2008年06月13日:平成20年第254回定例会(第4号)   本文

◯副議長(大見光男) 二番高橋修一議員の登壇を許可いたします。―高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 本日朝、私は、母校青森戸山高校に行ってまいりました。詰め入り学生服の男子生徒、ネービーブレザーに千鳥格子のスカートの女子生徒、通学途中の後輩たちの姿に二十年前の自分を重ね合わせながら、忘れかけていた高校生のころに戻ったかのようでありました。

 ちなみに、本日の私のネクタイの色は戸山高校のスクールカラーであるブルーです。そして、母校を前に、改めて母校への誇りと愛校心とは何かということを考えました。創立以来、青森戸山高校の生徒たちは一歩一歩歴史と伝統を築いてきました。母校への誇りは、この間の生徒たちがつくり上げてきた高校生活そのものだと思います。

 三年間の日々を勉学に励み、部活に汗し、恩師を慕い、友情をはぐくむ、たくさんの感動を心に刻む営み、この感動の蓄積があってこそ、初めて愛校心がわくものだと思います。これこそが自分たちの学校であるという思いを強め、誇りを持たせ、愛校心を豊かにしてきたのです。

 後輩たちに、青森戸山高校こそ我が心のふるさとと思えるよう、さらにすばらしい高校生活を送ってほしい。どうか君たちの手によって青森戸山高校への愛校心という大木を絶やすことなく育ててほしい。このことを後輩諸君へのメッセージとし、青森戸山高校存続のために、私は不退転の決意で臨むことを初めに申し上げ、県立高等学校教育改革第三次実施計画案について順次お伺いいたします。

 さて、今回の高等学校の再編に対して、私ども県議会はどのような役割を負っているのでしょうか。実施計画は最終的に県教育委員会で成案化されます。その後、閉校に係る県立学校設置条例の改正案が県議会に別々に時期を変えて提案され、我々はそれを審議する役目を担うことになります。しかし、その時期は年度末に閉校を控えた直前の三月議会。閉校される学校は既に募集停止が始まっており、そのときの在校生は卒業式を終えた三年生のみです。

 今、成案化される実施計画の内容に沿った後追いの条例改正案を審議することしかできず、その時点で生徒がいない県立高校の存在を訴えたとしても、後の祭りとしか言いようがありません。

 採決時、反対の意思を示したとしても、無人高校の存続をよしとする事態となり、反対多数で否決されたとしても、生徒が一人もいない高校を存続させるという哀れな結果となります。

 議決権を有する議会と執行機能を持つ長との相互牽制、均衡を通じ、公正と民主制を確保しようとするのが二元代表制であります。私ども議員は、住民による直接選挙で選ばれた、各地域の意見を県政に届けるいわば住民の代弁者です。本来、県政に対する私たち一人一人の権限と責任は重いはずです。

 しかし、今回の高校再編にあっては、どう見ても執行部のほうが優位に立ち、議会はただ追認するしかなく、県内で極めて関心が高いこの案件に対し、議員としての質疑や議決権という基本的権限すら満足に行使できないことが何ともやりきれないばかりであります。

 それだけに、県教育委員会はこのたびの実施計画の成案化について重く重く受けとめなければなりません。県議会による条例案議決よりはるかに重い最終決定を県教育委員会は成案化という形で行おうとしているのです。

 私は、教育に限らず、県政の主役は県民でなければならないと考えます。間違いなく県民の総意が得られていない現段階で成案化を押し通す県教育委員会の進め方は到底受け入れられません。

 今定例会において、必要に応じて修正するとの御答弁を繰り返しておられますが、本実施計画を成案化するに当たり、地域の代弁者である私ども県議会議員の意見が何ら反映されないとすれば、県教育委員会主導の実施計画の成案化と言わざるを得ません。このことを踏まえ、成案化に向けた御見解と今後の対応を教育長にお伺いするものであります。

 次に、県教育委員会委員長にお伺いいたします。

 今述べたように、県教育委員六名の責任と権限は、この議場にいるだれよりもはるかに重いものとなります。本定例会において、各会派、各議員からさまざまな意見、質問、要望が出されております。また、これまで各校関係者が存続を求めて署名活動を行い、陳情、要望も多数提出されております。教育委員会の最終決定の場では、これらをどの程度反映していただけるのでしょうか。果たして実施計画案の修正には応じていただけるものなのでしょうか。

 そこで、七月の県教育委員会会議での本実施計画の最終決定に向け、これまで出されたさまざまな意見や要望などにどのように対応するのか、県教育委員会委員長の御見解をお伺いするものでございます。

 次に、知事にお伺いいたします。

 昨年、青森市においても小中学校の統廃合について三十万市民が議論に議論を重ねました。青森市に限らず、他県や市町村においても、首長は、学校再編に対し、まさに政治生命をかけて取り組んでおられます。他県議会や市町村議会において、首長みずからがみずからの言葉でその考えを県民や市町村民に示されております。政治手腕が問われるのです。

 そこで、本実施計画の成案化に対する知事の御所見をお伺いいたします。

 次に、実施計画の策定、公表までの経緯と対応についてであります。

 昨年十月、高等学校グランドデザイン会議より今後の県立高等学校の在り方についてが答申されました。同会議は、公開の場で透明性を確保し、一年半にわたり御議論されたわけでありますが、有識者や学校関係者の皆様の議論の末に出された答申について、ここでは否定しません。

 この答申を踏まえ、県教育委員会では、実施計画の策定のため、高校教育改革推進庁内検討委員会を設置し、素案、実施計画案を公表いたしましたが、この庁内の検討委員会において、どのような議論のもと、このたびの実施計画案が策定されたのか、私には知るすべがありません。

