2007年06月22日:平成19年第250回定例会(第3号)   本文

◯議長(神山久志) 休憩前に引き続いて会議を開きます。

 一般質問を続行いたします。

 二番高橋修一議員の登壇を許可します。──二番高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 自由民主党の高橋修一であります。初当選にして、改選後初となる第二百五十回定例会に先輩各位のお許しをいただき、このように質問の機会を与えてくださいましたことに、心より感謝申し上げ、また、光栄に感ずるところであります。私ごとき若輩者が、さきの知事選において圧倒的な県民の支持を得られ、見事再選を果たされた青森県知事三村申吾氏に対しまして質問を行うということは、身も縮む思いであります。しかしながら、私もさきの県議選において当選の栄誉をいただき、貴重な議席を与えていただいた身であります。私自身、一票一票の重みを厳粛に受けとめ、有権者の皆様への感謝の心を忘れずに、そして、政治の主役はそこに住む人であるという私の政治信条を貫くとともに、県議選への出馬表明以来訴え続けてまいりました元気なふるさと青森をつくり上げるべく、誠心誠意努めてまいる決意であります。どうか、神山議長を初めとする先輩議員の皆様並びに三村知事を初めとする県職員の皆様の御指導、御鞭撻を心よりお願い申し上げる次第でございます。

 それでは、通告の順に従いましてお伺いいたします。

 政府は、本年一月二十五日、「日本経済の進路と戦略」を閣議決定いたしました。この「日本経済の進路と戦略」は、冒頭で日本経済が直面する課題として、人口減少による成長の制約、地域間の不均衡と格差固定化への懸念、厳しい財政状況の三点を挙げ、その一方で、イノベーションがもたらす成長の可能性なども指摘し、こうした最近の動きをさらに活発化するためには、改革の加速、深化が必要だとしております。

 加えて、翌一月二十六日、安倍内閣総理大臣は、第百六十六回国会施政方針演説において、美しい国を実現するには、その基盤として活力に満ちた経済が不可欠とし、日本が人口減少社会を迎える中で、国民が未来に夢や希望を持ち、より安心して生活できる基盤となる社会保障制度を維持するためにも、生産性を向上させ、成長力を強化することが必要であり、今こそ日本経済を中長期的に新たな成長の舞台に引き上げていくことが重要であると表明されました。

 日本経済は、長い停滞のトンネルを抜け出し、ようやく正常な状態に戻りつつあります。小泉内閣においては、改革なくして成長なしというフレーズで、日本経済を失われた十年から脱却させることに成功いたしました。バブル崩壊後の経済を正常な状態に近づけることを最大の目標とし、財政出動に頼らず、構造改革を推進するという方針のもと、経済社会全般にわたる改革が推進されたところであります。

 その結果、国内の景気は平成十四年を底として改善に向かい、息の長い回復を続けており、ようやく未来への明るい展望を持つことができる状態となってまいりました。小泉内閣は、日本経済を復活、再生させることに成功したのであります。

 そして、昨年九月に発足した安倍内閣の最大の使命は、復活、再生した日本経済を持続的な成長軌道に乗せることであると考えるところであります。いわば改革の小泉から成長の安倍へと、日本経済の命運がバトンタッチされたのであります。

 政府の月例経済報告においては、景気拡大期間も六十四カ月目となり、戦後最長記録の更新を続けている状況にあります。安倍内閣発足後も引き続き順調に回復基調にあり、この回復は、安倍内閣のこれまでの取り組みが適切なものであり、着実に効果を上げているものであると確信するとともに、国としてバブル崩壊後の負の遺産を克服するとともに、五年間の長きにわたって景気の回復基調が持続しているということは極めて意義深く、喜ばしいことであります。

 一方、本県の経済状況に目を向けますと、ことし五月公表の平成十七年度県民経済計算速報において、本県の経済成長率は〇・二%と二年ぶりにプラスに転じたところであり、日銀の県内金融経済概況による景気判断を振り返ってみても、県内景気は緩やかながらも上向きの傾向にあると見てとれるところでございます。

