2008年12月08日:平成20年環境厚生委員会 本文

◯阿部委員長

 ほかに意見等はございませんか。

 [「なし」と呼ぶ者あり]

 ないようであります。不採択と採択の意見が相出ましたので、起立によって採決をいたしたいと思います。

 本件を採択とすることに賛成の方は御起立を願います。

 [賛成者起立]

 起立少数であります。よって、本件は不採択とすることに決定いたしました。

 次に、所管事項について質疑を行います。

 なお、質疑は所管外にわたらないよう簡明に願います。

 質疑はございませんか。──高橋委員。

 

 

◯高橋委員

 それでは、私の方から質問させていただきたいと思います。

 先月27日、七戸町におきまして、4歳の女の子が死後1年近くたって発見される事件が発生いたしました。また、今月5日になって、青森市におきましても、出産後約1週間の女の子が死後2年を経て発見されるというふうな事件が発生いたしました。

 両事件とも死因についてはいまだ不明のようでありますけれども、実の母親が自宅のアパートの段ボールに相当の期間実子を遺体のまま隠し続けていたと。余りに残虐で痛ましい事件が県内で続いている状況であります。

 初めに、これらの事態に対する県としての見解をお伺いいたしたいと思います。

 

 

◯川嶋こどもみらい課長

 まずもって、七戸町、そしてまた青森市で起きましたこの事件で亡くなられましたお子さんの御冥福を心からお祈りしたいと思います。

 事件の詳細につきましてはまだ明らかになっておりませんので、見解を申し上げる段階にはございませんけれども、一般論といたしましては、要保護児童の発見に万全を期する必要があるであろうと考えてございます。

 県では、これまでも、市町村に対しまして、母子保健活動や医療機関との連携等により虐待発生のリスク要因を見逃さないように留意し、適切に対応するよう要請してまいりましたが、改めて児童の安全確認の体制を点検する必要があると考えております。

 以上です。

 

 

◯高橋委員

 このような事態を受けて、県は今後どのような再発防止策を講じていくのかお伺いいたします。

 

 

◯川嶋こどもみらい課長

 去る12月2日付で、各市町村に対しまして、虐待を受けたと思われる児童の早期発見、早期対応による安全確認を徹底するよう文書で要請いたしました。

 具体的には、安全確認の重要性を認識すること、一時的な予防活動が重要であることから、内部及び外部から適時適切に情報を収集すること、兄弟への対応の留意点などでございます。

 また、来る12月12日には、各児童相談所長を招集し、市町村における安全確認体制の点検に係る助言及び連携の強化について指示を行いたいと考えてございます。

 なお、七戸児童相談所におきましては、既に12月4日に管内の市町村の担当課長会議を招集し、今回の事件を受けまして、市町村での安全確認の取り組みを要請したところでございます。

 県といたしましては、市町村等と連携し、要保護児童の発見に万全を期していきたいと考えております。

 以上です。

 

 

◯高橋委員

 ただいまは万全を期していきたいとの御答弁でありましたけれども、福島でも、一昨日でしたか、アパートの一室で乳児の2遺体が発見されたという報道もございました。いま一度、その子供たちの死というものを我々は重く受けとめて、こうした子供の死を決してむだにすることなく事件の再発防止を図っていくのが、社会というか、我々の責務であろうかと思います。

 そういった意味で、二度とこのような事態が発生しないように、総ざらいで検証していただいて万全な対策を講じていただきたいと、そのことを強く要望いたします。

 次に、県立つくしが丘病院の改築・改修工事と自殺防止対策について御質問させていただきたいと思います。

 まず、県立つくしが丘病院では改築・改修工事が進められており、平成21年3月に改築棟が、また同年10月には改修棟が完成する予定と伺っております。この新しい病院の概要並びに医療機能についてお伺いいたしたいと思います。

 

 