 そこで、本実施計画案を策定する高校教育改革推進庁内検討委員会の組織構成、役割、これまでの議論の内容についてお伺いします。

 次に、実施計画の成案化までの対応とスケジュールについてです。

 三月末、閉校の高校名が公表されましたが、このことでそれぞれの地域でなお議論が錯綜している現状にあります。一般的に言って、行政が計画策定する場合、いわゆるたたき台は必要です。今回の高校再編に関して、高校名を具体的に挙げて議論のたたき台にするというのは果たしてどうだったのでしょうか。悩ましいところではありますが、単に会議で議論してもらうためのたたき台とは確実に異なる性質のものです。第二次実施計画まではこれでよかったのかもしれません。

 しかし、第三次実施計画では、これまでと違い、三市の普通高校六学級以上、そのほかすべての高校四学級以上というかなり厳しい条件を設定し、しかも、これまで学級減や校舎化、あるいは校舎化された高校の閉校で対応してきたものを、聖域なく閉校を推し進める大改革を行おうとしているのです。

 そこで、第三次実施計画の策定に当たっては、これまで以上に地域との十分な話し合いを行い、慎重に拙速を避けるということが大事と考えるところであり、情報公開と県民参加の姿勢で取り組むべきと考えますが、御見解をお伺いいたします。

 また、今回の実施計画の成案化の時期は、七月にこだわらず、さらに延ばすことも必要と考えますが、御見解をお伺いいたします。たとえ一時の先送りをしたとしても、県民の教育行政に対する信頼を失わないためにも、勇気を持って英断されるべきです。

 ここからは、青森戸山高校の閉校、統合についてお伺いいたします。

 三月三十一日実施計画案公表。青森戸山、平成二十四年度末閉校、統合先は青森東との記載。我が目を疑うと同時に、これでも県議の一員、また、青森市選出であり、しかも戸山高校卒である以上、執行部から何らかの協議があってしかるべきではないかというのが偽らざる気持ちでございました。考え方によっては屈辱であります。

 政治家として力及ばず倒れることを私は決していとうものではありませんが、議論を尽くせず、むなしく場外へ去るのは極めて残念なことです。なるほど、政治家として私の評価は定まっていない。しかし、私はこれをしっかり屈辱と受けとめ、肝に銘じて忘れません。ここでいたずらに悲憤に沈むことは疲労を増すだけの愚弄、悔しくとも忍び、耐え、今まで以上に地道な努力を重ねて、いつの日か政治家としての信頼を博するまでおのれの力を養おうじゃないかとさえ思っております。

 さて、戸山高校は、昭和五十八年四月八日、生徒、教職員が初めて校歌を斉唱してから本年で二十六年を迎えました。戸山高校を語る上で忘れてはならない方が、開設準備委員長であり、初代校長でもある竹内洪先生と、同じく開設準備委員として汗し、後に二代目校長となった永井敏彦先生です。

 戸山高校は、初代竹内校長が作詞された校歌の歌い出しにあるように、南に高き八甲田を望むすばらしい教育環境にあり、竹内先生が制定された校訓、剛毅、叡智、信愛のもと、その教育目標を、真理と正義を愛し、心身ともに健康で、国家及び社会の進展に寄与する個性豊かな人材を養成することを掲げております。八甲田山の厳しい氷雪に耐えてそびえ立つアオモリトドマツの雄姿をかたどる校章もこの精神の象徴であり、校章とともに女子生徒の制服をデザインされたのが永井先生でございます。

 校訓第一の剛毅の精神は、青森戸山高校の指針、目標として受け継がれ、生徒を鼓舞し続けてきました。

 現在、大学進学率が八〇%を超え、生徒と教師が一体となって進路実現に努め、国公立大に五十から七十人、私立大に百五十人規模で輩出するなど、着実に実績を伸ばしています。部活動も盛んで、バスケットボール部女子が県下を制したことを筆頭に、各部が上位進出するなど、文武両面で在校生の努力は大きな成果として証明されております。

 平成十五年には、本県唯一の美術科が設置され、今春三回目の卒業生が巣立ちました。美術科の生徒たちは、美術大学に匹敵する美術棟で専門の授業を受け、また、国内外の研修等で技量を高め、はんが甲子園やファッション甲子園に出場するなど頑張っています。卒業生も芸術大学やデザイン系専門学校に多数輩出しております。

 初代竹内校長は、開校翌年の第二回入学式において次の式辞を新入生に贈りました。この式辞に戸山高校がいかなる高校であるかが集約されております。

   二十一世紀からの留学諸君。

   戸山高校はまだ若い。

   昨年誕生したばかりでまだまだ未確定、未整理の分野が多い。

   既存の先輩高校に比して、残念ながら劣る面なしとはしない。

   しかし、やがて彼らに追いつき、そして引き離すだろう。

   その源泉となる校風の樹立、伝統の形成、これは諸君の双肩に

  かかっている。

   一足先に入学した第一期生と協力して、凛たる歴史を築き上げ

  てほしい。

   その努力はそのまま諸君の二十一世紀を抱く力である。

   あと十六年で新しい世紀を迎える。

   そのとき人間社会の代表として光を放つのは我々の世代ではな

  い。

   若い諸君の出番であります。

   我々教職員は、諸君を二十一世紀からの留学生として待遇し、

  誠実に諸君を練磨することを誓います。

 私どもは、竹内初代校長の教え、いわば剛毅の精神を三年間たたき込まれました。この精神は脈々と戸山高校に引き継がれております。そして、この二十六年の間、高等教育機関として、他の高校に比べ、早いスピードで発展し続けております。