 しかし、青森県を全国的に比べ見ますと、有効求人倍率や県民所得は、改善傾向にあるとはいえ、依然として低い水準にあるなど、県民生活において景気回復の実感は乏しく、本県経済はいまだ厳しい状況にあり、大都市圏との格差が広がっているのではないかと懸念するところであります。

 また、国が五月に公表しました都道府県の将来推計人口によれば、本県人口は今後急激に減少し、平成四十七年には百五万一千人になると予想されているところであります。人口減少の要因としては、国全体では少子高齢化などで死亡数が出生数を上回るいわゆる自然減によるものでありますが、本県においては、就職などにより若者を中心に県外へ流出する社会減による影響が大きいものと考えられます。

 働く場を求める若者の県外流出が続くことによって、人口減少と少子高齢化の一層の進展を招く負の連鎖により本県が落ち込んでいくこととなり、活力ある地域社会の維持確保が困難となることは明らかであり、経済の活性化と働く場の確保が極めて重要と考えるところであります。

 三村知事は、平成十五年七月の就任以来、財政状況が極めて厳しい状況にありながらも、生活創造プランに基づく重点推進プロジェクト、わくわく10に施策の選択と重点化を図りながら、六つのプロジェクトを産業・雇用分野に位置づけ重点的に進めており、本県の産業振興と雇用の底上げを図るため、総力を挙げて取り組んでいることに心から敬意を表するところであります。

 しかし、まことに残念ながら、依然として多くの県民は我が国の景気回復を実感できない状況にあることも事実であります。このような状況のもと、成長を続ける日本経済にあって、本県経済にいかにして力を与えるか、そして、多くの県民に景気回復を実感していただくか、このことが二期目の三村県政に強く求められると考えるところであります。

 以上のような観点から、まず、本県経済と地域間格差について、次の三点についてお伺いいたします。

 まず一点目として、国と県の経済の現状をどのように認識されているか。二点目として、地域間の経済格差が拡大していると言われるが、一人当たりの国民所得と県民所得の状況について。三点目として、三村県政二期目のスタートに当たり、一期目に最重点課題として掲げておりました産業・雇用対策については、どのような方針で取り組んでいかれるのか。知事の思いをお伺いいたします。

 次に、雇用対策についてであります。

 国の雇用情勢については、有効求人倍率が平成十七年十二月以降一倍台で推移し、本年四月が一・〇五倍と改善傾向にありますが、本県は本年四月が〇・四六倍と、全国に比べますと厳しい雇用環境にあり、一層の雇用対策の推進が求められるところであります。また、この春卒業された高校生の就職状況を見ますと、県内求人倍率が一・三六倍と、平成十二年三月以来七年ぶりに一・三倍台を回復し、県内就職率も前年同月に比べ五・五ポイント増加の九二・九%と、依然として厳しい状況にあるものの、着実に改善している傾向にあると言われております。

 このような中、県は、県内事業所への優秀な人材確保と県外への人材流出を防ぐため、県内経済団体等に対しまして早期求人票の提出について要請を行ったとの報道がなされ、この席上、経済団体から新卒者の離職率の高さが指摘されたところでありますが、将来への夢と希望を抱いた新規学卒者等の若者が、厳しい県内雇用状況の中、せっかく県内就職を果たしても、短い期間で挫折感を味わってしまうことは大変心苦しい限りであります。

 若者は、本県産業の将来を担うとともに、地域の活力の源であり、これまで以上に若年層の県内就職を積極的に促進するとともに、若者の早期離職は個々の企業にとっても大きな損失であり、ひいては本県経済にとっても大きな痛手となり得ることから、県としても早急にその対策を講じる必要があると考えるところであります。