◯木村運営部長

 ただいまの委員のお話のように、つくしが丘病院につきましては、平成21年3月に改築棟が、また、同じ年の10月には改修棟が完成する予定となってございます。

 改築・改修後のつくしが丘病院でございますが、従前の6病棟350床体制から5病棟230床体制とする予定でございます。

 新しい病院の特徴といたしましては、患者1人当たりの病室面積を広くいたしまして、6床室を廃止するなど療養環境面に配慮をしていること、また、急性期医療等に対応するために個室や保護室等を多くしていること、また、救急医療にスムーズに対応するために救急車の入り口を設けることとしていること、そのほか、外来ホールを広く、しかも明るくして、受診しやすい雰囲気づくりに配慮していることなど、精神科医療施設にふさわしい施設とする予定としております。

 また、医療機能面におきましては、精神科の急性期医療に重点を置きまして、医療従事者のチーム医療の強化を図ること、また、治療への抵抗等の問題行動を繰り返す等により他の医療機関では治療が困難な患者さんを積極的に受け入れること、専任の医師の確保を図り、児童青年期医療の強化を図ること、そのほか、認知症疾患に関する相談等についても積極的に対応していくこと、これらを考えているところでございます。

 以上です。

 

 

◯高橋委員

 先日、県立つくしが丘病院の方から広報誌「すぎな」というのが送られてまいりました。その中で、この病院に入院されている患者さんが寄稿された文章を私は読んだんでありますが、「あれから12年過ぎた残滓」というタイトルで、次のように患者さんが寄稿されております。

 「12年の間、仲間が沢山逝った。6病棟だけでも覚えているのは、O氏、T氏、I氏、Sちゃん、Y氏、S氏、S、5病棟へ来てからS氏と、知る限り片手を越える。逝った後の家族、看護師、先生、そして残った俺たちの涙を知って居るのか。病院は自ら命を絶つ所ではない。勝って笑う所ではないか。病気と同居し仲良くやって行く所ではないか」と。抜粋でありますけれども、こういった文章が寄稿されておりました。

 これを見る限り、精神科の病院内で自殺する患者さんが数多くいるようであります。県立つくしが丘病院における自殺防止対策についてお聞かせいただきたいと思います。

 

 

◯木村運営部長

 精神病院の入院患者さんの中には、うつ病等の症状で、私は死ななくてはいけないという強迫観念を抱く、いわゆる希死念慮といいますが、これは、いわゆる自殺願望と異なりまして、精神障害等により正常な判断ができない状態になることでございますが、こういった希死念慮が強くなりまして、まれに自殺を図る方もいらっしゃいます。

 このため、今回のつくしが丘病院の改築、改修に当たりましては、病室のドアノブやカーテンレールなどについて、物をひっかけることができないタイプのものとしていること、また、収納だんすの洋服掛けについても低重量で落ちるように工夫していること、病棟内のガラスにはすべて強化ガラスを用いて、衝突による転落を防ぐこととしていることなど、可能な限り自殺の防止に配慮しております。

 また、看護師による観察等も有効であると認識しておりまして、従来から自殺リスクの高い患者さんに個別の観察等の対応をしてきているところでございますが、今年度からはさらに、自殺チェックリストを用いまして、個人別に自殺企図に関するチェックを継続して行い、一層の情報共有あるいは観察技術の習得に努めているところでございます。

 今後とも、御家族の方々とも十分相談しながら、自殺が発生しないよう鋭意努めてまいりたいと考えてございます。

 以上です。

 

 

◯高橋委員

 御答弁ありがとうございました。病院内での自殺、これは、つくしが丘病院一病院だけの問題ではなくて、他の精神科の病院あるいは一般の病院においても同じ課題として認識する必要があろうかと思います。

 この問題に対して、健康福祉部の方との事前のやりとりの中では、県内の病院内での自殺の実態というものは把握されていないということでありました。その後私もいろいろ調べたんでありますが、ある寄稿で、病院内における自殺予防というような提言書も取りまとめられているようです。この提言の中では、病院内で自殺対策がおくれているという現状を指摘して、また調査結果を踏まえて、病院内の自殺予防対策の実行について、環境の整備など11項目が提言としてまとめられております。

 そもそも、病院が命を救う場であれば、病院内での自殺の発生というのは恥ずべきことであろうかと思います。自殺の防止について、医療の現場でも取り組むべき課題であろうかと、そのことを認識する必要もあろうかと思います。このことを私からの意見として付して、私からの質問を閉じさせていただきたいと思います。終わります。