 実施計画案に示された望ましい学校規模は、三市の普通高校が一学年当たり六学級以上としておりますが、戸山高校は一学年六学級を保持しており、過去五年間の入試倍率も一・一九倍から一・四二倍の間で推移し、定員も割ってはいません。

 戸山高校は、教育長が何度も御答弁されているとおり、生徒が互いに切磋琢磨できる環境であり、相手に対する思いやりなど豊かな心を身につけるとともに、みずからの可能性を切り開くための人間力を身につけ、さまざまな課題に柔軟かつたくましく対応できる人づくりに向けた教育を推進する環境がしっかりと確保されております。存続対象校となることはあっても、閉校の対象校となる理由などみじんもありません。

 そこでお伺いいたします。

 青森戸山高校は存続すべきと考えますが、どうか。また、青森戸山高校が閉校の対象となった理由をお伺いいたします。

 さて、今回の実施計画案においては、青森戸山だけでなく、県内で六校が閉校の対象として示されたわけでありますが、よくよく調べてみると共通点がございました。それは創立年度です。田名部高大畑校舎(旧大畑高)が昭和五十六年、青森戸山と八戸南が昭和五十八年、弘前南大鰐校舎(旧大鰐高)昭和五十八年、南部工業が昭和六十年、七戸高校八甲田校舎(旧八甲田高)が昭和六十三年におのおの創立。我々、団塊ジュニア、第二次ベビーブーム世代が高校入学に対応するために創立された高校が、今回、軒並みすべて閉校対象として憂き目を見ることとなりました。このことを何度ただしても、頑として認めようとはせず、それぞれに募集停止の理由をつけられ、偶然の一致で片づけられました。果たして本当にそうなんでしょうか。

 この時期創立された一部の高校だけが閉校の痛みを負うことが不思議でなりません。県立高校再編は、全県すべての高校の共通課題であり、一部の高校のみを対象とした再編であってはならないと考えますが、どうなんでしょうか。

 次に、統合についてであります。

 一月末の素案段階では、東青地区について、市部の高校を統合し、望ましい学校規模・配置を進めますとの記載でありました。注目すべきは、ここでは閉校という文字は一つもなかったということです。加えて、統合は普通高校に限定していなかったということです。そして、三月末公表の案の段階で、青森戸山、平成二十四年度末閉校、統合先の学校は青森東高等学校という記載に変わりました。また、このとき職業学科や総合学科は聖域化され、市部の普通高校一校を募集停止し、望ましい学校規模・配置を進めますとの記載に変わりました。

 私は、一月時点においては、文字どおり、統合という言葉を使うからには、複数校が持っている特色を保持しつつ、新たな学校の形を築いていくものだととらえておりました。また、統合は普通高校に限定されないものだと思っておりました。しかし、一体何なのでしょうか。判明している実施計画案には、統合の実質、そのかけらもありません。なぜ一校だけ、統合先は○○高校などという一方的かつ不公平な統合に耐えなければならないのでしょうか。なぜ一校だけ、統合先の学校では、閉校となった高校の指導要録等を引き継ぐとともに、卒業証明書の発行に対応しますなどという、事務引き継ぎ以外何物でもない統合に耐えなければならないのでしょうか。

 青森戸山は、統合の名のもと、疎外されました。自分たちが疎外されたことを、生徒、保護者、教職員、同窓生等関係者は既に理解しています。保護者、教職員、同窓生等の大人はまだしも、生徒たちの間にもこのことに対する不信感が広がっています。どうして、県教育委員会による配慮なき言葉で純真な生徒たちの心まで傷をつけなければならないのか、皆怒りに震えています。いまだ県民の多くはこのことを理解していないようで、一般的に考えられる統合ととらえている方が大多数です。歴史や卒業生の数、年齢構成は違うにせよ、高校生活の期間はだれにも共通であり、母校に対する思いはどちらも同じだと思います。

 そこでお伺いいたします。

 統合という言葉を使うからには、関係する両校に対して平等であってしかるべきです。県教育委員会が考える統合とはどのようなことなのですか。また、県教育委員会が行う統合の具体的な進め方をお示しください。

 次に、高校再編と校舎の関係についてであります。

 青森市内の県立高校は、青森東が一昨年、青森高校が昨年、それぞれ校舎が新築され、青森工業高校も新築移転を控える中にあって、時を同じくしてこの三校の間に挟まれた青森戸山高校が廃止されるということは、周到に計画されていたとの声さえ上がっています。

 一方で、市内県立高校一校が耐震基準を満たしておらず、将来的に青森戸山の跡地に移転するのではないかといううわさもまことしやかに流れています。仮にこのような事態となれば、戸山高校は東高校に無理やり校名を奪われ、その上、他の学校に校舎を奪われるのも同然。人に例えるなら、無理やり名前を奪われ、家を奪われるのも同然です。余りに無残であります。

 将来、このようなやり場のない怒りが生まれないか非常に心配をしております。数年後、あのときわかっていればという声が上がりかねません。ここで隠しているとすれば余りに不誠実です。この場ではっきりしてください。

 そこで、統合後の青森戸山高校跡地に他の高校が移転することになるのかをお伺いするものでございます。

 次に、実施計画の具体化についてであります。

 実施計画案は、学校規模・配置計画に係る記述が大半を占めます。本来重視されるべき教育内容・方法に係る事項については、基本的な考えを示しているだけです。具体的実施計画には、学校規模・配置計画に係る記述のみで、教育内容・方法に係る記述が一切ございません。学校規模・配置計画については、向こう五年間の実施年度がしっかりと設定され、俄然やる気を感じますが、教育内容・方法に係る改革は、年度が設定されることもなく、数値や成果の目標も設定されないのであれば何ら具体性を感じることができません。これでは高等学校の教育改革の実施計画とは言いがたいものがあります。