 そこでお伺いいたします。

 まず一点目に、新規学卒者について、就職状況は改善しているようだが、離職の状況はどのようになっているのか。二点目に、早期離職を防止するために、県はどのような対策を講じているのか。お伺いいたします。

 次に、企業誘致についてであります。

 国内の設備投資は、自動車関連や半導体関連など製造業を中心に順調に推移しているところであり、また、好業績の企業を中心に、新工場の建設などが各地で進んでいる状況にあります。立地先は相変わらず大都市圏が多いものの、こうした地域は人手が不足という側面もあり、最近は優秀な人材を確保するため、有効求人倍率が低い地方へ進出するケースも増加の傾向と伺っております。

 雇用の確保、拡大、経済の活性化には、企業誘致が即効性という観点から極めて有効な手法であり、国内の各自治体間での企業誘致の競争はもちろん、アジア全体を含めた中での競争という状況にありますが、より一層本県の特性、強みを生かした企業誘致の推進が必要であり、さらには、このような国と本県の経済・雇用状況にあって、今こそ本県は企業誘致拡大の絶好のチャンスであるものと考えるところであります。

 そこで、一点目として、企業誘致の状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

 また、国においても、地域の特性、強みを生かした地域産業の活性化の実現を目指す企業誘致立地促進法が制定され、今月十一日に施行されるなど、地域経済の自立的発展の基盤強化に向けた支援策を講じているところでございます。

 個性ある産業集積の形成、高度化のために、本県も国のこのような取り組みに呼応し、地域の強みを生かした戦略的な企業誘致や人材育成等に努めていく必要があるものと考えます。

 そこで、二点目として、先般施行された企業誘致立地促進法について、本県はどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

 次に、創業、起業の推進についてであります。

 雇用の受け皿となる県内の事業所数は、新規開業が廃業、倒産に追いつかない状況にあり、年々減少傾向をたどっておりますが、雇用情勢の改善を図る上でも緊急性の高い課題であるととらえ、事業所の新規開業に結びつく一層の創業、起業の促進施策の推進が必要と考えるところであります。

 しかし、創業、起業といっても、その道のりは決して平たんではなく、成功に至るまでのハードルが非常に多いのが現実であります。地域に安定した雇用の場を提供するまで創業者や起業家を育てていくためには、まず、経営者としてのすぐれた能力、高い志、専門知識などが非常に重要な役割を果たしていくものと考えられます。

 加えて、チャレンジ精神を持った創業・起業者を育てていく環境の整備、事業が軌道に乗るまでのきめ細かいアドバイスや資金的な需要に対する支援など、創業の準備や成長段階に応じた支援策が極めて重要となります。

 そこで、一点目として、創業、起業の支援について、県はどのように取り組んでおられるかお伺いいたします。

 また、県や県商工会議所連合会を中心に準備が進められてきましたあおもりクリエイトファンドが、この十八日、めでたく発足したところであります。このファンドは、国が本年度創設した地域中小企業応援ファンドの全国第一号の案件となり、ファンド総額が二十二億円余りと、自治体が関与した地域ファンドとしては、東京都に次ぐ規模と伺っております。

 このファンドの創設が県内経済の起爆剤となり、県内企業の創業や成長につながり、一つでも多くの成功事例を積み上げていくことによって、県内経済へのプラス効果が期待されるところであり、新たな雇用機会の創出という観点からも、その成否が注目されているところであります。

 そこで、二点目として、あおもりクリエイトファンドの効果を発揮させるため、今後、県ではどのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。

 次に、地域クラスターについてであります。

 先ごろ刊行されました平成十八年度青森県社会経済白書では、「持続的・自立的な地域経済の実現を目指して」と題し、戦後の産業政策に対する考察と地域クラスターに係る政策提言を行っているところでございます。

 また、本書では、昭和二十六年、今から五十六年前の戦後復興期に、当時の経済専門家が指摘した客観的な当時の本県経済の特質として、伝来の地場工業が存在しないという風土、資本蓄積力の弱さ、中央依存度の強さが指摘されており、まさに現在の本県経済の特徴をなぞるようでもあります。

