造) 教育長。

 

◯教育長(田村充治) 教育職員免許法改正の趣旨と条例改正の内容についての御質問にお答えいたします。

 現行の教育職員免許法は、中央教育審議会の答申を踏まえ、その時々で求められる教員としての必要な資質能力が確実に保持されるよう、必要な刷新とその確認を行うことが必要であるという趣旨に基づく具体的な方策として、教員免許更新制を導入するため、平成十九年六月に改正されたものであります。この教育職員免許法は、平成二十一年四月一日から施行されることとなっており、これに伴い条例の改正をする必要が生じたものであります。

 条例案の内容は、教員免許更新制の実施を受け、免許管理者である各都道府県教育委員会が更新講習受講対象者からの申請に基づき、有効期間更新等の各種証明書を発行することとなるため、所要の手数料を新たに定めるものであります。

 具体的には、免許状更新講習の修了確認の申請に伴う手数料として三千三百円、校長、教頭などの免除対象者の更新講習受講免除の認定に伴う手数料として三千三百円、病気休暇などやむを得ない事由により修了確認期限の延期申請伴う手数料として千七百円とするものであります。

 以上でございます。

 

◯議長(田中順造) 高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 御答弁ありがとうございました。

 まず、青森県知的財産による新事業等の創出の推進に関する条例案についてですが、条例の目指すところをなし遂げるには、やはり具体的な施策がいかに展開されるかにかかろうかと思います。

 先ほど御答弁いただきましたが、実施に当たってはアイデア段階から事業化に至るまで切れ目のない支援が必要なことは、これはもちろんであろうかと思います。しかしながら、実際にはさまざまな課題が予想されます。非常にローカルな問題もありましょうし、また、海外の市場開拓であったり、そういったグローバルな問題もあろうかと思います。また、現在の経済の状況を見れば、県内の中小企業にあっては、知的財産の活用まで手が回らないというのも実情としてあろうかと思います。

 知的財産といいましても、農業、商業、工業、あるいは食等々、そのすそ野も広いと思われます。そういった意味で、県としても、限られた予算、人員の中で、どの分野に力を注いでいくのかも問われることと思います。

 いずれにしても、最終的にはどのようなすばらしい知的財産があったとしても、製品化、商品化の末に、それが商売として成り立たなければ成功したとは言えないものと思います。そういった意味で、県内の企業に、また地域に利益をもたらす、そういったことが将来的に問われますので、その点を踏まえて施策の展開に当たっていただきたい、そのように考えます。

 一点、再質問させていただきたいのですが、知的財産に関して独法の青森県産業技術センターと県の知的財産支援センター、知的財産の活用に関してその連携が必要不可欠であろうかと考えます。このことについてどのように連携していくお考えなのかお伺いいたしたいと思います。

 次に、地方独立行政法人青森県産業技術センターの中期目標の策定の件についてでありますが、まず、これまで行われてきた研究機関としての機能をしっかりと継続していくことが求められるものと考えます。

 また、先ほどの知事部局内の知的財産支援センターとの連携や協力も必要でありましょうし、独法化に伴って、青森県の地域特性、また時代に即した新しい研究開発の取り組み、これをどのように進めて、いかに本県の産業技術の向上に結びつけることができるのかが今後問われてくるものと思われます。

 中期目標の実現に向けたさまざまな取り組みによって、本県の地域、地場の産業振興にこれまで以上に寄与されることを大いに期待したいと思います。

 職員の給与と特勤手当の改正については、私から申し述べることは何らありません。今回のような見直しが提案されたことを高く評価したいと思います。

 最後に、教育職員免許法改正とこれに伴う条例改正についてでありますが、先般、「正論」という月刊誌でこのような記事を拝見いたしました。

 安倍晋三元内閣総理大臣と、参議院議員で、安倍・福田内閣において教育再生を担当された山谷えり子先生の対談でありました。この中で安倍先生は、教育再生に関して、先生たちの意識改革にも期待している。現場の先生たちのほとんどは熱心に教育活動に取り組んでいる。そういう先生たちが適切に評価されるようにと、この教員免許更新制を取り入れました。逆に、指導力を著しく欠くような先生には教壇から去っていただく。そういう緊張感がこれからの学校には必要だと述べられております。

 教育の再生は自由民主党結党以来の悲願でありますし、安倍内閣が最も力を注いだ美しい国づくりの象徴でもありました。ようやく二年の時を経て、教育の再生の一環としてこの免許制が導入されますので、この取り組みを注視してまいりたい、そのように考えます。

 県教育委員会においては、法改正の意義、また、法改正に係るこれら経緯を十二分に踏まえた上で今後の免許更新制の実施に当たっていただきたい。このことを強く要望申し上げまして、私の質疑を閉じます。

 

◯議長(田中順造) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(九戸眞樹) 知財に関して二つの機関がどのように連携するかについてです。

 四月に設置される地方独立行政法人青森県産業技術センターでは、同じく四月に県庁内に設置予定の知的財産支援センターと連携し、知的財産による産業活性化のために新たな事業及び付加価値の創出に資する研究並びにその成果の普及に取り組むこととしております。

 具体的には、事業者等への訪問や相談内容に応じて研究段階からきめ細やかな支援を行うとともに、両機関の持つシーズ、ニーズ情報を共有することにより、事業者等の効果的な事業化に結びつけていくこととしております。また、法人化に伴い、県から産業技術センターへ譲渡される知的財産についても、相互に情報を共有し、適正な管理に努めるとともに、事業化に向けて特許流通等を加速させることとしております。

 このように、産業技術センターと知的財産支援センターが緊密に連携し、それぞれの機能を十分に生かし、事業者の支援等に取り組むことによって、本県における知的財産による新事業等の創出を図り、地域産業の活性化につなげてまいりたいと考えております。