 単に生徒数の減少に合わせて学校の統廃合、学級数減だけを論じることに、あきれて物も言えません。タイトルに県立高等学校教育改革第三次実施計画とはうたっているものの、単なる学校再編計画と受けとめてしまいますが、どうなんでしょうか。

 さて、ここまで第三次実施計画案についてお伺いしたわけでありますが、お聞きしたいこと、御確認したいこと、そして御議論すべきことがまだまだたくさんございます。

 今回の閉校対象校の選定は、県教育委員会にとっても苦渋の提案であったという言葉を何度も耳にしました。しかし、存続を求める方々からすれば、それがいかに苦渋であろうがなかろうが、閉校対象として提案されたことに違いはありません。苦渋という言葉をまるで決めぜりふのように何度も使ってこのまま乗り切ろうと思われたら、たまったものではありません。執行部であるあなた方が理に加えて情を持ち出し、交渉材料とするのは余りにひきょうです。存続を求める方々に対して感情論で反対しているとのさげすんだ御意見もある中で、それでもなおその方々ほど情を捨て去ることはできないのです。

 私は、学校の統廃合は、いつか、だれかがどこかで、苦渋であろうがなかろうが、決定しなければならないものだと思います。もっと言えば、何を拙速に県教育委員会だけで自分よがりの苦渋をしているのだということです。

 存続を求める方々は、その苦渋を回避する方策をともに見つけ出そうと言っているのです。結果として議論は平行線をたどり、苦渋を分かち合うのかもしれません。着地点を見出せず、立ち行かなくなる可能性を恐れるのもよくわかります。しかし、その努力すらせず、わずか三カ月のやりとりでこのまま押し切ろうとするやり方は到底受け入れることはできません。

 最後に、あおもりの未来をつくる人材の育成についてお伺いいたします。

 知事は、近い将来において本県を支えていくこととなる高校生などの育成について、どのような思いを持って、どのように取り組んでいかれるのかお伺いし、また、傍聴いただきました皆様に感謝申し上げ、壇上からの質問を終わります。

 

◯副議長(大見光男) 知事。

 

◯知事(三村申吾) 高橋議員の御質問にお答えいたします。

 県立高等学校教育改革第三次実施計画案につきましての所見であります。

 私ども青森県では、青森を愛する人づくり戦略を策定し、青森県づくりの基盤となります人財―人の財(たから)の育成を県政の最重点課題の一つとして位置づけております。

 県教育委員会が公表いたしました県立高等学校教育改革第三次実施計画案は、高等学校グランドデザイン会議の答申を受けて、県立高校における活力ある教育活動の推進に向けた方向性を示したものであり、未来の高校生のための教育環境づくりであると理解をいたしております。なお、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき、県立学校に関する事務は、独立した行政機関である教育委員会の所管事項となっておりますことから、成案につきましては、本議会での議員各位の御意見やこれまで寄せられたさまざまな要望等を十分に検討した上で県教育委員会において判断されるものと考えております。

 あおもりの未来をつくる人財の育成に係る取り組みについてであります。

 私は、何事をなすにも人財が基本であり、この人の財(たから)―人財の育成こそが未来の青森県づくりの基盤と考えております。しかし、人財は一朝一夕に育つものではございません。社会の新たな発展の礎であり、地域社会が全体で育てていくことが重要であると認識いたしております。県民の皆様、そして広く各分野の方々と連携、協働しなければ進めていけないものであると強い思いを持っております。

 そのため、昨年九月に策定いたしましたあおもりを愛する人づくり戦略に基づき、あおもりの未来をつくる人財とおおもりの今をつくる人財の育成のための取り組みを進めることとしております。

 このうち、あおもりの未来をつくる人財である子供たちについては、たくましく成長し、それぞれの夢や志の実現に向かって自主的に取り組んでいけるよう育成する必要があることから、子供たちの発達段階に応じて、ふるさとを発見する力、自己を革新する力、目標を実現する力の三つの力をはぐくんでいきます。

 特に、近い将来において、本県の産業経済や地域を担い、牽引していく大きな原動力となる高校生につきましては、ふるさとの姿を知り、そこから生まれるふるさとへの思いをもとに、みずからの夢や志を実現するために、進取の精神、挑戦する意志を持って自己の人生と本県の新しい未来を切り開いていく人財として育成していけるよう、教育委員会ほか関係主体と連携しながら取り組んでいきます。

 私からは以上です。

 

◯副議長(大見光男) 教育委員長。

 

◯教育委員長(川村恒儀) 高橋議員からの御質問にお答えいたします。

 教育委員会は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律において、教育に関する事務を執行する機関として独立した行政機関の一つであります。私ども教育委員は、その役割と責任の重さを十分認識した上で職務に当たらなければならないと考えております。

 県立高等学校教育改革第三次実施計画案について、その検討段階から状況等について事務局から説明、報告を受け、その都度意見を述べるとともに、必要に応じ指示をしてきたところでございます。

 第三次実施計画策定に当たりましては、今後、本議会で議員各位からちょうだいした御意見、地区説明会等で寄せられた御意見、さらには、いただいた要望等についても、その内容について事務局に十分検討を行わせた上、実施計画案を慎重に審議した上で、七月下旬をめどに成案を決定してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

 

◯副議長(大見光男) 教育長。

 

◯教育長(田村充治) 県立高等学校教育改革第三次実施計画案についての御質問十点にお答えいたします。

 初めに、実施計画案を成案化するに当たり、地域の代弁者である県議会議員の意見が何ら反映されることがないとすれば、県教育委員会主導の成案化と言わざるを得ない。このことを踏まえ、成案化に向けた今後の対応について伺いたいであります。