 これらの状況は本質的には今も変わっておらず、戦後半世紀以上、本県は同じ命題を抱えたままとも言えますが、本県の産業振興、経済活性化を図っていくために、地域クラスターの形成といった新しい視点から本県の産業経済の現状を分析し、本県産業の将来を見据えた提言を行っていることは、非常に意義深く、時宜にかなったものと考えるところであります。

 そこで、社会経済白書の提言の内容と、それについて県としてどのように取り組んでいくのかをお伺いするものでございます。

 最後に、東北新幹線新青森駅開業対策についてであります。

 東北新幹線八戸─新青森間については、平成二十二年度の完成に向け、青森市内の新幹線ルート沿線では高架橋が次々と姿をあらわすなど、順調に工事が進められ、県民の長年の悲願でありました東北新幹線全線開業が今や目前に迫ってきているところであります。

 私が昨年十二月まで勤めておりました青森市では、昨年十月に東北新幹線新青森駅開業対策基本計画を策定し、「くるぞ新幹線!活かすぞチャンス!」という熱い思いをスローガンとして掲げ、新幹線開業効果の受け皿となる拠点整備を進めていくことに加え、青森らしさ、青森ならではの地域資源を活用したソフト施策を重層的に展開することで新幹線効果を最大限に引き出し、また、その効果を活用しながら、地域資源の活性化を初め、魅力と活力あるまちづくりを進めていくこととしております。

 新青森駅開業は多くの利用者の利便性の向上や都市間交流の活発化をもたらすことに加え、新幹線駅を有する都市となるということは、既に社会資本の整備や産業経済活動の盛んな先進都市などと肩を並べ、いわば都市間競争に名乗りを上げるという側面も有するものと考えられます。

 新幹線の開業に伴い、とりわけ首都圏との時間短縮による滞在時間や行動圏の拡大は、経済活動において決定的なメリットを発生させるとともに、交流人口の増加によって、商業・サービス分野での活性化や、事業所や工場などの立地促進による雇用機会の拡大、農林水産物など地域資源を生かした地場産品の情報発信機会の増加によるビジネスチャンスの拡大などが期待されているところであります。

 さらには、観光客の増加による観光消費の拡大は、観光産業にとどまらない産業連関を通じて他産業へ波及効果が及ぶとされており、さらなる観光消費の連鎖、拡大が期待されるところでもあります。

 これら新幹線開業に伴う効果は、地域経済に非常にインパクトをもたらすものであり、またとない県内経済好転のチャンスが今まさに到来しようとしております。

 このような中、昨年十二月、青森県では全県組織である青森県新幹線開業対策推進本部を立ち上げ、開業効果獲得に向けての取り組みがスタートしたところであります。

 また、青森市においても、新幹線開業効果を最大限享受すべく、市、商工会議所、観光コンベンション協会が新幹線新青森駅開業対策事業実行委員会を立ち上げ、ねぶたを核とした文化観光交流施設や古川市場などのまちなか観光資源の整備、あおもり検定の実施による受け入れ体制の整備や、ショウガみそおでん、青森ラーメンなどの食のブランド確立に向けて取り組んでいるほか、青森市以外においても、弘前、八戸、十和田、つがる西北五、むつ・下北、七戸と県内各地において新幹線開業効果獲得に向けた組織が設立され、官民が一体となった取り組みが進められているところであります。

 開業効果を最大限享受するためには、それぞれの地域がその地域ならではの資源、魅力を十分に活用し、新幹線開業という機会を絶好の地域経済、産業活性化の幕あけと位置づけ、行政、民間事業者、市民などが連携を図りながら、それぞれの役割をしっかりと果たしていくことが極めて重要であります。

 そして、新青森駅開業のわずか五年後には函館駅までの北海道新幹線が開業し、新青森駅はターミナル駅から通過駅に変わることが宿命となっております。青森県としては、隣接道県との地域間競争に優位に立ち、新幹線の開業効果を県下全域で獲得するためにも、全県組織である青森県新幹線開業対策推進本部と各地域の新幹線関連組織との連携を強固なものにしていく必要があると考えます。

 そこで、青森県新幹線開業対策推進本部と各地域の新幹線関連組織との連携強化をどのように図っていくかをお伺いするものでございます。

 以上で壇上からの質問を終えさせていただきます。

 御清聴、まことにありがとうございました。

 

◯議長(神山久志) 知事。

 

◯知事(三村申吾) 高橋修一議員の御質問にお答えするわけでございますが、お父上でいらっしゃいます高橋弘一議員が、美空ひばりさんの「川の流れのように」をテーマとして質問を行った昨年のことを思い出しております。きょうここから新しき川の流れがまた始まるという思いは、私たちそれぞれの思いの中にあると思います。

 また、議員からは、一票の重みへの感謝を忘れず、主役は住民との思いで質問をいただいたと思います。何とぞ初心を大切にしてください。そう思います。

 それでは、お答えいたします。

 まず、二期目に向けての産業・雇用対策についてどう取り組んでいくかであります。

 私は、県知事就任以来、青森県を元気にしたいとの思いで、この四年間、愚直に邁進してきました。

 特に、県政の最重要課題であります産業・雇用対策につきましては、攻めの農林水産業、あおもりツーリズム、あおもり型産業の育成等、一つ一つの施策を着実に推進してきたところであり、その基礎は固まってきていると考えております。

 これからの四年間は、これまで進めてきたこれらの施策を、青森県発展に向けてのまさにクリエイト、創造の段階へとステップアップするときであると考えております。

 そのため、一つとして、今後お答えもしますが、あおもりクリエイトファンドによる中小企業の新規事業展開の強力なバックアップであるとか、二つ目とすれば、販路や人脈、情報をフルに活用した新たな産地・商品づくりであるとか、三つ目とすれば、高品質な農産物の生産拡大に向けた日本一健康な土づくりの全県的な取り組みであるとか、四つ目とすれば、新幹線新青森駅開業を見据え、本県の豊かな自然環境や県立美術館、郷土出身の文学者の足跡などを生かした文化の薫る観光等に一層力を入れていくとか、そういったこと等を考えております。

 また、これらの施策の推進に当たっては、地場の人材、地場の技術、地場の資金を使って仕事を生み出す、そういったことを常に念頭に置きながら取り組んでいかなければいけない、そのようにも考えています。

 この四年間、こつこつと地道に新しい種をまき、芽を育ててきましたが、これからはこの芽を実りへと結びつけ、そしてまた、新たな種をまいていく、そうした不断の取り組みを進めていかなければならない、その思いを強くしている次第であります。

 企業誘致の状況と今後の取り組みでありますが、最近の企業誘致を取り巻く環境は、大都市圏を中心とする好景気というものを背景に、企業の新規立地、設備投資ともに活発な動きが見られております。

 このような中、昨年度の私ども青森県の企業誘致件数は、前年度より四件増の十五件と増加傾向にございます。

 私は、こういった動向を的確にとらえながら、戦略的に企業誘致活動を展開していくことが重要と考え、今年度、農工ベストミックス関連産業や環境・エネルギー関連産業、フラットパネルディスプレイ関連産業など、本県が有する地域力やその優位性を生かしたあおもり型産業の一層の振興を図る観点から、地元企業の関連分野における事業化に向けた取り組みに加え、高度な技術、ノウハウ等を有する県外企業の誘致を目指していくことといたしています。

 これを実現していくため、私みずから青森県の持つすぐれた人材の豊富さを初め、本県の立地環境の強みを、首都圏の企業等を対象に開催いたしますあおもり産業立地フェアや企業へのトップセールスなどあらゆる機会をとらえて積極的にアピールいたしますとともに、それぞれの分野におけるアドバイザーの活用など、多角的に誘致活動を展開していくこととしております。