 県立高等学校教育改革第三次実施計画案を策定するに当たり、県教育委員会では、高等学校グランドデザイン会議から提出された答申の説明会を初め、実施計画案についての説明会、素案を公表した上での意見募集、パブリックコメントの実施など、さまざまな機会の中で県民の方々から多くの御意見をいただいてまいりました。また、これまでも、定例県議会の都度、議員の皆様から高等学校教育改革に関してさまざまな御質問、御意見をちょうだいしてきたところであります。

 県議会において、県民の代表である議員各位から教育行政についての御質問や御意見をいただき、このことに対して御説明申し上げることは、県民の皆様に対して説明責任を果たすための重要な機会であると考えております。

 実施計画案に対して、本議会で議員各位からちょうだいした御意見とともに、これまで、さまざまな機会をとらえ、県民の皆様からいただいた御意見、御要望等についても、その内容について十分検討を行い、必要がある場合、修正を加えた上で七月下旬を目途に成案を策定したいと考えております。

 次に、本実施計画案を策定する高校教育改革推進庁内検討委員会の組織構成等についてであります。

 県教育委員会では、高等学校グランドデザイン会議からの答申を受け、平成二十一年度以降における高校教育改革の推進に係る具体的な実施計画の策定に向けた検討を行うため、平成十九年十月二十二日、庁内に、教育次長を委員長とし、教育政策課、学校施設課、義務教育課、県立学校課、生涯学習課、スポーツ健康課の六名の課長で構成する高校教育改革推進庁内検討委員会を設置しました。また、下部組織として、関係課のグループリーダー等十一名で構成するワーキンググループを設けたところであります。

 平成二十年三月三十一日の第三次実施計画案の公表まで、ワーキンググループは六回、検討委員会は十七回開催し、例えば、地区ごとの中学校卒業予定者数の推移、望ましい学校規模、統廃合の必要性、統廃合の対象校、校舎制の今後の方向性、新しい学科コース等の設置、新しいタイプの高校、中高一貫教育の今後の方向性などについて検討を重ねたところであります。

 次に、本実施計画の策定に当たっての情報公開等についてであります。

 県教育委員会では、第三次実施計画案の策定に当たり、高等学校グランドデザイン会議を設置し、平成二十一年度以降における今後の県立高等学校のあり方について、平成十八年五月から一年六カ月にわたり検討をいただいてまいりました。

 同会議は、全体を統括する検討会議のもと、二つの専門委員会及び三つの地区部会で構成され、学校関係者のほか、十四名の小・中・高校のPTA関係者及び十五名の地域の経済界関係者など、延べ七十五名の委員により議論をいただき、特に地区部会では、それぞれの地域の特色に応じた意見も出されました。会議はすべて公開で実施し、発言内容を記載した議事概要については、県教育委員会のホームページに掲載するとともに、平成十九年四月に審議の状況を中間まとめとして公表し、県民の皆様方から御意見を伺う機会を積極的に設け、いただいた意見も踏まえ、平成十九年十月に本職に答申が提出されました。

 その後、平成十九年十二月には、実施計画案の検討過程において、地域の皆様から直接御意見を伺い、可能な限り反映させたいとの考えから、県内六地区において答申についての説明会を開催しました。

 さらに、平成二十年一月には、平成二十一年度以降の県立高等学校教育改革における基本的な考え方や地区ごとの学校規模・配置の方向性を素案として公表し、県民の皆様方から御意見を伺った上で、第三次実施計画案として取りまとめたところです。

 この第三次実施計画案については、平成二十年三月三十一日に公表し、四月一日から五月二十日まで五十日間にわたりパブリックコメントを実施するとともに、広く県民の皆様や学校関係者の方々から御理解をいただくよう、県内六地区で説明会を開催したほか、小中高のすべての児童生徒の家庭に第三次実施計画案を特集した「教育広報あおもりけん」の増刊号を配布いたしました。また、個別の学校からの要請に基づいた説明会及び学校存続に係る要望書や署名などにより数多くの御意見をちょうだいしたところであります。

 次に、本実施計画の成案化の時期を延ばすことについてであります。

 第三次実施計画案は、平成十七年度から平成二十年度までを実施期間とする第二次実施計画に引き続き、継続して教育環境の改善充実を図る必要があることから、平成二十一年度から平成二十五年度までを実施期間とする具体的な方向性を示したところです。

 実施計画の公表時期につきましては、これから高校へ進学する中学生や小学生、そして保護者及び教員が計画の内容について十分に理解する期間を確保するとともに、中学校における進路指導のスケジュール等の現状を考慮する必要があると考えております。また、公表の時期がおくれることにより、現在の中学校三年生が進路選択に必要な情報を得られず、不安な状態で学校生活を送ることを避けるため、可能な限り早く情報をお知らせしたいと考え、七月に公表することとしたものであります。

 次に、青森戸山高校は存続すべきと考えるがについてであります。

 本県の県立高等学校につきましては、規模の大小、歴史の古い新しいにかかわらず、子供たちのために教育活動を行い、成果を上げております。

 青森戸山高校についても、昭和五十八年の開校から、これまで、PTAを初め、後援会、同窓会、教職員、そして生徒の努力により伝統を築き上げてこられ、また、さまざまな分野で実績を積み重ねてきたことについては、関係者の方々の御尽力のたまものと考えており、感謝と敬意を申し上げるものでございます。