 また、新規の企業誘致に加え、既に立地している誘致企業の新増設につきましても、最近動きが活発化しているところでありますが、これらは新規の企業誘致と同様の雇用や経済波及効果が期待されますから、今後ともその推進ということには力を入れていきたいと思います。

 本県経済の活性化や雇用創出という観点から、誘致企業の果たしている役割は大変大きいものがございます。今後とも企業の新規立地や新増設のインセンティブとして、各種優遇制度等を有効に活用しながら、私みずから先頭に立って、積極的かつ強力な誘致活動を展開していきたいと思います。

 クリエイトファンドについてであります。

 去る六月十八日に地域経済界の主導で、まさに地元の力で本県初の地域ファンドとして、総額約二十二億円の規模であおもりクリエイトファンドが創設されたところであり、私は、本ファンドを本県経済の活性化と雇用創出のための起爆剤として大いに期待しているところであります。

 本ファンドは、新しい事業に挑戦しようとする中小企業を支援するものであり、企業に密着した経営支援を行うことから、本県企業の課題となっております販路開拓、マーケティング力の向上、人財の育成、確保などについて、長期・継続的な支援が可能となり、創業や新事業展開が一層加速するものと考えております。

 本ファンドの効果を発揮させるためには、いかに多くの有望な投資先を発掘し、その投資先に対して一貫した支援ができるかにかかっておりまして、そのためには、ファンドの管理運営者と産学官及び金融の県内各関係機関が連携した支援体制をつくり上げていくことが重要であります。

 このため、県では、ファンドの管理運営者等と密接に連携を図りながら、本県の総合的な産業支援機関であり、本ファンドの出資者でもあります財団法人21あおもり産業総合支援センターが保有しております企業情報やコーディネート機能を積極的に活用し、投資先の発掘に万全を期すこととしております。

 さらに、これに引き続いて、五十億円の規模で元気企業チャレンジ基金を創設し、この基金の運用益を活用し、立ち上がり段階の県内中小企業を幅広く支援する予定であります。

 県としては、本ファンドを中心とした各種支援策を有機的に組み合わせ、創業や新事業展開、そして株式上場を目指す成長企業に対して、一貫、継続した支援を強力に進めていくこととしております。

 私からは以上であります。

 

◯議長(神山久志) 企画政策部長。

 

◯企画政策部長(関 格) 三点についてお答えいたします。

 まず、国と県の経済の現状をどのように認識しているかであります。

 六月十八日に公表された内閣府の月例経済報告によりますと、我が国経済の基調判断として、「景気は、生産の一部に弱さがみられるものの、回復している。」とされております。

 一方、六月四日に日本銀行青森支店が公表した県内金融経済概況によりますと、「県内の景気は、生産活動を中心に持ち直しの動きがみられている。」とされているところであります。

 県としましては、最近の各種経済指標から見て、本県経済は生産面を中心に引き続き堅調に推移しているものの、消費面の一部に弱さが見られると考えており、雇用・消費面については、改善傾向にあっても力強さに欠ける指標があることなどから、景気の動向については予断を許さない状況が続いているものと認識しております。

 次に、一人当たり国民所得と県民所得の状況についてであります。

 平成十七年度国民経済計算確報における一人当たり国民所得は二百八十七万八千円、平成十七年度青森県県民経済計算速報における一人当たり県民所得は二百十五万七千円となっており、一人当たり県民所得については、前年度より五千円増加しておりますが、一人当たり国民所得を一〇〇とした場合の本県の水準は七五・〇となっております。

 最後に、地域クラスターについてであります。

 平成十八年度版青森県社会経済白書では、厳しさを増す社会経済環境の中で、本県の産業を振興し、雇用の創出を図っていくためには、新たな価値観に立った地域づくりが必要との観点から、近年、新事業の盛んな展開や起業家の輩出、斬新な技術の開拓などといったダイナミックな経済活動を生み出す地域構造として注目を集めている地域クラスターをテーマに、今後の産業振興の方向性を提言しております。

 具体的には、他地域と比べて優位性が高く、地域経済に多くの波及効果が期待できる分野に経営資源を集中することがクラスター形成を進める上で有効な手段となることから、白書では、本県産業において優位性の高い食料産業を例として、クラスター形成に向けたビジョン設定のケーススタディーを行っております。

 また、クラスター形成を進めるためには、地域が一体となって取り組んでいく必要があることから、既存の枠組みを超えてさまざまな事業活動を横断的にネットワーク化すること、長期的、計画的な取り組みを進め、地域全体で目指すべきビジョンを強い意思で共有し続けること等の必要性を強調しております。

 今後、県では、この提言の内容を踏まえて、具体のクラスター形成に向け、地域県民局を中心に各部局とも連携しながら、市町村、企業、県民等との協働により、モデル的取り組みを進めていきたいと考えております。

 

◯議長(神山久志) 商工労働部長。

 

◯商工労働部長(小林正基) まず、雇用対策のうち、新規学卒者の離職状況についてお答え申し上げます。

 平成十五年三月に卒業した新規高等学校卒業者の離職率は、就職後一年目の離職率が三二・三%、二年目が五〇・〇%、三年目が五九・八%となっており、三年目の離職率は、全国平均四九・二%を一〇・六ポイント上回っております。

 次に、早期離職の防止対策でございます。

 若年者の早期離職の原因につきましては、若年者の職業意識の低さ、経営者の人材育成意識の低さ、職場における相談者の不在などが考えられます。

 このため、県では、今年度から、中学生、高校生及び新社会人の各段階において、職業意識を醸成し、早期離職やフリーターとなった場合の厳しい現実などについて理解してもらうためのふるさと仕事人育成事業を実施しております。

 具体的には、ハンドブックを作成し、中高生などに配布するとともに、その保護者に対しても、子供の就職に関するリーフレットを作成配布することとしております。

 さらに、新社会人が仕事などで悩んだときにサポートできる体制の整備などを目的とした頑張れ新社会人定着促進事業を実施しております。

 具体的には、仕事などで悩んでいる新社会人の相談に電話で応じ、サポートする新社会人しごとホットラインを開設しましたほか、専門カウンセラーによる巡回カウンセリングを実施しております。

 また、最近の若者の気質や考え方、職場定着に向けた効果的な雇用管理について、経営者を対象にしたセミナーも開催することにしております。

 以上のように、今後とも関係機関と連携をとりながら新規学卒者の職場定着に努めてまいります。

 次に、企業誘致についてでございます。

 企業立地促進法での取り組みでございます。

 去る六月十一日に企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律、いわゆる企業立地促進法が施行されたところですが、国においては、この法律に基づき、企業立地の促進を主体的かつ計画的に行う地域や企業に対し、企業誘致活動や人材育成、貸し工場の整備、設備投資減税などに係る支援を行うこととしております。

 県では、支援措置の前提となる基本計画について協議するため、産学官金の分野の方々を構成メンバーとする地域産業活性化協議会を今月末に開催し、津軽と県南下北の二地域を対象とした計画を策定した上で、速やかに国の同意を得られるよう手続を進めることとしております。

 同法では、国内での地域間格差の是正を図るため、有効求人倍率や財政力指数の厳しい地域を優先的に支援することとしておりますので、産学官金の緊密な連携を図りながら、これら支援策などを活用し、それぞれの地域の特性、強みを生かした企業立地活動などを通じ、地域における産業集積の形成及び活性化を図ってまいります。