 しかしながら、このたび策定した第三次実施計画案は、今後も中学校卒業予定者数のさらなる減少が見込まれる中、本県の高校教育水準の維持向上と活力ある教育活動の展開を図るために策定したものであり、現在、小学校や中学校で学んでいる子供たちのためによりよい高等学校教育を提供するために策定したものであります。青森戸山高等学校に限らず、このたび募集停止の対象とした学校につきましては、これからの本県の高校教育のためであることを御理解いただきたいと考えております。

 次に、青森戸山高等学校が閉校対象となった理由についてであります。

 東青地区におきましては、中学校卒業予定者数の減少に応じて、平成二十一年度から平成二十五年度までに八学級の減が必要となります。東青地区の郡部には、平内高等学校及び青森北高等学校今別校舎がありますが、この学級減を郡部小規模校の募集停止で対応していった場合、郡部の中学生の高校教育を受ける機会を失わせることになることから、郡部の学校の学級減では対応が困難であり、また、中学校卒業予定者数の減は青森市においても大きいことなどから、市部の学校を募集停止とする必要があると考えたものです。

 青森市内の学校規模・配置について検討した結果、一つとして、生徒の進路選択の幅を可能な限り確保する必要があることから、青森市内にそれぞれ一校のみの専門高校、総合高校である青森工業高等学校、青森商業高等学校、青森中央高等学校については、第三次実施計画案の前期計画では募集停止の対象から除いたものです。

 二つとして、青森市内の中学校の過去五年間における進路状況を、東部、中部、西部に区分けした場合、各地区の中学生は同一地区にある高等学校に進学する生徒の割合が高くなっております。また、青森市内の今後の中学校卒業予定者数の推移を見ますと、東部地区の減少幅が中部地区及び西部地区より大きく、かつ生徒数も他地区より少ない状況となっております。

 三つとして、普通高校で考えたとき、東部地区には青森東高等学校と青森戸山高等学校がありますが、青森東高等学校は、県内で三校、東青地区で唯一の普通科全日制単位制の高等学校であり、生徒の進路選択の幅を可能な限り確保するとともに、この取り組みを継続していく必要があります。

 これらのことを総合的に勘案し、青森戸山高等学校を募集停止の対象としたものであります。

 次に、県立高校再編は、昭和五十年代後半以降に設置された一部の高校のみを対象とした再編であってはならないと考えるがについてであります。

 第三次実施計画案におきましては、今後、中学校卒業予定者数のさらなる減少が見込まれることから、高等学校における活力ある教育活動を維持するためには、一定規模以上の学校であることが望ましいというこれまでの方向性を踏襲しつつ、地域のさまざまな実情等を考慮した上で、県立高等学校の統合を含めた適正な学校規模・配置を進めていく必要があると考え、すべての県立高等学校について検討してまいりました。

 今後の中学校卒業予定者数は、平成二十年三月から平成二十五年三月までの五年間で、県全体で約千三百人程度の減少が見込まれております。これを六地区ごとに見ますと、少ない地区では約百十人、多い地区では三百八十人程度の減少が見込まれるなど、地区により状況が異なります。このため、具体的な前期計画におきましては、地区ごとの学校配置の状況や高校教育を受ける機会の確保に配慮しながら、中学校卒業予定者数の推移やこれまでの志願・入学状況を勘案した上で、望ましい学校規模・配置となるよう計画的に統合等を行うこととしたものであります。

 このような検討の結果、第三次実施計画案の前期計画期間におきましては、青森戸山高等学校、弘前南高等学校大鰐校舎、尾上総合高等学校、七戸高等学校八甲田校舎、田名部高等学校大畑校舎、八戸南高等学校、南部工業高等学校の全日制高校七校を募集停止したものであります。

 次に、県教育委員会が考える統合とはどのようなことなのか。また、仮に統合するとした場合、統合の具体的な進め方についてであります。

 第三次実施計画案における統合につきましては、募集停止となる学校の生徒が卒業までその学校で授業を受けることから、小中学校の統合に見られるような、いわゆる吸収合併あるいは合併といった形式とは異なるものです。また、統合先の高校は指導要録等の書類を引き継ぐとともに、卒業証明書等の発行に対応するほか、その沿革を引き継ぐこととしているため、統合という表現をしているものであります。なお、募集停止となる高校におきましては、生徒一人一人の進路志望を達成するため、閉校まできめ細かな教育活動を展開するとともに、その実現に向けた支援のあり方について、学校や関係者の方々と十分に協議してまいります。

 次に、統合後の青森戸山高等学校跡地に他の県立学校が移転することになるのかについてであります。

 学校の跡地利用につきましては、青森県県有施設利活用方針に基づき、まず最初に県全体で利活用を検討しますが、県が利用しない場合には、当該学校が所在する市町村に対し利活用が可能かどうか照会することとしております。

 そして、所在市町村における利活用が見込めない場合には民間へ売却することになります。

 県教育委員会としては、利活用方針に基づいて関係機関等と連携しつつ、県有施設の有効な利活用が図られるよう対処してまいります。

 次に、県立高等学校教育改革第三次実施計画は、単なる学校再編計画と受けとめるがについてであります。

 第三次実施計画案は、前段で、基本的な考え方として、平成二十一年度から平成三十年度まで十年間を見通した本県高校教育改革の方向性を示すとともに、後段では、平成二十一年度から平成二十五年度までの五年間における地区ごとの学校規模・配置について具体的な方向性を示しております。

 基本的な考え方においては、各学校の実態に応じた教育内容・方法の充実改善とともに、県立高等学校における学科、コース等のあり方について、生徒の進路選択の多様化などに対応するため、普通科、職業学科、総合学科における教育内容の充実と、地域が求める人材育成や社会における喫緊の課題へ対応するための新しい学科、コース等の設置について方向性を示しております。