 次は、創業、起業の支援の取り組みについてです。

 県では、県内で創業、起業を目指す人に対する支援策として、セミナーなどの開催、専門家による個別アドバイス、創業に要する経費を対象とした融資などを行っておりますほか、昨年七月には、創業希望者の準備スペースとして、夢クリエイト工房を弘前高等技術専門校内に開設し、財団法人21あおもり産業総合支援センターのインキュベーションマネジャーや中小企業診断士などによる継続的なアドバイスを行っており、これまで三人が創業したところであります。

 また、今年度新たに創業希望者を会員とした創業チャレンジクラブを立ち上げ、相談、情報提供などの支援や、財団法人21あおもり産業総合支援センターに創業準備のスペースを設け、創業準備段階への支援の充実強化に努めておりますほか、創業、起業を目指す人のスタートアップを促進するため、総額約五十億円規模の元気企業チャレンジ基金を創設し、支援することとしております。

 さらに、三年後に迫った新幹線新青森駅開業を大きなビジネスチャンスとしてとらえ、観光地の空き店舗などを活用した新業態店舗の開業など、いわゆる観光ベンチャーが行う創業経費の一部を助成する観光ベンチャー創出事業を実施することとしております。

 県としては、これらの支援策の実施に当たり、今後とも関係機関と密接な連携を図りながら、創業・起業支援に積極的に取り組んでまいります。

 最後は、新幹線開業対策推進本部と地域組織との連携強化についてでございます。

 新幹線の開業効果を地域経済の活性化に結びつけるためには、八戸駅開業などの先進事例からもわかるように、その地域の特性や歴史、文化などの資源を活用し、地域が一体となって取り組むことが極めて重要でありますが、県内には、現在、そうした地域組織が青森市を初めとして七地域で設立されているところであります。

 このため、全県組織である青森県新幹線開業対策推進本部と各地域組織が開業効果獲得に向けた情報を共有し、連携を図って取り組むよう、定期的に地域組織連絡会を開催することといたしております。

 また、推進本部では、観光推進、産業観光、交通アクセス、地域活性化の四専門委員会で検討された具体的な実施方法などを随時各地域組織に情報提供するほか、新幹線効果活用プロモーション協議会が取りまとめました重点戦略プロジェクトの推進や地域資源の活用を支援する措置として地域プロジェクト支援事業助成金を設けているところです。

 新幹線の開業効果を県下全域で獲得するためには、県内各地域の組織が主体的に取り組むことが重要でございますので、県としても、推進本部と各地域組織の連携がさらに強化されるよう努めてまいります。

 

◯議長(神山久志) 高橋議員。

 

◯二番(高橋修一) 三村知事、関部長、そして小林部長、御答弁いただきまして、まことにありがとうございました。感謝申し上げます。

 本日、六つの項目について質問させていただきました。経済と地域間格差、雇用、企業誘致、創業・起業、地域クラスター、新幹線と、いずれも日本経済が再生している中にあって、いかにして我が青森県の経済に力を与えるか、産業をどのようにして育てていくか、あるいはしっかりとした雇用をどのようにして創出していくべきか、そのような観点から一連、御質問させていただきました。

 また、壇上で、改革の小泉から成長の安倍へと、日本経済の命運がバトンタッチされたとの表現をしましたけれども、「川の流れのように」ではございませんが、今の知事の答弁を聞きまして、再生の三村から創造の三村へ、青森県の経済がバトンタッチならぬギアチェンジしたと、そのように承った次第であります。

 非常に道のりは平坦ではなく、ハードルもたくさんあって、しかも一期目よりも二期目は、県民の目といいますか、期待も大きく厳しいものになろうかとは思いますけれども、私自身、自由民主党の党人として、そして県議会の一員として、そして何よりも青森県民の一人として、二期目の三村県政を支えるべく頑張ってまいりますので、どうか知事におかれましても、二期目、その手腕を思う存分発揮されて、リーダーシップを発揮され、頑張っていただきたいと、そのように申し上げて、私からの質問とさせていただきます。

 以上でございます。