 また、中学校や大学等との連携のあり方については、連携型中高一貫教育の見直しや併設型中高一貫教育の新たな設置について方向性を示すとともに、県立高等学校と大学等との連携による教育活動の充実や学校種間の連携による児童生徒の発達段階に応じた組織的、系統的な教育の充実について、これまでの取り組みに関する検証を行いつつ、新たな方向性について検討を進めることとしております。

 このように、第三次実施計画案では、これまで取り組んできた教育改革の方向性を踏襲しつつ、社会の変化や中学校卒業予定者数のさらなる減少の中で、県立高等学校における活力ある教育活動が維持できるよう、教育内容・方法の充実改善、適切な学校規模・配置のあり方、学科、コース等のあり方、高等学校と関係機関との連携のあり方という四つの視点に基づいて、平成二十一年度以降における県立高等学校教育の方向性を示しているところでございます。

 以上でございます。

 

◯副議長(大見光男) 高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 御答弁いただきまして、まことにありがとうございました。

 まだまだお聞きしたいことがたくさんございました。

 事前に地区の説明会で配った資料なり、あるいは一昨日からの御答弁等をお聞きしながら、ある程度再質問も準備させていただきました。また、意見、要望も申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、恐らく教育長のお考えは、これまで地区の説明会をやった。パブリックコメントもやりました。署名も要望も承ったと。これまでの意見あるいは要望、この一般質問のやりとりも含めて、必要に応じて取り入れて修正するというお考えであろうかと思います。しかし、ただ単に意見を聞くだけで、合意形成という点での議論あるいは住民に対する配慮は、果たしてこれをもって妥当とするのか、最大限努力したと言えるのか、地区の説明会における一時的な説明、一方的な説明と質疑のやりとり、あるいはパブリックコメントによる顔の見えない質疑のやりとり、これでコンセンサスを得る努力を教育委員会としてすべてやった、すべて最大限配慮したと本当に言えるのかどうか。本当にこのまま成案化を推し進めようと、そのおつもりなのかどうか、率直にそこは再度お聞きいたしたいと思います。

 それと―これも大事です。戸山高校にしてみれば、なぜ我々の学校が県の教育委員会で示す三市の普通高校、一学年六学級という基準を満たしていながら、一方で、通学が大変だとか地域にその学科しかないとか、あるいは職業・総合学科だからとか、さまざまな理由もあるんでしょうが、どのような理由があったにせよ、県教育委員会がさきに示している六という、ここは保持しているわけです。にもかかわらず、その前提となる学校規模、例えば三市の普通科以外の四を満たしていないながらも一方で存続される、ここは非常に不可解であろうかと思います。

 恐らく後期計画の中で閉校対象とするというお考えなんでしょうけれども、であれば、後期計画の閉校対象が今の段階で何ら示されていない中にあって、何で自分たちだけ六学級規模の、それこそ教育委員会がいう規模を有していながら先に検討のまないたの上に乗ってしまったのかと。ここが受け入れられないというか、皆さん非常に疑問に思っているところであろうかと思います。裏返せば、後期計画全体を示していない中にあって、前期だけで先に閉校を検討されてしまうということが不平等なのではないかという御意見もあろうかと思います。

 それと、裏返せば、ほかの地区と同じように、六学級の基準を暫定的に引き下げて戸山高校を救ってもらうことができないのかどうか。あるいはほかの高校と同じように後期で再検討する、同じ発射台で考えると、それができないものかどうかお伺いしたいと思います。

 それから、一部の高校は対象としていないという御答弁でございました。郡部と都市部とも関係するのでありますが、前期計画において―これは非常に言い方が悪いんですが、県の教育委員会にとって都合の悪い、あるいは交渉のしにくい、地域に一校しかない、いわば地域の反発を恐れて郡部の高校あるいは伝統校を先送りして、その逆を、都市部あるいは新設校をねらい撃ちした、そういう御意見もございます。

 なぜこういう質問をするのかというのは、私は戸山高校を存続させたいからほかの高校を閉校すべきと言っているのではありません。戸山の関係者の皆さんにも、そういう惨めなことだけは言わないようにしようと言っております。我々は閉校校として名指しされた痛みを知っています。だから、ほかの高校の子供たちにこのことによって動揺が広がるというのは本末転倒であろうかということで、それだけは気をつけております。

 ただ、解せないのは、校舎化、統合、閉校、これらの一連の基準があいまいで、余りにその場しのぎの計画なんじゃないかと。後期でそれぞれ地域の実情を勘案する、それをお考えなのかもしれませんけれども、逆に言えば、これも答弁ではあったかと思うんですが、郡部の中学生の高校教育を受ける機会を失わせるとあったんですが、これをいつまで聖域化するのか。今後の少子化の現状を見れば、後期において現在校舎化されている高校あるいは地域に一校しかない高校、伝統校も新設校も閉校の対象になっていくものだと、それは明らかであろうかと思います。

 ただ、校舎化もしくは統合、閉校といったものに一定の基準がないままに今困難が生じているのかと思います。後期になってもまた同じ混乱が生じるんじゃないかと。グランドデザイン会議で出された答申の中に、一定の基準を設けるなどして統廃合を検討する必要があるとしていながら、実施計画において一定の基準が示されておりません。これもなぜなのか私にはよくわかりません。この基準があいまいなまま進むというのは不公平感ばかり増して、加えて、前期と後期の整合性も担保されないんじゃないかと考えます。逆に、これは県の教育委員会を心配しての前向きな御質問でありますので、御答弁をいただきたいと思います。

 次に、青森市を三つに分けたことについて、青森市を東部、中部、西部に区分けしたという前提で中学校の卒業生を論じています。

 青森市を三地区に分ける必然性がどうしても理解できません。果たして本当にこれで妥当なんでしょうか。私も長年市におりました。こういう形で計画をつくるというのは初見です。県では、ほかに青森市を三つに分けて施策は行っているものなのかどうか。

 以前、生徒指導、防犯の関係の協議会で使っている区分けだと、そういう説明を得ておるんですが、防犯の区分けと生徒指導の区分けと、仮にも今回閉校の対象校を決める区分けはどこに接点があるのか理解に苦しみます。

 まだまだ質問したいことがたくさんあるんですが、時間でありますので、ここで終わります。

 

◯副議長(大見光男) 教育長。

 

◯教育長(田村充治) 幾つか再質問いただきました。

 まず、このまま成案化するのかというふうなお話でございます。

 このことにつきましては、先ほども御答弁申し上げました。これまでも定例議会等を通しながら議員の皆様方に御説明を申し上げてまいりましたし、さまざまな手段をとってまいりました。しかも、パブリックコメント等が終わってからも、さまざまな御意見等があればいただいている状況でございますので、今後とも御意見等をいろいろとちょうだいいただければと思っております。

 それから、三次計画の前期と後期の整合性のお話がございました。今まさに前期を御提案申し上げているわけでございまして、後期はさらにまた子供たちの数が減る、その後この三次計画案が終わってからもまた減っていくという状況でございます。その中で、前期のところで今やった部分を検証しながら後期のところにまた持っていかなければいけないということもございますので、御理解いただきたいと思います。

 それから、三地区に分けた意味でございますけれども、これは防犯というお考えでおっしゃいましたけれども、中学校の場合は、学校生活のかなめでありますのはやはり生徒指導ではないかなと思っております。やはり学校生活の中で、さまざまなところで子供たちは生活しているわけでございますので、それを基本にしながら、その中には中学校卒業予定者数の減少に対応しながら、市内の中学校卒業予定者数の推移だとか、あるいは進学の傾向だとか、学校配置の状況等を当然考慮しております。そういうこともございまして、地区割りを三つというふうな形でさせていただきました。

 それから、戸山高校をもう少し学級減して存続できないかという御提案でございました。これは、本県では御承知のとおり、第二次実施計画を策定するまでは、生徒数の減少に対応しまして、既存の学校をできるだけ存続させるというような方針を前提にしまして、大規模校を中心に学級減を進めてまいりました。そして、小規模校につきましては、学級定員の引き下げを同時に進めてまいった次第でございます。

 その結果、市部の学校、これは志願倍率が高いまま推移いたしましたし、町村部の小規模校におきましては、市部の学校への入学希望者の一部が進路変更して入学してくると。ほぼ入学者が募集定員を満たしているものの、地元生徒の占める割合が低くなっている学校だとか、あるいは少子化の影響等により大幅な定員割れを生ずる学校等が出てまいりました。したがいまして、第二次実施計画では、この中学校卒業予定者がどんどん減っていく中で、これまでと同様の考え方によって対応していった場合、市部の学校の学級減を一層進めていかなければいけない。その場合、生徒や保護者の方々の進路志望とますますかけ離れていく状況になっていくんじゃないかと。そういうことで、教育の機会均等、全県的なバランスも考えながら県立高等学校の適正な学校配置、規模配置、あるいは市部の県立高等学校は引き続き学級減を行いながら、町村部の学校においても、学級減によって校舎制の導入だとかということを計画的に進めてまいりました。

 その結果、町村部におきましては、校舎制の学校を含めまして、三学級以下の小規模校が存在することになってきたと。ほとんどの学校が、昔八学級あったのが二学級だとか、そういう状態になってきております。これらの学校におきまして、やはり地域において高校教育を受ける機会を確保するという観点から、それぞれの地域の実情等に応じて大きな大切な役割を担っている学校もございます。

 したがいまして、今回の第三次実施計画案の中で、やはり生徒の進路志望達成のために必要な教科、科目をまず開設する必要があるんじゃないか。また、多様な個性、能力を持った生徒をお互い触れ合いながらやっていく必要があるんじゃないか。るる御説明を申し上げてきました。したがいまして、そういう望ましい学校規模を設定したわけでございます。

 また、この望ましい学校規模から離れていくということは、これから高校教育を受けます小学校、中学校の子供たちにとって、やはり私どもはよりよい教育環境を提供していかなければいけない、そういう思いもございます。そういうことから考えますと、今御指摘いただいたことは重々わかっておりますけれども、この実施計画案に対しまして、また冒頭に戻りますけれども、これからもまた皆様方の御意見等をいただきながらやっていきたいと考えております。

 それから、戸山高校の募集停止、これは後期計画の中でとのお話もございました。後ろに送ることはできないかというふうな話もあったと思います。これは、募集停止を先送りするということは、青森地区の場合は全体で八学級減にしなきゃいけません。そうしますと、他の学校の学級減が必要になってまいります。ということになりますと、全体として小規模校、どんどん学校規模が小さくなってまいりまして、例えば四学級だとかいうふうなことになってきます。これは、今我々は学級規模で言っておりますけれども、高校の場合は定員でございますので、一学級四十名でやっております。だから、四学級だと百六十名というふうな形になります。そういうこともありまして、後期計画のほうに動かすのは大変無理があるのではないかなと考えております。

 しかしながら、今いろいろ申し上げましたこの実施計画案に対しまして、今議会で議員の皆様方からちょうだいした御意見、そして、これまでさまざまな機会をとらえ、県民の皆様方から御意見をいただきました、要望をいただきました。その内容につきましても検討させていただきながら、必要がある場合、修正を加えた上で、七月下旬を目途に成案を策定していきたいと考えております。

 以上でございます。